日時: 平成16年6月22日 15:00〜17:20
場所: 国税庁第一会議室
出席者:
懇談会メンバー | 奥村 洋彦 座長 | |
田中 利見 座長代理 | ||
跡田 直澄 | ||
岡本 勝 | ||
須磨佳津江 | ||
田嶼 尚子 | ||
寺沢 利雄 | ||
本間千枝子 | ||
水谷 研治 | ||
御船美智子 | ||
矢島 正見 | ||
説明者 国税庁 | 村上次長 | |
寺内酒税課長 | ||
濱田鑑定企画官 | ||
若尾酒税企画官 | ||
初谷酒税課課長補佐 | ||
小森酒税課課長補佐 | ||
本宮酒税課課長補佐 | ||
前田酒税課課長補佐 |
奥村座長
それでは、開催させていただきます。
本日は第19回目の酒類販売業等に関する懇談会でございますが、本日は酒類にかかわる製造業の4団体の方からお話を承らせていただくことになっております。
会の進め方でございますが、4団体の方から重要な役職におられます11名の方に御参加いただいており、貴重な時間でございますので、次のように進めさせていただきたいと思います。
最初に、それぞれの組合、団体の方から資料に基づきまして、本日の主題であります社会的な要請に対する対応を除いて、業界の現状と課題についてお話をいただきます。委員の先生方から、その報告にかかわる質問がございましたら御質疑いただきまして、その後の第2のセッションで、それぞれの団体組合の方から社会的要請への対応状況だけをお話しいただくという2つのセッションに分けた進行をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
各団体、組合から御参加いただいている方々の御氏名等は、皆様方の机上に配付いただいておりますので御参照ください。
最初に、日本酒造組合中央会の会長でいらっしゃいます辰馬様から、現状と課題をお話しいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
辰馬会長
ただいま御指名ちょうだいいたしました日本酒造組合中央会の会長でございます辰馬と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
実は私、先日の6月6日に新しく会長のバトンを受け継いだばかりでございます。おいしいお酒は新米がいいんですけれども、会長の新米はいささか熟成が足りないかと思いますが、よろしく御鞭撻のほどお願いを申し上げます。
それでは、資料に沿いまして、現状と課題につきまして御説明を申し上げます。
1ページは、日本酒造組合中央会の現況でございます。組合員2,216、うち清酒製造業は1,928でございまして、今日は主に清酒の話をさせていただきます。それから会員は47、都道府県単位の酒造組合28と酒造組合連合会19という構成でございます。設立は昭和28年でございますので、ことし51歳になりました。組織は御覧のとおりでございますが、今後この組織は少し変更をするということを考えております。
2ページでございます。まず、これは余り申し上げたくないのですけれども、残念ながら需要は大幅に減少しております。数量で申しまして、昭和48年度のピークから比べて47.9%、半分以下というのが現状でございます。平均いたしまして、対前年5%程度の減少がずっと続いてきているということでございまして、石で申し上げますと最高は974万7,000石でございましたが、昨年度(平成15年度)は465万9,000石という数字でございます。シェアでございますが、アルコール飲料の中で1割を下回って、平成15年度が8.8%、つまり9%台も割り込んだというふうな現状でございます。年度ごとの推移は御覧のとおりでございます。平成12年度に1割を切ったという経過でございます。世界的に見ましても、日本の独自の酒という位置づけのされている酒では、突出してシェアが低いということで大変残念に思っております。世界の民族酒に関してみて見ますと、ワインはフランス57.6%、イタリア62.6%、スペイン30.9%、ドイツに至ってはビールで81.1%という大きなシェアを持っております。その中で、日本では10%を割っているということが現状でございます。したがって、企業経営も非常に厳しい状態でございまして、企業数もおよそ半減をいたしているというのが実情でございます。営業はいたしておりましても、酒造業ではなくて、不動産を活用した不動産業、不動産賃貸業というふうな業態転換が行われて事業が継続されているという状況でございます。内容的にも、非常に苦しい状況で、中央会が保証いたしております信用保証事業も代位弁済事案が随分増えているというのが実情でございます。金融機関からもかなりマークをされているところもあるという実情もございます。
