第9章 雑則

(納税者)

1 法第117条第1項の「納税者」には、国税に関する法律の規定により還付を受けるための申告書又は確定損失申告書を提出することができる者も含まれる。

(納税管理人の事務範囲)

2 法第117条第1項の「納税申告書の提出その他国税に関する事項」とは、次に掲げる事項(不服申立てに関する事項を除く。)をいう。

(1) 国税に関する法令に基づく申告、申請、請求、届出その他書類の作成及び提出

(2) 税務署長等(その所属の職員を含む。(3)において同じ。)が納税者に対して発する書類の受領及びその納税者に対するその書類の送付

(3) 納税者が税務署長等に対して提出する書類の受領及びその税務署長等に対するその書類の提出

(4) 国税の納付及び還付金等の受領

(注) 納税管理人は、上記(1)から(4)までに掲げる事項の一部のみを処理(特定納税管理人(法第117条第5項の特定納税管理人をいう。7において同じ。)によるものを除く。)することはできないことに留意する。

(納税管理人の選任)

3 法第117条第1項の納税管理人は、できるだけ納税者の納税地を所轄する税務署の管轄区域内に住所等を有する者のうちから選任させるものとする。

(納税管理人の権限の消滅)

4 納税管理人の権限は、その解任によるほか納税者の死亡(法人にあってはその消滅。以下4においても同じ。)若しくは納税者が破産手続開始の決定を受けたこと又は納税管理人の死亡若しくは納税管理人が破産手続開始の決定若しくは後見開始の審判を受けたことにより消滅する(民法第111条、第653条参照)。

(納税管理人の権限の消滅後の効果)

5 納税管理人の権限の消滅後、その消滅を知らないで、納税管理人であった者によってされ、又は納税管理人であった者に対してした行為は、納税者(納税義務を承継した者を含む。以下5において同じ。)によってされ、又は納税者に対してした行為とするものとする(民法第112条、第655条参照)。

(納税管理人に処理させる必要があると認められる国税に関する事項の範囲)

6 規則第12条の2《納税管理人に処理させる必要があると認められる国税に関する事項》の「その他これに類する事項」には、徴収法の規定による滞納処分等に関する2(2)及び(3)に掲げる事項等が含まれることに留意する。

(特定納税管理人と法第12 条の納税管理人の事務との関係)

7 特定納税管理人が処理することができる事項は、法第117条第3項に規定する特定事項に限られるから、特定納税管理人は、当該特定事項に係る書類を除き、法第12条第1項又は第3項《書類の送達》の規定による送達を受けることができないことに留意する。

(納税管理人の届出をすべきことの求めに応じた場合の手続)

8 納税者が、法第117条第3項の規定による納税管理人の届出をすべきことの求めに応じた場合には、同条第2項の規定により納税管理人の届出をしなければならないことに留意する。

(国内便宜者が納税管理人となることの求めに応じた場合の手続)

9 法第117条第4項に規定する国内便宜者が同項の規定による納税者の納税管理人となることの求めに応じた場合において、当該納税者が当該国内便宜者を納税管理人として定めたときは、当該納税者は、同条第2項の規定により納税管理人の届出をしなければならないことに留意する。

(密接な関係を有する者の範囲)

10 法第117条第5項第1号ロの「密接な関係を有する者」とは、次に掲げる者をいう。

(1) 過去に特定納税者(同項に規定する特定納税者をいう。以下第117条関係において同じ。)の課税の基因となった取引について契約関係にあり、現在も引き続きその契約関係を有する者

(2) 過去に特定納税者の課税の基因となった事業について契約関係にあり、現在も引き続きその契約関係を有する者

(3) 過去に特定納税者の課税の基因となった取引や事業について契約関係にあり、現在はその契約関係にはないが、現在も納税者と密に連絡を取り合う関係にある者

(継続的に又は反復して行う場を提供する事業者の範囲)

11 法第117条第5項第1号ハの「継続的に又は反復して行う場を提供する事業者」とは、例えば、プラットフォーム運営事業者のように多数の者との間で取引を行う場を提供する者が該当するが、特定納税者との間で単発の取引仲介のみを行ったような事業者は特定納税者へ「継続的に又は反復して行う場」を提供していないため、その範囲に含まれないことに留意する。

(その他これに類する事実の範囲)

12 令第39条の2第1項第3号《特定納税管理人との間の特殊の関係》の「その他これに類する事実」とは、次に掲げるものをいう。

(1) 一方の法人が他方の法人から提供される事業活動の基本となる著作権(出版権及び著作隣接権その他これに準ずるものを含む。)、工業所有権(特許権、実用新案権、意匠権及び商標権をいう。)、ノウハウ等に依存してその事業活動を行っていること。

(2) 一方の法人の役員の2分の1以上又は代表する権限を有する役員が他方の法人によって実質的に決定されていると認められる事実があること。

(特定事項を処理させる必要がなくなったときの範囲)

13 法第117条第6項の「特定事項を処理させる必要がなくなったとき」とは、例えば、国税に関する調査が終了したこと等により税務署長等から特定納税者に対し接触の必要性がなくなった場合や、特定納税者から同条第2項の規定による納税管理人の届出がされた場合等が該当する。


目次

● 国税通則法基本通達(徴収部関係)の制定について

● 引用の法令番号

● 省略用語