第2項関係

1 粉末酒に係る数量の計算方法及び数量等の端数計算

 粉末酒に係る数量の計算方法及び数量等の端数計算は、次による。

(1) 粉末酒の重量から粉末酒の数量を計算する場合の取扱い

イ 令第19条第1項第1号《粉末酒の数量の計算》に規定する「当該粉末酒を蒸留水に溶解した場合における当該粉末酒及び蒸留水の重量並びに当該溶解したものの温度15度における比重を明らかにすることができる場合」とは、少なくとも、粉末酒の製造者が、その製造場において粉末酒を製成した都度又は移出する都度(移出する都度が困難なときは移出するための容器等に充塡する都度)、その粉末酒の一部を採取し、当該粉末酒の重量及び当該粉末酒を溶解するために必要な蒸留水の重量並びに当該粉末酒を蒸留水に溶解したものの温度15度における比重(以下「比重」という。)を測定してこれらを明確に記帳している場合をいう。

ロ 令第19条第1項第1号《粉末酒の数量の計算》に規定する換算係数は、次により算出する。

(イ) 当該粉末酒の重量の測定
 国税庁所定分析法の18−1により、換算係数を算出すべき粉末酒から速やかに採取した試料のうち約30グラムを10ミリグラム位まで量りとり、当該粉末酒の重量とする。

(ロ) 当該粉末酒の溶解
 量りとった当該粉末酒を100ミリリットル容共せんフラスコにとり、これに約70ミリリットルの蒸留水を加えて溶解する。当該粉末酒に蒸留水を加えた後と蒸留水を加える前の共せんフラスコの重量の差を10ミリグラム位まで求めて当該粉末酒に加えた蒸留水の重量とする。

(ハ) 比重の測定
 当該粉末酒を溶解したものの比重を国税庁所定分析法5―3により小数点以下第3位まで求める。

(ニ) 換算係数の算出
 当該粉末酒の重量、蒸留水の重量及び比重を令第19条第1項第1号に規定する算式に代入して規則第7条の8《粉末酒の換算係数の端数計算》に規定する端数計算に基づき当該粉末酒の換算係数(小数点以下第2位未満の端数切捨て)を算出する。

[計算例]
 粉末酒の重量が30.21グラム、蒸留水の重量が70.48グラム、比重が1.076の場合の換算係数は、次のとおりである。
換算係数の計算例の算式

(注) 令第19条第1項第1号又は第2号に規定する「(1キログラム当たりのリットル数)」とは、当該粉末酒の重量1キログラムにつき、第1号にあっては算出された換算係数の数値をリットル数とし、第2号にあっては0.73リットルとすることをいうのであるから留意する。

(2) 数量計算方法の承認等の取扱い

イ 酒類製造場の所轄税務署長は、酒類製造者から令第19条第2項に規定する申請書の提出があった場合において、その製造場が同条第3項各号の一に該当するものであるときは、その承認をしないこととする。
 なお、税務署長は、令第19条第3項第1号の規定に該当するか否かの検討を行うに当たって必要があると認める場合には、国税局長に上申することとし、国税局長は鑑定官室長(沖縄国税事務所にあっては主任鑑定官。以下同じ。)の調査結果に基づいて必要な指示を与える。

ロ 酒類製造場の所轄税務署長は、令第19条第5項の規定に該当する製造場については、特別な理由がない限り、原則として、その承認を取り消す。
 なお、その承認の取消し前に当該製造場から移出された粉末酒で、同条第1項第1号の方法により計算することができないものの数量については、同項第2号の計算方法による。

(3) 数量計算方法の変更届等

イ 令第19条第8項の規定に基づく承認書又は承認取消通知書の送達は、通則法第12条《書類の送達》の規定によることとなるが、令第19条第4項又は同条第7項の規定の適用があることから円滑に行うよう配意する。

ロ 令第19条第6項の規定に基づく届出書が郵便又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成14年法律第99号)第2条第6項《定義》に規定する一般信書便事業者若しくは同条第9項に規定する特定信書便事業者による同条第2項に規定する信書便により提出された場合の令第19条第7項に規定する「当該届出をした日」の判定に当たっては、通則法第22条《郵送等に係る納税申告書等の提出時期》の規定に準ずる。
 なお、この届出書については、令第19条第7項の規定の適用があることから、なるべく届出書を所轄税務署に直接持参するようにさせる。

