日時: 平成16年4月2日 14:00〜16:00

場所: 国税庁第一会議室

出席者:

懇談会メンバー   奥村 洋彦 座長
    田中 利見 座長代理
    井岸 松根
    岡本 勝
    神崎 宣武
    小宮 信夫
    寺沢 利雄
    水谷 研治
    御船美智子
    矢島 正見
説明者 国税庁   村上次長
    寺内酒税課長
    濱田鑑定企画官
    若尾酒税企画官
    初谷酒税課課長補佐
    小森酒税課課長補佐
    亀井酒税課課長補佐
    本宮酒税課課長補佐
    前田酒税課課長補佐
    土屋酒税課課長補佐

奥村座長
 それでは開会させていただきます。本日は、「酒類販売業等に関する懇談会」、通計では第13回なのですが、再開いたしましてからは3回目ということになります。
 議事に入ってまいりますが、本日以降しばらく、おそらく数回に渡りまして、様々な観点から御専門の方からお話を頂き、御検討いただくということで、皆様と御相談いたしましたとおりのスケジュールでやってまいりたいと思います。
 なお、ヒアリングの項目につきましては、前回、事務局案を皆さんに御覧いただいて、その後御意見等を承る段取りでございましたが、御意見等格別のものは無いということでございましたので、これから「青少年問題」、「健康・疾病問題」、「コミュニティーのあり方」、「望ましい販売方法のあり方」などにつきまして、順次ヒアリングを行ってまいりたいと思います。
 本日のヒアリング事項は、「酒類と青少年問題」に関しまして、内閣府の方、警察庁の方、そして本懇談会メンバーの矢島先生からお話を承ることになっております。
 それでは、最初に内閣府の政策統括官付参事官であられます有松育子様からのお話を承らせていただきます。大体の段取りでございますが、15分から20分程度お話を承らせていただきまして、その後、メンバーの方々と15分程度あるいは10分程度御意見を交わしていただくということでお願い申し上げます。よろしくお願いいたします。

