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- 第23回 国税審議会 議事録
日時: |
令和3年10月27日 15:30〜16:37 |
場所: |
国税庁第二会議室 |
出席者: |
国税審議会委員 |
山田会長 |
佐藤会長代理 |
遠藤委員 |
大倉委員 |
小川委員 |
鹿取委員 |
川北委員 |
川嶋委員 |
木村委員 |
神津委員 |
小関委員 |
立道委員 |
手島委員 |
土居委員 |
中空委員 |
廣重委員 |
吉村委員 |
説明者 国税庁 |
大鹿国税庁長官 |
東国税不服審判所長 |
重藤国税庁次長 |
牧田国税不服審判所次長 |
日置審議官 |
田村審議官 |
星屋課税部長 |
飯守徴収部長 |
木村調査査察部長 |
細田総務課長 |
田島企画課長 |
郷酒税課長 |
菅沼国税企画官 |
大森人事企画室長 |
会長
定刻になりましたので、第23回国税審議会を開催いたします。
本日の進行役を務めさせていただきます会長の山田でございます。よろしくお願いいたします。
本日は委員の皆様方には大変お忙しいところ御出席いただき、誠にありがとうございます。
本日は委員の過半数の方々に御出席いただいておりますので、国税審議会令第8条第1項の規定に基づきまして、本会は有効に成立いたしております。
それでは、私のほうから本日御出席いただいております委員の方々のお名前を御紹介させていただきます。
最初に会長代理兼税理士分科会会長の佐藤英明委員。
次に、酒類分科会会長の吉村典久委員。
以下、50音順に御紹介させていただきます。
遠藤みどり委員、大倉治彦委員、小川令持委員、鹿取みゆき委員、川北力委員、川嶋三恵子委員、木村純子委員、神津信一委員、小関卓也委員、立道昌幸委員、手島麻記子委員、土居丈朗委員、中空麻奈委員、廣重美希委員。
以上でございます。
なお、秋葉賢一委員、石田千委員、河村芳彦委員のお三方につきましては、御都合により欠席でございます。
続きまして、国税庁の出席者を細田総務課長より御紹介していただきます。
総務課長
総務課長の細田でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
では、私から事務局側の出席者につきまして、紹介をさせていただきます。
大鹿国税庁長官でございます。
東国税不服審判所長でございます。
重藤国税庁次長でございます。
牧田国税不服審判所次長でございます。
日置審議官でございます。
田村審議官でございます。
星屋課税部長でございます。
飯守徴収部長でございます。
木村調査査察部長でございます。
田島企画課長でございます。
郷酒税課長でございます。
菅沼国税企画官でございます。
大森人事企画室長でございます。
以上でございます。
会長
それでは、本日の議題に入る前に、大鹿長官より御挨拶をいただきたいと存じます。
よろしくお願いいたします。
国税庁長官
この7月に、国税庁長官を拝命いたしました大鹿と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、国税審議会の開催に当たりまして一言御挨拶をさせていただきます。
皆様方には、本日は大変お忙しい中を御出席いただきまして、誠にありがとうございます。また、皆様方には日頃から税務行政全般にわたり深い御理解と多大なる御協力を賜っており、この場を借りまして厚く御礼申し上げます。
国税庁の使命は、「納税者の自発的な納税義務の履行を適正かつ円滑に実現する」こととされております。この使命を果たす上で、税務行政に対する納税者の皆様の理解と信頼は何より大切なものであります。他方で、経済取引のデジタル化やグローバル化の進展、働き方の多様化などに加えまして、足元では新型コロナウイルス感染症の影響により、税務行政を取り巻く環境は急速に変化をしてきております。こうした変化に適切に対応し、引き続き納税者の皆様から理解と信頼を得られるよう、国税庁では様々な取組を推進しています。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大状況につきましては、一時期と比べますとかなり落ち着いてきておりますものの、収束に向けてはまだまだ予断を許さない状況が続いているかと思います。
また、多くの納税者の皆様が引き続き甚大な影響を受けているものと承知をしております。
このため、国税庁におきましては、納付が困難な方に対しましては納税の猶予制度を御案内するなど、納税者の皆様の実情に耳を傾け、迅速かつ丁寧な対応に努めているところです。
さて、デジタル技術の活用により、サービスや仕事の在り方を変革する、いわゆるデジタル・トランスフォーメーションを推進する動きが、社会全体で急速に広まっており、行政手続全体でも様々な取組が進められてきております。国税庁におきましては、平成29年に「税務行政の将来像」を公表するなど、「納税者の利便性の向上」と「課税・徴収の効率化・高度化」を2本の柱として、様々な取組を進めてきているところですが、昨今の経済社会の変化やデジタル技術の急速な進展を踏まえ、本年6月に、「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション〜税務行政の将来像2.0〜」というものを公表し、「デジタルを活用した、国税に関する手続や業務の在り方の抜本的な見直し」に取り組んでいく方針を明確にいたしました。
具体的には、これまでと同様、「納税者の利便性の向上」と「課税・徴収の効率化・高度化」を2本の柱としつつ、「あらゆる税務手続が税務署に行かずにできる社会」を目指すとともに、課税・徴収におけるデータ分析の一層の活用等の取組を、さらに進めていくこととしています。
また、消費税の計算を行う上で要件となります適格請求書等保存方式、いわゆる「インボイス制度」が令和5年10月から実施されます。事業者がインボイスを交付するためには、税務署長の登録を受ける必要があり、その申請の受付が今月1日から開始されたところです。
