II 質疑応答編

問1

 改正の概要について教えてください。

(答)

 住宅の取得等をして住宅借入金等特別控除の適用を受けていた居住者が、勤務先からの転任の命令に伴う転居その他これに準ずるやむを得ない事由に基因してその家屋をその者の居住の用に供しなくなったことにより当該控除を受けられなくなった後、その家屋を再び居住の用に供した場合には、一定の要件の下で、その住宅の取得等に係る住宅借入金等特別控除の適用年のうち、再び居住の用に供した年以後の各適用年について、住宅借入金等特別控除の再適用を受けることができることとされた。
 ただし、再び居住の用に供した年にその家屋を賃貸の用に供していた場合には、その年の翌年以後の各適用年について、住宅借入金等特別控除の再適用を受けることができる。
 なお、この改正は、その家屋を平成15年4月1日以後に居住の用に供しないこととなった場合に適用される。

(注) 「適用年」とは、居住者が、住宅の取得等をして6か月以内に居住の用に供した日以後の一定の期間のうち、その年の12月31日(その者が死亡した日の属する年又はこれらの家屋が災害により居住の用に供することができなくなった日の属する年にあっては、これらの日)まで引き続き居住の用に供している年をいう。
 一定の期間は、その者が居住の用に供した日に応じ、次の期間である。

1 居住の用に供した日が平成10年中である場合 その居住の日の属する年以後6年間

2 居住の用に供した日が平成11年1月1日から平成13年6月30日までである場合 その居住の日の属する年以後15年間

3 居住の用に供した日が平成13年7月1日から平成15年12月31日までである場合 その居住の日の属する年以後10年間

4 居住の用に供した日が平成16年中である場合 その居住の日の属する年以後6年間

※ 居住の用に供した日が平成11年1月1日から同年3月31日までの者のうち「経過措置の計算方法」を適用した者及び居住の用に供した日が平成11年1月1日以後で、阪神・淡路大震災の被災者の家屋の再取得等による「特例の計算方法」を適用した者は、その居住の日の属する年以後6年間となる。

(参考法令)措法418、平成15年所法等改正法附則83

※ 以下、質疑においては、質疑に掲げる以外の住宅借入金等特別控除の適用を受けるための他の要件は全て満たしているものとする。

問2

 本年、住宅を取得等し直ちに居住の用に供しましたが、本年中に、勤務先からの転勤命令があり、これに伴い転居することになりました。
 転勤期間は2年間を予定されていますが、2年後に住宅に再居住した場合には、住宅借入金等特別控除の再適用を受けることはできますか。

問2図

(答)

 住宅借入金等特別控除の再適用は、「住宅借入金等特別控除の適用を受けていた居住者」に限り認められることとされている(措法418)。
 質問の場合には、住宅の取得等をして居住の用に供した日の属する年中に、勤務先からの転勤命令に伴う転居により居住の用に供しなくなっており、その年の12月31日まで引き続き居住の用に供していないことから住宅借入金等特別控除の適用を受けることができない(措法411)。
 したがって、勤務先からの転任の命令に伴う転居等により当該家屋を居住の用に供しなくなった場合であっても、「住宅借入金等特別控除の適用を受けていた居住者」に当たらないことから、将来、当該家屋に再居住したとしても、住宅借入金等特別控除の再適用を受けることはできない。

(参考法令)措法4118

問3

 平成13年に住宅を購入し住宅借入金等特別控除の適用を受けましたが、平成14年は譲渡所得があり所得金額が3,000万円を超えたため、住宅借入金等特別控除の適用はありませんでした。
 本年(平成15年)に勤務先からの転勤命令があり転居することとなりましたが、将来、家屋に再居住した場合には、住宅借入金等特別控除の再適用を受けることはできますか。

(答)

