【照会要旨】

 当社は、フードバンク活動を行う団体(以下「フードバンク」といいます。)に対して、食品を提供することを検討しています。
 当社が提供する食品は、製造してから一定期間が経過し、食品衛生上の問題はないものの、当社の商品管理のルール上、商品として通常の販売が困難となったものを提供する予定です。
 これらの食品は、これまで業者に回収を依頼して廃棄処理していたものですが、フードバンクが無償で回収することになれば、当社として倉庫代や引取費用が削減できるメリットがあり、また、食品ロスの削減につながるといった効果も期待できます。
 このようなフードバンクへの食品の提供に要する費用は、その提供時の損金の額に算入して差し支えありませんか。

(注)本件のフードバンクへの食品の提供に際しては、農林水産省が公表している「フードバンク活動における食品の取扱い等に関する手引き」を参考にして、当社とフードバンクの間で、提供食品の品質確保・管理に関する事項や転売等の禁止に関する事項などのルールを定めて合意書を取り交わす予定です。

【回答要旨】

 フードバンクへの食品の提供が、実質的に貴社の商品廃棄として行われるものであれば、その提供に要する費用を、提供時の損金の額に算入して差し支えありません。

(理由)

 一般的に、法人が資産(食品)を寄附した場合には、その寄附は一般の寄附金として一定の限度額までしか損金算入することができません。しかしながら、貴社の場合、次の事実関係が認められますので、お尋ねの費用については、寄附金以外の費用として取り扱うことができます。

  1. 本件の食品の提供は、社内ルール等に従って廃棄予定の食品をフードバンクが回収するものであり、貴社にとって、実質的に商品の廃棄処理の一環で行われる取引であること。
  2. 貴社とフードバンクとの合意書において、提供した食品の転売等の禁止や、その食品の取扱いに関する情報の記録及び保存、結果の報告などのルールを定めており、提供した食品が目的外に使用されないことが担保されていること。また、貴社において提供した食品の使途が確認できること。

 なお、上記のような商品廃棄のケース以外でも、例えば、貴社の広告宣伝のために食品を提供する場合には、その提供に要する費用は広告宣伝費として損金の額に算入することができます。

【関係法令通達】

 法人税法第22条第3項、第37条

[参考]

 フードバンクに関する税務上の取り扱いについては、本質疑応答事例のほか、次の事例についても公表していますので、参考にしてください。
○ 令和2年6月15日回答「緊急需給調整事業における野菜の無償提供に係る費用の取扱いについて

注記
 令和5年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。