それから3ページ以降は、その推移をグラフにさせていただきました。お目通しをいただければと思いますが、4ページの酒類課税数量の推移(2)のグラフでは、平成15年度にしょうちゅう(甲・乙)と清酒のラインが交差をいたしました。しょうちゅうの方が上回ったということでございます。5ページは、今申しました欠損及び低収益企業数の推移の状況でございますので、お目通しを賜れば幸いかと思います。
若干コメントをさせていただきたいと存じますけれども、日本酒に限らずアルコール飲料というのは、非常に必需品に近い嗜好品であろうというふうにとらえております。したがって、ムードとか心理に非常に大きく影響される飲み物であろうと思います。非常に物があふれている現在、時代時代には流行があります。トレンドがございまして、何か価値を認めるものにはお金をつぎ込んでいくということが今目立つわけですけれども、そのトレンドが、健康ということに非常にシフトしてきていると感じております。
概して、酒類に関しましては控え目でございまして、ほぼお客様の胃袋は、アルコール飲料はいっぱいになっているようで、他のいろいろな嗜好とかコミュニケーション手段が多様化してまいりました。脱アルコール現象、非飲酒率も一方では高まっており、ノンアル化現象も起こっているということで、全体として大きな伸びは余りないという推移でございます。そういう酒類が飽和に近い中で、またより多様化してきております。外国物も含めて多様化してきているというわけでございまして、その中で日本酒を口にしていただく方が、じりじりと少なくなってきております。先ほど御説明申しましたような実態でありまして、特に酒税の貢献率が6%台ぐらいまでになっております。国酒として、国への財源的な貢献度が非常に低いということを非常に心苦しく思う次第でございます。
ただ、逆に言えば、450万石の方がまだ日本酒大好き人間であろうというふうに思っておりまして、ずっと絞られて、日本酒大好きな人だけが残ってこのぐらいになったというふうに我々はとらえております。この450万石を支える皆さんには大変ありがたく思っているわけでございます。
こうなったのには複合要素があるというふうに思います。食生活の変化、あるいはファーストフード化、早く酔って早くさめる、そういうふうな、早く便利な世の中になりました。それから自己中心社会、マイペースで飲む、差しつ差されつのやりとりを嫌うという風潮でございます。それからさっきも申しましたように付和雷同的な健康志向によって、「酒はうまい、日本酒はうまいんやけども明日がちょっとしんどい。健康から言えばしょうちゅうだな」というふうな言い方が非常に多く聞かれるわけでございます。ただ、健康だけがひとり歩きするのは、非常に危険な状態ではないかなというふうにとらえております。体にいいからじゃんじゃん飲みましょうというふうな言い方は控えなければいけないのではないかと思っております。
それから、大きく変わっておりますのが流通の形態でございまして、小売屋さんの大型化、DS化、コンビニエンス化、非常にパワーの強いスーパー、大型店が外資も含めまして、アルコール飲料も食品の一部のような感覚で売っておられます。一括納入、しかも納入条件が非常に厳しいということで、卸の方々の機能競争が非常に激烈化しております。全国流通網を持っているところがどんどんシェアを高くしている。これがメーカーに非常に強い影響力を及ぼしているというのが現状でございます。そして日本酒にとって不幸なことに、そのサービスが価格だけに集中してしまうという現象でございます。いろいろな条件で価格志向だけがありまして、それに外れたところは棚からおろされていきます。がんばって店に納入しても、何カ月か売れ残ったら、もうすぐそれが外されてしまうのです。1年かけて造る酒が、何カ月かでもう、すぐ外されるということで、本当にお酒を育てていただけるお店がだんだん少なくなってきたということもあろうと思います。そして、行き過ぎた価格競争は品質低下を招きます。悪い循環、スパイラルが生まれるということでございまして、やはりこれからは、価格訴求を目玉にするところから、魅力ある品揃えと、情報発信でお客さんを集める、そういうお店というのがもっともっと生まれて欲しいなというふうに期待をいたしている次第でございます。やはり造り手と売り手の顔が見える、そういうふうな流通形態が、日本酒の本来性というものにフィットするのではないかと考えております。流通問題、それから飲食店のケアの問題、メニュー価格の高さ、あるいは正しい情報の発信が不足すると、誤った風説がまかり通っているということでございます。これは我々の反省点でございます。我々も結構発信はしているんですけれども、専門的な、何かメーカーのひとりよがりな技術的な自己満足に陥っているところもなきにしもあらずでございまして、正しい情報を、分かりやすくいかに消費者に伝えるかというところでは、我々、これから強化していかなければならないのではないかというふうに考える次第でございます。