 住宅借入金等特別控除の再適用は、「住宅借入金等特別控除の適用を受けていた居住者」に限り 認められることとされているが、家屋を居住の用に供しなくなる日の属する年の前年まで、継続して住宅借入金等特別控除の適用を受けていることまで要件とはされていない(措法418)。
 質問の場合、平成13年分に住宅借入金等特別控除の適用を受けているので、所得制限から平成14年分に当該控除の適用がなかったとしても、他の要件を満たしていれば、住宅借入金等特別控除の再適用が認められる。
 なお、所得制限により、家屋を居住の用に供しなくなる日の属する年の前年までに一度も住宅借入金等特別控除の適用を受けた年分がない場合には、「住宅借入金等特別控除の適用を受けていた居住者」には該当しないことから、住宅借入金等特別控除の再適用を受けることはできない。

(参考法令)措法418

問4

 勤務先から子会社への出向命令があり、これに伴い転居することになりました。
 住宅借入金等特別控除の再適用の要件に、居住の用に供さなくなったことが、給与等の支払をする者からの転任の命令に伴う転居その他これに準ずるやむを得ない事由に基因していることとされていますが、出向命令に伴い転居した場合でも、住宅借入金等特別控除の再適用を受けることができますか。

(答)

 住宅借入金等特別控除の再適用が認められるためには、「給与等の支払をする者からの転任の命令に伴う転居」又は「その他これに準ずるやむを得ない事由」に基因して家屋に居住しないこととなったことが、要件の一つとされている(措法418)。
 ここでいう「その他これに準ずるやむを得ない事由」とは、「給与等の支払をする者からの転任の命令に伴う転居」が一つの事由として示されているように、自己の都合に基因するものではなく、従わざるを得ないやむを得ない事由に限られることになる。
 質問の出向命令に伴う転居は、自己の都合によるものではなく、勤務先からの命令によりやむを得ず転居したものであり、「給与等の支払をする者からの転任の命令に伴う転居その他これに準ずるやむを得ない事由」に該当すると考えられることから、将来、当該家屋に再居住した場合には、他の要件を満たしていれば、住宅借入金等特別控除の再適用が認められる。

(参考法令)措法418

問5

 昨年、勤務先から転勤命令がありましたが、子供の学校の都合から、当面は、夫(住宅借入金 等特別控除の適用者)のみが転居し、家族は引き続き居住してきました。この度、子供が学校を卒業したことから、本年、妻も夫の転居先に転居し、住宅借入金等特別控除の適用を受けていた 家屋には誰も居住しないことになりましたが、将来、その家屋に再居住した場合、住宅借入金等特別控除の再適用を受けることができますか。

問5図

(答)

 住宅借入金等特別控除の再適用を受けるためには、住宅借入金等特別控除の適用を受けていた居住者が、勤務先からの転任の命令に伴う転居等に基因して家屋を居住の用に供しなくなったことにより、住宅借入金等特別控除の適用を受けることができなくなったことが、要件の一つとされている(措法418)。
 一方、住宅借入金等特別控除の適用を受けるための要件として、家屋の新築等又は増改築等をした者(以下「所有者」という。)が現に、控除を受ける年の12月31日まで引き続き居住の用に供していることが必要とされているが、転勤などのためにやむを得ず一時的に家族と別居する場合にまで控除を認めないとすることは適当でないことから、その家屋の所有者が、転勤、転地療養その他のやむを得ない事情により、配偶者、扶養親族その他その者と生計を一にする親族と日常の起居を共にしていない場合であっても、その家屋にこれらの親族が引き続き居住しており、そのやむを得ない事情が解消した後はその者が共にその家屋に居住することとなると認められるときは、その家屋の所有者がその家屋を引き続き居住の用に供しているものとして取り扱うこととされている(措通 41−2)。
 質問の場合も、前年分については、家屋の所有者である夫は転勤に伴う転居により引き続き居住 の用に供していないが、前年の12月31日まで家族が引き続き居住していたことから、上記の取扱いにより住宅借入金等特別控除の適用を受けることができる(本年分については、妻も夫の転居先に転居し、家屋を居住の用に供していないことから、住宅借入金等特別控除は適用はない。)が、夫が転居した後も住宅借入金等特別控除の適用を受けていたこと、夫の転居から妻の転居まである程度の期間が経過していることから、将来、当該家屋に再居住した場合でも、住宅借入金等特別控除の再適用は認められないと解することもできるところである。
 しかしながら、家屋の所有者が転勤によりやむを得ず単身赴任して家族が引き続き居住し、その後家族が単身赴任先に転居したとしても、家族の転居は転勤に基因するもの(夫の転勤がなければ転居しない)と認められ、そのような場合にまで再適用を認めないとすることは適当ではない。
 そこで、家屋の所有者が、勤務先からの転任の命令に伴う転居その他これに準ずるやむを得ない 事由に基因して家屋に居住しなくなった後も引き続き配偶者、扶養親族その他その者と生計を一にする親族が当該家屋に居住している場合において、その後当該親族がその家屋の所有者の転居先へ転居したときには、住宅借入金等特別控除の再適用に関しては、当該親族が転居した日を家屋の所有者が居住の用に供しなくなった日と取り扱うこととしている(措通41−3)。
 したがって質問の場合、将来、当該家屋に再居住した場合には、他の要件を満たせば、住宅借入金等特別控除の再適用が認められることになる。
 なお、当該親族が転居する日までに、家屋の所在地を所轄する税務署長に「転任の命令等により 居住しないこととなる旨の届出書」を提出しなければならないことに留意する必要がある。

