日時: 平成13年12月14日 15:00〜16:45
場所: 国税庁第一会議室
出席者:
酒類分科会委員 | 田島分科会長 | 尾崎分科会長代理 | |||
今井 委員 | 北村 委員 | ||||
幸田 委員 | 立石 委員 | ||||
平岩 委員 | 水野 委員 | ||||
八木 委員 | 吉澤 委員 | ||||
説明者 国税庁 | 尾原国税庁長官 | ||||
福田国税庁次長 | |||||
大西審議官 | |||||
戸田酒税課長 | |||||
白上鑑定企画官 | |||||
若尾酒税企画官 |
分科会長
遅れておいでになる方がお一人いらっしゃるようでございますけれども、定刻となりましたので、只今から国税審議会酒類分科会を開催いたします。
私、酒類分科会会長を仰せつかっております学習院大学の田島でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
委員の皆様方には、大変お忙しいところをお集まりいただきまして誠にありがとうございます。
実は、皆様御承知のように、本日開催いたします国税審議会酒類分科会は、今年の1月に中央省庁の改革がございました。それに伴って、これまでの中央酒類審議会が整理・統合されたものでございまして、その整理・統合後、本日は第1回の会合ということになります。
そこで最初に、本日御出席をいただいております委員の方々を私の方から御紹介させていただきます。
まず、分科会の会長代理をお務めいただいております国民生活金融公庫総裁の尾崎 護委員でございます。
今井委員がちょっと遅れておいでのようでございます。
読売新聞社調査研究本部主任研究員の北村 節子委員でございます。
全国小売酒販組合中央会会長の幸田 昌一委員でございます。
毎日新聞社論説委員の立石 勝規委員でございます。
作家の平岩 弓枝委員でございます。
一橋大学教授の水野 忠恒委員でございます。
日本酒造組合中央会の八木 祐委員でございます。
東京農業大学教授の吉澤 淑委員でございます。
本日は、酒類分科会委員10名全員の御出席の返事をいただいておりますので、国税審議会令第8条に基づきまして、本会は有効に成立していることを御報告申し上げます。
続きまして、行政側の出席者を紹介させていただきます。
尾原国税庁長官でございます。
福田国税庁次長でございます。
大西審議官でございます。
戸田酒税課長でございます。
白上鑑定企画官でございます。
若尾酒税企画官でございます。
以上でございます。よろしくお願いいたします。
それでは、ここで尾原国税庁長官にごあいさつをお願いいたします。
国税庁長官
委員の皆様方におかれましては、御多用中にもかかわらず、御出席いただきまして誠にありがとうございます。また、日ごろから税務行政並びに酒類行政につきましては多大な御理解、御協力を賜っておりますことを、まずこの席をお借りいたしまして厚く御礼申し上げます。
本日は、本年11月19日に諮問させていただきました「酒類における有機等の表示基準」の一部改正について御審議いただきたいと思っております。「酒類における有機等の表示基準」でございますが、昨年12月に、当国税審議会酒類分科会の前身でございます中央酒類審議会の答申に基づきまして告示し、施行しているところでございますが、この告示に定めております遺伝子組換えに関する表示基準につきまして、改正する必要が生じたものでございます。詳細は、後ほど事務局より説明させていただきたいと思います。
酒類の表示基準につきましては、消費者が適正に商品選択をする上で重要な問題であると考えております。よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
さて、酒類業界を取り巻く環境でございますが、国際化の進展、あるいは消費者ニーズの多様化に伴う酒類の消費構造の変化、流通構造の変化、免許制度の運用における規制緩和の進展など、生産・流通・消費のあらゆる局面において変化のスピードが増してきております。後ほど、事務局より酒類行政をめぐる当面の諸問題につきましても御説明させていただきますが、国税庁といたしましては、このような状況において時代のニーズを的確にとらえ、これまでにも増して、中小酒類業者の経営革新支援をはじめとした酒類産業行政に力を注いで参りたいと考えております。
最後になりましたが、委員の皆様方におかれましては、税務行政並びに酒類行政につきまして今後とも変わらぬ御理解、御協力を賜りますようお願い申し上げまして、簡単ではございますが、私のあいさつとさせていただきます。
