『「租税特別措置法(株式等に係る譲渡所得等関係)の取扱いについて」等の一部改正について(法令解釈通達)』の趣旨説明(情報)

措置法第37条の13の3《特定中小会社が発行した株式に係る譲渡損失の繰越控除等》関係

(注) アンダーラインを付した部分が改正関係部分である。

37の13の3−1 措置法令第25条の12の2第10項に規定する「特定残株数」は、特定株式を払込みにより取得した居住者等が、当該払込みにより取得をした特定株式、払込み以外の方法により取得をした当該特定株式又は当該特定株式と同一銘柄の株式で特定株式に該当しないものの譲渡をした場合において、これらの株式(次項までにおいて「同一銘柄株式」という。)の当該譲渡の時の直前において同令第25条の12の2第12項に規定するところにより計算し、当該譲渡が措置法第37条の13の3第1項に規定する譲渡に該当する場合においては、措置法令第25条の12の3第3項の規定により計算するのであるが、同項の規定の適用に当たり、同一銘柄株式の譲渡の時の直前における当該特定残株数が同項に規定する取得期間内に払込みにより取得をした特定株式の数を超える場合には、同項の規定により当該特定残株数を計算して差し支えない。
 したがって、上場等の日(措置法第37条の13の3第1項に規定する上場等の日をいう。)以後1年以内に譲渡した同一銘柄株式のうちに措置法令第25条の12の3第3項に規定する取得期間内に払込みにより取得した特定株式がないときには、同項に規定するところにより同令第25条の12の2第12項に規定する「特定残株数」はないこととなるので、措置法第37条の10第2項の規定の適用に当たり、当該譲渡された株式の所有期間を判定する場合には、37の10−19及び37の10−22に定めるところによることとなる。

《説明》

1 「特定投資株式に係る譲渡所得等の課税の特例」(措法37の13の31)は、「新規公開株式等に係る2分の1課税の特例」(措法37の102)との併用が認められることから、上場等の日以後1年以内に行われた譲渡で特定投資株式に係る譲渡所得等の課税の特例の適用がある場合の株式等に係る譲渡所得等の金額は、当該株式等に係る譲渡所得等の金額の4分の1に相当する金額とされていた(措法37の13の32)。
 この場合、特定投資株式に係る譲渡所得の課税の特例においては、措置法令第25条の12の2第10項に規定する特定残株数(払込みにより取得した特定株式の数から特定株式の払込みによる取得の時以後に譲渡又は贈与をした株式の数を控除した数)に相当する株式が優先して譲渡されたものとされるのが原則であるが、措置法令第25の12の3第3項において上場等の日の前日の特定残株数が特定期間内取得株式数(平成12年4月1日から当該上場等の日の3年前の日の前日(同日が平成17年4月1日以後の日であるときには、同年3月31日)までの期間内に払込みにより取得をした特定株式数)を超える場合には、当該特定残株数から、当該超える数を控除した数とする調整規定が設けられていた。
 この点を具体例で説明すると、上場等の日以後1年以内に同一銘柄株式(払込みにより取得をした特定株式、払込み以外の方法により取得をした特定株式又は当該特定株式と同一銘柄の株式で特定株式に該当しないもの)の一部を譲渡した場合において、例えば、当該同一銘柄株式の内訳が払込みにより取得した特定株式1,000株(上場等の日において所有期間3年以下)、払込み以外の方法により取得した特定株式1,000株(上場等の日において所有期間3年超)であったとして、そのうちの1,000株を譲渡した場合には、払込みにより取得した特定株式1,000株(上場等の日において所有期間3年以下)の譲渡が優先されると新規公開株式等に係る2分の1課税の特例は適用できないのではないかとの疑問も生じ得るが、上記の調整規定によって、結局、特定残株数はないこととなって特定残株数が優先して譲渡されたとする規定の適用はないこととなる。そのため、新規公開株式等に係る2分の1課税の特例の適用における所有期間は措通37の10−22に定めるところにより先に取得したものから順次譲渡したこととされ、この事例の場合には、新規公開株式等に係る2分の1課税の特例の適用があるということになる。
 従来の取扱いは、この点を留意的に明らかにしていたものである。

(注) 新規公開株式等に係る2分の1課税の特例は、上場株式等の優遇税率の特例(措法37の111)が適用される平成15年1月1日から平成19年12月31日までの間は、その適用が停止されている(措法37の112)。

2 ところで、平成16年度税制改正において、特定投資株式に係る譲渡所得等の課税の特例の所有期間要件について次の改正が行われた。

1 上場等の日前の譲渡について、譲渡の日において同日前3年超所有する特定株式の一定の譲渡をした場合を特例の対象とする(措法37の13の31一)。

2 上場等の日以後における譲渡について、譲渡の日において同日前3年超所有する特定株式を上場等の日以後3年内に譲渡(改正前:上場等の日において同日前3年超所有する特定株式を上場等の日以後3年内に譲渡)をした場合に所有期間要件を緩和する(措法37の13の31二)。

 この改正に伴い、前記の特定残株数に関する規定(措置法令第25条の12の2第10項及び措置法令第25の12の3第3項)についても所要の改正が行われたところであるが、従来は特定投資株式の譲渡所得等の課税の特例の適用がない場合(上記1の事例のように特定残株数が0となる場合)であっても措置法令第25の12の3第3項の規定の適用があることに疑問は生じなかったが、同項の規定が「公開等特定株式の譲渡の時の直前・・・」と改正されたことから、同項の規定の適用があるのは特定投資株式の譲渡所得等の課税の特例の適用がある場合に限られるのではないかとの疑問が生ずることとなる。
 このことから、今回の通達改正により、特定投資株式の譲渡所得等の課税の特例の適用がない場合であっても、従来と同様に、措置法令第25の12の3第3項の規定を適用して差し支えないことを明らかにするとともに、税制改正に伴う形式的な整理を行ったものである。


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