国税庁におきましては、ホームページに特設サイトを開設し、各種情報等を掲載するほか、局・署主催の説明会の開催や、事業者団体の説明会への講師派遣、さらにはオンライン説明会を開催するなど、様々な周知・広報を実施しているところであります。引き続き、日税連をはじめとする関係民間団体の協力も得ながら、関係省庁と緊密に連携の上、周知・広報などに取り組んでまいりたいと考えています。
このほか、電子帳簿等保存制度につきましては、経理の電子化による生産性の向上、テレワークの推進、記帳水準の向上に資するため、来年1月から帳簿書類を電子的に保存する際の各種手続が抜本的に簡素化されます。国税庁では電子帳簿等保存制度の利用促進を通じ、経済社会のデジタル化に貢献できるよう、こちらについても積極的に周知・広報に努めてまいります。
最後に、国税庁では、酒類業の健全な発達に向け、酒類業の振興に向けた様々な取組を進めてきており、足元では新型コロナウイルス感染症の感染拡大により経営に甚大な影響を受けている酒類業者に対する支援を行うとともに、特に日本産酒類の輸出促進につきましては、政府全体の方針を踏まえ積極的に取り組んでいるところです。
今般、文化審議会から日本の「伝統的酒造り」を無形文化財に登録するよう答申がありました。今後は日本酒、焼酎、泡盛等のユネスコ無形文化遺産への登録に向け、文化庁等とも連携して、酒造り技術の保護・継承に向けた取組をより一層進めてまいります。
本日は、税務行政の現状と課題として、最近の主な取組等について説明をさせていただく予定となっております。委員の皆様には、広い御見地から忌憚のない御意見、御指導を賜りたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
私からは以上であります。どうぞよろしくお願いいたします。
会長
ありがとうございました。
それでは、お手元の議事次第に従いまして進行させていただきます。
本日の会議の議事要旨あるいは議事録の公開につきましては、国税審議会議事規則第7条第2項にのっとりまして、まずは簡潔な内容のものを議事要旨として公表し、議事録は完成次第公表させていただきます。なお、議事録につきましては、公表前に皆様の御発言内容に誤りがないかを確認させていただきたいと存じます。一方、議事要旨の内容につきましては、会長一任ということでお願いいたします。
特に御異存がないようでしたら、そのようにさせていただきます。よろしいでしょうか。
会長
それでは、最初の議題に入らせていただきます。
まず、国税審議会各分科会の最近の活動状況についてです。お手元の資料3を御覧ください。
例年は各分科会長さんから御説明をいただいておりましたが、資料3に記載のあるとおりでございますので、資料を御覧いただくということで、詳細な説明というのは今回は省略をさせていただきたいと存じます。
引き続きまして、次の議題に入りますが、以降の議題については、事務局から御説明をいただいた後に、御質問あるいは御意見を伺いたいと存じます。
それでは、事務局から御説明をお願いいたします。
総務課長
総務課長の細田でございます。
それでは、お手元資料4「税務行政の現状と課題」について御説明をさせていただきます。
まず初めに、本年6月に国税庁が公表しました「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション」の関係でございます。
資料、4ページをご覧ください。
国税庁を取り巻く環境を見ますと、経済のグローバル化やデジタル化が進む一方で、申告件数や法人数が大きく増加しているということや、個々の案件が複雑化・困難化していくということが起こっておりまして、これまでも国税庁ではe-Taxの普及といったデジタル化や事務の集約化等による効率化などを通じて対応してきたところでございます。
こうした中、デジタル技術の活用によって、サービスや仕事の在り方を変革するデジタル・トランスフォーメーションを推進する動きが、デジタル庁の設立に代表されますように政府でも起こっており、また、社会全体でも広まっているという状況でございます。こうした流れを国税組織にとっても好機と捉えて、税務行政においてもデジタルを活用した国税に関する手続や業務の在り方の抜本的な見直しに一層取り組んでいくということを、今回明確にしたというものでございます。
具体的には、平成29年に「税務行政の将来像」を公表しておりますが、これをアップデートした「税務行政の将来像2.0」といった形で、税務行政のデジタル・トランスフォーメーションを通じて、資料の真ん中にありますように納税者の利便性の向上、それから課税・徴収の効率化・高度化、この2本の柱を実現しようというものでございます。具体的には資料左端にありますように、あらゆる手続が税務署に行かずにできる社会を、利便性の向上の観点から実現していこうと、また、課税・徴収の効率化・高度化という観点からは、右端にありますように、租税回避や富裕層、消費税不正還付といった課税上の課題について、重点的に取り組んでいこうということを掲げています。
次の5ページに移っていただきますと、この税務行政のデジタル・トランスフォーメーションを進めるに当たりましては、政府の方針に基づき、利用者目線の徹底、万全なセキュリティの確保、それから業務改革(BPR)の徹底、この3つを基本的な指針として取り組むこととしております。納税者の利便性の向上の観点からは、セキュリティを確保しながら、1つ目にあります「利用者目線の徹底」にありますように、「すぐに使えて」、「簡単」で、「便利」なサービスを提供し、「あらゆる税務手続が税務署に行かずにできる社会」、これを目指していきたいと考えております。