分科会長
ありがとうございました。
ここで、長官には御退席をいただきますので、御了承願いたいと思います。
(長官退席)
分科会長
只今の長官のごあいさつにもございましたけれども、本年11月19日に長官から国税審議会に諮問のございました「酒類における有機等の表示基準」の一部改正につきましては、貝塚国税審議会会長から当分科会に付託するのが適当であるとの御判断をいただいております。したがいまして、国税審議会議事規則第3条によりまして、当分科会で審議を行うものであります。
それでは、「酒類における有機等の表示基準」の一部改正、これは素案でございますけれども、これにつきまして議事に入りますが、まず、事務局から御説明をちょうだいしたいと思います。よろしくどうぞ。
酒税課長
私から御説明をさせていただきます。
まず、資料がたくさんございますので、それぞれお手元の資料の御説明をさせていただきます。
議事次第、配席図及び国税審議会酒類分科会委員名簿のほかに、まず第一に、「国税審議会酒類分科会検討資料」と書いたものがございます。これをちょっと見ていただきますと、配付資料一覧というのがございまして資料1から3まで入ってございます。
資料1は、先ほど分科会長から御説明をちょうだいいたしました諮問内容でございます。資料2は、本日審議をしていただきます事務方で作成いたしました表示基準の改正素案でございます。次に資料3は、改正素案が示してございます遺伝子組換えに係る表示基準の仕組みをフローチャートにしたものでございます。
それから、「委員限り」と書いてございまして、横書きの資料がございます。これは後ほど検討資料の説明の際に使用させていただきます。
次に、国税審議会酒類分科会参考資料と書いたものがありまして、その中に資料1から資料7までの資料があるわけでございますが、資料1は酒類の表示基準を定めるための根拠法でございます。酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の抜粋でございます。この資料の下のほうにあります第86条の8、国税審議会への諮問におきまして、財務大臣は酒類の表示の基準を定めようとするときは、あらかじめ国税審議会に諮問しなければならないと規定されておりますところ、本規定によりまして、本日、審議をお願いするわけでございます。
資料2以降は、本日の審議の際の参考でございます。
最後の資料、「酒類行政を巡る当面の諸問題について」と書いたものがございますが、これは目次に従いまして各種資料がついてございます。本件につきましては、有機等の表示基準の一部改正についての審議が終了した後にまた御説明をさせていただきます。
それでは、まず参考資料について御説明をさせていただきたいと思います。よろしゅうございましょうか。
まず、参考資料を御用意いただきまして、これを、恐縮でございますが3枚おめくりいただきます。資料2、「酒類における有機等の表示基準」をご覧いただきたいと思います。
これは、現行の酒類における有機等の表示基準でございまして、この表示基準につきましては御承知のとおり、昨年、平成12年4月に国税庁長官から、当分科会の前身でございます中央酒類審議会に対しまして酒類における有機等の表示基準についての諮問がなされたわけでございまして、御審議をしていただきまして同年12月4日に答申をいただき、12月26日に告示をいたしまして、本年の4月1日から適用しているところでございます。
本資料の3ページの下の部分に、本日、御審議をしていただきます酒類における遺伝子組換えに関する表示について規定をしておりますが、非常に簡単な規定でございまして、基準については酒類も農産物を原料としている加工食品という観点から、農林水産大臣の定める遺伝子組換えに関する基準の加工食品の規定をそのまま準用して行うと、こういう規定ぶりになっているところでございます。本日御出席の委員の中には、有機等の表示基準を初めてご覧になられる方もいらっしゃると思いますので、この基準を定めるに至った背景を簡単に御説明させていただきます。