(注) 措法418及び措通41−3に規定する「勤務先からの転任の命令に伴う転居その他これに準ずるやむを得ない事由」と、措通41−2に規定する「転勤、転地療養その他のやむを得ない事情」とは、異なることに留意する。

【措通41−3(新設)】

(居住の用に供しなくなった場合)

41−3 措置法第41条第8項に規定する「その者が居住の用に供しなくなった」とは、新築等又は増改築等をした者が現に居住の用に供しなくなったことをいうのであるが、給与等の支払をする者からの転任の命令に伴う転居その他これに準ずるやむを得ない事由に基づいてその者が居住の用に供しなくなった後も、配偶者、扶養親族その他その者と生計を一にする親族がその家屋を引き続き居住の用に供していた場合で、これらの親族がその者と共に居住することに伴い転居してその家屋を居住の用に供しなくなったときは、これに該当するものとする。

(参考法令)措法4189、措通41−2、41−3

問6

 平成11年に住宅を取得等して住宅借入金等特別控除の適用を受けていましたが、平成15年7月に勤務先からの転勤命令があったことから、家族とともに転居しました。
 平成17年になって、子供の学校の都合により家族のみが、住宅借入金等特別控除の適用を受けていた家屋に再居住することとなりましたが、住宅借入金等特別控除の再適用は認められますか。

(答)

 住宅借入金等特別控除の再適用を受けるためには、住宅借入金等特別控除の適用を受けていた居住者が、勤務先からの転任の命令に伴う転居その他これに準ずるやむを得ない事由に基因して家屋を居住の用に供しなくなった後、当該家屋を再び居住の用に供することが、要件の一つとされている(措法418)。
 したがって、家屋の所有者以外の者(例えば、親族)のみが、当該家屋に再居住した場合であっても、この要件に該当しない。
 しかしながら、質問のような事例は転勤というやむを得ない事情により生じたものであり、また、家屋の所有者が、転勤、転地療養その他のやむを得ない事情により、配偶者、扶養親族その他その者と生計を一にする親族と日常の起居を共にしていない場合においても、家屋にこれらの親族が入居し、そのやむを得ない事情が解消した後はその者が共にその家屋に居住することとなると認められるときには、その家屋の所有者が居住の用に供したものと取り扱うこととされている(措通41−1)ことから、質問のような場合においても、配偶者等の親族が当該家屋に再居住した場合は、家屋の所有者が当該家屋に再居住したものとして、住宅借入金等特別控除の再適用を認めることとされている(措通41−4)。

(注) 措法418及び措通41−4に規定する「勤務先からの転任の命令に伴う転居その他これに準ずるやむを得ない事由」と、措通41−1に規定する「転勤、転地療養その他のやむを得ない事情」とは、異なることに留意する。

【措通41−4(新設)】

(再び居住の用に供した場合)

41−4 措置法第41条第8項に規定する「再びその者の居住の用に供した場合」とは、新築等又増改築等をした者が現に再び当該家屋を居住の用に供した場合をいうのであるが、その者の配偶者、扶養親族その他その者と生計を一にする親族が再びその居住の用に供したときで、同項に規定する「給与等の支払をする者からの転任の命令に伴う転居その他これに準ずるやむを得ない事由」が解消した後はその者が共にその家屋に居住することとなると認められるときは、これに該当するものとする。

