出題のポイント

【第一問】

問1

 本問は、市町村税である固定資産税における都道府県の関わりについて、基本的な理解を問う問題である。
 固定資産税は、市町村税であるため、本来その課税標準額の決定から賦課徴収に至るまで、市町村において行うこととされているが、その例外として、
・船舶、車両その他の移動性償却資産又は可動性償却資産で二以上の市町村にわたって使用されるもの
・鉄道、軌道、発電、送電、配電若しくは電気通信の用に供する固定資産又は二以上の市町村にわたって所在する固定資産で、その全体を一の固定資産として評価しなければ適正な評価ができないと認められるもの
のうち総務大臣が指定するものについては、関係市町村が同一道府県内にある場合においては、道府県知事が課税標準額を決定してこれを関係市町村に配分することとされている。
 また、課税標準額が法律で定められた一定の額を超える大規模償却資産について、当該超える部分については、道府県が課税権を有することとされており、こうした例外規定についての理解がポイントとなる。
 このほか、固定資産の評価に関する援助(固定資産評価基準について助言をすること、固定資産評価員への研修を行うこと等)や固定資産の価格等の修正に関する勧告を行う役割を有していることへの理解もポイントとなる。

問2

 本問は、住宅用地特例についての理解を問う問題である。
 地方税法においては、住宅政策上の見地から、住宅用地について税負担の軽減を図るため、固定資産税の課税標準の特例を設けており、本問においては、主に次の点への理解がポイントとなる。

  1. (1) 併用住宅については、家屋の床面積に占める居住部分の割合により、住宅用地特例の適用を受ける住宅用地の面積が異なること。
  2. (2) 専ら保養の用に供されている家屋であっても、毎月1日以上の居住(これと同程度の居住を含む。)の用に供されている場合には、住宅用地特例が適用されること。
  3. (3) 空家等対策の推進に関する特別措置法に規定する特定空家等の敷地については、除却、修繕等必要な措置をとることについて勧告を受けた場合に、住宅用地特例が適用されなくなるものであること。

【第二問】

 本問は、税額の計算問題を通して固定資産税制度の総合的な理解力を問う問題である。
 問1は、区分所有家屋及び区分所有家屋の敷地の用に供されている土地の税額の計算についての理解を問う問題であり、問2は償却資産(移動性償却資産等)についての理解を問う問題である。

問1

 本問は、住宅用地に適用される特例措置及び新築住宅に適用される特例措置を理解した上で税額を適正に算出できるか、総合的な理解を問う問題である。
 住宅用地特例の適用に当たっては、併用住宅の場合、家屋の床面積に占める居住部分の割合により特例の適用を受ける住宅用地の面積が異なること、新築住宅特例の適用に当たっては、床面積要件や居住割合要件の充足を確認した上で120u相当分を限度に固定資産税が減額されること等を踏まえて税額を算出する必要がある。

※ 本問につきましては、土地に関する資料【資料T】において、「小規模住宅用地」及び「一般住宅用地」の令和3年度課税標準額を設定すべきところ、「一般住宅用地」の令和3年度課税標準額が設定されていなかったことから、土地に係る固定資産税額を算出することができない問題となっていました。

 本問の採点に当たっては、受験者の不利とならないように配慮することとしています。

 「令和4年度(第72回)税理士試験における試験問題の誤りについて(PDF/64KB)

問2

 償却資産の課税標準額については、資産ごとに異なる耐用年数に基づく減価償却、課税標準の特例措置の適用があるほか、移動性・可動性償却資産については配分規則に基づき関係市町村への価格の配分が行われる。
 本問は、航空機及び鉄道・車両の税額算定を通じて、これらの規定の適用に関する基本的な理解を問うものである。
 特に航空機については、資料で与えられた条件に基づき適切に課税標準の特例措置を適用するとともに、固定資産の価格の各市への配分に当たっては、一の飛行場が二以上の市町村にわたり所在している場合の配分方法に留意するなど、与えられた資料に基づき適切に各市への配分を計算する必要がある。