(その運営組織が適正であるかどうかの判定)

18 措令第25条の17第6項第1号に規定する「その運営組織が適正である」かどうかの判定は、財産の贈与又は遺贈を受けた公益法人等について、次に掲げる事実が認められるかどうかにより行うものとして取り扱う。

  • (1) 次に掲げる法人の態様に応じ、定款、寄附行為又は規則において、それぞれ次に掲げる事項が定められていること。
    •  公益社団法人及び公益財団法人
       一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成18年法律第48号。以下「一般社団・財団法人法」という。)及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成18年法律第49号。以下「公益認定法」という。)において定款の記載事項と定められている事項
       なお、この場合においては、次に掲げる事項が定款に定められていなければならないことに留意する。
      • (イ) 措令第25条の17第6項第1号に定める親族その他特殊の関係がある者に関する規定及び同項第3号に定める残余財産の帰属に関する規定
      • (ロ) 贈与又は遺贈に係る財産が贈与又は遺贈をした者又はこれらの者の親族が法人税法第2条第15号に規定する役員(以下「会社役員」という。)となっている会社の株式又は出資である場合には、その株式又は出資に係る議決権の行使に当たっては、あらかじめ理事会において理事総数(理事現在数)の3分の2以上の承認を得ることを必要とすること。

      (注) 上記の「公益社団法人」とは、一般社団・財団法人法第2条第1号((定義))に規定する一般社団法人であって、公益認定法第4条((公益認定))の認定を受けたもの及び一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成18年法律第50号。以下「整備法」という。)第40条第1項((社団法人及び財団法人の存続))に規定する一般社団法人で同法第106条第1項((移行の登記))による移行の登記をした法人をいい、「公益財団法人」とは一般社団・財団法人法第2条第1号に規定する一般財団法人であって公益認定法第4条の認定を受けたもの及び整備法第40条第1項に規定する一般財団法人で同法第106条第1項による移行の登記をした法人をいう。

    •  法人税法別表第2に掲げる一般社団法人で同法第2条第9号の2イに掲げるもの
      • (イ) 理事の定数は6人以上、監事の定数は2人以上であること。
      • (ロ) 理事会を設置すること。
      • (ハ) 理事会の決議は、次の(ヘ)に該当する場合を除き、理事会において理事総数(理事現在数)の過半数の決議を必要とすること。
      • (ニ) 社員総会の決議は、法令に別段の定めがある場合を除き、総社員の議決権の過半数を有する社員が出席し、その出席した社員の議決権の過半数の決議を必要とすること。
      • (ホ) 基本財産に関する定め
      • (ヘ) 次に掲げるC及びD以外の事項の決議は、社員総会の決議を必要とすること。
         この場合において次のE、F及びG(事業の一部の譲渡を除く。)以外の事項については、あらかじめ理事会における理事総数(理事現在数)の3分の2以上の議決を必要とすること。
         なお、贈与又は遺贈に係る財産が贈与又は遺贈をした者又はこれらの者の親族が会社役員となっている会社の株式又は出資である場合には、その株式又は出資に係る議決権の行使に当たっては、あらかじめ理事会において理事総数(理事現在数)の3分の2以上の承認を得ることを必要とすること。
        • A 収支予算(事業計画を含む。)
        • B 決算
        • C 重要な財産(基本財産を含む。)の処分及び譲受け
        • D 借入金(その事業年度内の収入をもって償還する短期の借入金を除く。)その他新たな義務の負担及び権利の放棄
        • E 定款の変更
        • F 解散
        • G 合併、事業の全部又は一部の譲渡
        • H 公益目的事業以外の事業に関する重要な事項

          (注) 一般社団・財団法人法第15条第2項第2号((設立時役員等の選任))に規定する会計監査人設置一般社団法人で、同法第127条((会計監査人設置一般社団法人の特則))の規定の適用により同法第126条第2項((計算書類等の定時社員総会への提出等))の規定の適用がない場合にあっては、上記Bの決算について、社員総会の決議を要しないことに留意する。

