水谷氏
 規制をしますと、規制が守られなかったときにどうするかというテーマですね。守っているか守っていないか、まず見張らなければいけない。違反した人はどうやってふん縛るかと。どういう刑罰を科すんだと。こういったことで随分大変なことになるんじゃないかという気がしまして。社会の中にはやっちゃいけないよという、やらない方がいいよ、というのがたくさんございまして、酒を飲むというのも、その1つじゃないかなと私は思っていますが。
 人によって差がありまして、いや私はもう全然関係ないよと、大丈夫だと、幾ら飲んでも酔わないという人もいますし、ちょっと飲んだらだめだという人もいますし、それを縛るというのは本当にいいことなのかなという疑問を私は持っておりまして、縛り切れないものの1つではないかなと。だから、販売面でコンビニを制限すればうまく解決するだろうかという、むしろそういう感じを持っているのですが、気持ちとしては。いかがでしょうか。

奥村座長
 ほかの先生方はいかがでしょうか。
 どうぞ。

岡本氏
 今の意見と似ているのですけれども、結局、幾ら法律をつくってやっても、だめなものはだめだろうし、それから抜け穴は幾らでも出てくるだろうと。そういうことをよくこういう感じで、嗜好品をですね、たばこにしてもそうですけれども、一応考えたときに必ず抜け穴が出てくるだろうと思うんですね。ですから、立場としては、こんな意見を本当は表に出してはいけないのでしょうけど、やはり法律は作るけれども取り締まらないみたいな、そういうものが現実としてはそういう方向にならざるを得ないようなものだと思いますけれども。
 ですから、一応、建前とすれば、それはいろいろな法律をつくって、何時以降売ってはいけないとか、自動販売機を自主規制をして、それを撤去するところも法律にあるでしょうし。しかし、それをつくったからといって、それを徹底的に取り締まることも多分できないだろうし、というか、それをやるとそれこそ警察国家になってしまうので。ですから、やはり表向きには一応規制はかけていくべきだろうし、しかし、あるところで現実としてそういう抜け穴は幾らでも出てくるということを、暗黙の了解と言ってはいけないのでしょうけれども、そういうことも大いにあると。これまでもあったし、これからもあるだろうということをわかりながら、やはり規制を、ちょっと難しいのですけれど、かけていくことが必要かもわからないし、余りそれを徹底的に防止をするというのでしょうか、取り締まるというのは不可能だろうし。ということで、両方の意見を、徹底的にやれということと、そこまでやるなという、両側の意見だと思うんですね。そのいわば中間点というのでしょうか、法律をつくることによって徹底的にやれ、という側を満足させるとして、ちょっとそれをきちっと施行できない、しない、そういうことである程度若者たちの流れというのか、気持ちとか、そういったものに配慮すべきだろうと。そういうふうなところが現実として考えられるのではないかと思います。

奥村座長
 岡本先生のご意見は、経済的規制の副作用が大きいので、むしろ社会的規制の方でいろいろな情報を出してガイダンスとして……。

岡本氏
 やるべきことは一応表向きにはやるべきだろうけれども、期待してはいけないんじゃないかと。ちょっと、非常に消極的な意見かもわからないですけれども。

奥村座長
 そのやるべきことの中に、じゃあ小売店を規制しようとか、そういうのは入ってこないわけですよね。

岡本氏
 例えば11時以降売ってはいけないとか、自動販売機を撤廃しろとか、そういう意見は出てきてもいいと思いますし、やってもいいと思います。ただし、だからといって、それですべて解決するとも思ってはいけないのではないかなと思います。

奥村座長
 多分、水谷先生は、時間制限の方も賛成ではないというご意見ですよね。

水谷氏
 そうですね。私は、むしろ規制をするというのは非常に難しいと。じゃあ、だれに監督させるのだと。警察官にそういうことをやらせるのかと。警察官の数をうんと増やさなきゃいけないということで、そんなことまでやっていたら、もっとやるべきことがたくさんあって、重要なことができないんじゃないかという感じがしまして、むしろこの辺は自由にさせておいてもいいんじゃなかろうかと、そういう意見ですね。

岡本氏
 それで、結局、だから法律をつくって、例えば飲酒をしちゃいけないという法律がありますよね、飲んじゃいけないとか。だけど、飲んでもその法律によって罰則はないわけですよ。ですから、結局、飲んではいけないという法律からは、多分、大人の側からすればそう言わざるを得ないと思うんですよね。しかし、だからといって飲んでいる20歳以下の子供をつかまえて刑務所に入れるわけにもいかないと。そういう現実の問題もあるわけですね。ですから、立場とすれば、やはり何らかの規制をやらざるを得ないというか、野放しにはできない。たけど、そういう規制も全くなしに、最初から野放しの姿勢で、大人の側からのスタンスというか、そういったことはちょっとできないんじゃないのかなと思って。

奥村座長
 いろいろな価値観でいろいろな政策提言が出てくるのは当然なのですが、跡田先生は、こういう市場でうまく解決できないのがご専門でいらっしゃって、少し行司役をやっていただいて、加えて跡田先生のご意見もおっしゃっていただくということでお願いしたいのですが。

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