従来、食品の有機表示につきましては、もともとは農産物に対してのみ強制力のない形でもってガイドラインが示されていただけでございました。しかしながら、平成11年7月に農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律、いわゆるJAS法が改正されまして、農産物加工食品を含む有機食品につきまして新たな検査・認証制度が導入されたわけでございます。本年4月以降、このJAS規格に適合したもののみが「有機」と表示をすることができる。別の言葉で言えば、適合した以外のものは「有機」と表示することができないということになったわけでございます。一方、酒類は農産物加工食品ではございませんので、JAS法の対象外ではございますが、当庁が過去、酒類における有機表示の実態調査を行いましたところ、多くの製品に実効上、有機という表示がなされている状況が見受けられたところでございます。そういった観点から、消費者の方々の適正な商品選択に資する観点から、酒類につきましても表示基準の明確化ということを図ることが必要と考えられたところでございます。
また、有機の表示基準に並んで遺伝子組換え食品に関する表示につきまして、近年の食品の多様化でございますとか、消費者の食品の品質及び安全性、健康に対する関心が高まるにつれまして、この遺伝子組換え食品に対する表示というものを求める声が高まってきたわけでございまして、農林水産省は昨年3月に、先ほど申しましたJAS法に基づきまして、遺伝子組換えに関する表示に係る加工食品品質表示基準及び生鮮食品品質表示基準の規定に基づく農林水産大臣の定める基準というものを策定いたしまして、本年の4月から遺伝子組換え農産物及びその加工食品について、その旨の表示を義務づけることといたしました。酒類につきましては、JAS法の対象外ではございますが、この遺伝子組換えに関する表示について有機表示と同様に、消費者の適正な商品選択に資する観点から表示基準の明確化を図ることが必要と考えられまして、今申しました6番の規定が入ったところでございます。
さて、次に資料をめくっていただきまして、資料3に「有機等の表示を行っている酒類の状況」というものをつけてございます。酒類の場合、そのラベル等は税務署に届け出の規定があるわけでございますけれども、この資料3は本年4月から酒類における有機等の表示基準が適用されることとなってから、税務署に提出をされたラベル等におきまして有機等の表示が行われているものをまとめたものでございます。なお、遺伝子組換えに関する表示が行われている酒類はございませんでした。
この表を見ていただきますと、有機等の表示が行われている商品数は全体で33でございます。一番多いのは果実酒、ワインの22、いわゆるオーガニックワインと呼ばれるようなものが表示されているわけでございます。次いで多いのは清酒の8でございます。
なお、表示基準が制定される以前の11年9月現在におきまして、有機の表示を行っていた酒類の商品数につきまして当庁で調べたところ、367件、うち清酒が292件ございましたが、それと比較いたしますと、商品数は約10分の1になってございます。本規定の制定によりまして表示の適正化が図られたのではないかというふうに言えるのではないかと思います。
次に1枚めくっていただきまして、資料4として、今回、表示基準を実質的に改正する理由となりました高オレイン酸遺伝子組換え大豆の概要につきまして、資料をつけてございます。
資料にございますように、高オレイン酸遺伝子組換え大豆は、米国の会社が遺伝子組換え技術を応用して開発した大豆でございますが、通常、遺伝子組換え技術と申しますのは、収量をふやすとか、あるいは病気に強いものを開発するものでございますが、これはむしろ健康志向の考え方から開発されたものでございまして、その特徴は従来の大豆に比べまして、いわゆる悪玉コレステロールを低下させ、善玉コレステロールを低下させない作用がある等の有用性が報告されているものでございます。これが想定される用途といたしましては、主に食用油ということでございます。また、本品の安全性につきましては、本年3月、厚生労働省の薬事食品衛生調査会において認められております。栽培状況は、米国で2000年に約2000ヘクタール程度、栽培されているということでございます。なお、農林水産省に確認したところ、日本ではまだ流通はされていないということでございました。
農林水産省におきましては、遺伝子組換え表示食品につきまして、新たな遺伝子組換え農産物の商品化、あるいは流通及び原料としての使用実態、それからDNA及びこれによって生じましたたんぱく質の検出方法の新法等に関する新たな知見、消費者の関心等を踏まえまして、毎年見直しをするということにしておりまして、今回、初めて高オレイン酸の遺伝子組換え大豆の安全性が確認されたことを受けまして、高オレイン酸大豆及びこれを原材料とする加工食品につきまして、その旨の表示を義務づけるということにいたしたところでございまして、本年9月28日に農林水産大臣の定める基準のほうを改正、同日施行したところでございます。