(4) 引取りの場合の数量計算方法
 保税地域から引き取られる粉末酒については、令第19条第1項第1号の計算方法によることができないのであるから留意する。

(5) 受払数量等の端数計算
 酒類製造者、酒類販売業者等が粉末酒の受払い等を重量により行う場合は、原則として、グラム位未満の端数を切り捨てる。ただし、1容器当たりの詰口量がグラム位未満の端数を付けて詰口表示されているものについては、当該詰口表示量とし、また、グラム以外の重量表示されているものをグラム換算した場合には、グラム位未満3位以下の端数を切り捨てる。

1 発泡酒の税率適用の取扱い

(1) 法第3条第18号イ《その他の用語の定義》の規定に該当する発泡酒(アルコール分10度未満のものに限る。)に適用される平成29年改正法(所得税法等の一部を改正する等の法律(平成29年法律第4号)をいう。以下この条において同じ。)附則第36条第5項第2項第1号及び第2号《発泡性酒類及び醸造酒類に係る税率の特例》に規定する税率は、平成29年改正令附則第3条《発泡酒の原料の重量の計算に関する経過措置》及び平成29年改正規則(酒税法施行規則等の一部を改正する省令(平成29年財務省令第22号)をいう。以下この条において同じ。)附則第4条《発泡酒の原料の重量の計算に関する経過措置》の規定に基づき計算した麦芽比率により判定する。

(注) 平成29年改正規則附則第4条の糖類には含糖質物を含むことに取り扱う。

[計算例]

・発泡酒の原料の重量等

麦芽 43.5kg
麦 70 kg
糖類 65 kg (含有される水分の重量が100分の25のもの)

アルコール含有物 10 リットル(アルコール含有物1,000リットルの製造に使用した麦芽の重量150kg、アルコール含有物のアルコール分5度)

・麦芽の重量の計算
麦芽の重量の計算例の算式

・原料の重量の計算
原料の重量の計算例の算式

・麦芽比率(税率適用区分)
(A/B)=25.5%(平成29年改正法附則365一適用)

(2) 法第3条第18号ロの規定に該当する発泡酒については、次のものに限り、平成29年改正法附則第36条第5項第2号に規定する税率(1キロリットルにつき、134,250円)が適用される。

イ 糖類、ホップ、水及び平成29年改正令による改正前の令第20条第1項各号《ホップ等を原料としたその他の発泡性酒類》のいずれかに掲げる物品を原料として発酵させたもの(エキス分が2度以上のものに限る。)

ロ 平成29年改正令による改正前の令第20条第2項《ホップ等を原料としたその他の発泡性酒類》に規定する発泡酒に同条第3項各号のいずれかに掲げるスピリッツを加えたもの(エキス分が2度以上のものに限る。)

(注) 法第3条第18号ロの規定に該当する発泡酒のうち、上記イ又はロに定めるもの以外の酒類については、平成29年改正法附則第36条第4項に規定する発泡性酒類の税率(1キロリットルにつき、181,000円)が適用されることに留意する。

2 混和酒の税率適用の取扱い

 連続式蒸留焼酎と単式蒸留焼酎とを混和した混和酒、ウイスキーとブランデーとを混和した混和酒又は納税義務の成立している酒類(以下「課税酒類」という。)と納税義務の成立していない酒類(以下「未課税酒類」という。)とを混和した混和酒を製造場から移出した場合における酒税額の算出は、次により取り扱う。

(1) 混和前のそれぞれの酒類のアルコール分の総量(計算の根基となるアルコール分に1度未満の端数がある場合は、度位未満第2位を切り捨て度位未満第1位とする。以下同じ。)の合計に対する混和前のそれぞれの酒類のアルコール分の総量の比率により、混和酒の移出数量をあん分して混和前のそれぞれの数量を算出して、これに該当する税率を適用して算出する。 なお、この場合において混和前のそれぞれの酒類のアルコール分が同一である場合(1度未満を切り捨てた場合において同一となる場合を含む。)には、混和前のそれぞれの酒類の数量の比率により混和酒の数量をあん分して混和前のそれぞれの酒類の数量を算出しても差し支えない。

