移転価格税制に関する事前確認(APA: Advance Pricing Arrangement)とは、移転価格課税に関する納税者の皆様の予測可能性を確保するため、納税者の皆様の申出に基づき、その申出の対象となった国外関連取引に係る独立企業間価格の算定方法及びその具体的内容(以下「独立企業間価格の算定方法等」といいます。)について、税務署長等が事前に確認を行うことをいい、昭和62年(1987年)に我が国が世界に先駆けて導入した施策です。その後、米国(1991年)に続き、カナダ(1994年)、豪州(1995年)、韓国(1996年)、中国(1998年)に導入され、現在では30ヶ国以上で導入されています。

(注)移転価格税制は、国外の関連企業(国外関連者)との取引を通じた海外への所得移転に対処し、適正な国際課税の実現を図る観点から、昭和61年度税制改正で導入された制度で、現在、主要先進国をはじめ40ヶ国以上で導入されています。本税制の基本的仕組みは、法人と国外関連者との取引価格が第三者間の取引価格(独立企業間価格)と異なることにより、我が国の課税所得が減少している場合に、その取引が独立企業間価格で行われたとみなして所得を計算するというものです。

 事前確認については、近年の国際取引の増加を反映し、その申出件数が増加してきていることから、国税庁においては、担当者を増員するなど、処理促進のための体制整備を図ってきているところです。

 また、納税者の皆様に事前確認を円滑にご利用いただけるよう、事前確認の申出の前に税務当局が相談を受ける事前相談を行っており、各国税局に事前相談の担当窓口を設けています。

 事前相談は、納税者の皆様と税務当局の双方が申出内容について基本的な理解を共有するためのものであり、この事前相談を行うことにより、納税者の皆様にとっては、申出時に必要な資料作成事務を効率的に行うことができ、また税務当局における申出後の審査の円滑化・迅速化の効果が期待されるため、事前相談を積極的にご活用されることをお勧めします。また、申出を行うかどうかのご判断がつきかねている納税者の方々のご相談も受け付けています。

詳細は平成13年6月1日付査調7−1ほか3課共同「移転価格事務運営要領の制定について」(事務運営指針)(令和4年6月10日付で一部改正)をご確認ください。

平成28年6月28日付査調7−1ほか3課共同「恒久的施設帰属所得に係る所得に関する調査等に係る事務運営要領の制定について」(事務運営指針)の発遣(令和4年2月14日付で一部改正)に伴い、外国法人の平成28年4月1日以後に開始する各事業年度の恒久的施設帰属所得に係る所得の計算にあたって、恒久的施設とその本店等との間の内部取引についても事前確認の対象となりました。