今後の方向としては、やはり消費者の視点に立った需要開発を主体にしてまいりたいと考えております。もう少し、各蔵元の持っている技術力とか商品力とかいろいろな力がありますが、日本の国の伝統ある酒としての文化力を引っ張り出す、そういう方向で私たちは、地域密着型の地場産業の集まりでございますので、地域に連動した形で消費者と直接、フェイス・トゥ・フェイスでいろいろ対話ができる、あるいはイベント、あるいはセミナー、そういうふうな形でアピールしていく必要があるのではないかということで、6ページにありますような宣言を、この総会で出しました。一々読みますと時間がかかりますので、後ほど、ぜひお目通していただきたいと思います。日本酒で乾杯運動等推進していこうということでございます。
以上、問題点と、課題と対応について述べさせていただきました。ありがとうございました。
奥村座長
どうもありがとうございました。
いろいろお教えいただきたいことも、委員の先生方はおありだと思いますが、4つの組合、団体の方がすべて終わられた後、一括して御質疑いただきたいと思います。
それでは、続きまして、日本蒸留酒酒造組合の後藤委員長、それから草部専務理事に御出席いただいていますので、よろしくお願いいたします。
草部専務理事
蒸留酒組合の専務理事の草部でございます。よろしくお願いします。
資料の表紙をめくっていただきますと、蒸留酒業界の現状と課題についてでございます。
1の組合の設立というところにございますように、昭和47年、焼酎甲類の業界と合成清酒の業界、この2つの業界が合体しまして、現在の日本蒸留酒酒造組合という形の組合を設立いたしました。したがいまして、2の組合の構成員は、焼酎甲類、または合成清酒の製造者ということになります。組合員数は79社でございますが、会社の規模は様々でございまして、この中には、いわゆる総合酒類メーカーと呼ばれる大手企業も何社か含まれております。4の組織図でございますが、ここでは、理事会を頂点としました委員会、あるいは小委員会が配置されてございます。この委員会の組織につきましては、昨年春に、大幅な見直しを行っております。蒸留酒組合内部の話で恐縮でございますが、これまでは名前だけの委員会、あるいは全く活動していない委員会もございました。また、各委員会の中身、あるいは名称につきましても、実態をあらわしていないものがございました。そういうことで、組織の見直し、あるいは再編成ということで、委員会の数を、これまでの17から11に削減してスリム化を図ると同時に、実態に即した名称にいたしました。したがいまして、ここにあります委員会等につきましては、このそれぞれの名称から、活動状況を御判断いただけるものと思っております。
なお、この理事会は28名の理事で構成されております。年間7回の理事会、あるいは総会を開催しております。
次に、焼酎甲類及び合成清酒の課税移出数量の推移という折れ線グラフがございますが、直近の右端の平成15年度を見ていただきますと、焼酎甲類が43万1,000キロリットル、合成清酒が6万4,000キロリットルになってございます。時系列的に、昭和55年度から平成15年度までの過去の推移を振り返ってみますと、焼酎甲類につきましては、かなりのでこぼこがございます。この理由としましては、酒税の増税が反映されているものと理解しております。平成元年の大幅増税の後、平成6年、9年、10年と、3回の増税がございました。増税のときには、それぞれの時期におきまして、増税の前後において買いだめ、あるいは買い控えという現象があらわれているのではないかと考えております。毎年6月の梅の実の収穫時期には35度の焼酎甲類の需要が伸びております。今年も全国各地で手づくりの梅酒をお楽しみいただいているものと期待しております。
合成清酒というお酒は、第1次世界大戦後の米不足の時代に、米を使用しないで清酒に似たお酒をつくろうということで、ビタミンB1の発見者でございます鈴木梅太郎先生が考案されたお酒でございます。その後もいろいろと改良を加えて、第2次世界大戦の後も需要が伸びていたわけでございますが、昭和35年ごろをピークといたしまして、減少いたしました。この合成清酒メーカーの約9割は中小企業で占めておりますが、それぞれ地道な営業活動を続けております。平成15年度には、6万4,000キロリットルにまで回復しております。