(2) (1)の場合におけるアルコール分の総量の比率の算出は、次による。

イ アルコール分の総量の比率は、原則として千分比によるものとし混和前のそれぞれの酒類について算出した比率の1つが1,000分の1未満である場合には万分比による。

ロ イによって算出した比率に小数点以下の端数が生じた場合には、連続式蒸留焼酎、ウイスキー又は未課税酒類についての小数点以下の端数を切り捨て、単式蒸留焼酎、ブランデー又は課税酒類についての小数点以下の端数を切り上げ、それぞれの比率の合計を1,000又は10,000に符合させる。

(3) (1)の場合におけるあん分して算出した混和前の酒類の数量に10ミリリットル未満の端数を生じたときは、連続式蒸留焼酎、ウイスキー又は未課税酒類についての10ミリリットル未満の端数を切り捨て、単式蒸留焼酎、ブランデー又は課税酒類についての10ミリリットル未満の端数を切り上げ、その合計数量を混和酒の移出数量に符合させる。

(4) 連続式蒸留焼酎と単式蒸留焼酎とを混和した後において、そのアルコール分が36度以上となる混和酒を、製造場から移出した場合の酒税額の算出は、(1)にかかわらず、当該混和する前の酒類の状態においてそれぞれの該当する税率を適用して算出する。

[計算例]

1 (1)による場合
 連続式蒸留焼酎アルコール分20.6度のもの3,020リットル、単式蒸留焼酎アルコール分44.5度のもの9,111リットル及び水1,229リットルを混和した混和酒アルコール分35.0度のもの13,360リットルを移出した場合の納付税額


2 (4)による場合
 連続式蒸留焼酎アルコール分20.6度のもの3,020リットル、単式蒸留焼酎アルコール分44.5度のもの9,111リットルを混和した混和酒アルコール分38.5度のもの12,131リットルを移出した場合の納付税額

税額計算
連続式蒸留焼酎
 3,020リットル×200,000円/kリットル=604,000円
(20度の税率)
単式蒸留焼酎
 9,111リットル×440,000円/kリットル=4,008,840円
(44度の税率)

納付税額
604,000円+4,008,840円=4,612,840円

3 混和酒を移出する場合の混和割合の表示の取扱い

 混和酒が製造場に戻し入れされた場合又は他の製造場に移入され再移出された場合には、原則としてその混和割合により税額を算出し、酒税を控除又は還付することになるので、混和酒を製造場から移出する場合には、必ず、その混和割合をその容器、仕切書又は納品伝票等に表示させる。

4 旧酒税法に基づく適用税率の取扱い

 旧酒税法(所得税法等の一部を改正する等の法律(平成18年法律第10号)による改正前の酒税法をいう。)法第22条《課税標準及び税率》第1項各号に規定するアルコール分は、次による。

(1) 「アルコール分が15度を下る1度(1度未満の端数があるときはその端数は1度とみなす。)」とは、アルコール分が15度を0.1度下るものも含まれるものである。したがって、アルコール分が14.8度の場合は、15度−14.8度=0.2度となり、15度を下るものに含まれ、かつ、その下る度数が1度未満であるから、1度とみなすものである。

(2) 「アルコール分が13.5度を下る1度(1度未満の端数があるときはその端数は1度とみなす。)」の場合には、下る度数の計算の基点は13.5度であるから留意する。したがって、みりんの場合においては、アルコール分が、12.5度のものは13.5度−12.5度=1.0度となり、1度下るものであるが、アルコール分が12.4度のものは、13.5度−12.4度=1.1度となり、2度下るものである。

(注) みりんのアルコール分が8.4度の場合には13.5度−8.4度=5.1度となり、計算上は6度下るものとなるが、その税率はアルコール分が8度未満のものと同類となるのであるから留意する。


酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達目次

(前) 第12条 酒類の製造免許の取消

(次) 第28条 未納税移出