有松参事官
 ただいま御紹介をいただきました、内閣府で青少年育成第1担当参事官をしております有松でございます。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。座って、失礼いたします。
 本日は、本来であれば、矢島先生から「青少年問題と飲酒」ということで、その実態や意識等のお話があった上で私どもの御紹介ということであった方がよろしかったのかとは思いますが、ちょっと事情がございますようですので、先に御説明をさせていただきたいと存じます。
 まず所属する役所のことから紹介をさせていただきますと、私は内閣府というところにおりまして、「青少年育成第1担当」ということでやっておりますけれど、その役割は、御案内のとおり、青少年対策として様々な分野、教育、雇用あるいは福祉等の非常に幅広い分野にまたがる青少年育成施策について、政府全体の総合調整をするという立場にあります。皆様の中には、「青少年対策本部」という言葉を御存じの方も多いと思いますが、従来、古くは総理府、その次は総務庁の中の「青少年対策本部」という組織がございました。それが改編されまして、平成13年1月の中央省庁再編に伴って、内閣府の中に青少年問題について総合調整をする部署として、私どもの部署ができたわけでございます。各省庁と協力をしながら青少年施策の総合調整を実施するという立場から、本日は皆様のお手元に、「青少年育成施策大綱」というものを資料としてお配り申し上げておりますので、それを御覧いただきながら、青少年育成施策の全体像と申しますか、今の基本方針のようなことを、まず御説明申し上げたいと思います。
 お手元の「青少年育成施策大綱」については、そこにございますように、昨年の12月に青少年育成推進本部で決定をしたものでございます。この青少年育成推進本部と申しますのは、先ほど申し上げました青少年対策本部とは若干性格の異なるものでございまして、昨年の6月に閣議決定をもって設置された、総理大臣を本部長、全閣僚を構成員とする推進本部になりますが、そちらで決定されたものでございます。政府全体に渡る青少年施策の方針を閣僚レベルで示したものとしては、初めてのものでございます。
 この策定の経緯も若干申し上げますと、これも御案内のとおり、青少年施策、青少年をめぐる様々な状況、例えば小さい子供について言えば、育児不安や学力低下の不安、あるいは少年非行を巡るいろいろな懸念とか、あるいは青少年を巡る職業能力の低下の不安といったような、青少年を巡る様々な不安があるという状況を踏まえて、国としての青少年育成の基本的な方向性をはっきり示すもの、当時は仮称で「青少年プラン」と言っておりましたが、そのようなものをつくる必要があるというような御提言がかつてございまして、そのようなものの作成に着手しようということで、平成14年の4月に、青少年の育成に関する有識者懇談会というものを内閣官房長官のもとに発足をいたしまして、約1年間精力的な御議論をいただいた後、平成15年の4月に、この懇談会からの報告書が官房長官へ提出されました。
 お手元のこの施策大綱は、その懇談会からの報告に示された基本的な方向性といったものを踏まえて作成したものでございます。非常に広範囲にわたるものでございますが、基本的な考え方を含めて、全体像を少し御紹介申し上げたいと思いますが、まず、少しめくっていただいて、1ページ以降を御覧いただきながら、お聞きいただければと存じますが。
 この大綱でいうところの「青少年」というのは、0歳からおよそ30歳未満まで、非常に幅広いものを対象としてとらえております。その上で、それぞれの成長段階、発達段階ごとの育成課題に応じた支援策を講じるというような考え方で作られているものでございます。ここで「青少年期」あるいは「青少年期を支える」ということについての考え方でございますが、まずは、「個人にとってかけがえのない人生の一部である」ということ、あるいは「人生の基礎が形成されるような重要な時期である」ということ、それから言うまでもありませんが、社会にとっては、次代を担う、未来への希望を託す非常に貴重な存在だというような観点に立って、施策を講じていこうということでございます。
 この大綱は、3つの基本理念と4つの重点課題を掲げて策定されておりますが、基本理念につきましては、1ページめくっていただきました2ページの冒頭のところにございます。
 1つには、現在の生活の充実と将来の成長の両面を支援するという考え方でございます。先ほど申しました、青少年にとって、青少年期そのものが個人にとってかけがえのない人生の一部であるということからも、今と将来、両方の充実を支援するということでございます。したがって、今が楽しければいいとか、あるいは将来のために今何かを犠牲にするという考え方は、どちらも採らないといったように、有識者懇談会の報告にある基本的な考え方に則って、1つ目の基本理念として、まずこのことを掲げております。
 それから、2つ目の基本理念といたしまして、大人社会の見直しと青少年の適応の両方が必要ということでございます。これもよく言われることでございますし、本日のテーマにも、ある意味深くかかわるのではないかと思いますが、青少年の問題は、大人社会の問題の反映であるということを大人自身が十分に認識をして、大人社会が青少年の健全な育成を図る上で望ましいものとなるように、そのあり方について見直しを行うということが、まず大事だということでございます。併せて、青少年自身が成長に応じて大人社会を理解し適応するという、大人と青少年双方の信頼と努力が必要であるということを、2つ目の基本理念に掲げてございます。言い換えれば、「大人が大人の社会を自ら顧みるということ」、それから、「大人が一方的に青少年に何か働きかけるといったようなことでは必ずしもないということ」とある意味ではいえるかと思います。
 それから、3つ目の基本理念でございますが、すべての組織及び個人の取組が必要ということでございます。青少年の健全な育成は、社会全体の責任であるということを踏まえて、家庭、学校はもとより、職場、地域、民間団体等の、社会を構成するすべての組織と個人が、それぞれの役割や責任を果たしながら、相互に協力しながら取り組むということを、3つ目の基本理念に挙げております。このことも、本日のテーマにもかかわってくることであろうかと思います。