(参考法令)措法418、措通41−1、41−4

問7

 住宅借入金等特別控除の再適用は、再居住した年に家屋を賃貸の用に供していた場合には、再居住した年は受けられないとのことですが、次のような場合は、賃貸の用に供していた場合に該当するのでしょうか。  

1 家屋を親族に無償で貸し付けた場合

2 自家用車の駐車スペースを貸し付けた場合

3 庭の一部を整地し、駐車場として貸し付けた場合

4 家屋の一部を物置として貸し付けた場合

5 当初居住の用に供したときから貸店舗併用住宅である場合

(答)

 住宅借入金等特別控除の再適用は、再び居住の用に供した日の属する年(再居住年)以後の適用年について認められるが、再居住年において、家屋を賃貸の用に供していた場合には、再居住年は再適用がなく、再居住年の翌年から再適用が認められることとされている(措法418)。
 具体的には、措置法第41条第8項は、「・・・その者が当該家屋を再び居住の用に供した日の属する年(その年において、当該家屋を賃貸の用に供していた場合には、その年の翌年)以後の各年・・・」と規定している。
 質問の1については、措置法第41条第8項に規定する「賃貸」とは、民法第 601条に規定する「賃貸借」をいい、いわゆる使用貸借は含まれないことから、家屋の賃貸には該当しない。
 質問の2及び3については、土地の賃貸であることから、家屋の賃貸には該当しない。なお、3の賃貸については、駐車場として貸し付けた土地は居住用とは認められないことから、住宅借入金等特別控除の再適用額の計算に際しては、当該貸し付けた土地に係る住宅借入金等の年末残高を除外することに留意する必要がある。
 質問の4については、家屋の一部の貸付けではあるが賃貸に変わりないことから、家屋の賃貸に該当する。
 ところで、住宅借入金等特別控除額の計算に際しては、例えば、店舗併用住宅のように家屋のうちに居住用以外の用に供する部分がある場合には、当該居住用以外の用に供する部分に係る住宅借入金等の年末残高を除くこととされており、店舗部分については住宅借入金等特別控除は適用されない(措令265)。
 また、措置法第41条第8項は、「第1項の適用を受けていた居住者が、・・・その適用に係る第1項の居住用家屋若しくは既存住宅又は増改築等をした家屋(当該増改築等に係る部分に限る。)をその者の居住の用に供しなくなったことにより同項の規定の適用を受けられなくなった後、当該家屋を再び居住の用に供した場合における・・・、その者が当該家屋を再び居住の用に供した日の属する年(その年において、当該家屋を賃貸の用に供していた場合には、その年の翌年)以後の各年・・・」と規定しており、賃貸の用に供していた家屋は、住宅借入金等特別控除の適用を受けていた家屋(居住用部分)に限定されることになる。
 したがって、質問の5については、当該家屋の一部について自己の居住の用以外の用に供される部分(貸店舗部分)があった場合には、当該部分については、住宅借入金等特別控除の適用を受けていないことから、再居住年においても貸店舗として賃貸していても、「当該家屋を賃貸の用に供していた場合」に該当しないこととなる。
 なお、貸店舗併用住宅のうち住宅借入金等特別控除の適用を受けていた居住用部分(一部を含む。)を、再居住年に賃貸していた場合は、「当該家屋を賃貸の用に供していた場合」に該当することに留意する必要がある。

(参考)

・ 民法第593条(使用貸借)
 使用貸借ハ当事者ノ一方カ無償ニテ使用及ヒ収益ヲ為シタル後返還ヲ為スコトヲ約シテ相手方ヨリ或物ヲ受取ルニ因リテ其効力ヲ生ス

・ 民法第601条(賃貸借)
 賃貸借ハ当事者ノ一方カ相手方ニ或物ノ使用及ヒ収益ヲ為サシムルコトヲ約シ相手方カ之ニ其賃金ヲ払フコトヲ約スルニ因リテ其効力ヲ生ス

(参考法令)措法4118

問8

 勤務先から転勤命令があり、本年6月に3年間の予定で転居しましたが、都合により転勤命令が解除され、本年10月に再居住することになりました。
 この場合、住宅借入金等特別控除の再適用を受けることはできるでしょうか。