6ページは、「あらゆる税務手続が税務署に行かずにできる社会」、この目指す将来のイメージでございます。なぜ税務署に行くのかというのを考えますと、資料の左側にありますように、代表的なものとして、1つには確定申告や申請・届出があると思います。また、真ん中にありますように青色申告の承認を受けているかどうかといった特例適用状況の確認などでいらっしゃる方もあるでしょうし、一番下にありますように様々な手続の相談に来られる方というのもあるだろうと思っております。こういった手続に対して、真ん中から右側にありますように、税務署に行かなくてもできるようにするための将来構想として、1つ目に、申告・申請等の簡便化、こういうところは簡単にできるということに尽きると考えておりまして、数回のクリックやタップで申告等が完了する仕組みを目指していきたいと考えております。
また、次の特例の適用状況等につきましては、納税者の皆様が御自身の情報をオンラインでリアルタイムに確認できる仕組みをつくっていきたいと考えております。その下にあります税務に関する相談については、チャットボットの内容を充実させるということや、個々の納税者の状況に応じたプッシュ型の情報配信をするということで、税務署に行かなくても済むような環境をつくっていきたいと考えております。
7ページでございます。こちらは税務署に行かずにできる簡単な確定申告、この将来構想を御紹介するものでございます。上の枠にございますけれども、確定申告に必要なデータ、例えば給与や年金の収入金額、医療費の支払額などですが、こうしたデータを申告データの中に自動的に取り込めるようにして、納税者にはそのデータを確認してもらうことで、入力の必要なく、数回のクリックやタップで確定申告が完了するような仕組みを目指したいと思っております。
一番下の(注)のところに記載しておりますが、生命保険料などの一部の項目については、既にマイナポータルを通じて入手したデータを自動的に取り込む仕組みの整備をしているところでございます。また、令和3年分の確定申告からは、ふるさと納税や損害保険料などにも対象が拡大されます。必要なデータを自動で取り込むためには、データを交付する機関の協力が必要でございますが、引き続き取り込めるデータの範囲の拡大に取り組んでまいりたいと思っております。
8ページが、課税・徴収の効率化・高度化に向けた取組でございます。国税庁では将来的なAIの活用を見据え、幅広いデータの分析により、申告漏れリスクの高い納税者を判定する、また、滞納者の状況に応じた対応を判別するといった課税・徴収の効率化・高度化に取り組んでいるところでございます。
資料の上段は、課税の分野において、申告書・決算書といった納税者本人から提供いただく情報のほか、第三者から提供される資料情報、さらに租税条約に基づいて情報交換で外国税務当局から提供される情報、これらを分析して、申告漏れの可能性が高い納税者を判定するという内容を示しております。
また、下段のほうは、徴収の分野の取組になります。国税局や税務署では滞納している納税者の方に連絡を取る必要がございますが、電話をしても不在等の様々な理由により応答できないといったケースがございますので、そこで個々の納税者の情報ですとか、過去の架電履歴などを分析して、応答率の向上を図れないかといった検討を進めているところです。こうしたデータの分析は、データの取得の面でまだまだ課題がございますが、デジタルの利点を活用するという観点から非常に重要なものと考えておりまして、引き続き積極的に取組を進めていきたいと考えております。
それから9ページでございますが、こうした納税者の利便性の向上、また、課税・徴収の効率化・高度化を実現していくために、国税当局の基幹システムを更新する予定としております。我々は更新後の基幹システムを次世代システムと呼んでおりますが、その次世代システムの開発とともに、データ分析を行うことができる人材の育成にも取り組んでいく必要があると考えております。
資料の左側のシステム高度化の部分となりますが、次世代システムの開発は、これまでのいわゆる紙文化からデータを前提とした事務運営をコンセプトとして、令和8年度の本格導入に向けて開発作業と業務プロセスの見直しを併せて進めているところでございます。
また、右側の人材育成の部分にありますように、統計学やAIを活用したデータ分析の実践と業務への活用を進めていくため、5つの階層にカテゴリー分けしたデータリテラシーレベルに応じた研修体系を整備することで、人材の育成に取り組んでいるところでございます。
ここまでが税務行政のデジタル・トランスフォーメーションの関係でございます。こうしたデジタル・トランスフォーメーションを図っていく上では、国税審議会の委員の皆様をはじめ、有識者の方々から御意見を頂戴しながら、様々な観点から検討を行うことが非常に重要であると考えております。また、税理士会をはじめとする関係民間団体等の皆様との連携、協調も非常に重要であると思っておりますので、引き続き、経済社会の変化やデジタル技術の進展を踏まえ、絶えず国税庁としても進化し続けてまいりたいと考えております。
続きまして、インボイス制度に移りたいと思います。資料の11ページでございます。
この消費税の適格請求書等保存方式でございますが、これは消費税の標準税率10%と軽減税率8%という、複数税率制度に対応して買手が仕入税額控除の適用を受けるためのものでございまして、令和5年10月1日から開始ということになっております。適格請求書、いわゆるインボイスとは、売手が買手に対して正確な適用税率や消費税額等を伝えるために、国税庁が発行します登録番号や一定の事項が記載された請求書や納品書等をいいまして、このインボイスを交付することができるのは、税務署長の登録を受けた適格請求書発行事業者に限られることとされております。
12ページに移っていただきますと、上にございますのが適格請求書、いわゆるインボイスのイメージ図でございます。適格請求書には、右側にございますように、事業者の氏名・名称、国税庁が発行する登録番号、それから取引年月日、取引内容のほか、8%か10%かの適用税率と税率ごとに区分した消費税額、これを記載するということとされております。
