国際的な二重課税問題の解決のため、相互協議事案の適切・迅速な処理を実施

 国際化が進み、個人や企業が海外へ進出すると、日本と進出先の国の双方から課税される「二重課税」が生じる場合があります。例えば、前述の移転価格税制の適用により二重課税が生じる場合があります。国税庁は、租税条約に基づく税務当局間の相互協議1を実施し、こうした国際的な二重課税問題の解決に努めています。
 相互協議の発生・処理件数は高い水準で推移しており、その9割以上が移転価格に関するものです。その中でも、移転価格問題についての予測可能性を確保するための事前確認に係る協議の割合がほぼ8割を占めています。なお、平成24事務年度における相互協議事案の処理件数は170件と過去最多となりました。
 近年、協議経験が少ない新興国との相互協議事案が増加傾向にあるなど、相互協議の困難さが増す中で、国税庁では、相互協議事案の適切・迅速な解決に向け、要員の確保など体制の充実を図るとともに、各国税務当局間の協力関係を一層深め、機動的かつ円滑な協議の実施に取り組んでいます。

 注釈

  • 1 「相互協議」とは、納税者が租税条約の規定に適合しない課税を受け、又は受けるに至ると認められる場合において、その条約に適合しない課税を排除するため、条約締結国の税務当局間で解決を図るための協議手続です。

相互協議事案発生件数の推移

相互協議の相手国(平成25年6月末現在)
  欧州 アジア・大洋州 北米
OECD加盟国 ベルギー   チェコ オーストラリア カナダ
デンマーク フランス 韓国 アメリカ
ドイツ アイルランド    
イタリア ルクセンブルク        
オランダ スウェーデン        
スイス イギリス        
OECD非加盟国   中国  
香港
インド
インドネシア
マレーシア  
シンガポール
タイ
  12か国 9か国 2か国

(備考) 平成25年6月末現在で、相互協議の申立てがなされている相手国(計23か国)。国名の右の「※」は、事前確認に係る相互協議の申立てがなされている相手国(21か国)。