問8図

(答)

 住宅借入金等特別控除の再適用については、勤務先からの転任の命令に伴う転居その他これに準ずるやむを得ない事由に基因してその家屋を居住の用に供しなくなった後、その家屋を再び居住の用に供することが、要件の一つとされている(措法418)。
 措置法第41条第8項は、「その者の居住の用に供しなくなったことにより同項の規定の適用を受けられなくなった後、当該家屋を再びその者の居住の用に供した場合」とのみ規定しており、居住の用に供しなくなった日から再び居住の用に供した日までの期間について特段の定めはない。
 したがって、質問の場合、転居した日と再居住した日が同一年中であるが、その家屋を居住の用に供しなくなる日までに「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」を提出していることなどその他の要件を満たしていれば、住宅借入金等特別控除の再適用は認められることになる。
 転居の日と再居住の日が同一年中である場合には、その転居したことによりその年の12月31日まで引き続き居住の用に供しているとする要件を満たさなくなるため、住宅借入金等特別控除の適用は受けられなくなるのであるが、今回の改正により、当該家屋に再居住してから引き続き居住の用に供することにより住宅借入金等特別控除の再適用が認められることになる。
 なお、この場合、住宅借入金等特別控除の再適用を受けるためには、再居住した年について確定申告が必要であることに留意する必要がある。

(参考法令)措法418

問9

 平成12年に住宅を取得し住宅借入金等特別控除の適用を受けていましたが、平成16年に転勤により転居しました。その後、平成18年に再居住したため、住宅借入金等特別控除の再適用を受けていますが、平成20年に再度転勤により転居することになりました。
 将来、その家屋に再居住した場合に、住宅借入金等特別控除の再適用はありますか。

問9図

(答)

 住宅借入金等特別控除の再適用については、勤務先からの転任の命令に伴う転居その他これに準ずるやむを得ない事由に基因してその家屋を居住の用に供しなくなった後、その家屋を再び居住の用に供することが、要件の一つとされている(措法418)。
 しかし、措置法第41条第8項は、「その者の居住の用に供しなくなったことにより同項の規定の適用が受けられなくなった後、当該家屋を再びその者の居住の用に供した場合」とのみ規定しており、住宅借入金等特別控除の再適用の回数について特段の定めはない。
 したがって、再居住が複数回であったとしても、住宅の取得等をして6か月以内に居住の用に供した日以後の一定の期間内であれば、住宅借入金等特別控除の再適用が認められることになる。
 質問の場合、他の要件を満たしていれば、住宅借入金等特別控除の再適用が認められる。
(注) 一定の期間については、問1を参照。

(参考法令)措法418

問10

 住宅借入金等特別控除の再適用を受けるためには、転勤命令等により転居する際にどのような手続をする必要がありますか。

(答)

1 住宅借入金等特別控除の再適用を受けるためには、家屋を居住の用に供しなくなる日までに、次に掲げる届出書等を、家屋の所在地を所轄する税務署長に提出することが必要である(措法419、措規18の211819)。

1 「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」(様式1参照)
 上記届出書には次の事項を記載することとされている。

イ 届出書を提出する者の氏名及び住所(国内に住所がない場合には、居所)

ロ 給与等の支払者の名称及び所在地

ハ 居住の用に供しないこととなった事情の詳細

ニ 居住の用に供しなくなる年月日

ホ 居住の用に供しなくなる日以後に居住する場所並びに給与等の支払者の名称及び所在地

ヘ 当該家屋を最初に居住の用に供した年月日

ト その他参考事項(居住の用に供しない期間の家屋の用途(予定)、再び居住の用に供する日(予定日)など)

2 税務署長から「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書」及び「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」の交付を受けている場合には、未使用分の当該証明書及び当該申告書

2 なお、家屋を居住の用に供しなくなる日までに、上記届出書等の提出がなかった場合であっても、税務署長は、その提出がなかったことについてやむを得ない事情があると認めるときは、当該届出書等の提出があった場合に限り、住宅借入金等特別控除の再適用を認めることとされている(措法4110)。