      • (ト) 役員等には、その地位にあることのみに基づき給与等(所得税法(昭和40年法律第33号)第28条第1項((給与所得))に規定する「給与等」をいう。以下同じ。)を支給しないこと。
      • (チ) 監事には、理事(その親族その他特殊の関係がある者を含む。)及びその法人の職員が含まれてはならないこと。また、監事は、相互に親族その他特殊の関係を有しないこと。
        (注)
        1 上記のほか、措令第25条の17第6項第1号に定める親族その他特殊の関係がある者に関する規定及び同項第3号に定める残余財産の帰属に関する規定並びに法人税法施行令第3条第1項第1号((非営利型法人の範囲))に定める剰余金の分配に関する規定が定款に定められていなければならないことに留意する。
        2 社員総会における社員の議決権は各1個とし、社員総会において行使できる議決権の数、議決権を行使することができる事項、議決権の行使の条件その他の社員の議決権に関する事項(一般社団・財団法人法第50条から第52条までに規定する事項を除く。)について、定款の定めがある場合には、ロに該当しないものとして取り扱う。
    •  法人税法別表第2に掲げる一般財団法人で同法第2条第9号の2イに掲げるもの
      • (イ) 理事の定数は6人以上、監事の定数は2人以上、評議員の定数は6人以上であること。
      • (ロ) 評議員の定数は、理事の定数と同数以上であること。
      • (ハ) 評議員の選任は、例えば、評議員の選任のために設置された委員会の議決により選任されるなどその地位にあることが適当と認められる者が公正に選任されること。
      • (ニ) 理事会の決議は、次の(ト)に該当する場合を除き、理事会において理事総数(理事現在数)の過半数の決議を必要とすること。
      • (ホ) 評議員会の決議は、法令に別段の定めがある場合を除き、評議員会において評議員総数(評議員現在数)の過半数の決議を必要とすること。
      • (ヘ) 基本財産に関する定め
      • (ト) 次に掲げるC及びD以外の事項の決議は、評議員会の決議を必要とすること。
         この場合において次のE及びF(事業の一部の譲渡を除く。)以外の事項については、あらかじめ理事会における理事総数(理事現在数)の3分の2以上の決議を必要とすること。
         なお、贈与又は遺贈に係る財産が贈与又は遺贈をした者又はこれらの者の親族が会社役員となっている会社の株式又は出資である場合には、その株式又は出資に係る議決権の行使に当たっては、あらかじめ理事会において理事総数(理事現在数)の3分の2以上の承認を得ることを必要とすること。
        • A 収支予算(事業計画を含む。)
        • B 決算
        • C 重要な財産(基本財産を含む。)の処分及び譲受け
        • D 借入金(その事業年度内の収入をもって償還する短期の借入金を除く。)その他新たな義務の負担及び権利の放棄
        • E 定款の変更
        • F 合併、事業の全部又は一部の譲渡
        • G 公益目的事業以外の事業に関する重要な事項

        (注) 一般社団・財団法人法第153条第1項第7号((定款の記載又は記載事項))に規定する会計監査人設置一般財団法人で、同法第199条の規定において読み替えて準用する同法第127条の規定により同法第126条第2項の規定の適用がない場合にあっては、上記Bの決算について評議員会の決議を要しないことに留意する。

      • (チ) 役員等には、その地位にあることのみに基づき給与等を支給しないこと。
      • (リ) 監事には、理事(その親族その他特殊の関係がある者を含む。)及び評議員(その親族その他特殊の関係がある者を含む。)並びにその法人の職員が含まれてはならないこと。また、監事は、相互に親族その他特殊の関係を有しないこと。

      (注) 上記のほか、措令第25条の17第6項第1号に定める親族その他特殊の関係がある者に関する規定及び同項第3号に定める残余財産の帰属に関する規定並びに法人税法施行令第3条第1項第1号に定める剰余金の分配に関する規定が定款に定められていなければならないことに留意する。

