国税庁では、租税条約に基づく相互協議1の制度を活用して国際的な二重課税の防止などの課税問題の円滑な処理を図っています。
 相互協議の発生件数は近年増加傾向にあり、その9割以上が移転価格に関するものです。また、移転価格に係る協議のうち、最近では、事前確認に係る協議が増加しています。平成18年7月から平成19年6月までの1年間に154件の相互協議事案が発生し、うち移転価格に関するものは140件、そのうち移転価格に関する事前確認に係るものは105件でした。これを10年前と比較しますと、相互協議件数で約4倍、事前確認に係る相互協議件数で約6倍になっています。
 相互協議件数にあわせて相互協議相手国数も増加してきており、10年前には12か国でしたが、平成19年6月末では25か国に増加しています。同様に、相互協議を伴う事前確認については、昨今は、アジア諸国などこれまで事前確認の経験のなかった国との間でも増加してきています。国税庁では、これら相互協議事案の適切で迅速な解決に向け、各国税務当局間の協力関係を一層深め、より効率的に協議を進めるようにしています。
相互協議事案発生件数の推移のグラフ
1 「相互協議」とは、納税者が租税条約の規定に適合しない課税を受け、又は受けるに至ると認められる場合において、その条約に適合しない課税を排除するため、条約締結国の税務当局間で解決を図るための協議手続です。我が国が締結している45 の租税条約(適用対象国56か国)すべてに、相互協議に関する規定が置かれています。
我が国の租税条約ネットワークの図