(参考法令)措法41910、措規18の211819

問11

 本年6月に勤務先からの転勤命令があり、税務署長に届出書を提出しないまま転居しました。この場合、住宅借入金等特別控除の再適用を受けることはできないのでしょうか。

(答)

 住宅借入金等特別控除の再適用が認められるためには、家屋を居住の用に供しなくなる日までに、「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」を、家屋の所在地を所轄する税務署長に提出することが要件の一つとされているが(措法419)、家屋を居住の用に供しなくなる日までに当該届出書の提出がなかった場合であっても、税務署長は、その提出がなかったことについてやむを得ない事情があると認めるときは、当該届出書の提出があった場合に限り、住宅借入金等特別控除の再適用を認めることとされている(措法4110)。
 質問の場合、家屋を居住の用に供しなくなる日までに「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」の提出がなかったことについてやむを得ない事情があると認められ、かつ、当該届出書が提出された場合には、他の要件を満たしていれば、住宅借入金等特別控除の再適用が認められる。

(参考法令)措法41910

問12

 再居住により住宅借入金等特別控除の再適用を受けるためには、どのような手続をする必要がありますか。

(答)

1 家屋に再居住したことにより、住宅借入金等特別控除の再適用を受けるためには、再適用を受ける最初の年分の確定申告書に、住宅借入金等特別控除を受ける金額に関する記載をするとともに、次の書類を添付して提出しなければならない(措法419、措規18の2120)。

1 住宅借入金等特別控除の計算に関する明細書(「住宅借入金(取得)等特別控除額の計算明細書(再び居住の用に供した人用)」様式2参照)

2 住民票の写し

3 金融機関等から交付を受けた「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」

2 再居住年に家屋を賃貸の用に供していた場合には、住宅借入金等特別控除の再適用は、再居住年には認められず、再居住年の翌年から認められることとされていることから(措法418)、その場合には、再居住年の翌年分について、確定申告を行うことに留意する必要がある。

3 なお、上記の確定申告書に再居住に関する証明書類(「住宅借入金(取得)等特別控除額の計算明細書(再び居住の用に供した人用)」や「住民票の写し」など)の添付がない場合であっても、税務署長は、その添付がなかったことについてやむを得ない事情があると認めるときは、その証明書類の提出があった場合に限り、住宅借入金等特別控除の再適用を認めることとされている(措法4110)。

【措通41−30】

(住民票の写し)

41−30 措置法規則第18条の21第12項第1号ハ、同項第2号ロ、同項第2号ハ同項第4号ハ又は同条第20項第1号に掲げる「その者の住民票の写し」は、その者がその家屋を居住の用に供したこと及びその居住の用に供した日又は居住の用に供していたことを確認するための書類として確定申告書に添付させるものであるから、当該住民票の写しは、措置法第41条第1項又は第8項の規定の適用を受ける家屋の所在地がその者の住所地として記載されているものであることを要することに留意する。

(注)

1 その者が41―1又は41―4の取扱いの適用を受ける者である場合には、この住民票の写しは、その家屋の所在地が生計を一にする親族の住所地として記載されているものでも差し支えない。

2 住所を変更した者の住民票には、その転入又は転居をした年月日が記載されている。

(参考法令)措法41891011、措規18の2120、措通41−30

問13

 再居住した年については確定申告を行うことにより住宅借入金等特別控除の再適用を受けることができますが、翌年以後の年分についてはどのようにして控除を受けることになるのですか。

(答)

 住宅借入金等特別控除の再適用を受ける最初の年分については、確定申告を行うことにより適用を受けることとされているが(措法419)、翌年以後については、通常の住宅借入金等特別控除の場合と同様に、給与所得者については年末調整によって控除を受けることができる(措法41の2)。
 年末調整によって控除を受けようとする者は、住宅借入金等特別控除の再適用を受ける最初の年分の確定申告書に添付する「住宅借入金(取得)等特別控除額の計算明細書(再び居住の用に供した人用)」の「4 控除証明書の要否」欄の「要する」の文字を○で囲むことにより、税務署長から再居住者用の「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書」及び「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」が送付されるので、年末調整を受ける前までに、必要事項を記載した申告書と金融機関等から交付を受けた「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」を給与の支払者に提出する必要がある。