最後になりますが、課題ということで、焼酎甲類につきましては公正取引の確保が重要でございます。酒類市場の乱れ、あるいは安売り合戦、こういったことが未成年者の飲酒問題、あるいは国民の健康問題にも発展しかねない重大な要素を含んでいるという認識から、焼酎甲類につきましては、公正取引の確保ということを蒸留酒業界における最重要課題と位置づけてその実現に向けて取り組んでおります。
また、合成清酒につきましては、何分、分母が6万4,000キロリットルと、小さいことでもありますので、ここは、需要の拡大ということを第一の課題といたしております。
以上、簡単ではございますが、蒸留酒業界の現状と課題の説明を終わります。
奥村座長
ありがとうございました。
それでは、3番目に、ビール酒造組合の山崎様、中村様からお願いいたします。
中村専務理事
ビール酒造組合専務理事の中村と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
では、お手元に用意させていただいております資料に基づきまして、御説明を進めさせていただきたいと思います。
まず、ビール酒造組合は、昭和28年、日本酒造組合とほぼ同時期に設立がされて、今年51年目を迎えております。構成員は、日本国内においてビールを製造する、酒類製造業者ということでございますが、現在、沖縄のオリオン社を含めて構成組合員数は5社ということになっております。国税庁の「酒のしおり」には、いわゆる地ビール会社が現在全国で230社強あるというふうに書いてございますけれども、今のところ地ビール会社は1社も、この組合に入っておられないというのが実情でございます。
組合の活動としては、まず公正競争規約の適正な運用、それから酒税の減税活動、あるいは未成年者の飲酒防止、あるいは適正飲酒の推進等のアルコール問題に対応する活動、さらに空き瓶、空き缶などの散乱防止の推進活動、技術的な面では主原料となるビール大麦の新品種の育種、あるいは大学とともにビール大麦ホップの学術的基礎研究を行い、あるいはビール品質に関する技術研究の国内のまとめ等もございますし、さらには、国際化に伴って、海外のビール業界、ビール学会との交流といったことがございます。
その下の組織図でございますが、専門部会、委員会は、本当は20近くございますけれども、特に代表的なものを資料には挙げさせていただきました。
それからビールの課税移出数量の推移でございますが、御覧のとおりのグラフでございまして、平成8年を境目にして、右肩下がりでございます。7年連続マイナスで、平成15年は平成8年の約55%程度まで需要が落ち込んでいるということでございます。下の方に薄い丸で、点々が打ってありますが、これは発泡酒の数量でございます。もちろん発泡酒だけが理由ではございませんが、平成6年に発泡酒が新発売されて以来、ビールの需要が減少しているということでございます。
課題につきましては、まず減少傾向の需要を何としてでも下げ止めることができないかということでございまして、これは各社の努力ということになりますが、1つは新商品の投入による市場活性化が重要なポイントかというふうに考えております。例えば、昨年平成15年は、1年間で約19アイテム、容器の大きさも含めて、19アイテムの新商品を各社が投入しておりますし、毎年10品種前後の新商品を投入して、市場の活性化を図ろうという努力をしております。それからもう一つは、ビール本来の持っている魅力だとか、伝統や文化とか、そういったものを広く消費者の皆さんにお伝えすることによって、ビールの愛飲者を1人でも多く増やしていく活動が需要の下げ止めには重要かと考えております。
次に公正取引の推進ということでございますが、平成12年からビールの公正な取引に向けて各社が自主的なガイドラインを策定して、販売活動の見直しということを進めてまいりました。平成14年には、発泡酒の販売激化等に伴いまして取引ガイドラインの再構築を行い、この公正取引の推進に努力を重ねてまいりまして、かなり実績は上がってきたかなという段階にあった昨年の12月に、公正取引委員会からビール4社が差別的取り扱いの指摘を受け、それぞれ警告、もしくは注意が行われました。それ以降、さらに細部にわたる公正取引の再構築を行って、今も努力をしている真っ最中でございますが、かなり進んできたという一面を持っておりますので、今後の課題としてはこの取り組みをさらに継続して進めるということが重要かというふうに考えております。
次の社会的要請へのあり方については、次の時間に譲らせていただくとしまして、4の税制改正ということで、若干お時間いただきたいと思います。
