第1項関係

1 蔵置場の態様

 設置を許可する蔵置場の態様は、次のとおりとする。

(1) 輸出酒類の蔵置場
 法第28条《未納税移出》第1項第2号に掲げる酒類を蔵置するために設置する蔵置場をいう。

(2) 製造等委託酒類の引取等のための蔵置場
 製造者が酒類の製造(当該製造者が製造免許を受けた品目の酒類の製造に限る。)又は容器詰めを他の製造者の製造場若しくは蔵置場に委託し、当該委託に基づき製造された酒類又は販売用容器にじゅうてんされた酒類(以下「製造等委託酒類」という。)を引き取るため並びに製造者若しくは製造者が主となって組織する法人(以下「共同蔵置法人」という。)が酒類を販売用容器にじゅうてんするため又は共同蔵置法人が構成員たる製造者の製造した酒類を未納税移出するために設置する蔵置場をいう。

(注) 以下、前段を「製造等委託酒類の引取のための蔵置場」、後段を「びん詰等のための蔵置場」という。

(3) 果実酒集荷のための蔵置場
 果実酒を集荷して移出するために設置する蔵置場をいう。

(4) 製造場移転のための蔵置場
 製造場の移転の許可を受けようとする場合において、移転前の製造場に現存する自製酒を蔵置するために設置する蔵置場をいう。

(5) 原料用アルコールの蔵置場
 原料用アルコールを他の製造者に移出しようとするために設置する蔵置場をいう。

(6) 製造場狭あいのための蔵置場
 製造場の製造数量、未納税移入数量、移出数量、貯蔵設備、びん詰能力、申請者の他の製造場(既に設置許可を受けている蔵置場を含む。)の状況、物流事情等から客観的に判断して、製造場内に自製酒を蔵置する能力がない又は製造場の蔵置能力を超えていると認められる場合(以下、これらの製造場を「狭あい製造場」という。)において、自製酒を当該製造場以外の場所に蔵置するために設置する蔵置場をいう。

(7) 大消費地における酒類の共同蔵置場
 首都圏(東京駅を中心とする半径がおおむね75キロメートルの地域のうち、政令指定都市のある県内を除く地域をいう。以下同じ。)又は政令指定都市における酒類の物流合理化等に資する目的で、製造者又は共同蔵置法人が販売用容器に充填された酒類を蔵置するために設置する蔵置場をいう。

2 蔵置場の設置許可の要件

 設置しようとする蔵置場の態様に従い、次の共通的許可要件の全てかつ態様別許可要件のいずれかを満たす必要がある。

(1) 共通的許可要件

イ 申請者は、法第10条《製造免許等の要件》第6号、第7号から第8号まで又は第10号に規定する者でない。

ロ 申請者が法人である場合には、その役員のうちに法第10条《製造免許等の要件》第1号、第2号又は第7号から第8号までに規定する者がいない。

ハ 申請者が支配人を選任して蔵置場における業務を行わせる場合には、その支配人が法第10条《製造免許等の要件》第1号、第2号又は第7号から第8号までに規定する者でない。

ニ 申請場所は、次の各号に掲げる場所のいずれにも該当せず、かつ、独立した建物又は独立した建物とみなされる建物内である。

(イ) 検査取締り上不適当と認められる場所

(ロ) 現に酒類製造免許又は酒類販売業免許を受けている場所

(ハ) 現に他の製造者の蔵置場(許可を要しない蔵置場を含む。)となっている場所。ただし、大消費地における酒類の共同蔵置場の場合を除く。

(ニ) 申請者が所有権又は管理権を有していない場所

(注)

1 蔵置場の態様が同一であり、かつ、検査取締り上不適当と認められる事情がないときは、同一の蔵置場において、同一の製造者等が2以上の品目の酒類を蔵置しても差し支えない。

2 申請場所が委託管理されている場合には管理権を有しているものと取り扱う。

ホ 申請場所は、支配人、管理人等責任ある職員により又は業務管理委託契約により、酒類の管理が適切にされている。

ヘ 蔵置場の設備は、酒類を蔵置するに十分と認められるものである。

(2) 態様別許可要件

イ 輸出酒類の蔵置場

(イ) 申請者は、輸出する酒類を販売することができる酒類販売業者又は製造者である。

(ロ) 蔵置する酒類は、輸出する酒類で、かつ、申請場所において詰め替えを行わないものである。

ロ 製造等委託酒類の引取等のための蔵置場

(イ) 製造等委託酒類の引取のための蔵置場

A 申請者は、他の製造者の製造場又は蔵置場に製造又は容器詰めを委託し、当該委託に基づき製造又は販売用容器にじゅうてんされた酒類を申請場所に引き取ることが確実な製造者である。