 このような全体に通じる基本的な理念のもとに、重点課題として4つを掲げております。先ほど申しましたように、育成施策の分類につきましては、0歳から30歳までの期間を4つの年齢段階に分けて、それぞれの発達課題を分析した上で、それに対する支援策を取りまとめておりますが、ここにあります4つの重点課題は、それらの全年齢期を通じて特に重点的に取り組む課題として、冒頭に掲げているわけでございます。
 1つ目の課題でございますが、「社会的自立の支援」ということでございます。「社会的自立」の中身としては、経済的自立あるいは親からの自立、さらには公共への参画という3つが含まれるかと存じますが、青少年の大人への移行の遅れ、あるいは移行時期の長期化といったようなことは、ある意味先進国共通の課題でございます。特にライフコースが多様化したり、あるいは教育期間が長期化したりといったようなことで、どこからが大人かといったようなことが、はっきりしないというような現状もありまして、いわゆる社会的に自立するという状況にはなかなかならないというのが、今青少年育成全体を考えたときの大変大きな課題の1つでもございます。そういう意味で、教育施策と雇用施策の連携をはじめとした、就業支援策をはじめとする若者の自立支援策を1つ目の重点課題として掲げてございます。
 それから2つ目が、「特に困難を抱える青少年の支援」という表題を掲げておりますが、例えば「少年非行」といったような、社会的な不適応を起こしやすい状況にある青少年について、その環境等を改善するための特別の支援を行うということを2つ目の課題として挙げております。一方、横断的な課題といいますか、特に困難を抱えていない青少年に対しての一般的な支援策についても後ほど出てまいりますが、特にここでは、支援を行なうに当たって、特別の支援を行うことをもって、個人や個々の家庭に対する差別意識を生じさせないよう配慮するといったようなことを特に留意すべき事項として、有識者懇談会の報告も踏まえて、書いているところでございます。
 3つ目の重点課題でございますが、「能動性を重視した青少年観への転換」ということでございます。ちょっと分かりにくい言葉かとは存じますが、青少年の社会的自立を促進するためには、保護や教育を受けるという、受け身だけではなくて、自分の意見を持ったり、それを表現したり、または他者に働きかけ、あるいは社会に参加するといったような、積極的な青少年観に立って支援を行うということでございます。各分野で今まで青少年支援をされてきた方々は、もちろん青少年の自立といったようなことを重要なテーマとして活動されてきたことと存じますが、社会一般から必ずしもそういう青少年観が広く認識されているわけではないのではないかという問題意識から、このような能動的な側面を持つ青少年観を広く普及させるための啓発をはじめとした取組を行なうということでございます。
 最後の4つ目については、若干一般的な表現ですが、「率直に語り合える社会風土の醸成」ということでございます。青少年健全育成への取組において、青少年問題、あるいは教育の問題、子供の問題については、ややもすると何となくイメージで語られたりするような面がないとは申せません。理念ではなく、一人一人の青少年の実態に即した施策を着実に講じられるようにという意味で、言ってみれば、現実を直視してそれに対する施策を講じるということでございますが、その際も、現実を直視する、あるいは能力や環境の違いに留意するといったようなこと自体が差別とならないための配慮が求められている、社会自身の成熟も必要だということについても指摘されているところでございます。
 これら重点課題に則って、青少年を年齢期ごと、具体的には「乳幼児期」、それから「学童期」、ここでは小学生の段階でございます。その次は「思春期」、大綱上は、中学校・高校の年齢段階のことでございます。それ以後30歳未満まで、すなわち18歳以上30歳未満までを「青年期」として、それぞれの年齢段階ごとに、冒頭申し上げたような発達課題を掲げ、例えば子育て支援、あるいは母親の健康から始まる支援策、あるいは青少年自身の規範意識の醸成や学力の向上、あるいは社会性の育成のための様々な施策を書き加えてございます。この中でお酒にかかわる事柄については、11ページの「思春期特有の課題への対応」のところに、喫煙等とともに出てまいります。ここでは、「10代の喫煙及び飲酒をなくし云々」という形で、非常に幅広い分野をカバーした書きぶり、施策の基本的な方向を示しているということで、こういう書きぶりになっております。これは、全閣僚が参加してつくった大綱ということでございまして、大綱中に書かれているそれぞれの事柄について、各担当省庁が施策を実施するという関係になっておりますので、このような方針に基づいて、例えば「10代の飲酒をなくす」ための施策について関係担当省庁が実施する、こういう仕組みになっているわけでございます。
 もう一つお酒にかかわることとして、32ページでございますが、これは年齢期ごとの課題に対する取組を行う上で、それらの施策を推進するためのいわば環境整備といった位置付けになる部分でございますが、「情報・消費環境の変化への対応」という中の「青少年を取り巻く有害環境への対応」の部分で、32ページの上の方に、「酒類・たばこの未成年者に対する販売等の防止」ということで、「未成年者が酒類やたばこを容易に入手できるような環境をなくすため云々」という内容が、大綱の中に盛り込まれているところでございます。
 国税庁さんの方でも、大綱の趣旨に沿って、本日拝見しましたような青少年向けのパンフレットをお作りいただいたり、あるいは業界に対する各種施策に取り組んでいただいていることと承知しておりますが、併せて、青少年育成のための強調月間、具体的には11月の青少年健全育成全般の強調月間、非行に特化したものとしましては7月の青少年の非行防止のための強調月間などには、各省庁、あるいは各都道府県、あるいは各種団体の御参加を得て、私ども内閣府が取りまとめるような形で様々な施策を実施しているところでございます。また、今の2つの強調月間のいずれにおいても、未成年者の飲酒をなくすために各種広報啓発活動へ取り組むといったようなことを毎年掲げまして、特に非行防止月間においては、お酒の関係業界にも協賛をいただいて、各種啓発に取り組んでいるところでございます。
 大変走り走りで恐縮ですが、全体の御説明はここで終わらせていただきます。

