小林分科会長
 ありがとうございました。
 大変わかりやすく御説明をいただきまして、ありがとうございます。
 かなり技術的な問題でございますが、ただいま酒税課長から御説明いただきました点につきまして、御質問等がございましたらお願いいたします。
 これは課長、11月の時点でかなり煮詰まってきていたわけですね。

寺内酒税課長
 11月の時点では、こういう方向で改正を考えておりますということで、一応その方向性というものにつきまして、概略を御説明いたしまして、改正の素案は本日具体的にお示しを申し上げたということです。

小林分科会長
 よろしいでしょうか。

立石委員
 よろしいですか。
 資料7ですね、下の「純米酒の規格に該当していません」という表示例になっていますけれども、これ以外に考えられることはどういうことを想定していらっしゃるんですか。

本宮課長補佐
 簡単に御説明しますと、本当に特殊な米というのがございます。
 そうしますと、特殊な米なので純米酒には該当しない。逆に、そういう特殊な米を使っているというのをPRしながら、ただ、純米酒には該当しないというような、地方独特なものというようなものもあり得ると思います。つまり消費者に純米酒の規格に該当しないということを明確に表示をしていただくということでございます。

寺内酒税課長
 「純米酒」、「米だけの酒」の酒ですから、「純米酒」と似たような、もちろん類似しているわけですけれども、今申し上げましたように、規格外の米というのが一つはあるわけでございます。それと同時に、米の粉を使ったものがあります。それで、精米歩合といいますのは、これは御案内のとおり、どんどん周りを削っていって、中に残った心白という部分でございますが、白くて不透明な部分、ここの部分が非常に重要なんでございます。そうすると、例えば米の粉なんかを使った場合には、周りも含めて粉になってしまっているわけですね。こういうものについては、言ってみれば純米酒には該当しないという規格外の米のほかに、例えば米の粉を使っているので、規格外なので純米酒には該当しません。つまり特定名称酒そのものに該当しないものが「米だけの酒」の中に入っているわけで、例えばそういう説明をする。通常は、余りだらだらと説明書きはないのかもしれませんが、「純米酒には該当しません」と、さらっと書くというのが普通なのかもしれません。

北村委員
 質問といっても笑われてしまうような質問かもしれません。多分一般の人々は私と同じぐらいの認識だと思うので、あえて伺うんですが。
 まず第一に、精米歩合ということで、70%超とか60%以下というのがあります。精米するという言葉を聞いたときに、60%と聞くと、その60%を削るというふうに認識してしまうこともあり得ると思うんですが、その辺は、消費者というのは、こういったものについては大体コンセンサスができているというお考えでいらっしゃいますか。

寺内酒税課長
 実は、私もこのポストに就いて、この話を聞いてすぐに、同じようなイメージを持ちました。精米歩合ですから、どんどん削りとっている部分が70%でないかという面が、確かに一般の消費者の方はそのように思われる場合があるかもしれません。
 ただ、今までずっと清酒業界においては、この精米歩合という言葉というのは、要するに60%とか50%とか、削りとられた後に残ったものというのが、どうも常識的な表示の仕方として定着してきているということが事実のようでございます。
 したがって、その精米歩合といった場合、本来は何%削りとっていますよというふうに書くのがわかりやすいのでありましょうが、今までずっと定着してきた用語として、70%ということは30%を削りとったと、一般にはそれで定着して受け入れられてきているということのようでございます。
 これを今後、では、削りとった部分が30%でございますというふうに書いていくということも、それは考えられるわけでございますが、既にかなり定着してきているという実態があるということでございます。おっしゃることは、内容はよくわかります。

北村委員
 多分多くの消費者は、精米歩合の数字と値段を見比べて、結果的に、ああ、こういうことなのねと、その段階で理解はすると思うんですが、業界の常識が必ずしも消費者の常識とはならないと思いますので、何ていうんでしょうかね、それはもう決まったことだからというのではなくて、行く行くは何かの折で混乱なく第三者に一発でわかるような表示があったら、ぜひそれを課題として考えていただきたいというのが一つ。
 それから、この表で拝見すると、特定名称の酒類ということで、「大吟醸」、「吟醸」と書いてありますですね。そうすると、「普通酒」というのは「普通酒」と表示されているものなのですか、普通。