B 申請場所は、次に該当する場所である。

(A) 製造又は容器詰めを委託した製造場又は蔵置場の所在地と同一税務署の管轄区域内である。

(注) 製造又は容器詰めを委託した製造場又は蔵置場の所在地と同一税務署の管轄区域内に設置することが困難である等やむを得ない事情がある場合には、当該税務署に隣接する税務署の管轄区域内に設置しても差し支えない。

(B) 申請と同一の態様の蔵置場(製造等委託酒類の引取のための蔵置場)を同一税務署の管轄区域内((A)の注書きにより隣接する税務署の管轄区域内に設置した場合においては隣接する税務署の管轄区域内を含む。)に二以上設置しようとするものでない。

C 蔵置する酒類は、他の製造者の製造場又は蔵置場に製造又は容器詰めを委託し、当該委託に基づき製造又は販売用容器にじゅうてんされた酒類である。

(ロ) びん詰等のための蔵置場

A 申請者は、製造者又は次に該当する共同蔵置法人である。

(A) 会社の発行済株式又は総出資金額の50%以上を共同蔵置法人の構成員たる製造者が保有している。

(B) 中小企業等協同組合法(昭和24年法律第181 号)による組合である場合には、総出資金額の50%以上を共同蔵置法人の構成員たる製造者が出資しており、かつ、共同蔵置法人の構成員の50%以上を共同蔵置法人の構成員たる製造者が占めている。

B 蔵置する酒類は、次に該当する酒類である。

(A) 申請者が製造者である場合には、自製酒又はびん詰めを受託した酒類

(B) 申請者が共同蔵置法人である場合には、共同びん詰酒類(共同蔵置法人の商標を付して課税移出するものを含む。以下同じ。)、びん詰めを受託した酒類又は未納税移出するために構成員たる製造者から移入した清酒若しくは単式蒸留焼酎

ハ 果実酒集荷のための蔵置場

(イ) 申請者は、果実酒の製造者、果実酒を卸売することができる酒類販売業者又は果実酒の共同蔵置法人(出資の状況については、ロの(イ)のAの定めを準用する。)である。

(ロ) 申請者は、同一の態様(果実酒集荷のための蔵置場)の蔵置場を2以上設置しようとするものでない。

(ハ) 申請場所を管轄する税務署の管轄区域内にすでに許可を受けた果実酒集荷のための蔵置場(自他の別を問わない。)が存在しない。

(ニ) 蔵置する酒類は、果実酒である。

ニ 製造場移転のための蔵置場

(イ) 申請者は、製造場の移転の許可を受けられることが確実と認められる者である。

(注) 「製造場の移転の許可を受けられることが確実と認められる」とは、蔵置場の設置許可後において、製造場を移転する計画が明らかにされており、かつ、移転に必要な資金を有している場合をいう。

(ロ) 申請場所は、製造場の移転許可を受けようとしている移転後の製造場と同一場所又は近接する場所である。

(ハ) 蔵置する酒類は、移転前の製造場に現存する自製酒である。

ホ 原料用アルコールの蔵置場

(イ) 申請者は、原料用アルコールの製造者である。

(ロ) 申請場所は、蔵置場を設置することが原料用アルコールの供給を円滑にし、かつ、企業合理化に資すると認められる場所であるとともに、相当の貯蔵能力を有し、消防法(昭和23年法律第186号)上の必要な設備を完備している。

ヘ 製造場狭あいのための蔵置場

(イ) 申請者は、具体的な状況から客観的に判断して、狭あい製造場を有する者である。

(ロ) 申請場所は、原則として、狭あい製造場の所在地を管轄する国税局の管轄区域内にある。

(注) 申請場所が狭あい製造場と近接する場所にあり、酒税の取締り又は保全上支障がないと認められる場合には、当該申請場所と隣接する国税局の管轄区域内であっても差し支えない。

(ハ) 蔵置する酒類は自製酒であり、申請場所において酒類の詰め替えを行うものでない。

ト 大消費地における酒類の共同蔵置場

(イ) 申請者は、製造者が4者以上(このうち中小企業者が半数以上であること。)で共同して酒類の蔵置場を設置することが明らかな者又は次に該当する共同蔵置法人である。