奥村座長
 ありがとうございました。
 ただいま、私たちが青少年問題を考える上で一番のベースになるといいますか、土台となる政策について、最新の御報告を頂きましたので、これを基にして、皆様方で御意見を交わしていただきたいと思います。
 水谷先生、どうぞ。

水谷氏
 私、これは大変結構だと思います。3ページのところで、「(3)能動性を重視した」とありますが、これは、私は大変良いことだと思いますね。
 本来、人間はどうあるべきかといいますと、周りの人のために尽くせるような人間でなければだめだというふうに思っておりまして、ここで「周りの人」というのは、隣の人でもあるし、社会でもある。社会の一番小さい単位は家庭ですが、個人個人が犠牲を払わなきゃ家庭というのは守れないと私は思っているんです。同じように、会社でもそうです、役所でもそうです。国でもそうなんですね。周りの人のために犠牲を払える人を育てるということが今は欠けているんじゃないかと、私はかねがね思っておりますので、この「能動的に」という中には、このことが全部含まれていることになるのでしょうが、もっと明示しておいていただいたら良かったなというふうに思っております。
 人に迷惑をかけるということは、人のために犠牲を払うということとは反対なわけですから、人に迷惑をかける、例えば「飲酒」により迷惑をかけるというようなことについても、当然考えていくべきであるというふうに思います。この「能動的に」という原則をはっきりと打ち出すことが重要ではなかろうかと、これが私の感想でございます。以上です。

奥村座長
 ありがとうございました。ほかの方、いかがでしょうか。
 今、32ページの酒類にかかわるところを御説明いただいたところですが、類似の事項で、ゴールをセットして、そこへ持っていくための道筋をいろいろ御検討なさったと思いますが、お酒に関しては、ここで1つ道筋、アクションというのが入っているんですけれども、同じようにいろんなアクションプログラムが酒以外の場合でも出ているわけですか。

有松参事官
 はい。この32ページの上の方に書いてあるような表現がほかにもあるかという御趣旨であれば、例えば、よく同じように論じられることで、「有害環境対策」ということがございます。1つ前のページを御覧いただきますと、性表現、暴力表現といったようなことでございますが、それにつきましても、非常に厳しい状況にあるということと、いずれも関係業界の御理解をいただいて取り組んでいかなければいけない、あるいは社会全体で取り組まなければというような、同じような性質があるのではないかと思います。それにつきましては、31ページの一番上にあるような形で、各種メディア等を通じた有害情報については、関係業界などの自主規制の徹底のための様々な要請ですとか、あるいは関係省庁みんなが参加した上での取組の方針の申し合わせを取り決めるといったような方法をとりまして、進めているところでございまして、御質問の趣旨を正確に理解しているかどうか分かりませんが、そのような取組でございます。

