日時: 平成17年3月4日 13:30〜15:01

場所: 国税庁第一会議室

出席者: 

国税審議会委員  辻山会長  小林会長代理
   阿刀田委員  潮田委員
   大西委員  小川委員
   金子委員  北村委員
   幸田委員  ~津委員
   島上委員  木委員
   田嶼委員  辰馬委員
   宮ア委員  森臨時委員
国税庁  大武国税庁長官  
   村上国税庁次長  
   青山審議官  
   岡本審議官  
   竹田課税部長  
   徳井徴収部長  
   鳥羽調査査察部長  
   荒井総務課長  
   岡本人事課長  
   亀井酒税企画官  
国税不服審判所  春日国税不服審判所長
   山添国税不服審判所次長

務課長
 本日は、委員の皆様方には、大変お忙しいところ、御出席いただきましてありがとうございます。
 本年1月6日付で当審議会委員の発令がございました関係上、後ほど会長をお決めいただくまでの間、私が進行役を務めさせていただきます。よろしくお願いします。
 本日の出席予定は16名で、現在15名の委員の方々の御出席をいただいており、過半数が御出席でございますので、本会は有効に成立いたしております。
 なお、飯村委員、井堀委員、浜委員、水野委員におかれましては御都合により、御欠席でございます。
 まず、本日御出席いただいております委員の方々を御紹介させていただきます。
 阿刀田高委員
 潮田道夫委員
 大西孝之委員
 小川是委員
 金子ひろみ委員
 北村敬子委員
 ~津十月委員
 小林逸太委員
 島上清明委員
 木光委員
 田嶼尚子委員
 辰馬章夫委員
 辻山栄子委員
 宮ア直見委員
 森金次郎臨時委員
 幸田委員は、まだお見えになっておりませんが、御出席の予定です。
 続きまして、行政側の出席者を御紹介させていただきます。
 大武国税庁長官でございます。
 春日国税不服審判所長でございます。
 村上国税庁次長でございます。
 山添国税不服審判所次長でございます。
 青山審議官でございます。
 岡本審議官でございます。
 竹田課税部長でございます。
 徳井徴収部長でございます。
 鳥羽調査査察部長でございます。
 岡本人事課長でございます。
 亀井酒税企画官でございます。
 それでは、委員の皆様方で国税審議会会長の選任をお願いいたしたいと思います。国税審議会令によりまして、会長は委員の皆様の互選により選任していただくことになっております。どなたか御推薦等ございますでしょうか。よろしくお願いします。

西委員
 引き続いて辻山先生にお願いしたらどうでしょう。長く委員もやっておられ、社会的にも御活躍されていると思いますが。

務課長
 ただいま、辻山委員を会長にという御意見がございました。辻山委員に会長をお願いするということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

務課長
 それでは、辻山会長には会長席にお移りいただきたいと思います。
  会長から一言御挨拶をいただきまして、その後に議事を取り進めていただきたいと思います。
  よろしくお願いします。


 辻山でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
  国税の細かいことについては、十分承知しているわけではございませんので、当審議会の委員の皆様並びに事務局の方々の御協力を得まして、職責を全うしていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。
  それでは、国税審議会令によりまして、会長がその職務を代理する者をあらかじめ指名するということになっているようでございますので、会長代理の指名を行いたいと思います。私としては、引き続き小林委員にお願いしたいと存じますが、小林委員いかがでしょうか。

林委員
 御異存がなければ、お引き受けいたします。


 よろしくお願いいたします。
  それでは、お手もとの議題表に沿いまして、早速議事を進行させていただきたいと思います。
  最初に、分科会の活動状況を事務局から御紹介いただきます。