(注) 中小企業者とは、中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第2条《中小企業者の範囲》第1号又は第2号に規定するものをいう。以下この(イ)において同じ。

A 会社の発行済株式又は総出資金額の50%以上を共同蔵置法人の構成員たる製造者が保有しており、かつ、当該製造者が4者以上(このうち中小企業者が半数以上であること。)である。

B 中小企業等協同組合法(昭和24年法律第181号)による組合である場合には、総出資金額の50%以上を共同蔵置法人の構成員たる製造者が出資しており、かつ、共同蔵置法人の構成員の50%以上を共同蔵置法人の構成員たる製造者(このうち中小企業者が半数以上であること。)が占めている。

(ロ) 申請場所は、次に該当する場所である。

A 首都圏又は政令指定都市のある道府県内である。

B 申請と同一の態様の蔵置場(大消費地における酒類の共同蔵置場)を首都圏又は同一の道府県に2以上設置しようとするものでない。

C 製造者が設置する場合、それぞれの製造者が区画占有している。

(注) この場合において、蔵置場の責任者は同一人が2以上の製造者の蔵置場の責任者を兼任していても差し支えない。

(ハ) 蔵置する酒類は、次に該当する酒類である。

A 申請者が製造者である場合には、販売用容器に充填された自製酒

B 申請者が共同蔵置法人である場合には、構成員たる製造者が製造した酒類で、販売用容器に充填された酒類

3 許可する場合に付ける期限の取扱い

 製造場移転のための蔵置場の設置許可を与える場合は、原則として、令第29条《蔵置場の設置許可の申請等》第2項の規定により、適切な期限を付することとし、これ以外の蔵置場の設置許可を与える場合において酒税の取締り又は保全上特に必要があると認められるときは、その必要と認められる期限を付すことができる。

(注) 上記の期限を付する場合には、必要最少限の期間とするとともに、期限経過後においても未納税移入酒類が現存することによりみなし製造場となることがないように申請者に十分に説明する(例えば、「蔵置する酒類は、設置期間内に全部移出することが確実なものに限る。」旨の条件を付ける等の措置を講ずる必要がある。)。

4 許可する場合の条件

 次の各号に掲げる蔵置場の設置許可を与える場合においては、令第29条第2項《蔵置場の設置許可の申請等》の規定により酒類の品目別に与えるものとし、蔵置する酒類の範囲について、次の各号に掲げる条件を付する。
 なお、次の各号に掲げる条件のほかに、酒税の取締り若しくは保全上又は申請者の申請により、特に必要があると認められるときは、蔵置する酒類の範囲につきその必要と認められる条件を付すことができる。

(1) 輸出酒類の蔵置場
 「蔵置する酒類は、輸出する○○(酒類)で、かつ、その蔵置場で詰替えを行わないものに限る。」旨。

(2) 製造等委託酒類の引取等のための蔵置場

イ 製造等委託酒類の引取のための蔵置場
 「蔵置する酒類は、他の製造者の製造場又は蔵置場に製造又は容器詰めを委託し、当該委託に基づき製造又は販売用容器にじゅうてんされた○○(酒類)に限る。」旨。

ロ びん詰等のための蔵置場

(イ) 製造者が設置する場合
 「蔵置する酒類は、自製酒(自己の製造した酒類及びこれと同一の商標を用いて移出する酒類をいう。)又はびん詰めを受託した○○(酒類)に限る。」旨。

(ロ) 共同蔵置法人が設置する場合
 「蔵置する酒類は、共同びん詰酒類、びん詰めを受託した酒類又は未納税移出するために構成員たる製造者から移入した清酒若しくは単式蒸留焼酎に限る。」旨。

(3) 果実酒集荷のための蔵置場
 「蔵置する酒類は、集荷して移出するための果実酒に限る。」旨。

(4) 製造場移転のための蔵置場
 「蔵置する酒類は、移転前の製造場に現存する○○(自製酒)に限る。」旨。

(5) 原料用アルコールの蔵置場
 「蔵置する酒類は、自己が製造した原料用アルコールに限る。」旨。

(6) 製造場狭あいのための蔵置場
 「蔵置する酒類は、○○工場から未納税移入する自製酒(自己の製造した酒類及びこれと同一の商標を用いて移出する酒類をいう。)に限る。」旨。

