平成30年2月27日変更

1 酒類の産地に主として帰せられる酒類の特性に関する事項

(1) 酒類の特性について

単式蒸留焼酎である「球磨」は、総じて米由来のまろやかな甘さを感じる味わいと清涼感のある香味を有している。

その中でも、常圧蒸留したものは香ばしさを伴った米特有の香りを有しており、減圧蒸留したものは果実様の香りを有している。

(2) 酒類の特性が酒類の産地に主として帰せられることについて

  1. イ 自然的要因

    熊本県球磨郡及び同県人吉市は、九州中央部の九州山地に囲まれた球磨盆地にあり、日本列島では低い緯度でありながら冬季の平均気温が低く、寒暖の差が大きい。濃霧の日も多く、この環境により、比較的低温での発酵及び適度な環境による貯蔵が可能となり、清涼感のある香味を有する焼酎の製造に適している。

    また、球磨盆地を流れる球磨川水系の水は、焼酎製造に適した軟水であり、「球磨」は、この地域の水を使用することにより、米由来のまろやかな甘さを引き立たせている。

    さらに、球磨盆地は、寒暖の差と球磨川からの豊富で良質な水を背景とし、熊本県有数の良質な米の産地となっている。

  2. ロ 人的要因

    球磨盆地は豊かな水源に恵まれた環境から豊富に米が作れたため、米が貴重とされていた時代から米焼酎を作り続けることができたといわれている。さらに山奥の盆地という閉ざされた地域であったため、外部から米の搾取を受けることもなく、飢饉などにより米焼酎の製造が制限され、他の地域では米以外の原料による酒造りがされる中にあっても「球磨」の杜氏達は米焼酎を造り続けることができた。

    「球磨」の杜氏達は米のみを焼酎の原料にすることにこだわり続け、その歴史の中で「球磨」の香味を追求し、その技術を伝承することで現在の「球磨」があるといえる。

    そして、まれに訪れる旅人に「球磨」を振る舞うことで、「秘境の銘酒」としてその名を知られるようになった。

2 酒類の原料及び製法に関する事項

地理的表示「球磨」を使用するためには、次の事項を満たしている必要がある。

(1) 原料

  1. イ 穀類に国内産米のみを用いたものであること。
  2. ロ こうじに国内産米から製造された米こうじのみを用いたものであること。
  3. ハ 水に熊本県球磨郡又は同県人吉市内で採水した水のみを用いたものであること。

(2) 製法

  1. イ 熊本県球磨郡又は同県人吉市内で原料の発酵及び蒸留が行われていること。
  2. ロ 米、米こうじ及び水を原料として発酵させたもろみを単式蒸留機をもって蒸留したものであること。
     ただし、米こうじ及び水を原料としたもろみについては、その一次もろみに米こうじ及び水を加えて更に発酵させたものに限る。
  3. ハ 製造工程上、貯蔵する場合は熊本県球磨郡又は同県人吉市内で行うこと。
  4. ニ 消費者に引き渡すことを予定した容器に熊本県球磨郡又は同県人吉市内で詰めること。

3 酒類の特性を維持するための管理に関する事項

地理的表示「球磨」を使用するためには、当該使用する酒類が「酒類の原料及び製法に関する事項」を満たしていることについて、次の団体(以下「管理機関」という。)により、当該管理機関が作成する業務実施要領に基づく確認を受ける必要がある。

管理機関の名称:球磨焼酎管理委員会

住所:熊本県人吉市麓町5番地1 球磨焼酎酒造組合内

電話番号:0966-22-5059

4 酒類の品目に関する事項

単式蒸留焼酎