国税庁の使命は「納税者の自発的な納税義務の履行を適正かつ円滑に実現する」ことであり、このような使命を果たすため、第1に、納税者の皆様に申告・納税を「簡単・便利・スムーズ」に行っていただけるよう、サービスの充実に努めております。
 特に、国税電子申告・納税システム(e-Tax)については、関係各位のご協力も得て、23年度は所得税・法人税における電子申告の利用率が半数に近づくに至りました。本年は、オンライン利用率に加え、利用者の利便性の向上や行政運営の効率化といった視点も取り入れた新たな「業務プロセス改革計画」に基づき、引き続き、e-Taxの一層の普及及び定着に積極的に取り組んでまいります。

 第2に、納税者の権利利益の保護を図りつつ、適正な調査・徴収に努めております。
 先般、調査手続の透明性と納税者の予見可能性を高めるなどの観点から、国税通則法が改正され、平成25年1月から、定められた税務調査手続に基づき調査を実施するとともに、全ての不利益処分及び申請に対する拒否処分について理由附記を行うこととなりました。国税庁として、この法改正の趣旨・内容をきちんと踏まえ、適正かつ円滑な執行に取り組んでまいります。
 税務調査等につきましては、大口・悪質な不正事案に厳正に対応するほか、社会・経済情勢の変化に鑑み、富裕層・無申告・国際化事案などの重点課題に積極的に取り組むこととしています。また、国際的租税回避行為については、租税条約等に基づく情報交換を積極的に進めています。大企業については、税務に関するコーポレートガバナンスの充実を図る取組を進めています。

 第3に、国民の皆様からの理解と信頼を得られるように、国税当局が取り組むべき課題や取組方針、各種施策についての実行性ある計画の策定とその実施、実施結果の評価・検証について、ホームページ、報道発表、国税庁レポート(年次報告書)、実績の評価書等を通じて、できる限り分かりやすくお知らせしていきたいと考えております。各種施策の実施結果の評価・検証を踏まえ、税務行政の改善に努めてまいります。

 国税庁といたしましては、引き続き、様々な面で質の高い税務行政を進めることにより、税務行政に寄せられている国民の皆様の信頼に応え、更に揺るぎないものにしてまいりたいと考えています。

 「国税庁レポート2012」は、こうした考え方の下、国税庁の活動を分かりやすく説明するため作成したものです。皆様のご理解を深める一助になれば幸いです。

平成24年(2012年)6月

国税庁長官 川北 力