下段の部分には、登録申請のスケジュールを記載しておりますが、令和5年10月1日にインボイス制度が開始することになりますので、この時点から登録を受けるためには、原則として令和5年3月31日までに、各事業者から登録申請をいただくということでお願いをしております。そして、この登録申請が今年の10月からちょうど始まったという状況でございます。
13ページでございます。このインボイスの登録申請につきましては、書面でももちろん可能ですが、国税庁ではe-Taxを利用した申請をお願いしております。資料の上段部分に記載がありますように、e-Taxを利用して登録申請を行った場合、受領する登録通知もデータで受領できるようになり、ペーパーレスにも資することとなりますので、是非御活用いただければと思っております。
14ページが周知・広報の関係でございます。令和5年の10月から始まりますインボイス制度の円滑な実施に向け、事業者に制度の理解を深めてもらいまして、それぞれの事業の実態に応じた対応や準備を進めていただくということが、私どもは重要だと考えております。国税庁ではホームページ上にインボイス制度の特設サイトを開設しておりますほか、日本税理士会連合会をはじめとした関係民間団体の御協力を得まして、事業者の方々に向けて、様々な周知・広報活動を実施しているところでございます。
15ページは内閣官房が主導して政府として取り組んでおります電子インボイスについて御説明したものでございます。インボイス制度が導入されます令和5年10月を見据えて、官民が連携して電子インボイスに関する標準仕様を合意することで、バックオフィス業務全体のデジタル化や、いわゆる川上の企業間の取引においてシームレスなデータ連携を実現させていき、社会全体のデジタル化を推進させるということを政府全体として目指しているところでございます。こうした官民の動きにもよく注目しながら、国税庁の施策についても検討を進めていく必要があると思っております。
資料の17ページ以降は電子帳簿関係でございます。経済社会のデジタル化を踏まえ、電子帳簿等保存制度については令和3年度税制改正におきまして、帳簿書類を電子的に保存する際の各種手続を抜本的に簡素化するという見直しが行われました。そしてこの改正は年明けの令和4年1月から適用されることになっております。
改正のポイントは大きく二つございまして、一つ目は上段にございます電子帳簿等の保存、これにつきましては、これまでは事前承認が必要でございましたが、これが廃止されました。併せて、適用要件も緩和されまして、最低限の要件を満たす電子帳簿については、電子データのまま保存が可能となりました。また、現行の基準を満たす、いわゆる信頼性の高い電子帳簿については、加算税の軽減などのインセンティブ措置が付加されたということでございます。
二つ目は下段のほうでございますが、受領した請求書等のデータ保存について、電子帳簿等の保存と同様にスキャナ保存の事前承認が廃止されたほか、スキャン後は紙原本の確認を不要として直ちに原本の廃棄が可能となるということで、利便性を向上させる改正が行われたところでございます。
18ページにございますように、国税庁では、今般の改正の趣旨を踏まえまして、電子帳簿等保存制度の利用促進を通じまして、経済社会のデジタル化が進むように積極的に周知・広報を実施しているところでございます。下にあります具体的な取組例にございますが、改正内容に関するパンフレットの作成、YouTubeでの動画配信、また、電子帳簿保存法特設ページを開設して、納税者の疑問の解消に努め、制度の利用を積極的に呼びかけているところでございます。
以降は、その他の取組状況として幾つか御紹介をさせていただきます。20ページは国税の滞納の関係でございます。
滞納については、納税者個々の実情を踏まえながら、確実な徴収に努めるという対応を行ってきたところでございますが、特に令和2年度につきましては、新型コロナ感染症の影響により納税が難しい方に対する猶予制度の適用を最優先に取り組んできたところでございます。上段にございますように、新型コロナへの影響に対応するために措置された、いわゆる特例猶予、これの適用状況でございますが、令和2年4月から令和3年2月までで約32万件、約1兆5,000億円の税額を適用しております。これはコロナ前の平成30年度の既存の猶予税額と比較すると、件数で約8倍、税額では約22倍に相当するものでございまして、納税の困難な方々に幅広く御利用いただけたものと考えております。
特例猶予の適用は、本年2月をもって終了いたしましたが、終了後もなお納付が困難な場合には、既存の猶予制度を適用することが可能でございますので、納税者個々の実情を十分に伺いながら、柔軟な対応を行っているところでございます。
また、下段の滞納整理中のものの額については、グラフで示しておりますように、平成10年度をピークに年々減少していたところでございますが、令和2年度は新型コロナの影響から、実情に配慮して抑制的な対応を行ったということもございまして、グラフの右端のとおり、22年ぶりに僅かですが増加ということになっております。
22ページに移っていただきまして、e-Taxの利用状況でございます。平成16年度からe-Taxを始めておりますが、利用率は順調に増加しておりまして、直近の令和2年度におけるe-Tax利用率は、グラフの上から見ていただきますと、法人税で86.7%、所得税について55.2%、相続税については平成元年10月から開始したものでございますが、14.4%ということになっております。
今般、政府全体でオンライン利用率引上げという方針が出ましたので、それに基づきまして、令和5年度末におけるe-Tax利用率の各数値目標を新たに設定し、法人税は90%、所得税は65%、相続税は40%を目指すこととしたところでございます。これまで添付書類のイメージデータ化や受付時間の拡大、またスマホによるe-Taxなど、利便性の向上に努めてきたところですが、もう一段、e-Taxを御利用いただけるように、さらなる利便性の向上を目指していきたいと考えております。