奥村座長
 ええ、そういったことです。ゴールのセットについては全員の意見が一致するわけですが、それでは、それを具体的にどういう手段で、だれが担当して達成するのかという道筋については、たちまち意見が分かれて、「総論賛成・各論反対」になってまいります。例えばここでメディアの自主的な取組があるんですが、本当に自主的に、メディアの方々が視聴率競争とか販売部数競争をなさっていて、オピニオンリーダーであるメディア自体が自らの倫理に反することを行う場合も、間々あるんですね。ですから、自主的だけで本当にやっていただけるのかというのが、ちょっと疑問があるものですから、そういったことに対して、どういうアクションプログラムをお考えになっていらっしゃるかなというのが、大変興味があったものですから。よく分かりました。ありがとうございました。
 ほかの先生方、いかがでしょうか。どうぞ。

小宮氏
 よろしいですか。今の座長のコメントに関連するんですけれども、1つ1つは確かに全くおっしゃるとおりで、全く正しいかと思うんですけれども、それを実現するということなると、やはり1つ1つを同時並行的にぱっと走らせることになるわけですよね。一例を申しますと、学童期、思春期にメディアを活用する能力、コミュニケーション能力、規範意識を醸成する、あるいは地域活動といったものですが、これらをばらばらにやると恐らく手がかかる。特定のプログラムを同時に走らせて、これは目指せるところになると思うんですね。そうすると、横の連携といいますか、最小の機会で最大の効果を上げるために、連鎖させるようなプログラムというかカリキュラム、そういうことは何か計画なさっているんでしょうか。

有松参事官
 この大綱は非常に幅広うございまして、先ほど申しましたように全省庁がかかわるわけでございますが、それぞれについて、例えば子育てに関するいろんな施設の整備であれば、直接かかわる二、三の省庁がそれぞれ集まって、連携しながら進めるという場面がたくさんございます。また、非行対策であれば警察と学校すなわち警察庁と文部科学省、あるいは法務省という、そういうものを2つの省が連携することもあればそれ以上の数の省庁が連携することもあり、また、それに対して私ども内閣府がそういう場を設定して一緒に進めていくといったようなことがございます。
 特定テーマで言えば、非行対策でそういう場を設けております。非行対策にかかわる省庁が参加した関係課長会議というものを設けまして、順次それを頻繁に開きながら、横の連絡をとりながら進めていく体制を作っております。また、そういう個別分野ごとのことと合わせまして、その全体についての進行管理をするために、全省庁からそれぞれの代表の課長に参加をいただいた推進課長会議といったものも置いております。推進本部、大臣レベルですと、なかなかそれをセットするのが大変というような面もあり、機動的に開催できる、事務レベルの仕組みを作って、進行管理をしながら進めておるところでございます。
 また、この大綱自身は、5年を目途に見直すということにしております。もちろん見直しの前に順次目標が達成されていくこともございますし、途中で見直しを行わないというわけでもないんですけれど、全体については、ひとまず5年を目途に見直すという形で進めているところでございます。

小宮氏
 もう一つよろしいですか。
 今のお話でいくと、現在、例えば非行対策を文部科学省、警察庁がそれぞれでやっていて、あるいは児童虐待だったら厚生労働省もやっているということで、同じようなネットワークやチームを組んで、非常に非効率的にやっているわけですね。それぞれの取組をどこかでまとめなきゃならないわけですけれども、今おっしゃったように、各省庁で時々集まって意見交換をしましょうというような、いわゆるコーディネーションだけでやっていると、そこで意見を言い合って、それを持ち帰って、またそれぞれでやるわけですよね。やはり、ある程度方向性が見えてきたら、内閣府でも音頭を取って、そういったことの法制化なんかを、例えば特定の一局に集中するようなチームを立ち上げてやるなどしないと、みんな今同じようなことをばらばらにやっているような状況なので、その辺ももし今後検討することがあれば、ぜひ考慮に入れていただきたいと思います。