(7) 大消費地における酒類の共同蔵置場

イ 製造者が設置する場合
 「蔵置する酒類は、販売用容器にじゅうてんされた自製酒(自己の製造した酒類及びこれと同一の商標を用いて移出する酒類をいう。)に限る。」旨。

ロ 共同蔵置法人が設置する場合
 「蔵置する酒類は、構成員たる製造者が製造した○○(酒類)で、販売用容器にじゅうてんされたものに限る。」旨。

5 期限の延長の取扱い

 期限を付して許可した蔵置場について、設置許可を受けた者からその期限を延長されたい旨の申出があった場合には、その理由を十分検討し、酒税の取締り又は保全上支障がないと認められる場合に限り、期限を延長して差し支えない。

6 条件の緩和の取扱い

(1) 4《許可する場合の条件》により条件を付して許可した蔵置場について、設置許可を受けた者から蔵置する酒類の範囲につきその条件を緩和されたい旨の申出があった場合には、その理由を十分検討し、酒税の取締り又は保全上支障がないと認められる場合に限り、条件を緩和して差し支えない。

(2) 製造場狭あいのための蔵置場について、設置許可を受けた者から、条件として付されている未納税移入先を追加したい旨の申出があった場合には、その追加製造場が自製酒を蔵置するためには狭あいであると認められ、かつ、その蔵置場と追加製造場とが、原則として、同一国税局の管轄区域内に所在するときは、条件を緩和して差し支えない。

(注) 追加製造場が製造場狭あいのための製造場と近接する場所にあり、酒税の取締り又は保全上支障がないと認められる場合には、当該追加製造場と蔵置場が、隣接する国税局管轄区域内に所在していても差し支えない。

7 蔵置場設置許可の取消し

 蔵置場を設置している者等が次の各号のいずれかに該当することとなった場合には、蔵置場の設置許可を取り消すことができる。ただし、その蔵置場の所在地を所轄する国税局長が特に蔵置場の設置許可を取り消さなくても差し支えないと認めたときは、この限りでない。

(1) 偽りその他不正の行為により蔵置場の設置許可を受けた場合

(2) 蔵置場を設置している者が、国税若しくは地方税に関する法令若しくは組合法の規定により罰金の刑に処せられ、又は通則法(地方税において準用する場合を含む。)若しくは関税法(とん税法及び特別とん税法において準用する場合を含む。)の規定により通告処分(科料に相当する金額に係る通告処分を除く。)を受けその旨を履行した場合

(3) 蔵置場を設置している者が、酒税に係る滞納処分を受けた場合

(4) 蔵置場を設置している者が、法第31条《担保の提供及び酒類の保存》第1項の規定により命ぜられた担保の提供をしない場合

(5) 蔵置場を設置している者が、その蔵置場からの移出に係る酒税について滞納をした場合

(6) 蔵置場を設置している者又設置している場所等が、蔵置場設置の許可要件に該当しなくなった場合

(7) 蔵置場へ1年以上引き続き酒類を未納税移入しなかった場合

(8) 蔵置場設置を許可する場合に付せられた条件に違反した場合

8 許可等事務の取扱官庁

(1) 国税庁長官に上申を必要とするもの
 異例又は特殊な蔵置場の設置許可で国税局長が許可することを適当と認めたもの

(2) 国税局長限りで処理するもの
 税務署長において蔵置場の設置許可の可否判定が困難であるものについては、国税局長に上申の上、その指示により処理する。

(3) 税務署長限りで処理するもの
 (1)及び(2)以外のものは、税務署長限りで処理する。ただし、この通達に定める取扱いに適合していないが、税務署長が特に蔵置場の設置を適当と認めたものについては、国税局長に上申の上、その指示により処理する。

9 許可等事務の処理期間(標準処理期間)

 蔵置場の設置許可の申請等があった場合の標準処理期間は、次のとおりとする。

(1) 国税庁長官に上申を要するもの
 税務署長においては、申請者から申請書類を受理した日(書類の欠陥補正のため返戻した場合又は追加書類を要求した場合は、再び申請書類を受理した日又は追加書類を受理した日とする。上申の場合及び(2)並びに(3)において同じ。)の翌日から起算して、原則として、2か月以内に国税局長に上申するものとし、国税局長は税務署長から申請書類を受理した日の翌日から起算して、原則として、1か月以内に国税庁長官に上申する。

