平成21年分の所得税の確定申告を行った申告者数は2,367万人に上り、国民の5人に1人が確定申告を行っていることになります。そのうち、還付申告者数は、1,299万人を超え、所得税の確定申告者数の半数以上を占めています。
国税庁は、申告者数の増加に加え、多様化にも対応して、納税者の満足度を高めるため、申告に関連するコストをできるだけ小さくするとともに、良質なサービスを提供するように工夫しています。
自書申告とは、納税者が自ら申告書を作成して、税務署に提出していただくことです。納税者自らが進んで適正な申告と納税を行うことを基本としている申告納税制度の下、納税者が税の仕組みを理解し、自ら申告書を作成していただくことは、非常に重要です。このため、より多くの納税者が自宅から自発的かつ適正に申告を行えるよう、国税庁ホームページなどで税に関する情報を提供するとともに、同ホームページの「確定申告書等作成コーナー」やe-TaxなどITを活用したサービスを提供し、自書申告推進のための環境整備に努めています。また、申告相談を希望する納税者には、適切な相談体制を構築するとともに、「確定申告書等作成コーナー」が利用できるパソコンを、税務署が設置する申告相談会場に配備することにより、自書申告を推進しています。
所得税の確定申告期には、毎年2,000万件を超える多数の申告書が提出されているため、各種施策の実施に当たっては、納税者利便の向上を図りつつ、限られた定員の中で確定申告事務全体を円滑かつ効率的に実施することとしています。
所得税の確定申告期について、「申告相談が平日だけの対応では困る、閉庁日にも対応してほしい」という納税者からの声を受けて、確定申告期間中の日曜日に2回、一部の税務署を対象として税務署内や署外の合同会場において申告書の受付や申告相談などを実施しています。
なお、納税者利便を考慮しつつ効率的な実施に努めた結果、平日に申告会場に来署できない給与所得者など、利用された納税者からは、毎年高い評価を受けています。
平成21年分の確定申告期においては、平成22年2月21日と28日に実施し、26万5,000件の所得税の確定申告書の提出がありました。
源泉徴収された税金や予定納税をした税金が年間の所得について計算した税金の額より多いときには、還付申告をすることによって、納め過ぎた税金が還付されます1。
また、計算に誤りがあったために既に行った申告について、納税額が多過ぎた場合や還付金額が少な過ぎた場合には、更正の請求2をすることができます。
国税庁では還付申告や更正の請求に対し、関係法令に基づき、適正かつ迅速な処理を図っています。
注釈
地方税の中には、対象となる納税者や税の仕組みが国税と共通しているものがありますので、納税者の申告手続の簡略化を図るために、制度面や執行面において、国税(当局)と地方税(当局)との間で緊密な連携を図っています。例えば、制度面では、所得税の申告をした納税者は、地方税である個人事業税や個人住民税の申告をしなくても済みます。また、消費税と地方消費税の申告なども同一の手続で行うことができます。執行面では、多くの市区町村で所得税の申告の相談などを行っています。このほか、国税当局と地方税当局が共同して、申告説明会の開催や税務広報を実施しています。こうした執行面の相互協力は、国税当局と都道府県・市区町村の各地方税当局との協議に基づいて実施しています。