    •  学校法人、社会福祉法人、更生保護法人、宗教法人その他の公益目的事業を行う法人
      • (イ) その法人に社員総会又はこれに準ずる議決機関がある法人
        • A 理事の定数は6人以上、監事の定数は2人以上であること。
        • B 理事及び監事の選任は、例えば、社員総会における社員の選挙により選出されるなどその地位にあることが適当と認められる者が公正に選任されること。
        • C 理事会の議事の決定は、次のEに該当する場合を除き、原則として、理事会において理事総数(理事現在数)の過半数の議決を必要とすること。
        • D 社員総会の議事の決定は、法令に別段の定めがある場合を除き、社員総数の過半数が出席し、その出席社員の過半数の議決を必要とすること。
        • E 次に掲げる事項(次のFにより評議員会などに委任されている事項を除く。)の決定は、社員総会の議決を必要とすること。
           この場合において、次の(E)及び(F)以外の事項については、あらかじめ理事会における理事総数(理事現在数)の3分の2以上の多数による議決を必要とすること。
          • (A) 収支予算(事業計画を含む。)
          • (B) 収支決算(事業報告を含む。)
          • (C) 基本財産の処分
          • (D) 借入金(その会計年度内の収入をもって償還する短期借入金を除く。)その他新たな義務の負担及び権利の放棄
          • (E) 定款の変更
          • (F) 解散及び合併
          • (G) 当該法人の主たる目的とする事業以外の事業に関する重要な事項
        • F 社員総会のほかに事業の管理運営に関する事項を審議するため評議員会などの制度が設けられ、上記Eの(E)及び(F)以外の事項の決定がこれらの機関に委任されている場合におけるこれらの機関の構成員の定数及び選任並びに議事の決定については、次によること。
          • (A) 構成員の定数は、理事の定数の2倍を超えていること。
          • (B) 構成員の選任については、上記Bに準じて定められていること。
          • (C) 議事の決定については、原則として、構成員総数の過半数の議決を必要とすること。
        • G 上記CからFまでの議事の表決を行う場合には、あらかじめ通知された事項について書面をもって意思を表示した者は、出席者とみなすことができるが、他の者を代理人として表決を委任することはできないこと。
        • H 役員等には、その地位にあることのみに基づき給与等を支給しないこと。
        • I 監事には、理事(その親族その他特殊の関係がある者を含む。)及び評議員(その親族その他特殊の関係がある者を含む。)並びにその法人の職員が含まれてはならないこと。また、監事は、相互に親族その他特殊の関係を有しないこと。
      • (ロ)  上記(イ)以外の法人
        • A 理事の定数は6人以上、監事の定数は2人以上であること。
        • B 事業の管理運営を審議するため評議員会の制度が設けられており、評議員の定数は、理事の定数の2倍を超えていること。ただし、理事と評議員との兼任禁止規定が定められている場合には、評議員の定数は、理事の定数と同数以上であること。
        • C 理事、監事及び評議員の選任は、例えば、理事及び監事は評議員会の議決により、評議員は理事会の議決により選出されるなどその地位にあることが適当と認められる者が公正に選任されること。
        • D 理事会の議事の決定は、法令に別段の定めがある場合を除き、次によること。
          • (A) 重要事項の決定
             次のaからgまでに掲げる事項の決定は、理事会における理事総数(理事現在数)の3分の2以上の多数による議決を必要とするとともに、原則として評議員会の同意を必要とすること。
             なお、贈与又は遺贈に係る財産が贈与又は遺贈をした者又はその者の親族が会社役員となっている会社の株式又は出資である場合には、その株式又は出資に係る議決権の行使に当たっては、あらかじめ理事会において理事総数(理事現在数)の3分の2以上の同意を得ることを必要とすること。
            • a 収支予算(事業計画を含む。)
            • b 収支決算(事業報告を含む。)
            • c 基本財産の処分
            • d 借入金(その会計年度内の収入をもって償還する短期借入金を除く。)その他新たな義務の負担及び権利の放棄
            • e 寄附行為の変更
            • f 解散及び合併
            • g 当該法人の主たる目的とする事業以外の事業に関する重要な事項
          • (B) その他の事項の決定
             上記(A)に掲げる事項以外の事項の決定は、原則として、理事会において理事総数(理事現在数)の過半数の議決を必要とすること。
        • E 評議員会の議事の決定は、法令に別段の定めがある場合を除き、評議員会における評議員総数(評議員現在数)の過半数の議決を必要とすること。
        • F 上記D及びEの議事の表決を行う場合には、あらかじめ通知された事項について書面をもって意思を表示した者は、出席者とみなすことができるが、他の者を代理人として表決を委任することはできないこと。
        • G 役員等には、その地位にあることのみに基づき給与等を支給しないこと。
        • H 監事には、理事(その親族その他特殊の関係がある者を含む。)及び評議員(その親族その他特殊の関係がある者を含む。)並びにその法人の職員が含まれてはならないこと。また、監事は、相互に親族その他特殊の関係を有しないこと。
        • I 贈与又は遺贈を受けた公益法人等が、学生等に対して学資の支給若しくは貸与をし、又は研究者に対して助成金を支給する事業その他これらに類する事業を行うものである場合には、学資の支給若しくは貸与の対象となる者又は助成金の支給の対象となる者を選考するため、理事会又は評議員会において選出される教育関係者又は学識経験者などにより組織される選考委員会を設けること。
          (注)
          1 上記のほか、措令第25条の17第5項第1号に定める親族その他特殊の関係がある者に関する規定及び同項第3号に定める残余財産の帰属に関する規定が定款などに定められていなければならないことに留意する。
          2 上記の法人のうち、別途、国税庁長官の定める通達により標準的な定款、寄附行為又は規則の定めがあるものについては、その標準的な定款、寄附行為又は規則に従って定められたものは、上記ニに該当するものとして取り扱うことに留意する。

