次のケース1及びケース2の場合に、通算税効果額はそれぞれどのように計算しますか。
ケース1
同一の通算グループ内の法人であるA社、B社及びC社において、次のとおり損益通算及び一般試験研究費の額に係る税額控除が行われた場合
A社 | B社 | C社 | 合計 | |
---|---|---|---|---|
通算前所得 | 780 | 1,800 | ▲1,720 | |
損益通算 | ▲520 | ▲1,200 | 1,720 | |
損益通算後所得 | 260 | 600 | 0 | |
調整前法人税額 | 60 | 140 | 0 | |
試験研究費の額 | 400 | 0 | 200 | 600 |
税額控除額 | 15 | 35 | − | 50 |
ケース2
同一の通算グループ内の法人であるP社、S1社及びS2社において、次のとおり欠損金の通算が行われた場合
P社 | S1社 | S2社 | 合計 | |
---|---|---|---|---|
特定欠損金額以外の 欠損金額 |
150 | 70 | 300 | 520 |
被配賦欠損金額 | 136 | ― | ― | 136 |
配賦欠損金額 | ― | 70 | 66 | 136 |
非特定欠損金額 | 286 | 0 | 234 | 520 |
非特定損金算入割合 | 190/520 | |||
非特定欠損金額 の損金算入額 |
104 | 0 | 86 | 190 |
通算税効果額は、合理的に計算することになります。ケース1及びケース2の場合に授受される通算税効果額について、合理的と考えられるものを一例として示すと、【解説】(2)のとおりです。
A社 | B社 | C社 | 合計 | |
---|---|---|---|---|
損益通算 | ▲520 | ▲1,200 | 1,720 | |
損益通算に係る 通算税効果額() |
▲133(※1) | ▲307(※2) | 440 | |
⇒損金不算入 | ⇒損金不算入 | ⇒益金不算入 | ||
(※1) 法人税 520×23.2%=121 | ||||
地方法人税 121×10.3%=12 | ||||
合計 121+12=133 | ||||
(※2) 法人税 1,200×23.2%=278 | ||||
地方法人税 278×10.3%=29 | ||||
合計 278+29=307 | ||||
試験研究費の額 | 400 | 0 | 200 | 600 |
税額控除額 | 15 | 35 | − | 50 |
試験研究費の額 の比であん分 |
33 =50×400/600 |
0 =50×0/600 |
17 =50×200/600 |
|
税額控除に係る 通算税効果額 () |
20(※3) | ▲39 | 19(※4) | |
⇒益金不算入 | ⇒損金不算入 | ⇒益金不算入 | ||
(※3) 法人税 33−15=18 | ||||
地方法人税 18×10.3%=2 | ||||
合計 18+2=20 | ||||
(※4) 法人税 17−0=17 | ||||
地方法人税 17×10.3%=2 | ||||
合計 17+2=19 | ||||
通算税効果額 | ▲113 | ▲346 | 459 | |
合計(+) | ⇒損金不算入 | ⇒損金不算入 | ⇒益金不算入 |
(注) 損益通算の金額及び税額控除額の計算については、問49及び問70を参照してください。
また、通算税効果額は、法人税率を23.2%、地方法人税率を10.3%として計算しています。以下同じです。
損益通算に係る通算税効果額としてそれぞれ減少する法人税及び地方法人税に相当する金額として算出した133(A社)及び307(B社)について、C社に支払った場合には、その支払った金額は、A社及びB社においては損金不算入、C社においては益金不算入となります。
また、一般試験研究費の額に係る税額控除額については、通算グループ全体の税額控除額の合計額50を試験研究費の額の比であん分した金額(A社:33、B社:零、C社:17)と、実際の税額控除額(A社:15、B社:35、C社:零)との差額に基づいて算出した金額を通算税効果額として授受を行った場合には、その授受した金額はB社においては損金不算入、A社及びC社においては益金不算入となります。
なお、通算税効果額の授受が通算親法人などの一の通算法人を通じて行われる場合(例えば、B社が通算税効果額346をA社に支払い、A社がこの346と自社の通算税効果額113との合計額459について、C社に支払う場合)であっても、上記と同様に、A社及びB社においてそれぞれ113及び346が損金不算入、C社において459が益金不算入となります。
P社 | S1社 | S2社 | 合計 | |
---|---|---|---|---|
特定欠損金額以外の 欠損金額 |
150 | 70 | 300 | 520 |
被配賦欠損金額 | 136 | ― | ― | 136 |
配賦欠損金額 | ― | 70 | 66 | 136 |
非特定欠損金額 | 286 | 0 | 234 | 520 |
非特定損金算入割合 | 190/520 | |||
欠損金の通算に係る 通算税効果額 |
▲13 | 7(※5) | 6(※6) | |
⇒損金不算入 | ⇒益金不算入 | ⇒益金不算入 | ||
(※5) 法人税 70×190/520×23.2%=6 | ||||
地方法人税 6×10.3%=1 合計 6+1=7 | ||||
(※6) 法人税 66×190/520×23.2%=5 | ||||
地方法人税 5×10.3%=1 合計 5+1=6 |
(注) 被配賦欠損金額、配賦欠損金額及び非特定欠損金額並びに非特定損金算入割合の計算については、問54を参照してください。
P社の被配賦欠損金額136に非特定損金算入割合190/520を乗じた金額50(被配賦欠損金控除額)に基づいて、13(50×23.2%=12、12×10.3%=1)を通算税効果額として、S1社及びS2社に対してそれぞれ7及び6を支払った場合には、その支払った金額は、P社においては損金不算入、S1社及びS2社においては益金不算入となります。
なお、ケース1と同様に、通算税効果額の授受が通算親法人などの一の通算法人を通じて行われる場合(例えば、S2社が通算税効果額7をS1社に支払い、S2社がこの7と自社の通算税効果額6との合計額13について、P社から受け取る場合)であっても、上記と同様に、P社において13が損金不算入、S1社及びS2社においてそれぞれ7及び6が益金不算入となります。
(参考)
損益通算の計算、欠損金額の損金算入額の計算、通算税効果額等の申告書別表への記載及び一般試験研究費の額に係る税額控除の計算については、次のQ&Aを参照してください。