務課長
 それでは、私から御説明させていただきます。
  資料1を御覧いただきたいと思います。分科会の活動状況の紹介と書かれたものでございます。
  税理士分科会の所掌事務は、税理士試験の実施及び懲戒処分の審議となっておりますが、昨年2月の国税審議会において活動状況を御報告させていただいた以降、本日までに計7回、会議を開催いたしました。
  それでは、本日までに開催いたしました税理士分科会における審議事項につきまして、御説明させていただきます。
  まず、税理士試験関係から申し上げますと、4月2日及び4月28日の分科会におきまして、税理士試験の試験科目の免除申請について、その申請を認めなかった者からの異議申立て事案1件について審議いたしました。
  それから、6月1日の分科会では、主に8月3日から5日に実施しました平成16年度の税理士試験の試験問題について審議したほか、試験の実施について検討いたしました。
  それから、9月17日の分科会では、主に税理士法第7条第2項及び第3項の規定に基づきます修士の学位取得に係る試験科目の免除申請について、研究内容は適当かどうか審議をいたしました。
  それから、12月8日の分科会では、平成16年度の税理士試験の実施結果、平成15年度の指定研修の実施結果、それから、平成17年度の税理士試験の実施に向けての試験委員の人選や日程について審議いたしました。
  なお、税理士試験の合格者は1,090名であり、合格発表日である昨年12月10日に官報公告しております。
  次に税理士の懲戒処分の関係では、昨年の6月11日、9月17日、12月22日の合計3回開催しており、そのうちの9月17日につきましては、税理士試験関係と併せて開催しております。
  分科会では、財務大臣から国税審議会会長に諮問のありました税理士につきまして、懲戒処分の可否及び内容についての審議を行っており、6月11日の分科会におきましては9名、9月17日の分科会においては1名、12月22日の分科会においては12名、合計で22名の税理士につきまして審議を行いました。その結果、5名については税理士業務の禁止処分、17名についてはそれぞれ1ヵ月から1年の税理士業務の停止処分が相当であるとの議決を行っております。
  税理士に対する懲戒処分につきましては、税理士分科会議事規則第5条に基づき、まず、懲戒審査委員による審査を行っていただき、分科会ではその審査結果を御報告いただいた上で審議を行っております。
  また、この税理士に対する懲戒処分につきましては、分科会の議決をもって国税審議会の議決とすることが適当であるという国税審議会会長の御了解をいただきましたので、分科会の議決どおり国税審議会会長から財務大臣への答申を行い、それに基づいて懲戒処分が実施されております。以上でございます。


 どうもありがとうございました。
  ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見ございますでしょうか。
  御発言がないようですので、次の議題に進ませていただきます。
  お手もとの議題表の(3)税務行政の動きというところでございます。これにつきましては、資料2の「税務行政を取り巻く環境の変化と国税庁の対応について」から順に、事務局から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。