(参考法令)措法419、41の2

問14

 住宅借入金等特別控除の再適用は平成15年4月1日以後の転居から適用されるとのことですが、平成15年3月に勤務先からの転勤命令があり、転居が同年4月以降となった場合には認められますか。

問14図

(答)

 住宅借入金等特別控除の再適用は、改正措置法の施行の日(平成15年4月1日)以後に家屋を居住の用に供しなくなった場合に適用することとされており、同日以後に勤務先からの転任の命令等があったことまでを要件としていない(平成15年所法等改正法附則83)。
 したがって、住宅借入金等特別控除の再適用が認められるためには、勤務先からの転任の命令に伴う転居その他これに準ずるやむを得ない事由に基因して家屋を居住の用に供しなくなったことが要件の一つとされていることから、質問の転居が勤務先からの転任の命令に基因するものであり、かつ、他の要件を満たしていれば、住宅借入金等特別控除の再適用は認められることになる(措法418)。

(参考法令)措法418、平成15年所法等改正法附則83

問15

 平成14年10月に勤務先からの転勤命令があり、無理をすれば何とか通勤できる距離であったことから遠距離通勤を続けていましたが、勤務時間が深夜に及ぶなど勤務の都合上通勤が困難となったことから、平成15年6月に家族とともに転居することとしました。将来、再居住した場合には、住宅借入金等特別控除の再適用が認められますか。

問15図

(答)

 住宅借入金等特別控除の再適用は、改正措置法の施行の日(平成15年4月1日)以後に家屋を居住の用に供しなくなった場合に適用することとされており、同日以後に勤務先からの転任の命令等があったことまでを要件としていない(平成15年所法等改正法附則83)。
 また、住宅借入金等特別控除の再適用について、転任の命令等の日から居住の用に供しなくなる日までの期間について特段の定めはない(措法418)。
 しかし、住宅借入金等特別控除の再適用は、勤務先からの転任の命令に伴う転居その他これに準ずるやむを得ない事由に基因して家屋を居住の用に供しなくなったことにより住宅借入金等特別控除の適用を受けられなくなった者について認められるものであることから、転任の命令等と転居との間に関連性がなければならない。
 もっとも、当該転任の命令等と転居の関連性の程度については、画一的に判断されるものではなく、個々の者の事情に応じて判断することになる。また、転任の命令等により転居する場合でも、転居のための荷物の整理や転勤先での住宅の確保などのために期間を要することもあることから、その期間についても、画一的に判断されるものではなく、個々の者の事情に応じて判断することになる。
 質問の場合についても、転居するに至った事情等を総合的に検討して判断することになるが、転勤先での勤務の都合上通勤が困難となり、やむを得ず転居したと認められれば、将来、当該家屋に再居住した場合には、他の要件を満たしていれば、住宅借入金等特別控除の再適当が認められるものと考えられる。

(参考法令)措法418、平成15年所法等改正法附則83

問16

 家屋に再居住した直後に借入金により増改築を行いましたが、この増改築した部分についても、住宅借入金等特別控除の再適用を受けることになるのですか。

(答)

 住宅借入金等特別控除の再適用は、住宅借入金等特別控除の適用を受けていた者が、その適用を受けていた家屋に再居住した場合に適用されることとされている(措法418)。
 したがって、住宅借入金等特別控除の再適用は、既に住宅借入金等特別控除の適用を受けていた家屋に限定されることから、再居住の直後に行った増改築等は、再適用の対象となるのではなく、他の要件を満たしていれば、新たな増改築等として住宅借入金等特別控除の適用を受けることになる。
 なお、再居住した年において増改築等前の家屋を賃貸の用に供している場合には、当該家屋に係る住宅借入金等特別控除の再適用は再居住した年の翌年から認められることになるが、当該増改築等した部分に係る住宅借入金等特別控除は、他の要件を満たしていれば、その増改築等した部分を居住の用に供した日の属する年から適用されることになる。

(参考法令)措法4118


平成15年度住宅借入金等特別控除の改正の概要(目次)