『「租税特別措置法(山林所得・譲渡所得関係)の取扱いについて」等の一部改正について(法令解釈通達)』の趣旨説明(情報)

措置法第31条《長期譲渡所得の課税の特例》・第32条《短期譲渡所得の課税の特例》共通関係

※ アンダーラインを付した部分が改正関係部分である。

31・32共−3 その年中の分離短期譲渡所得又は分離長期譲渡所得のうちに、収用交換等の場合の5,000万円控除(措置法33の4)、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円控除(措置法35)、特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の2,000万円控除(措置法34)、特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の1,500万円控除(措置法34の2)若しくは農地保有の合理化等のために農地等を譲渡した場合の800万円控除(措置法34の3)の対象となる所得又はその他の所得の2以上がある場合において、その年中に譲渡した資産のうちに譲渡損失の生ずる資産があるときは、分離短期譲渡所得の譲渡益又は分離長期譲渡所得の譲渡益は、それぞれの金額の範囲内において、まず収用交換等の場合の5,000万円控除の対象となる資産の譲渡益から成るものとし、次に、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円控除、2,000万円控除、1,500万円控除若しくは800万円控除の対象となる資産の譲渡益又はその他の資産の譲渡益から順次成るものとする。
 その年分の分離短期譲渡所得の金額又は分離長期譲渡所得の金額の計算上、居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除(措置法41の5)、特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除(措置法41の5の2)又は雑損失の繰越控除の適用がある場合もこれに準ずる。

<計算例>
 具体的な計算例を示すと次のようになる。

譲渡益の構成から控除額を求める計算例

《説明》

1 従来の取扱いは、その年分の分離譲渡所得又は総合譲渡所得のうちに特別控除の対象となる所得又はその他の所得の2以上があり、そのうちに譲渡損失の生じた資産がある場合には、譲渡所得内通算後の譲渡益は、特別控除額が大きい所得から順次構成されることを明らかにしていた。
 また、特別控除額は、損益通算(所法69)、純損失の繰越控除(所法70)、特定の居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除(旧措法41の5)若しくは雑損失の繰越控除(所法71)後の譲渡所得に適用されることから、これらの特例等の適用後の譲渡益も、譲渡所得内通算の場合と同様の構成となることを併せて明らかにしていた。

2 ところで、平成16年度税制改正により、土地建物等の譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額については、原則として、土地建物等の譲渡所得以外の所得との損益通算及び翌年以後3年間の純損失の繰越控除を認めないこととされ(措法31,32)、例外として、居住用財産の譲渡損失の金額及び特定居住用財産の譲渡損失の金額のみを損益通算及び繰越控除が可能な譲渡損失とすることとされた。
 また、総合譲渡所得など土地建物等の譲渡所得以外の所得の金額の計算上生じた損失の金額についても、土地建物等の譲渡所得の金額との損益通算を認めないこととされた。
 さらに、長期譲渡所得の100万円控除(旧措法314)も廃止されている。

3 今回の通達改正は、これらの税制改正を受け、次の整理を行ったものである。

(1) 分離譲渡所得と総合譲渡所得の相互間で譲渡損失の通算を行うことができないことから、取扱いの前段部分について、分離譲渡所得内における譲渡損失の通算の取扱いに改めるとともに、長期譲渡所得の100万円控除が廃止されたことに伴う内容の整理を行った。また、計算例についても同様の整理を行った。

(2) 分離譲渡所得の金額の計算上、損益通算(所法69)及び純損失の繰越控除(所法70)の適用がないこととされたことから、取扱いの後段部分について内容の整理を行った。


『「租税特別措置法(山林所得・譲渡所得関係)の取扱いについて」等の一部改正について(法令解釈通達)』の趣旨説明(情報)