税制改正の説明に入る前に、次ページに、発泡酒の現状と課題を載せておりますので、御覧いただきたいと思います。ビール酒造組合とは別の組織として、発泡酒の税制を考える会ということで、税制にターゲットを絞った任意団体をつくっておりますが、構成員は一緒でございます。組織図もこのようになっておりますが、税制を中心として、その他アルコール、社会的な要請への問題についてはビールと同じように、同じ部会で話し合いを進めていくということにしております。この発泡酒の税制を考える会というものが任意団体として存在しているということでございます。発泡酒の課税移出数量の推移というグラフで、平成6年以降、ずっと右肩上がりで上がっておりますが、平成15年に初めてマイナス成長になっております。これは平成15年5月1日に、発泡酒に350ml缶、1缶あたり10円の増税がございまして、そのことが、安くておいしいということで飲んでおられた消費者の懐を直撃したのではないかというふうに見ております。平成16年の5月までの累月で見ましても、88%ということで、1割以上のマイナスという、依然として厳しい状況が今も続いているということでございます。そういうこともございまして、減税活動が、今ビール酒造組合あるいは発泡酒の税制を考える会の重要な仕事の1つということになっているわけでございます。ビールにつきましては、諸外国や他の酒類に比較して、高率、高額な税が課せられて不公平だということでございます。次のページの左側は、アルコール分1度当たりの酒税額指数を諸外国と比較したものでございます。右側が、他の酒類との比較したものでございます。いずれのグラフにおいても日本のビールにかかる税率は突出していることを図として示させていただいております。
それから、発泡酒についても、次のページの上の表にありますとおり、平成8年と平成15年の2度にわたる増税がございまして、やはりこれも下の表にございますように、他の酒類と比べて極めて高いものになっているということでございます。酒税に対する考え方は微妙なものがございますし、今日はほかのお酒の団体の方もいらっしゃいますので、これ以上は申し上げませんが、いずれにしても、全体の酒税のレベルが高いので全体が下がることが望ましいと思いつつ、私の御説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。
奥村座長
ありがとうございました。
それでは、日本洋酒酒造組合の方から御報告いただきますが、本日御出席賜っていますのは、アルコール問題対策委員会の委員長代理の高梨様、それから専務理事の下村様、さらにサントリーの部長をなさっています渡邊様と肥塚様、それからメルシャンの理事で事業本部長の小阪田様にも御出席賜っております。
それでは、よろしくお願いいたします。
下村専務理事
それでは、日本洋酒酒造組合の専務理事下村から、お手元の資料を御説明させていただきます。
ただいま座長から、出席者の名簿の御紹介がございましたが、その中に洋酒組合とワイナリー協会の出席者名がずらっと並んでおります。担当役員理事が海外出張をしておりまして、その関係で当組合並びに協会のそれぞれの担当の委員長、あるいは委員長代理という方に出席していただいたことから多くの出席者になりましたことを、お断りしておきたいと思います。
私の方からは、日本洋酒酒造組合と日本ワイナリー協会の業界の現状と課題について御説明申し上げたいと思います。
なぜワイナリー協会を洋酒酒造組合が説明するのかいうことについては、後ほどまたワイナリー協会のところで御説明申し上げます。
まず、洋酒業界の現状と課題でございます。組合の構成員が、国産のウイスキー類、甘味果実酒、スピリッツ、リキュール類、雑酒のメーカーで、現在90社でございます。国税庁が出しておられます「酒のしおり」の主たる製造免許場数を分母としますと、大体70%以上の90社が加盟されているという状況であります。
次に、組織図でございます。この組織図をわざわざ書きましたのは、座長から社会的要請に関しては本懇談会の後半の話だとくぎを刺されておりますが、つまりそれぞれのメーカーのこういう委員会は、既に社会的要請に答える受け皿をきちっとつくって、いろいろな機会にTPOに応じてそういった問題を検討してきたということを示すための組織図でございます。
次にウイスキー類とリキュール類の課税移出数量の推移がございます。ウイスキー類はブランデーを含んでおります。それからリキュール類は、低アルコールのリキュール、いわゆる缶チューハイが中心でございます。グラフを見ていただきますとお分かりのように、ウイスキーはもう惨たんたる状態でありまして、昭和58年には37万9,000キロリットルでしたが、現在は8万7,000キロリットルということで、ピーク時の23%であります。委員の方々もウイスキーに対するイメージを、それぞれ青春時代から今日までお持ちの方が多数おられると思いますが、今なぜこれほどウイスキーが飲まれなくなったのかについて、後ほどのフリートーキングの時間にでも御示唆をいただければと思っております。