寺内酒税課長
 「普通酒」というお酒は、「普通酒」というふうに書いている例は少ないのではないかと思います。何も表示していないケースが多いです。

北村委員
そうすると、今度、70%のボーダーを、純米に関して取り払うことになりますと、100%米でできているものに関して言うと、「普通酒」というところのカテゴリーが小さくなるわけですよね。

寺内酒税課長
 さようでございます。

北村委員
 その普通酒と言われているものが、実は100%の米と、10%以下のアルコール量が入ったものと、10%超のものと、三つのアルコール度合いで、特に「普通酒」というネーミングはなくて、アルコール表示だけで流通するということになるわけですか。

寺内酒税課長
 実は、10%以下の「普通酒」、あるいは10%超の普通酒以外、ゼロと書いてある、要するにアルコールを使っていない普通酒の中にも、「純米酒」にならないものがございます。先ほど申し上げましたが、規格外の米を使っているとか、米粉を使っているとかということになりますと、これは「米だけの酒」であっても「純米酒」でない「普通酒」として残ります。その場合は、先ほど最後に御説明しましたが、「純米酒」なのかと混同してしまいますので、「純米酒」ではありませんという表示をつけてもらうと。つまり「純米酒」ではありませんという「米だけの酒」が「普通酒」として残るということになります。これは大体3割か4割ぐらいあるというふうに言われております。

北村委員
 それで、それの表示なんですが、資料7で拝見して、その下の方が一つの例示で出ていますね。これね、私、これまたきちんとお酒の知識のない人が見ると、判じ物のような気がするんじゃないかと思うんですよ。「米だけの酒」、「純米酒の規格に該当していません」と言われたら、では何なんだというのがごく一般的な理解ではないでしょうか。このパズルのような、これは一つの候補としてお挙げになっていらっしゃると思うんですが、「純米酒」とは何かということが当然クエスチョンマークが出てくるわけで、私の、今までお話を伺った限りでは、少なくとも、下の欄外に書いてある理由を明示したようなもの、くだくだしいというお考えもあるかもしれませんが、その程度は入れていただかないと、これは謎だなという気がいたしました。

寺内酒税課長
 先ほどのお話とも関連、最初の方の件とも関係いたします、精米歩合の話ですね、この場合にも、例えば「純米酒」の規格に該当しないというのはどういうことなのという話ですね。ラベルでございますから、「未成年者飲酒禁止」というのも書いてありますけれども、これも実は告示で定められているのでございます。確かにおっしゃるように、そういう形で、下の、例えば二つの○のような表示がされていることが望ましいかと思いますが、同時に、例えば酒類小売店において、今度法律改正で販売管理者という制度がつくられたんでございますけれども、小売店において、お店が、例えば購入者から、「該当しない」ってどういうこととか、「精米歩合70%」ってどういうことというふうに聞かれたときに、きちっと説明できるといいますか、言ってみれば品質、特に最近は消費者の皆さんは関心がございますから、そういう説明がきちんとできるような役割も実は、後ほど御説明いたしますが、販売管理者は負っております。つまり商品知識をある程度持っていただくということです。ですから、もちろんそういった意味で商品知識を身につけていただくということがあるんですが、今でも小売店においては、「精米歩合」というのはこうだよ、あるいは「純米酒」というのはこうだよというのは、お酒屋さんはある程度認識して、あるいはちゃんと聞かれたら説明されているというふうに思います。そういった意味では、小売店の役割というのも一つはあるのかなと。表示はもちろん、先生がおっしゃるとおり、わかりやすくするのが一番いいかとは思いますし、そちらの方向を目指していくべきだと思います。そういったことが相まって、言ってみれば商品の内容を説明していくということになるのかなというふうに考えております。

北村委員
 ということは、今の段階では、この○の方ではなくて、四角のラベルの中に……。

寺内酒税課長
 ○は一つの例としてございますので、○は使ってもいいわけでございます。○の、「こうじ米の使用割合」とか、「米粉を使用しているので当たりません」というような……。