24ページに、令和4年度の予算要求のための資料を載せております。令和4年度の概算要求でございますが、国税庁の要求・要望総額は、令和3年度の当初予算総額に比して約3億円の増額となっております。その中で一番下、「10 酒類業振興事業経費」でございますが、これはコロナの影響を受けている酒類業に対する事業経費ということで、29億円と、前年度比約1.5倍の増額を要求しているところでございまして、新事業の支援や日本産酒類の輸出拡大等に向けた取組を一層進めていきたいと考えております。
25ページに、この4年度概算要求における酒類業振興関係の具体的な取組を説明しております。一つ目の柱として、新たな市場をつくっていく取組と、二つ目の柱として、輸出促進の取組、この二つの取組がございます。
上段にございますように、新市場創造支援事業の中の@新市場開拓支援事業費補助金、この補助金の中の4つ目のポツを見ていただきますと、コロナ禍による市場環境変化への対応といったものも支援対象に含めておりまして、酒類業のポストコロナに向けた経営改革、構造転換を促すということも行っていきたいと考えております。
また、下段の輸出促進の関係では、(2)の海外販路開拓支援の中でオンライン商談会やビジネスマッチングを支援するといったこと、資料の右側へ移動して、国際的プロモーション事業として海外に設置されていますジャパンハウス等でのPRや、日本酒等のユネスコ無形文化遺産の登録に向けた機運の醸成などに取り組むこととしております。
なお、ユネスコの登録に向けては、去る10月15日でございますが、文化審議会から日本の「伝統的酒造り」を無形文化財に登録するように答申をいただきましたので、これを期により一層酒造り技術の保護・継承に取り組んでまいりたいと考えております。
26ページにお移りいただきますと、新型コロナ拡大に伴う酒類業者への支援策として、政府として行っております地方創生臨時交付金による支援について、御紹介をさせていただければと思います。新型コロナの拡大の影響で飲食店に対する酒類の提供停止を伴う休業要請が長期化しているということで、飲食店へ酒類を納入する酒類業者の経営にも甚大な影響を及ぼしているところでございます。このような酒類業者に対しては、中小企業庁の月次支援金がございますが、これに加えて内閣府の地方創生臨時交付金を財源とした、都道府県を通じた支援策が講じられているところでございます。国税庁としては、酒類業を所管するという立場から、酒類業者に積極的に御支援をいただくよう、全ての都道府県に対して要請を行っているところでございまして、多くの都道府県において、この地方創生臨時交付金を活用した酒類業者への財政支援が行われている状況でございます。
27ページは、機構・定員の要求の関係でございます。機構関係を見ていただきますと、税務行政のデジタル・トランスフォーメーション、消費税不正還付や租税回避といった重点的に調査に取り組む事項、日本産酒類の振興、それから業務を集約化して効率化を図るための業務センター室の拡充、こういった国税庁が取り組んでいる課題の対応を行うための要求を行っております。
また、定員の関係でございますが、一定の合理化も求められているところでございますが、併せて1,209人の増員を要求しており、税務行政の困難性と歳入官庁としての重要性を踏まえて、必要な機構・定員の確保に努めているところでございます。
最後になりますが、29ページにお移りいただきますと、国税庁では、ここにございますように20年ぶりに組織理念を見直しまして、今年の4月に新たな組織理念を作成いたしました。税務行政を取り巻く環境が大きく変化する中で、時代の要請に応えて、納税者の信頼を得て、使命感を胸に挑戦を続けることで、国税庁の使命を引き続き果たしていくことができるよう、新しい組織理念の下で努力してまいりたいと思っております。
すみません。長くなりましたが、私からの説明は以上でございます。
会長
ただいま、事務局から御説明いただいた税務行政の現状と課題につきまして、御質問、あるいは御意見を承りたいと存じます。
御発言のある方は、画面越しではありますけれども、挙手をお願いしたいと存じます。
それでは、中空委員から御発言があるようですので、お願いをいたします。
中空委員
ありがとうございます。御説明ありがとうございました。
幾つか質問と意見を言わせていただきたいと思います。大して量はありませんが、それでも項目としては四つあります。
一つ目ですが、これはお願いと言えるかもしれません。ページで、これから様々なインターフェースの工夫をしますというお話があったと思います。例えばシミュレーションが簡単にできること、また、あくまでもシミュレーションですよとわかるようにしていただきたいと思います。1回入れてしまったデータは全て国税庁のほうに行っちゃうのではないかというような、そういう抵抗感、ハードルって意外と高いと思うのです。そのため、シミュレーションができますよというようなことをちゃんと書いていただくということです。あるいは1回、e-Taxを使った人の場合は、必要な税を払わなきゃいけないときに、「納税しましたか」というようなことを送ってもらえるとか、納税の意識を高めたり、その雰囲気をフレンドリーなものにするようなインターフェースの工夫というのも必要なんじゃないかなと思います。これが一つ目の、どちらかというと要望です。
二つ目ですが、先ほどいろいろな原本につき、1回スキャナに読み込んで、読み込んだら破棄していいという御説明がどこかであったかと思うんですが、それは、例えばもう1回、こちら納税した者から見たいとなったときには、ライブラリーとか、クラウドにあって、見にいけるという機能があるんでしょうか。破棄していいというのは喜ばしいんですが、破棄したらもう見られなくなってしまうのかどうかというのをちょっとお聞きしたいと思いました。これは質問です。