 次長の村上でございます。座って御説明させていただきます。
  本日は委員の皆様の御改選後の初めての審議会でございますので、税務行政の現状につきまして、私並びに各部長又は審議官から御説明をさせていただきたいと思います。
  最初に資料2をお開きいただきたいのでございますが、私から現在の税務行政を取り巻く環境の変化とそれに対する国税庁の対応について、この資料に沿って御説明をさせていただきたいと思います。
  今我が国は、歴史的な転機というべき構造変化に直面していると言われております。少子・高齢化が世界に類を見ないスピードで進行しており、このため、我が国の人口は、おそらく今年が人口のピークとなり、来年以降は人口減少に転ずると見込まれております。まさにここに書いてございますように、「人口減少社会・超高齢化社会」になることにより、労働力人口は減少いたしますし、家計貯蓄率も低下し、いわゆる今まで高度成長期以降、「右肩上がり経済」というものが続いてきたわけでございますが、そういった「右肩上がり経済」が終焉を迎えたということであります。
  また、少し右に書いてございますが、家族のあり方や会社と個人との関係も急速に変容しつつあり、ここに書いてございますように「日本型雇用慣行のゆらぎや働き方の多様化」更には「家族のかたちの多様化」が進行していると言われております。
  さらに、右に書いてございますが、冷戦の終結や情報化の進展などを背景といたしまして、国境を越えた経済活動が活発化し、これらグローバル化の進展を受けて、会計基準の国際的相互浸透が進んでおりますが、一方、国際的租税回避スキームの巧妙化といった現象もみられるところでございます。
  このような社会経済情勢の変化に対応して、また左の方に戻っていただきたいのでございますが、従来以上にスリムで効率的な政府を実現するという要請が高まってきており、このため、国税庁の定員を巡る状況は更に厳しくなることが予想されております。
  去る12月24日に「今後の行政改革の方針」が閣議決定されております。この閣議決定によりますと、平成17年度から5年間で、平成16年度末の定員の10%以上の削減を目指すとされております。もっとも、閣議決定の中には、「治安、徴税等真に必要な部門には適切に定員を配置する」と書いていただいておりますが、非現業の行政機関の定員約33万人のうち国税庁の定員は5万6,000人ですから、17%を占めております。ここに「定員増加の困難化」と書いてありますのは、こういったことを意味しております。
  また、歳入面におきましても、少子・高齢化やグローバル化等の大きな構造変化に対応し、あるべき税制の構築のため、税制改革の具体化が進行しております。
  税務行政に大きく影響する改革といたしましては、既に配偶者特別控除、その上乗せ部分でありますが、そういったものの廃止がなされておりますし、年金課税の見直し、更には消費税の免税点制度の改革などが実現しております。これらは、いずれも申告者数の増加をもたらします。
  この件につきまして後ほど課税部長からも御説明いたしますが、こういった税制改正によって申告者は増加するわけでありますが、税制改正にかかわらず、所得税の申告件数は連年増加傾向にあるわけでございます。これは、公的年金受給者の増加やリストラによる中途退職者による還付申告件数の増加といった要因に加え、共働き世帯の増加、フリーターの急増、更には、様々な理由から年末調整で完了しない給与所得者の増加といった要因も加わって申告者数は増加傾向を示すものと予想されます。
  所得税の申告者が増えますと確定申告事務の増加にとどまらず、その後の処理、すなわち、還付事務、債権管理事務、滞納整理事務、誤った申告を是正するための事後処理事務といった確定申告後事務も増加いたします。
  この状況に加え、経済取引が広域化したり、国際化・高度情報化の進展、不正手口の巧妙化等、課税、これは税務調査を指しておりますが、そういった税務調査、徴収事務の複雑・困難化が進行し、納税環境を取り巻く環境は質量共に厳しさが増大しております。
  次に、視点が少し違うのですが、いかにIT化が進行いたしましてもしょせん国税の職場は生身の人間が担っていかなければならない職場であり、現在でも5万6,000人もの職員がこの仕事に従事しております。5万6,000人のうち女性職員は今は全体の13%にすぎないのですが、16年度の国税庁新規採用者でみますと1,157人のうち約3割、342人を占めており、しかも、今後退職者の増加により新規採用数が幾分増加していくので、おそらく、新規採用者のうち女性の比率は更に高まり、これらの結果として国税庁における女性職員の在職割合は年々増加していくと考えられます。
  また、若手職員の意識の変化といった要因も加わり、国税の職場環境も変化しつつあるものと考えております。
  以上申し上げました内外の厳しい環境の中で引き続き国民の負託に応えていくためには、職員が意欲をもって働ける職場環境づくりに配意しつつ、国税庁に課せられた適正かつ公平な税務行政の推進及び納税環境の整備に従来以上に効果的、効率的に取り組む必要があるということでございます。
  事務量が増加しているにもかかわらず、定員が増えないのですから以前と同じ税務行政を継続していくことは、許されるわけでもなく、限られた資源を効果的、効率的に配分しながらメリハリのある税務行政を行っていくことが必要でございます。これにより、十分な調査・徴収事務量を確保し、納税者のコンプライアンスの維持、向上を図っていくとともに、納税者サービスにも配意していくことが重要だと考えております。
  このため、事務の基本的な見直しやIT化による合理化、効率化等を推進するとともに、アウトソーシング等も積極的に進めていくことといたしておりますが、その前提として、税務当局、申告納税制度の趣旨に沿って納税者、公共的使命を有する観点から税理士について、それぞれの役割を再整理する必要がございます。
  この表現は分かりにくいかと思いますので敷延させていただきたいと思います。
