平成17年分の所得税の確定申告を行った申告者数は2,318万人となり、国民の6人に1人が確定申告を行っていることになります。特に、還付申告者数は、1,000万人を超え、確定申告の半数以上を占めています。
国税庁は、所得税の申告者数の増加、多様化に対応して、納税者の満足度を高めるため、申告に関連するコストをできるだけ小さくするとともに、従来にない良質なサービスを提供するように工夫しています。
自書申告とは、納税者が自ら申告書を記入、作成して、税務署に提出することです。申告納税制度の原則からいっても、納税者が税の仕組みを理解し、自ら納税することは非常に重要であり、申告相談などの際にも自書申告を推進しています。自書申告を一層定着させるため、平成13年分の確定申告から申告書の様式を全面的に改訂し、記載事項を簡素化しました。
今後、確定申告の件数がさらに増加することが見込まれていますが、より多くの納税者が自発的かつ適正に確定申告を行えるよう、e-Taxや国税庁ホームページ上の確定申告書等作成コーナーなど、自書申告を容易にするためのさまざまな工夫を積極的に行うこととしています。また、申告相談の必要な納税者には、より満足度を高めていただけるよう努めるとともに、限られた定員で申告事務を効率的に処理することが重要であると考えています。
平成15年度の税制改正により、消費税の事業者免税点の引下げ、年金課税の見直し等が行われました。これらの改正等により平成17年分の確定申告では所得税申告が対前年比107.0%、個人事業者の消費税申告が対前年比378.6%増加しました。
●個人、法人申告件数の推移
「申告相談が平日だけの対応では困る、閉庁日にも対応してほしい」という納税者からの声を受けて、平成15年分の確定申告期から、2月の日曜日に2回、確定申告の相談・申告書の受付などを実施しています。
平成17年分の確定申告期においては、前年の実績等も踏まえつつ、効率的な実施の観点や地域バランス等を考慮して対象署の見直し等を行い、2月の日曜日に2回、一部の税務署のほか合同会場や広域センターで、確定申告の相談・申告書の受付などを行いました。
今回の2日間のアンケートの結果、サラリーマンを中心に医療費控除、住宅ローン控除などの相談が多く、利用された納税者からは好意的な声を寄せていただき、高い評価を受けています。
今後の対応については、平成17年分の実績を十分検討して、平成18年分の確定申告期までに公表したいと考えています。
確定申告をしなくてもよい人でも、源泉徴収された税金や予定納税をした税金が年間の所得について計算した税金の額より多いときには、還付申告をすることによって、納め過ぎた税金が戻ってきます1。
また、計算に誤りがあったために納税額を過大に申告した場合など、既に行った申告について、税額が多すぎた場合や還付金が少なかった場合には、更正の請求2をすることができます。国税庁では還付申告や更正の請求に対し、関係法令を適正に適用し、適正かつ迅速な処理に努めています。
地方税の中には、対象となる納税者や税の仕組みが国税と共通しているものがあることから、納税者の申告手続の簡略化を図るために、制度面や執行面において、国税(当局)と地方税(当局)との間で緊密な連携を図っています。例えば、制度面では、所得税の申告をした納税者は、地方税である個人事業税や個人住民税の申告をしなくても済みます。また、消費税と地方消費税の申告等も同一の手続で行うことができます。執行面では、多くの市区町村で所得税の申告の相談などを行っています。このほか、国税当局と地方税当局が共同して、申告説明会の開催や税務広報を実施しています。こうした執行面の相互協力は、国税当局と都道府県・市区町村の各地方税当局との協議に基づいて実施しています。