1. 日時

平成16年11月10日(水) 10:00〜12:00

2. 場所

国税庁第二会議室

3. 出席者

  • (懇談会メンバー)
    • 井岸松根、岡本勝、奥村洋彦、須磨佳津江、田嶼尚子、田中利見、寺沢利雄、御船美智子、矢島正見(敬称略)
  • (国税庁)
    • 岡本審議官、小鞠酒税課長、浜田鑑定企画官、亀井酒税企画官、初谷、井澤、前田、土屋、永田、(以上酒税課課長補佐)、竜崎企画専門官

4. 議事概要

前回に引き続き、平成16年2月24日(第11回)以降再開された懇談会におけるこれまでの論点の整理について、意見交換が行われた。概要は次のとおり。

  • ○ 清酒に含まれる成分には、抗がんやボケ防止に効果があるといわれているとのことであるが、夢のあるいい話である。
  • ○ 酒類(純アルコール換算)の摂取量の限界など適正飲酒に関する知識を習得させることも必要である。
  • ○ 飲酒に関することだけでなく青少年の健康が問題となっている。例えば小児に関しては、肥満割合が約10%、そのうち数%が生活習慣病であることから、健康教育が重要。給食を通した食育を行うことは効果が高いと考えられるため、その中で飲酒教育も行えばよい。
  • ○ 未成年者飲酒禁止は、関係団体が個別に問題に取り組むのではなく、一つにまとまって、適正飲酒・適正販売に関する活動を行ったらよい。
  • ○ 未成年者飲酒防止のために、積極的な取組を行っている販売業者に対して表彰制度を設けてはどうか。
  • ○ 未成年者飲酒防止に関しては、ただ知識を押し付けるのではなく、自然に意識を身につけさせるようにしないと効果は薄い。ただ法律で決まっているから飲んではいけない、ということではなく、健康に悪影響を与えるから法律で規制しているという考えを浸透させるべき。
  • ○ パンフレットの配布は学校だけでなく、地域を巻き込むのが良いのではないか。学校で子供にあらかじめ飲酒教育をしておけば、子供が知っていると言うことで各地域にもスムーズに浸透し、より効果的である。
  • ○ 未成年者飲酒防止の観点からは、缶チューハイなどの酒税の税率を高くすれば効果があるのではないか。
  • ○ 未成年者飲酒防止のアプローチの方法については、対象とする年齢を分けて行う必要がある。高校生・大学生にはポスターを見るだけでは効果はない。どこで、どんな時間帯に、何を飲んでいるかなどを調べてアプローチすべき。
  • ○ コンビニなどでは、年齢確認を徹底する必要がある。酒類の価格に問題があるのであれば税率を上げるのも一つの手である。
  • ○ 未成年飲酒に対する年齢確認については、ポスター等による啓発は行っているが、実際に行われているかどうかについては疑問。年齢確認の状況について実態調査を行う必要があるのではないか。
  • ○ 年齢確認については、現場ではどうなっているのか議論があったが、これは重要なポイント。国税庁において、予算をとって委託調査をすることはできるのか。
    ⇒ 実態確認をするにしても、どうやって確認するか難しい。「年齢確認していますか」と聞いても、「しています」と答えられればそれまで。どのような確認方法が適当であるか、検討する必要がある。
  • ○ 総務省の調査は中高生を対象に行っているが、酒類を購入した時に店又はその周りの人から注意されたことがあると回答した子供はほとんどいなかった。
  • ○ 未成年者の飲酒を防止するためには、「酒類を購入する場合に20歳以上であることを証明する必要がある」旨の表示を行うべき。年齢を証明できるものがないと、酒類を購入できない仕組みとすべき。現状は、勇気のある店主だけが年齢確認を行っているだけである。
  • ○ ポスターは、「未成年者の飲酒は法律で禁止されています」ではなく「未成年者が酒類を購入する際には年齢確認が必要です」等の方がよいのではないか。
  • ○ 購入する際に、子供の心理にどれだけプレッシャーを与えられるかがポイント。酒類については、大人を通さないと買えない仕組みが必要である。
  • ○ 酒類はレジの後ろだけにしか置けないような仕組みはできないか。