北村委員
 そうすると、この「純米酒の規格に該当していません」という要素が入っていれば、文言については各メーカーに任せるということなんですね。

寺内酒税課長
 さようでございます。ですから、できるだけ詳しく書きたいというメーカーさんはもちろんそれでいいわけでございます。

北村委員
 でも、書きたくなかったら、この四角の中のままいっちゃってもいいということなわけですね。

寺内酒税課長
 最低限「純米酒の規格には該当しない」ということは書いていただきたいということでございます。

北村委員
 随分謎めいているんですね。

本宮課長補佐
 多分、今、北村委員のおっしゃるのは、一般の消費者の常識とメーカーサイドの常識がずれているという部分があって、ただ、先ほど言われました精米歩合ということにつきましても、課長が御説明しましたように、業界の、いわゆる常識なり、酒づくりにおける精米歩合という場合には、削りとった残りを表示するというのが、一般的な、従来からの、経験としてなっていると。平成元年に製法品質表示義務を定める際も、きちっとしないといけないということで、精米歩合についての定義も、製法品質表示基準の方に書き込んでございます。米の表層部を取り去った残りであると。ただ、今、委員のおっしゃるのは、国税庁や業界のPRが足らないという叱咤だというふうに理解しておりまして、今回の「米だけの酒」と「純米酒」の、消費者が選択の際に誤解するという部分を、今回直そうということでやっておりますので、今回、この表示基準を直しましたら、業界、あとは私ども、そして、今回は新たに酒類販売管理者という制度も入りますので、それらを活用しまして、消費者の方々にきちっとPRしていくというふうに考えているところでございます。

幸田委員
 今、北村委員さんのお話は、まさに売る側も同じような思いをしております。ただ、今、販売管理者にそれを説明させるというようなことを言われましたけれども、例えばコンビニエンスストアだとか、そういうようなところで、アルバイト、パートが売っているところは、そういう説明は一々することができない状況ですので、やはり北村委員がおっしゃったとおり、これもかなり表示の基準でわかりやすくはなっていますけれども、さらにそういうところを、表示の段階できちっとするということが私は必要なんじゃないかなと。お店に行って、そこに説明させるというのは、今の販売形態の中ではかなり難しいということがありますので、さらに検討していただきたいというふうに思っています。

寺内酒税課長
 すべてを酒類小売店、販売管理者にゆだねるということではなくて、確かに企業のそういう商品の説明責任という問題もありますし、一般の小売店と、またコンビニ等の業態が違うのもあるかと思いますけれども、両方相まってということで、小売店に別に荷重な負担とか何かを負わせるという趣旨ではございません。もう既にお酒屋さんなどでもやっておられるかなというふうに思います。

立石委員
 これ、「米だけの酒」と「純米酒」というのは、前回のときも話題になりましたよね。日本語でいうと、「純米酒」と「米だけの酒」はどこが違うんだというのを質問したと思うんですけれども、非常に好意的にとって、一歩前進したというふうに受けとめたいと、こう思います。ただ、現実の問題としてお聞きしたいのは、これはどちらが安いんですか。

寺内酒税課長
 これは「米だけの酒」の方が安いです。物によりますけれども、大体「米だけの酒」が1,100円から1,400円ぐらいで、「純米酒」が1,200円から1,500円ぐらいです。

立石委員
 それと、あれですね、このラベルでいくと、「非純米酒」で「米だけの酒」の方が安いと、こういうことですね。

寺内酒税課長
 はい。一般的な話です。

立石委員
 それから、もう一つ、これは言葉上のことですけれども、資料1ですね、検討資料の資料1、1ページ目ですね。「適用は、遅くとも平成……」の、この「遅くとも」というのはどういう意味ですか。

本宮課長補佐
 これは私の方から御説明します。清酒の場合には、パブリックコメントをかけましてから、先ほど御説明しました、WTO通報というのがございます。その手続の関係がございまして、明確に何月何日というふうに言い切れない部分があります。
 もう一つは、特に中小のメーカーの場合には、仕込みを始めますのが大体10月ぐらいから、そういうのも念頭に置きまして、できるだけ早目にということで、今、ここに入れているということでございます。

立石委員
 すると、あれですか、この「遅くとも」というのは削ってもいいという感じがしません。何か非常に役所的な、役所的って、皆さん役所だから役所的と言われればあれですけれども、「適用は平成16年1月1日から予定する」でよろしいんじゃないですか。

本宮課長補佐
 できるだけ早い方が消費者の利便に資するかという気持ちが出ているだけでございます。そのめどが16年1月1日と、そういうことでございます。

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