3点目についてですが、22ページ、e-Tax利用状況というのを上げていきますよという目標を掲げていただきました。これは非常にいいことだと思うんですが、併せてどれくらいの効果、例えばここに携わってきた人の人員が減るとか、そういう効率性みたいなものが目に見えていくといいと思うんですね。そういった目標も併せて出してほしいと思います。その辺についての何か御見解があればお聞かせ願いたい。これが三つ目です。
最後、四つ目ですけれども、これは酒類のところです。私はお酒が大好きなので、どんどん売り、どんどんみんながお酒を飲んでほしいと思う一方、最近はESGの流れが強くなっていて、ヘルシーな飲酒、責任ある飲酒、どちらかというとノンアルコールにシフトしていくなど、健康志向が強まっているかと思います。この文言とかに別に文句はないですけれども、酒類を売るからといって、そういった風潮や流れについて配慮がないようじゃ困ると思います。そういう世の中になっていることは分かっているという、こういった文言を差し込む必要があるのではないでしょうか、ということです。私はお酒が大好きだし、振興したいと思っているんでくれぐれも文句があるわけではないのですけれども、世の中の流れについて考えを取り入れてはどうか、という意見です。
以上、四つ申し上げました。以上です。ありがとうございます。
会長
ありがとうございました。
それでは今の御発言につきまして、国税庁のほうから何かレスポンスをお願いします。
総務課長
幾つかございまして、e-Taxの話、電子帳簿保存法のスキャナ保存の話、お酒の話等ございましたので、私のほうからはe-Taxによる効率化の点についてお話しさせていただければと思います。
e-Taxなどを使って効率的な税務行政を行っていくことは、納税者にとってもメリットがありますし、私どもにとっても情報をデータでいただくということで、事務の効率化にも資するものです。私どもとしては、今私どもの調査・徴収事務を見ますと、実際に実地調査に行ける割合というのが非常に下がっているというところもございまして、事務の効率化を行うことによって、調査・徴収事務に人員をシフトしていくことで、より重点的に、効率的に調査・徴収事務を行っていくことを目指しているところです。
そういう意味で、このところだけで効率化の効果を示すことは難しいのですが、e-Taxなどによる効率化に取り組んだ上で、税務行政全体として我々が課税・徴収という本来のその目的にしっかり取り組んでいけるように人員をシフトさせていきたいと考えているところでございます。
私から1点目でございます。
お酒の関係は、郷課長からお願いできますか。
酒税課長
酒税課長の郷でございます。
4点目、御指摘いただいた件でございます。適正飲酒といいますか、アルコール健康障害対策というのは、我々も重大な課題だと考えています。全体といたしましては、ちょうど今年度アルコール健康障害対策推進基本計画、これが改定をされまして、これに基づいて新たな取組を進めており、例えばアルコールの純アルコール量、それを酒類の容器に表示してはどうかと、今まで何%という形でしたが、「この缶の中に何グラム入っています」というところをしてはどうかといったような議論も出ております。
当然、我々は適正飲酒というのはそもそもの前提としてございますので、そこは気をつけてやっていきたいと思いますし、具体の事業の中においても、その点は十分配慮して進めてまいりたいと考えています。
以上です。
中空委員
ありがとうございます。17ページにあった、スキャンした後の、破棄していいというものについてのライブラリーなどの機能があるかないか、についてはどうでしょうか。
課税部長
これにつきまして、課税部長の星屋でございますが、私からお答えさせていただきます。
そもそもこのスキャナ保存制度は、請求書等を保存する納税者の側が税務調査等で対応できるように紙で保存する義務がもともとあるのですが、それをスキャナで読み取った場合には、スキャンデータで保存してもいいという制度であります。スキャンした場合には、そのスキャナはもとよりデータ自体も納税者の側にあり、それを納税者の側で提示できるような状態にする必要がありますので、見れる、見れないという点は、納税者の側で見れることが前提になっております。税務署が調査に来た場合には、それを提示できるような状態に常にしておかなければなりませんので、そういった形で保存していただくということでございます。
よろしいでしょうか。
中空委員
企画課長
国税庁の企画課長をしております田島と申します。
最初のほうに御要望ということでお話しされた、電子申告をするに当たってシステムの中にデータを入力したときに、まだ電子申告が送信されていないと、シミュレーションですよというのが分かったほうがいいという御要望があったと思います。このような御要望については、今おっしゃられた御要望以外にも様々な御要望をいただいております。それについてはなるべく便利に、電子申告をする過程において納税者の方が困ったなと思われないように、工夫していきたいと思っております。そういう意味で、今後さらに利便性向上のために改善していこうと思っております。
それからもう一つ、申告をお送りされた後、「納税しましたか」といったようなメッセージを出したらいいのではないか、それをやっていただきたいという趣旨の御発言があったと思います。これについても、納税をしっかり分かるように工夫するということは今後考えていきたいと思っております。
以上でございます。
会長
ありがとうございました。
それでは、川嶋委員から御発言をいただきます。
川嶋委員
御説明ありがとうございました。2点教えていただければありがたいです。