なお、委員の方々は恐らく不思議に思われると思いますが、高オレイン酸は私の申しましたとおり脂肪酸でございますから、高オレイン酸大豆を酒類の原料あるいは副原料に使用する可能性は少ないものと思われます。ただ、遺伝子組換え農産物や、それを使いました食品の開発、実用化につきましては、近年、国際的な広がりを持ってきてございまして、今後、安全性が認められれば、農林水産省は見直しをして対象農産物を拡大するというふうにしてございますので、酒類の原料として支給をされるものも出てくる可能性は十分ございます。そういうことから、今般の農林水産大臣の定める基準の改正に合わせまして、順次、酒類における遺伝子組換えに関する表示につきましても改正していくというふうに考えているところでございます。
資料を2枚めくっていただきますと、資料6といたしまして遺伝子組換え食品の栽培試験状況というのをつけてございます。
この資料は、まず環境に対する影響が、農林水産省から安全性が確認をされて、現在、試験栽培をされている遺伝子組換え食品のうち、酒類の原料に使用される可能性があると思われます遺伝子組換えのイネにつきましてまとめたものでございます。この表の上から1番目と2番目につきましては、主に酒造用米として開発が進められているものでございまして、その特徴は従来の酒米に比べまして醸造に好ましくないたんぱく質でありますグルテンを減少させたものでございまして、いわゆる酒の雑味を少なくする効果がございます。そういった意味で、比較的精米歩合が少なくても吟醸酒と同様の品質が得られるような、そういうふうなものだというふうに聞いてございますが、環境に対する影響で安全性が確認された後、今後、厚生労働省から人体に対する安全というものが確認されれば、農林水産大臣の定める基準の対象農産物に加えることも十分考えられるというものでございます。
次に、資料を1枚戻っていただきまして、資料5といたしまして、遺伝子組換え食品に関する表示例をつけてございます。この表示例は、今回、オレイン酸の大豆でございますので大豆を原料にいたしました加工食品の表示例をつけさせていただきました。
一番上から順番に御説明いたしますと、分別生産流通管理、すなわち遺伝子組換えの農産物及び非遺伝子組換え農産物を生産、流通及び加工の各段階で善良な管理者が相応の注意を持って分別管理を行い、その旨を証明する書類で明確に管理が行われたと言える遺伝子組換え大豆を原料とする加工食品の場合には、「原材料名 大豆(遺伝子組換え)」と表示をするなど、原材料名である大豆の次に括弧を付しまして、ちゃんと分別生産流通管理が行われた遺伝子組換え農産物である旨を表示しなければならないということになるわけでございます。
次に、分別生産流通管理が行われていない遺伝子組換え大豆または非遺伝子組換え大豆を原料とする加工食品の場合には、「原材料名 大豆(遺伝子組換え不分別)」と表示をするなど、係る農産物が分別されていない旨を表示しなければならないということになっているわけでございます。
次に、分別生産流通管理が行われている非遺伝子組換え大豆を原料とする加工食品の場合、すなわち遺伝子組換え大豆を原料に使用していない場合でございます。よく皆さんがご覧になるのは、納豆に「組換え大豆を使用していません」とかいうものがあると思いますのですが、その場合には遺伝子組換えのない旨の表示を行うかどうかは任意でございますが、表示をする場合には一番上の例と同様の表示をしなければならないということになっているわけでございます。
次は、今回の改正要因となりました高オレイン酸大豆のように、特定遺伝子組換え農産物についての表示例でございます。この場合、分別生産流通管理が行われているものを原料とする場合には、「原材料名 大豆(高オレイン酸遺伝子組換え)」と表示するなど、原材料名である大豆の次に括弧を付して、この特定のものにつきまして分別生産流通管理が行われた特定遺伝子組換え農産物である旨を表示しなければならないことになっているわけでございます。