有松参事官
 今御指摘のとおりだと思いまして、特に非行についてはそういうわけで他とは別にそういう仕組みを作ったわけでございますが、その上で、おっしゃったようにテーマごと、とりわけ関係する省庁が非常に絞られるようなテーマについては、それぞれが、例えば3つの役所がそれぞれで話し合うというようなこと、こういう形でこの三省が話し合っていくということについても報告し合いながら進めるような仕組みをとっておりますので、それがきちんと機能していくように、御指摘も承りまして、進めてまいりたいと存じます。

小宮氏
 ありがとうございます。

奥村座長
 本日は、この「青年期」の関係に接しておられる先生方が多くいらっしゃいますので、御船先生、いかがでしょうか。

御船氏
 私は、29ページの(3)の「地域社会を支えるまちづくり・むらづくり」というところの最初の括弧に非常に関心を持ったんですけれども、特に青少年を含む地域の人々相互間の関心、連帯感を育むというようなときに、「お祭り」なんかが位置付けられるんじゃないかなというふうに思っておりますが、ここで「都市計画市町村マスタープランの策定」とか、「まちづくり」の題材にはどういうものがあるのか、またこういう試みの中にお酒というもの、お酒の文化を有効に使っているような例、あるいは酒屋さんが地域のまちづくりに参加しているような例というのは、報告されてはいないでしょうか。もしありましたら教えていただきたいなというふうに思うんですけれども。

有松参事官
 大変申し訳ないのですが、具体的にお酒屋さんの参加まではちょっと承知しておりませんが、当然町の方としての御参加はあろうかと思いますが、具体例までは、申し訳ございませんが。

御船氏
 そうですか。

奥村座長
 どうぞ。

井岸氏
 質問です。32ページのこの文章ですが、「未成年者が酒類やたばこを容易に入手できるような環境をなくすため」と言われていますが、現実を考えますと、売り場が増えて、価格が安くなって、テレビでいろいろと宣伝をして、加えて長時間営業をしているということは、容易に入手できるような環境ばかり作られているわけですね。それに対して、「なくすため」というのはどのように考えたらよろしいんでしょうか。そういった現状について、規制までしていかなかきゃいけないといったことまでお考えでこれは書かれているんでしょうか。そこをちょっとお尋ねしたい。

有松参事官
 ここに書かれている内容の一部分の実施については既に、恐らくこの会、またこの前身の会でも御検討いただいたような課題、いってみれば、手に入りやすい状況が社会の中でいろいろと進む中でいかにして青少年だけには入手しにくくするかという課題なのではないかと存じております。そういう意味で、国税庁さんあるいは関係業界で進めていただいております、年齢確認をはじめとする様々な取組がまさにこれに当たるものだというふうに考えております。御指摘のとおり、全体としては非常に手に入りやすい状況になっている中での難しい取組だというふうには思っておりますが、非常にきつい形で規制をする云々というところまで、必ずしも決め打ちをしているわけではなく、今申し上げたような、現在進めていただいている取組の一層の充実を図るということもあろうかと考えております。

奥村座長
 ほかの御意見いかがですか。
 田中先生、何かございませんか。

田中氏
 やはり同じようなことになるかもしれませんけれども、32ページの「関係業界への働きかけを強化する」という形ですけれども、お酒に関して言えば、具体的にどういう働きかけを各省庁に対してなさっていくのでしょうか。

有松参事官
 私どもが各省庁に働きかけるというよりも、これを踏まえて、国税庁さんなり関係各省庁で、例えば本日拝見したようなパンフレットの作成等も含めて、より一層の啓発あるいは協力要請といったことに取り組んでいただくということを意味した表現でございます。