          (注) 特例民法法人(整備法第40条第1項の規定により存続する一般社団法人又は一般財団法人のうち、同法第106条第1項(同法第121条第1項((認定に関する規定の準用))において読み替えて準用する場合を含む。)の移行の登記をしていないもの(同法第131条第1項((認可の取消し))の規定により同法第45条((通常の一般社団法人又は一般財団法人への移行))の認可を取り消されたものにあっては、法人税法第2条第9号の2イに掲げるものに該当するものに限る。)をいう。)については、法令に別段の定めがある場合を除き、上記ニに準じて取り扱うことに留意する。

  • (2) 当該公益法人等の事業の運営及び役員等の選任などが、法令及び定款、寄附行為又は規則に基づき適正に行われていること。

    (注) 他の一の法人(当該他の一の法人と法人税法施行令第4条第2項((同族関係者の範囲))に定める特殊の関係がある法人を含む。)又は団体の役員及び職員の数が当該公益法人等のそれぞれの役員等のうちに占める割合が3分の1を超えている場合には、当該公益法人等の役員等の選任は、適正に行われていないものとして取り扱う。

  • (3) 当該公益法人等の経理については、その公益法人等の事業の種類及び規模に応じて、その内容を適正に表示するに必要な帳簿書類を備えて、収入及び支出並びに資産及び負債の明細が適正に記帳されていると認められること。

※ 下線部分が改正部分である。

(改正)

(説明)

 非課税承認を受けるためには、所得税又は相続税若しくは贈与税の負担を不当に減少させる結果とならないと認められることが、要件の一つとされている(措令25の175三)。
 上記要件の判定要素として、措令第25条の17第6項第1号に「運営組織が適正である」ことがあげられているが、通達18は、「運営組織が適正である」かどうかの判定は、1定款などに定めるべき事項、2事業運営が適正であること、3経理に必要な帳簿書類を備え記帳が適正であることにより行うこととして取り扱っているところである。
 平成20年度税制改正においては、公益法人制度改革に伴い、非課税特例の対象法人のうち民法第34条の規定により設立された法人が、公益社団法人、公益財団法人及び特定一般法人に改められたことから、上記のうち、1定款などに定めるべき事項については、それぞれの法人区分に応じ、一般社団・財団法人法、公益認定法及び整備法並びに措令第25条の17第5項第3号の規定に基づき所得税又は相続税若しくは贈与税の負担を不当に減少させる結果とならないと認められることという要件を担保するため、定款などに記載すべき事項を定めた。
 なお、特別法で設立が認められている学校法人等の定款などの記載事項については、改正前において民法第34条の規定により設立された法人の場合に準じた取り扱いとされていたことから、改正前の通達18の民法第34条法人の定款又は寄附行為の記載事項を基に記載すべき事項を定めた。


「租税特別措置法第40条第1項後段の規定による譲渡所得等の非課税の取扱いについて」(法令解釈通達)の一部改正のあらまし(情報)