次に、特定遺伝子組換え農産物及び非特定遺伝子組換え農産物が意図的に混合されたものである場合には、「原材料名 大豆(高オレイン酸遺伝子組換えのものを混合)」と表示するなど、原材料名である大豆の次に括弧を付しまして、特定遺伝子組換え農産物及び非特定遺伝子組換え農産物がある意図を持って、一定の混合率でもって意図的に混合された旨の農産物である旨の表示をしなければならないことになってございます。
最後に、さらに資料を2枚めくっていただきまして、資料7といたしまして、今回改正されました農林水産大臣の定める法の基準の新旧表をつけてございますので、御参照いただければと思います。
それでは次に、表示基準の改正素案につきまして御説明をさせていただきます。検討資料のほうをご覧いただきたいと思います。
まず、3枚めくっていただきまして、資料2の「酒類における有機等の表示基準」改正素案をご覧ください。これは事務方で作成いたしました表示基準の改正素案でございます。先ほど御説明いたしました参考資料の資料2の従来の酒類における有機等の表示基準第6項の酒類における遺伝子組換えに関する表示の部分をこのような規定に改めるとともに、別表2の次に別表3及び別表4を追加するということでございます。先ほど御説明いたしましたように、今回の改正につきましては、酒類の農産物を原料にしている加工品であるという位置づけから、現在、農林水産大臣の定める基準の加工食品の規定を準用しておりますが、この農林水産大臣の定める基準の改正が行われましたことから、その改正事項を表示基準に盛り込むと同時に、農林水産大臣の基準を少しこちらのほうにも書き込みまして、農林水産大臣の基準を全部見なければわからないというふうな形ではなくて、本基準を読めば大体のことはわかるというふうに文章を工夫したものでございます。
さて、これを具体的に御説明いたしますのは、農林水産大臣の定める基準と対比をして御説明したほうがより御理解いただけると思いますものでございますから、資料があちこち飛んで申しわけございませんけれども、先ほど申し上げました横A4の資料の右上に「委員限り」と赤のスタンプがある資料によりまして御説明をさせていただきます。資料は、左側に農林水産大臣の定める基準の加工食品の規定を、右側に表示基準の改正素案の規定を記載してございます。
まず、右側の改正素案第6項第1号につきましては、遺伝子組換えの表示を行う対象酒類の類型及び表示内容について規定してございます。表示対象酒類につきましては規定の書き方が違いますけれども、左側の農林水産大臣の定める基準と同様でございまして、二つの類型に分かれてございます。
一つ目は、後ろの4ページにございます別表3に掲げている組換えDNA技術を用いて生産された農産物の属する作目であります大豆、とうもろこし、ばれいしょ、なたね、綿実の五つの農産物を原材料とするもの、またはこれらを原材料とする加工食品。この加工食品は、別表2で掲名されておりますコーンスターチ等ではございますが、これらを原材料とするものであって、加工工程後も組み換えられたDNA、またはこれによって生じたたんぱく質が残存する酒類、これは左側の農林水産大臣の定める基準の第3条第1項第1号の加工食品に相当するわけでございます。二つ目は、今回の表示基準の改正要因となりました高オレイン酸大豆のような、従来のものと組成、栄養価等が通常の農産物と著しく違う特定遺伝子組換え農産物でございまして、別表4、左欄に掲げる形質、この場合には「高オレイン酸」と書いてございますが、を有する同表の右欄に掲げる対象農産物、大豆及びこれを原材料とする加工食品を原材料とする同表の中欄に掲げる酒類、これは左側の農林水産大臣の定める基準の第3条第1項第2号の加工食品に相当するものでございます。この二つの酒類につきましては、農林水産大臣の定める基準の加工食品の規定を準用して、当該酒類の容器または包装に遺伝子組換えに関する表示を行うこととなります。なお、具体的な表示内容につきましては、先ほど御説明いたしました検討資料の資料5の表示例のように表示することとなるわけでございます。
次に、1枚めくっていただきまして第2号、ここでは(2)でございますが、遺伝子組換えに関する表示が不要な酒類の類型を規定してございます。表示が不要な酒類は、また前段と後段の規定で2類型ございますが、その内容につきましては、やはり農林水産大臣の定める基準の第4条の規定と同様でございます。
まず一つ目、前段の規定でございますが、大豆などの対象農産物を原材料とするものでございまして、加工工程後も組み換えられたDNAまたはこれによって生じたたんぱく質が残存しない酒類。次に後段の規定、二つ目でございますが、対象農産物を主な原材料としていない酒類でございます。主な原材料と申しますのは、農林水産大臣の定める基準と同じになってございます。