寺内酒税課長
 補足させていただきます。
 国税庁では未成年者飲酒防止対策ということで、これまで各業界に対して指導等してまいりました。その中身はいろいろございますけれども、平成12年12月の未成年者飲酒禁止法の罰則強化、あるいは平成13年12月の同法における年齢確認義務の追加ということも1つのきっかけにしまして、例えば、お酒をちゃんと区分して陳列するようにとか、これは業界が取り組んでいますけれども、年齢確認機能を有するタイプを除き、酒類の自動販売機を撤廃するようにとか、あるいは従業員の研修というのをしっかりやるようにとか、その他夜間における販売管理体制の整備といったようなことを指導ベースでやってきております。また、昨年の酒類業組合法の改正により、販売管理体制を整備し、酒類販売管理者の選任を小売業者に義務付けると同時に、酒類販売管理者は、未成年者飲酒禁止法その他の法律の遵守等に関する研修を受けることとされました。
 それから、前回の懇談会でも御説明しましたが、お店のお酒コーナーなどに「未成年者の飲酒は法律で禁止されています」といった表示を義務付けまして、この表示を「重要基準」として定め、表示義務を守らないと、「指示」、「公表」あるいは「命令」、そして「罰則」、場合によっては免許の取消しもあり得る、そういった法整備もさせていただいております。これらについては、すべて当懇談会での御提言を受けて措置してきた内容でございまして、業界に対する指導ベースのものから、法的な規制によるものまでございます。また、未成年者飲酒防止強調月間にはポスターをはって、未成年者飲酒の防止の取組、あるいはキャンペーンの支援を行っております。先ほど有松参事官のお話にもありましたが、これらの取組について、どのようにして社会やその流れに応じた形で、法令の枠組み、あるいは、指導の枠組みを採っていくかということが、これからの課題になろうかと思います。これで十分なのか、あるいはそうでないのかを含め、私どもが採ってきた措置についての説明を改めてさせていただく機会を設けることとしております。

奥村座長
 今の点ですが、課長お話しのこと、あるいは参事官お話しのことは、プランを立てて、こういう枠組みでやっていこうということなんでしょうが、どなたかがそれを監視というか、チェックなさって、現状どうなっているかというような情報も集められるわけですか。そういう監視体制も作られるわけですか。

有松参事官
 大綱の実施状況のフォローアップにつきましては内閣府が中心となりまして、先ほど申し上げた会議のような場、あるいは白書の形でまとめて公表するという手段もございますし、もちろん推進本部においても、そういうことを定期的にやっていくということもあるかと思います。そういったフォローアップを私ども内閣府の方で取りまとめてやっていくという内容でございます。

奥村座長
 ほかに、いかがでしょうか。
 どうぞ。

神崎氏
 ここで、行政、学校、それから地域社会、関係業界といったものが出てくるんですけれども、私の認識では、未成年の犯罪とか、あるいは違法行為については、親世代の意識あるいは教育の問題がかなりあるように思います。それは個別の問題として、こういった大綱中には話題に出さないということなのでしょうか。それとも、この大綱を作る過程でかなりのその点について論議がなされてきたわけでしょうか。わかる範囲で教えてください。

有松参事官
 すべての個人という中には、もちろん「家庭」というものも含 まれております。家庭や親が子育ての第一義的責任を負うというのは当然のことだろうと思いますので。ただ、そういう家庭も含めた様々な社会全体の責任だということを踏まえた上で、では行政として何をするかということがこの大綱に書いてあることでございますので、具体的には親に対する支援といったような形になりますし、先ほど説明の際には時間の関係で省略しましたが、例えば非行対策の塊がこの中に実はございます。「特別な支援を要する青少年」の部分の主要な課題は非行対策でございますが、その中では、個別課題の中にも、非行を起こしてしまった少年の更生と保護者へのかかわりといったようなことも書き込んでございますので、全体として、家庭も含めた社会の責任という押さえと、個別課題ごとの保護者へのかかわり方というのは、行政の立場から書き込んであるつもりでございます。

神崎氏
 ありがとうございました。

奥村座長
 それでは、最初の御報告はこれで終了させていただきます。
 どうもありがとうございました。

有松参事官
 どうもありがとうございました。

奥村座長
 この次は、矢島先生から御報告を賜りますが、私、これから所用がございますので、この後の運営は田中先生にお願い申し上げて、失礼させていただきます。

(座長退出)

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