(2) 国税局長限りで処理するもの
 税務署長においては、申請者から申請書類を受理した日の翌日から起算して、原則として、2か月以内に国税局長に上申するものとし、国税局長は税務署長から申請書類を受理した日の翌日から起算して、原則として、2か月以内に処理する。

(3) 税務署長限りで処理するもの
 税務署長限りで処理するものについては、申請者から申請書類を受理した日の翌日から起算して、原則として、2か月以内に処理する。

(4) 標準処理期間から除外される期間
 標準処理期間から除外される期間は、次のとおりであるから留意する。

イ 書類の欠陥補正のため返戻した場合又は追加書類を要求した場合は、当該返戻した日又は要求した日から再び申請書類が提出された日又は追加書類が提出された日までの期間。

ロ 電磁的方法によって申請書等の提出があった場合において別途送付等される添付書類が申請書等を受理した日から合理的な期間内に到達しなかったときは、当該申請書等を受理した日から当該添付書類が到達するまでの期間。

ハ その他行政庁の責に属さない事情により要した期間。

10 「税率の適用区分」等の意義

 法第28条《未納税移出》第7項、法第30条の2《移出に係る酒類についての課税標準及び税額の申告》第1項、法第30条の3《引取りに係る酒類についての課税標準及び税額の申告》第1項、令第33条《未納税移出の承認申請》、令第34条《未納税移出が認められるために必要な申告書の添付書類等》及び令第35条《未納税引取》から令第38条《控除又は還付を受けようとする酒税額の計算に関する書類》までに規定する「税率の適用区分」とは、次の区分をいう。

(1) 法第23条《税率》第1項から第5項までの適用区分

(2) 酒類の品目別若しくはアルコール分別及び発泡性の有無の区分

(注) 「アルコール分別」とは、同一税率の適用を受けるアルコール度数の範囲のものごとをいう。

(3) 発泡酒については法第23条《税率》第2項第1号又は第2号の区分

11 商標表示の取扱い

 令第32条《未納税移出の目的及び製造場等》第2号イに規定する「移入をした後その商標を表示してさらに移出すること」には、移入するときに既に当該移入する製造者の商標が表示された販売用容器入りの酒類を更に移入した製造場又は蔵置場から移出する場合を含むことに取り扱う。

12 未納税移出承認の取扱い

 法第28条第1項第4号《未納税移出》に規定する未納税移出承認は、次の場合に与えることに取り扱う。

(1) 原料用アルコールの製造免許を有する製造場へ原料用アルコールを移出しようとする場合。ただし、未納税移入した製造者が、当該原料用アルコールを酒類の原料用として移出するためのものに限る。

(2) 展示会等に移出しようとする場合。ただし、展示会等終了後製造場へ戻し入れることが確実と認められる場合に限る。

(3) 酒質矯正のために他の製造者の製造場又は蔵置場へ移出しようとする場合。ただし、後日移出製造場へ戻し入れることが確実と認められる場合に限る。

(4) 連続式蒸留焼酎又は単式蒸留焼酎(いずれも未納税移入した製造者が製造したものに限る。)を混和する目的で、それぞれ単式蒸留焼酎又は連続式蒸留焼酎を移出しようとする場合

13 欠減等に対する取扱い

 未納税移入証明書の内容と未納税移出事績の内容とが異なる場合の取扱いは、次による。

(1) 未納税移入証明書記載の数量又は成分が、未納税移出された酒類の数量又は成分と異なっている場合において、その内容が次に該当している場合には、その事情を調査の上、(2)により処理する。

(注) 法第28条第4項《未納税移出》に規定する亡失証明書は、未納税移入証明書に代えて用いるものであるから留意する。

イ 数量
 同一移出日に係るものごとに、移出時における数量と移入時における数量との差数量が移出時の数量に対し100分の1を超える数量である場合又は当該酒類の輸送容器の個数が移出時と移入時とにおいて異なる場合若しくは一輸送容器の詰口量が当該容器に表示されている等の数量に対し甚だしい増減数量がある場合

(注) 差数量が移出時の数量に対し、100分の1以内の場合であっても、差異の原因が故意によるものであるときは、原則として(2)により処理するのであるから留意する。

ロ 成分
 アルコール分が移入時と移出時とにおいて1度以上の差異がある場合

(注)