一つは、税務手続のデジタル・トランスフォーメーションの関係なんですが、周囲には、やっぱり国とか都税とかを含む地方税との整理がついていない人が結構いますので、そのインターフェースを使うときには地方税との連携、自治体との連携をどうしていくかということも鍵になると思うんですけれども、そういったことについてどのようにお考えで、どう進めていく御予定なのか教えていただければと思います。
あと、AIのデータ分析の活用なんですけれども、滞納者の状況に応じた判別というのは一見自治体でも進んでいるところもあるようで、電話の督促なんかはいいと思うんですが、申告漏れリスクの高い納税者の判定というのは、かなり個人情報に関わるところで、センシティブな内容なのかなという印象を持ちました。それを、今は多分構想中だと思うんですが、具体的に進める場合はどういった制度設計、例えば法律とか、その情報漏れの防止とか、そういったことも含めてどういう制度を考えていらっしゃるのかを、もうちょっと詳しく教えていただけると助かります。
以上です。
会長
川嶋委員、ありがとうございました。
それでは、国税庁のほうからお願いいたします。
企画課長
国税庁の企画課長の田島でございます。初めの国税庁と地方自治体との確定申告はじめ税務手続の連携についてでございます。現状、e-Tax、それから地方公共団体の電子申告のeLTAXの二つに分かれているわけですが、なるべく税務手続が国税と地方税で手間がかからないようにするという観点から、例えば国税の所得税の確定申告のデータについては地方税当局にデータで連携することで、大半の方は住民税の申告は要らないという状況になったり、データを活用できたりするというような取組は現状でも行われております。
また、給与の源泉徴収関係の情報については、地方税のeLTAXにデータを送っていただくと、地方税当局だけでなく国税当局にも一括で申告の納付データを送れるというような、そういう連携を行ったりしているところでございます。
今後についてですが、これだけではなく様々なところでより一層、国税に関するデータが地方税に行ったり、逆に地方税のデータを国税庁のほうで利用するというような連携の取組を一層進めていきたいと考えているところでございます。
以上でございます。
課税部長
課税部長でございます。
申告漏れの判定を、AIを用いてどうやってやるのか、これについてどういう制度的なものを考えているのかという御質問でございますが、実は、これは今でもデジタルじゃなくアナログでやっているものをデジタル化、データ化するということでございまして、この8ページの資料を御覧いただくと分かるんですけれども、申告書の情報とか決算書の情報とか資料の情報とか、既に我々はいろんな情報を、これは法律上の権限に基づいて持っている情報がございます。これを今現在はアナログ的に、あるいは職員の経験と勘でいろいろな観点から、どういう納税者が申告漏れの可能性が高いのかというのを分析してやっているんですけれども、これを統計的な分析手法とか、モデルを用いて、そういったシステムを使って高度化して、より効率的にこういった判定作業をしようということでございます。特に何か新たな法律上の仕組みなどが必要とは考えてございませんで、現行の法体系の中でできるというように考えてございます。
会長
それでは、手島委員から御発言をいただきたいと思います。
手島委員
はい、ありがとうございます。手島麻記子です。よろしくお願いいたします。
酒類関係についてなんですけれども、今月中旬に文化審議会が伝統的酒造りを登録無形文化財へとするよう文部科学省へ答申され、それが近く正式登録されるという大変うれしいニュースがあり、冒頭の長官の御挨拶にも、これに対して国税庁としては文化庁との連携をされていくというお話がありました。また、今日の資料の25ページのところに、このニュースに対してユネスコ登録へ向けた大きな一歩であると思いますので、ユネスコ登録の機運醸成に向けても、その取組をされていくということだったんですけれども、酒類関係業界自体が、このコロナで大変な大きな打撃を受けていまして、こういう大変前向きなニュースというのが非常に少なかった中で、今回のこの件をそういったことの何か大きな起爆剤に是非していただきたいという希望があり、具体的に今後の文化庁との連携であるとか、ユネスコの無形文化遺産登録へ向けたその取組というのを、国税庁としてどんなことを今お考えなのか、そのあたりを是非教えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
会長
ありがとうございました。
それでは国税庁から、よろしくお願いします。
酒税課長
改めまして、酒税課長の郷でございます。
ユネスコ登録に向けた機運醸成ということで、今具体的に決まっております、やろうと思っております事業は大きく二つございます。一つは、日本の伝統的な酒造りというのはどういうものかということをPRするような動画といいますか、映像コンテンツをつくって配信をしていきたいと思っております。それも含めて活用いたしまして、来年の2月26日の土曜日でございますが、国立科学博物館、上野の博物館におきまして、文化庁、国立科学博物館等との共催におきまして、伝統的酒造りに関するシンポジウムを開いていきたいと考えています。これを一つの皮切りといたしまして、全国でそういった同種のシンポジウムを開くなりして、積極的にPR活動をしてまいりたいと考えております。
一方、ユネスコの登録に関しましては、日本から何を提案するかということは、これは文化庁の審議会でお決めになることと理解しております。そちらの審議において、専門的なサポート等について文化庁から要請があれば、我々としても引き続き積極的に協力してまいりたいと考えております。
以上でございます。
手島委員
ありがとうございます。2つの予定されている取組の内容を理解いたしました。今後、考えていかれる中で、無形文化遺産に登録されるということの機運が実際に酒類業界全体を動かすような酒類の消費につながっていくような形の取組などということも、今後もし検討していただけるような余地があるのであれば、是非お願いしたいと考えます。