次に、いわゆる低アルコールのリキュール類、チューハイというものがどんどんと伸びてまいりました。1つのピークは昭和59年、いわゆる先行組の大手メーカーのチューハイというのがこの時期に出てまいりました。その後どんどん総合酒類メーカーの参入があり、平成7、8、9年あたりから、その課税移出数量はどんどん伸びてきております。先ほどどなたかが申されておりましたが、酒の文化という観点から見ると、何かに何かを混ぜればすぐできるという、こんなものがいいのかどうかという議論はありますが、消費者は確かにこれを望んでいるという事実も、商売をやっていく上には欠かせない観点でありまして、現在59万7,000キロリットルという大きな数字になっております。
課題といたしましては、やはりどうすればウイスキーの市場回復ができるのか、ウイスキーのイメージをもう一度構築することができるのかどうか、あるいは新しい飲み方を訴求していかなければならないのか、その辺は1つの大きな課題であります。
次にリキュール類は、清涼飲料との誤認防止という非常に大きな問題を抱えておりまして、消費者の立場からいろいろと問題を指摘されております。それに対しましては、先ほどの組織図に戻りますが、リキュール類等表示委員会というのを立ち上げて、それに対する自主基準を現在も作り、またそれを監視する委員会を設けているという状況であります。また、リキュール類に関しても、他の酒類と同じように、公正取引の観点から問題になる事例が散見されてきておりますので、それについて対応していく必要があるだろうと考えております。
次にワイン業界の現状と課題について申し上げます。
日本ワイナリー協会は、昭和49年に設立されまして、現在、任意団体として活動をしております。協会員の数は34社でございます。なぜ任意団体なのかと申しますと、酒類業組合法による組合として設立させるには2つの要件が規定されております。1つ目は組合員数が組合員となる有資格者の3分の2以上なければならないということと、2つ目は課税移出数量が、2分の1以上なければならないということでございます。「酒のしおり」によると、現在果実の製造業者約250社あるようでございまして、組織率が23%に過ぎません。ただ、私どもが協会費をいただいております関係で、この34社に出させております統計を、国税庁が出しておりますワインの課税移出数量と比べてまいりますと、大体この34社で課税移出数量の85%をカバーしているという状況にあります。組織図は御覧のとおりであります。
それから、果実酒の課税移出数量・輸入数量の推移に関する表を御覧頂きたいと思います。ワインは、トレンドとして時系列的にみると右上がりでございます。しかし、絶対量は多くはありません。平成10年に、ポリフェノールの効果を中心としたワインの需要が非常に高まりましたが、その後、需要はがくっと落ちてきておりまして、現在国産ワインは8万9,000キロリットル、大体平成8年と同じ程度にまで落ちております。それに対しまして輸入の方が15万9,000キロリットルということで、輸入と国産の割合が64対36になっております。そういうことを1つのデータとみますと、ワイン業界の課題は、国産ワインの需要をどうすれば拡大できるかということでございます。確かに国産ワインが、高い国産原料を使っているという事実に対しても、行政当局の御理解を求めていかなければならない時期にきております。
それから、表示基準、これはあくまで自主基準として作ったものでございまして、公正取引委員会に届け出た公正競争規約ではございませんが、昭和61年の作成以来かなりの時間がたっております。それを現在見直しております。WTOの原産国表示がいつ決まるのかも分かりませんし、原産国表示はあくまで関税をどう取り扱うかという観点からの問題でありますが、例えば、ブドウを作ったところが原産国だという主張、技術的にブレンドしたところが原産国だという主張もございます。そういったことがWTOでどのように決まってくるかによって、この表示基準もそれぞれ対応していかなければならないわけであります。しかし、もうWTOの動きを待っておられませんので、ワイナリー協会に作業部会を設けまして、消費者の御意見を踏まえながら自主基準の見直しを進めているところであります。
以上、洋酒酒造組合、ワイナリー協会をまとめて御説明申し上げました。