  • ○ 酒類を購入する際には、年齢確認のIDを提示することが当たり前になるような仕組みができればよい。
  • ○ 国税庁で、酒に関する作文コンクールを開催したらよいのではないか。作文は自ら考えて書く必要があり、考えさせる方策として有効である。そうすれば、学校の生徒は作文を書くためにパンフレットを熟読するし、庁の姿勢も明確に伝わる。また、作文コンクールを冊子にすると子供が読むことから、大人が上から言うよりも効果がある。
  • ○ 公正取引委員会が所掌する不正行為については、断固たる措置を行う必要があるが、安い酒が飲まれることについては、経済行為の一つであるから、これを規制することは難しい。品質を向上させるには、産地やブランド等で基準を定めて競争させればよいのではないか。ただ酔いさえすればいい人には、適正飲酒の観点から指導していけばよく、購買を規制することは難しい。
  • ○ 公正取引の検討内容の中にある「行き過ぎた価格競争は品質低下を招き、品質低下した酒は売れない」という記述について、今は安い酒が売れる傾向にあるだけで、品質劣化等の品質低下はないのであるから、表現方法に問題がある。
  • ○ 低価格と品質低下は別問題。どちらかといえば、個人の味覚の話であり、味覚についてはこの懇談会の議論の対象ではない。ある程度安くて味もまあまあなら飲まれるということではないのか。
  • ○ 低価格酒と品質低下について、扱いをはっきりさせる必要がある。両者の因果関係について、論理的、定量的に整理していくことが必要。
  • ○ 伝統文化を維持する観点からは、品質のよい酒類については税率を引き下げてもよいのではないか。
  • ○ 公序良俗の観点から、美術館、図書館等の公共性の高い場所での飲酒を禁止する必要もあるのではないか。これには法律の規定がなくても、美術館等の各施設の管理者で十分行えると考える。
  • ○ 年齢確認を行う際の対象年齢については、アメリカでは飲酒禁止年齢である 21歳ではなく30歳ぐらいまでである。我が国でも年齢確認の対象とする基準や仕組みをしっかりと作る必要があるのではないか。
  • ○ ヨーロッパでの調査では、酒類を売る時間と場所について規制があるようだが、日本の場合には、酒類の販売について時間及び場所の制限はないのか。
    ⇒ 高速道路のような、飲酒場所としてなじまない場所に対しては、販売しないように指導している。また、学校や病院周辺にある販売場には重点的な指導を行っている。
  • ○ 夜間販売等の規制について、外国の調査事例では皆規制をしている。
     日本では以前から規制がなかったが、免許を受けた一般酒販店は夜間販売をしておらず、実質上バインドされていた。しかし、免許が比較的に自由になりスーパー、コンビニなどが酒類の販売を全国展開していくなかで状況は変わり、今まで規制していなかった販売時間だけを今さら規制することもできず、いわばエアポケットになってしまったのではないか。
     真夜中に酒を売るということを規制する点については、規制されていなかったことがエアポケットであるとすれば、それほど反対論議は出ないのではないか。
  • ○ 夜間販売禁止は未成年飲酒問題の面だけではない。20歳以上の人も含め問題がある。
    ⇒ 大人も含め、全ての人が買えないようにするのか、それとも、深夜の未成年飲酒を強化するのかという検討が必要である。
  • ○ アメリカでの規制は、営業時間については19世紀より、また場所については植民地時代より存在しており、あまり違和感なく受け入れられている。したがって、これまでそのような規制のない日本で新たに規制する場合には反発が予想される。
  • ○ ヨーロッパの規制は弾力的に運用されており、杓子定規に規制を行っているところは少ない。
  • ○ 海外の事例に関しては、時間と場所の問題のほかに、広告規制についても取り上げる必要がある。
  • ○ 食事と一緒に楽しむということが必要。外国では伝統的に農産物的をベースとして発酵技術を楽しむといった側面があり、日本でもそのようになればよいと思う。

(注) ○はメンバーからの意見等であり、⇒は事務局からの回答である。