以上、二つの酒類につきましては、遺伝子組換えの表示を行う必要がないことを規定しておるところでございます。
なお、事業者が遺伝子組換えの表示を行うことは禁止しておりませんが、これらの酒類につきまして遺伝子組換えに関する表示を行う場合には、表示基準に従った表示を行う必要があることを規定してございます。
次に、1枚めくっていただきまして、第3号、(3)の規定でございます。遺伝子組換えに関する表示をしてはならない酒類を規定しておりますが、内容はやはり農林水産大臣の定める基準の第5条と同様のものとなってございます。具体的には、現時点で遺伝子組換えのものが存在しない農産物、例えば米や麦でございます。先ほど米については御説明いたしましたが、まだ開発中でございまして流通されておりません。それを原料とした酒類には遺伝子組換えがないことを示す用語、例えば「遺伝子組換えでない」というふうなことを表示しないことを規定しておるわけでございます。これは、遺伝子組換えの農産物が存在しないのに、遺伝子組換えのないことを示す用語を標榜した場合には、あたかもその農産物に遺伝子組換えのものが存在しているのではないかというふうに消費者が誤認をするため、このようなことを避けるためにこういう規定を設けたわけでございます。
以上が、表示基準の改正素案の内容でございます。
次に、検討資料をお手元にとっていただきまして、資料3をご覧ください。この資料は、酒類における遺伝子組換えに係る表示方法がわかるようにフロー図にしたものでございます。
この表の一番下にございます五つのボックスの中に表示内容が書かれてございますけれども、右側の二重線で囲ってございますのが、今般の改正によって追加される高オレイン酸大豆のような特定遺伝子組換え農産物を原料に使用した場合の表示内容でございます。左側の三つは、現在適用されております加工工程後も組み換えられたDNAまたはこれによって生じたたんぱく質が残存する場合などの表示内容でございます。実質的には繰り返しの説明なのでございますが、高オレイン酸大豆を原材料に使用する場合を例といたしまして、その表示方法につきまして、このフロー図に沿って御説明いたします。
まず、高オレイン酸大豆を原材料に使用いたしますので、この表の中央、一番上のボックスからスタートすることになります。高オレイン酸大豆を主な原材料としている、またはこれらを主な原材料に使用している場合には、右側のボックスに進むわけでございます。高オレイン酸は油脂でございますから、大豆から脱脂をしてとることになりますが、ここで脱脂をするか否かという一つのクリアポイントがございます。脱脂をされたことにより高オレイン酸の形質を有しなくなったか否かということを、まず判断いたします。次に、脱脂された高オレイン酸大豆が通常の大豆と同様に、中央上から2番目のボックスの判断基準、つまり、加工工程後も組み換えられたDNAまたはこれによって生じたたんぱく質が残存するのか否かという次の判断基準に進むことになるわけであります。次に、高オレイン酸の形質を有している場合には、右側、中央のボックスに進みまして、ここで分別生産流通管理が行われているかどうかということを判断いたします。分別生産流通管理が行われております高オレイン酸大豆を使用している場合には、一番下の右端のボックスに進むことになりまして、原材料名である大豆の次に括弧書きで『高オレイン酸遺伝子組換えのものを分別』あるいは『高オレイン酸遺伝子組換え』等の表示をしなければならないことになります。分別流通生産管理が行われていない場合には、右側上から三つ目のボックスに進みます。ここで高オレイン酸大豆が意図的に混合されているか否かを判断いたしまして、その場合には、原材料名である大豆の次に括弧書きで『高オレイン酸遺伝子組換えのものを混合』・『高オレイン酸遺伝子組換えのものを含む』等の表示をしなければならないことになります。次に、高オレイン酸大豆が意図的に混合されていない場合には、通常の大豆と同様に中央上から2番目のボックスの判断基準、すなわち加工工程後も組み換えられたDNAまたはこれによって生じたたんぱく質が残存するものか否かの判断基準に進むことになりまして、下のほうに進むわけでございます。
以上、表示基準の一部改正の御審議をいただくに際しまして用意いたしました資料を御説明いたしました。よろしくお願いいたします。