酒税課長
ありがとうございます。ユネスコに関しましては、我々は1点、気をつけておりますのは、あまり商売主義に走ってしまうと、ユネスコの事務局のほうからちょっと敬遠されるところがございますので、そこは気をつけながらやっていきたいと思っております。このユネスコの登録に向けては、酒類業界、酒造メーカーを中心といたしまして、その技術の技の保存会というものが今年の4月に立ち上がっております。そういう酒造業界自ら積極的に動いて、その一つの宣伝文句というとユネスコから怒られるかもしれませんが、一つの認知度を高めるコンテンツとして、ユネスコというものを訴えていければいいなと思っております。
以上でございます。
手島委員
会長
ありがとうございました。
それでは、神津委員、御発言いただけますでしょうか。
神津委員
はい、了解しました。税理士会の神津でございます。
今回、税務行政のデジタル・トランスフォーメーションということを中心として、本会合が持たれているわけでございますけれども、何度か国税庁の御講評の中に、日本税理士会連合会等の民間団体の御協力によりというお言葉を頂戴しました。我々の取組を少し御紹介したいと思いますけれども、まず適格請求書等保存方式、いわゆるインボイス方式でございます。令和5年10月ということで、まだまだ先のような気もしますけれども、あっという間に来てしまうということでございまして、令和5年10月から適用するには、原則、令和5年3月末までに登録申請が必要というようなことで今、取組を強めております。
これは、今の中小事業者の実情を見ると、かなりしんどい大変なことだと感じております。現状の請求書、領収書等で大体代用できるというように思いますが、そこに番号を加えるとか、いわゆる免税事業者等が課税事業者になるかどうかの判断とか、大変なことでございますけれども、我々は一生懸命それをクリアすべく、対応しております。
その一つとして、電子インボイス推進協議会、いわゆるEIPAという民間団体がございますが、これを中心として検討が進められている電子インボイスについて、零細企業まで使える簡易で安価なシステムとなるよう、我々もそこに参加することによって、中小企業全体が日本のデジタル化を引っ張れるような方向性を目指していくということで、我々もこれから頑張っていく所存でございます。
もう一つ、電子帳簿保存法の見直しが行われました。これも現状を追認するというか、今我々がやっているようなことがそのまま認められるというような、分かりやすく言えばそういうことでございまして、具体的に言うと、税務署長の承認をなくすとか、簡略化されたということでございます。これを一つ一つの企業に適用して実績を高めていくのも、またかなりしんどいことだな、ハードルが高いなとも思いますけれども、これもやはり税理士会が中心となってやっていかなければならないので、一生懸命やっていく予定でございます。
それから資料の22ページ、e-Taxの令和5年度までの目標数値が出ております。法人税90%、所得税65%、それから相続税が40%という目標数値が出ておりますけれども、この目標数値については確実にクリアできるのではないかと思っております。さらに、この目標達成について、最終的にはほぼ100%となることを目指しておりますが、できるだけ早期に達成したいということでございます。
それから、相続税についてはもうちょっと目標数値が高くてもいいのかなというような気がしておりますが、ハードルは低いほうが超えやすいので、これはこれで変えていただく必要はないんですけれども、さほど時間を要せずクリアできるのではないかなというふうに思います。このe-Taxの利用状況の進捗度合いが、電子行政というか、デジタル・トランスフォーメーションの税務行政版を実現するのに一番分かりやすい結果だと思いますので、我々も一生懸命推進していくということでございます。
ここにせっかく各有識者、委員の方がおそろいなので、税理士会は来年の3月を目標に、税理士法改正を目指しております。その一番の肝は、税理士の業務のデジタル化を法文で捉えようというようなところを肝としてやっていくということを、皆様にお知らせをしておきたいなと思います。
以上でございます。ありがとうございました。
会長
ありがとうございました。
ただいまの御発言について、国税庁のほうから何かございますでしょうか。
課税部長
課税部長の星屋です。神津会長、ありがとうございます。
インボイスの登録事務が今始まっておりまして、順調に推移していると思っておりますが、今後、令和5年に向けて着実に準備を進めていくためには、税理士会の皆様の御協力が不可欠と思っておりますので、引き続きよろしくお願いしたいと思いますし、電子インボイスにつきましても、これは全体のデジタル化に大変有用なツールだと思っておりますので、是非よろしくお願いしたいと思います。
それから電子帳簿保存法につきましても、簡略なやり方も認めたということで、これは中小企業にもハードルを低くして、やりやすくという面もございますので、そちらの面につきましても、税理士会の皆様の御指導をよろしくお願いをしたいと思います。
それから、e-Taxがデジタル化、DXの鍵だというのもおっしゃるとおりであると思いますので、e-Taxの更なる引上げにつきましても御協力をお願いしたいと思います。
以上でございます。
会長
ありがとうございました。
そろそろ予定の時間が近づいているわけですが、ほかに何か御発言の御希望はございますでしょうか。
ありがとうございました。それでは、このあたりで質疑応答は終了とさせていただきたいと思います。
本日の議題は以上になりますが、事務局のほうから、ほかに何かございますか。
何もないようですので、本日の審議を終了することといたします。
これをもちまして第23回国税審議会を閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。
――了――