  ここに、「申告者数の増加に対応した申告納税制度の趣旨に沿った納税者サービスの再構築」と書いてございますが、税務署では、従来はマンツーマンで個別に相談に応じるという極めて労働集約的な確定申告体制をとっていたところでございますが、これでは到底、増加する事務量をさばけないだけでなく、そもそもこれが申告納税制度の本旨からみてどうかということもございます。
  したがって、できるだけ納税者自身に申告書を書いていただき、お分かりにならない点があれば、申告書の作成に必要なアドバイスをさせていただくという自書申告に切り替え、この自書申告体制をサポートするために、IT化等のさまざまな納税サービスを開発して実施に移してきたところでございます。
  次に、税理士についてです。資料をはずれますが、税理士法第1条において「税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする」と規定されており、当局はもとよりクライアントからも独立した立場で納税義務の適正な実現を図ることとされており、このような公共的使命とセットで、法第52条の規定により、税理士業務は無償独占、すなわち、税務代理、税務書類の作成及び税務相談の税理士業務はたとえ無料でも税理士以外はできないという、弁護士では無料ですと誰が法律相談をやっても構わないわけでありますが、そういった強い権利が付与されているわけであります。更に加えて、先の税理士法改正で拡充された新書面添付制度において一層の地位の向上が図られたところでありますから、税理士、税理士会におかれましても、このような公共的使命を有する税理士の役割を更に高めていく努力をされることが期待されているところでございます。
  以上のことを、「役割の再整理」として表現させていただいた次第です。
  平成15年に政府全体の取組として、IT化に対応した業務改革等を基本方針とした「電子政府構築計画」が決定され、当庁においても、KSKシステムを含む国税関係の業務・システム全般について見直すこととされました。
  業務・システムの見直しに当たっては、従来から部内で検討してきた「中長期的な税務行政の課題」を「業務・システム最適化計画策定指針」に掲げられている最適化の観点で再整理し、単にシステムの見直しにとどまらずに、業務の効率化、合理化を図るため、内部事務の一元化、集中化を目指すこととしているところであります。やや割り切った言い方をしますと、既存の事務処理体制は余り変えずに、これをこのままコンピュータ化するといった形で、単に、システムの改善に努めるといったやり方もあると思いますが、我々は、IT化を前提にした事務処理にすべく、業務の抜本的な見直し作業を進めております。
  これを内部事務の一元化、集中化と言って、既に一部の署で試行を行っております。
  現在、所得税とか法人税といった税目別に事務が処理されていますが、事務系統、税目といった垣根を取り払いつつ、各税目の事務を標準化、共通化いたします。例えば申告書の処理に関する事務や納税者の管理事務というように、業務の同種の事務作業を統合して全税目を一元的に処理する体制を一元化と言っております。
  また、一方、全国に524の税務署がございまして、400人ぐらいの大きな署から、10人余りの小さな署まで、署によって大きな格差があり、署の規模にかかわらずすべての税務署が同じように事務を実施することが困難になってきている現状を踏まえ、複数の署の特定の事務を署の管轄区域を越えて集中処理担当部署に集約するという、事務の集中化を行うことにより、全体として、より効率的な事務処理体制を目指しております。
  既に、納税コールセンターとか資料センター等を設置して集中化を実施しているところですが、更にどこまで集中化できるか検討中でございます。
  さらに、次の箱でございますが、調査・徴収事務につきましても、限られた定員の中で、コンプライアンスを高めていくためには、善良な納税者に親切に対応する一方で、悪質な納税者に対しては厳しく対処するという、メリハリのある税務行政を更に推進していく必要があると考えております。
  このため、新書面添付制度の育成等、税理士の役割の増大を図り、事前照会に対する対応の充実等、納税者の予測可能性を高めるための施策を推進するとともに、一方で従来の枠組みにとらわれることなく、局署全体として最も効率的となるように、調査・徴収事務のあり方の再構築などにも努めていくこととしているところでございます。
  更に加えまして一番右の箱でございますが、国税に課せられた課題が増えていく中で、定員増加が困難なのですから、職場における人材育成の重要性はますます高まってきております。
  職員が意欲と希望を持って職務に精励できる職場環境づくりがこれらの施策の推進のための前提でございます。
  女性職員の割合は年々高まっているところでありますが、特に職員同士で結婚している国税職員の多い現状を踏まえれば、子育てと仕事の両立できる職場環境を整備することは、全国組織である国税庁において正に喫緊の課題であります。このため、女性職員の能力適性を生かせる人事政策を推進するとともに、子育てと仕事の両立の観点から「国税庁特定事業主行動計画」を強力に推進していくこととしております。
  更に加えまして、若手職員の指導育成、これは研修のあり方でございますが、その見直しも現在行っております。さらに税務大学校の研究機能の強化にも取り組んでいるところでございます。
  以上の総合的な諸施策は絶えず推進させていく性格のものであり、そのため、限られた定員の最適配分、定量的効果を踏まえた予算配分、適材適所の人事配置に更に努めていくこととしております。
  政府全体の取組としての「業務・システムの最適化計画」は平成18年3月までに策定し、公表することとなっておりますので、以上の総合的な施策の基本的な方向はそのときまでに決定いたします。
  そして、これらの計画は、コンピュータシステムの抜本的見直しを伴うものでありますから、次のKSKのリプレースが予定されている平成22年度までに全体としての計画の実現に向けて鋭意作業を進めていくこととしております。
  以上私から全体的な状況を御説明いたしました。

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