1 アルコール分の差が、上記に該当しない場合であっても、その差異の原因が故意によるものであるときは、原則として(2)により処理するものであるから留意する。

2 1度以上の差異がある場合とは、アルコール分の差を計算した結果が1以上となる場合をいうのであるから留意する。

(2) (1)に該当した場合には、原則として差数量又はアルコール分の差に対応する数量について酒税を課する。この場合において、アルコール分の差に対応する数量に対する酒税額は、移出時の酒類の数量及びアルコール分に対する酒税相当額と未納税移入証明書記載の移入時の数量及びアルコール分を基礎として移出時のアルコール分に換算した数量に対する酒税相当額との差額に相当する酒税額による。

第2項関係

1 酒税を免除する場合の要件

 未納税移出酒類に係る酒税を免除する場合は、納税申告書を法定申告期限内に提出した場合で、かつ、法第28条《未納税移出》第2項に規定する書類が添付された場合又は法第28条の2《未納税移出に関する特例》第1項に規定する方法によりその明細を明らかにしている場合に限るのであるから留意する。ただし、法第28条《未納税移出》第3項の規定により、添付書類の提出予定日を税務署長に届け出たとき又は添付書類の提出について税務署長の承認を受けたときは、この限りでない。

第3項関係

1 「やむを得ない事情がある」の意義

 法第28条《未納税移出》第3項に規定する「やむを得ない事情がある」とは、次の場合をいう。

(1) 輸送の事情により、酒類を移出してから移入製造場に移入されるまでに相当の日数を経過し、又は郵送又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成14年法律第99号)第2条第6項(定義)に規定する一般信書便事業者若しくは同条第9項に規定する特定信書便事業者による同条第2項に規定する信書便による送付の事情により未納税移入証明書が遅延したことにより納税申告書の提出期限までに入手することができない場合

(2) 災害、盗難又は紛失等の事故により未納税移入証明書の発行又は再発行に相当の日時を要する場合

(3) その他真にやむを得ない事情があると認められる場合

2 未納税移入の明細を記載した書類の提出期限延長の取扱い

 法第28条《未納税移出》第3項第2号に規定する承認を与える場合の「指定した日」は、申請理由等を勘案して適当と認める日とする。

第4項関係

1 「災害その他やむを得ない事情により亡失した場合」の意義

 法第28条《未納税移出》第4項に規定する「災害その他やむを得ない事情により亡失した場合」とは、酒類を製造場又は蔵置場から移出した時から移入製造場又は蔵置場に移入される時までの過程において、当該酒類が震災、風水害、雪害、凍害、落雷、雪崩、がけ崩れ、地滑り、火山の噴火等の天災、火災、交通事故で自己の責任によらないもの等の災害により亡失したことをいい、盗難又は故意による亡失は含まない。

第5項関係

1 「酒税の取締り又は保全上特に不適当と認められる等の事情があるとき」の範囲

 法第28条第5項《未納税移出》に規定する「酒税の取締り又は保全上特に不適当と認められる等の事情があるとき」の範囲は、次による。ただし、酒税の保全上支障がないと認められる場合はこの限りでない。

(1) 申請者が現に酒税を滞納している場合又は酒税滞納のおそれがあると認められる場合

(2) 申請者が法又は組合法に違反し、通告処分を受けて履行しない場合又は告発されている場合

(3) 申請者が法又は組合法に違反し、法若しくは組合法の規定により刑に処せられ又は通告処分を受け、その通告の旨を履行してから1年を経過しない者である場合

(4) 移入者が法第28条《未納税移出》第8項の規定により未納税移入酒類とその他の酒類とを区分して蔵置することを命じられたにもかかわらず、これに従わなかった場合

(5) 移入しようとする製造場において、製造免許を受けていない酒類(製造する酒類の範囲についての条件が付されている酒類については製造する酒類の範囲を含む。)を移入しようとする場合。ただし、第28条第1項関係の12(未納税移出承認の取扱い)の(4)に該当し連続式蒸留焼酎又は単式蒸留焼酎を移入しようとする場合は、この限りでない。

第6項関係

1 製造者又は製造場とみなす期間の取扱い

 法第28条《未納税移出》第6項の規定により製造者又は製造場とみなされる場合における当該みなされる期間は、原料用酒類については、移入した時から原料として使用した時まで、その他の酒類については、未納税酒類を移入した時から当該酒類を移出した月の翌月末日までをいうものとして取り扱う。


酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達目次

(前) 第22条 課税標準及び税率

(次) 第28条の2 未納税移出に関する特例