清酒

令和4年2月7日指定

1 酒類の産地に主として帰せられる酒類の特性に関する事項

(1)酒類の特性について

 新潟の清酒は、総じて淡麗な酒質を有している。
 グラスから立ち上がる香りはまるで、朝霧のような優しさを持ち、口に含むとなめらかでさらりと溶ける淡雪のような味わいがある。米から生まれた淡い甘味が他の上品なうま味と混じり合い、余韻を残しながら消えていく。
 このような、雑味の少なくきれいな味わいの酒質のものを、淡麗な酒であると呼称している。

(2)酒類の特性が酒類の産地に主として帰せられることについて

イ 自然的要因
 新潟県は、本州の日本海沿岸のほぼ中央部に位置し、東側には朝日山地、飯豊山地、越後山脈が連なり、西側には妙高山などの山々がそびえ、信濃川や阿賀野川など数多くの河川が日本海にそそいでいて豊富な水資源を有し、その水質は総じて軟水である。
 また、新潟県は降雪量が多く、冬は日照時間が短いものの、厳寒期でも極端な低温にならず、日中と夜間の温度差は少ない。積雪がもたらす安定した適度な低温は、清酒造りに使われる麹菌と酵母などの微生物の働きに最適な環境をつくる。
 この豊富な水が優良な醸造用水として使用され、日中と夜間の温度差が少ない気候と相まって、新潟の淡麗な酒質が形成されてきた。

ロ 人的要因
 新潟県は越後平野や高田平野といった広大で肥沃な土地が広がり、全国でも有数の穀倉地帯である。江戸時代には北前船の寄港地として栄え、ここで生産された米やその加工品である清酒が各地へ運ばれた。
 江戸時代中期には農閑期に新潟の農民は地域外へ出稼ぎし、丹波や但馬などの西国杜氏のもとで酒造技術を取得すると、やがて様々な土地の気候・風土・水質・米質に適した酒造技術を考案して、その技能と勤勉さを買われて全国各地の酒蔵で酒造りを担う越後杜氏の集団が形成された。
 昭和5年(1930年)に独立機関としては全国で唯一の県立清酒研究機関である新潟県醸造試験場が設立され、越後杜氏の蓄積した優れた酒造技術を理論化し、各企業の技術者の集まりである新潟清酒研究会では酒造技術の向上に関わる多様な研究課題に取り組み、様々な品質や条件の原料米でも高品質の清酒を製造できる技術を発展させてきた。
 新潟県酒造組合では、製造技術の伝承に支障をきたす杜氏の減少問題に対応するため、全国初の「新潟清酒学校」を設立して酒造技能者の養成を実施していることに加え、企業横断的な情報交換及び研究の場として「新潟酒造技術研究会」を設け、現場で必要とされる技能の向上や伝統的な酒造技術、文化の伝承、酒造りに必要な心構えや姿勢といった酒造りの考え方の意識向上に努めてきた。
 このような技術的な支えを基に、近代において変化しつつあった日本人のライフスタイルや食文化の洋風化への流れに適する酒質を目指して酒造りを行ってきた。その結果、新潟に定着した清酒の特性が淡麗であり、全国的に知名度が形成され、この特性が維持されてきた。

2 酒類の原料及び製法に関する事項

 地理的表示「新潟」を使用するためには、次の事項を満たしている必要がある。

(1)原料

イ 米及び米こうじに国内産米のみを用いたものであること。

ロ 水は新潟県内で採取されたもののみを用いたものであること。

ハ 酒税法(昭和28年法律第6号)第3条第7号に規定する「清酒」の原料を用いたものであること。ただし、酒税法施行令第2条に規定する清酒の原料のうち、アルコール(原料中、アルコールの重量が米(こうじ米を含む。)の重量の100分の50を超えない量で用いる場合に限る。)以外は用いることができないものとする。

(2)製法

イ 酒税法第3条第7号に規定する「清酒」の製造方法により、新潟県内で製造されたものであること。

ロ 製造工程上、貯蔵する場合は新潟県内で行うこと。

ハ 新潟県内で、消費者に引き渡すことを予定した容器に詰めること。

3 酒類の特性を維持するための管理に関する事項

 地理的表示「新潟」を使用するためには、当該使用する酒類を酒類の製造場(酒税法第28条第6項又は第28条の3第4項の規定により酒類の製造免許を受けた製造場とみなされた場所を含む。)から移出(酒税法第28条第1項の規定の適用を受けるものを除く。)するまでに、当該使用する酒類が「酒類の産地に主として帰せられる酒類の特性に関する事項」及び「酒類の原料及び製法に関する事項」を満たしていることについて、次の団体(以下「管理機関」という。)により、当該管理機関が作成する業務実施要領に基づく確認を受ける必要がある。

管理機関の名称:新潟県酒造協同組合
     住所:新潟県新潟市中央区東中通2番町292番地2
   電話番号:025-229-1218
 ウェブサイト:https://www.niigata-sake.or.jp/

4 酒類の品目に関する事項

 清酒