日時: 平成14年5月14日 10:24〜12:03
場所: 国税庁第一会議室
出席者:
懇談会メンバー | 奥村座長 | |
井岸松根 | 須磨佳津江 | |
田中利見 | 本間千枝子 | |
水谷研治 | 御船美智子 | |
山下友信 | ||
説明者□国税庁 | ||
大西審議官 | ||
戸田酒税課長 | ||
若尾酒税企画官 | ||
工藤酒税課課長補佐 | ||
大柳酒税課課長補佐 | ||
前田酒税課企画専門官 |
奥村座長
おはようございます。私が今日遅れてしまいまして、申しわけありません。今日、東海道線も横須賀線も珍しく両方とも別の理由で止まっておりましたので、遅れまして大変申し訳けございません。他の先生方も何かご事情があって遅れてらっしゃる方もおられるようですが、今から始めさせていただきます。
第7回目になって参りましたので、これまでのご議論を事務局の方でおまとめいただいて、報告書の案のように、検討に入るということでございます。
早速ですが、事務局の方から議論の取りまとめの骨子についてご説明いただいて、その後検討を行って参りたいと思います。では、事務局の方からお願いいたします。
若尾酒税企画官
では、私の方から説明させていただきます。
この懇談会におきましては、最初に私どもの問題意識をお示ししまして、酒類業界、特に酒類小売業界を取り巻く状況を私ども作成の資料でご説明をしてまいりました。その後、酒類小売業界や関係省庁からのヒアリングを実施しまして、これまで6回にわたって議論を行ってきたところでございます。
本日お配りしてあります議論の取りまとめ、骨子は、本日の議論のたたき台ということで、これまでの議論の結果などを踏まえて事務局が整理した案でございます。
第6回の会合におきまして、大きな3の「今後の手当ての必要性について」まではひととおりご意見、ご指摘をいただいたところでございます。また、4の「酒類販売業行政のフレームワーク」につきましては、具体的な議論には至っていないものの、2と3を踏まえて導いているものということで、前回までの会合で言及していただいている部分もありまして、一応、ご意見をいただいたことにさせていただいております。これに加えまして、メンバーの皆様のご発言の内容であるとか当方の説明事項などを踏まえて、事務局で今回のたたき台に整理したものというふうにご理解いただければと思います。
ただ、1の「環境の変化等」につきましては、メンバーの皆様方からの指摘を踏まえまして、酒類の特性の部分につきまして致酔性飲料という表現、これは大変わかりにくいというようなご指摘がありましたので、アルコール飲料というような表現に変えました。また、同じく財政物資という表現を課税物資という表現に変えております。
次に、酒類を巡る環境の変化につきましては、消費・供給面、酒類そのものの変化という切り口でまとめています。ざっと振り返ってみますと、1の「環境の変化等」におきましては、製造業、卸売業を含めた酒類業全体について議論をしていただきましたが、2の「これまでの規制緩和の評価」以下につきましては、小売業、酒類販売業免許に絞ってご議論をいただいています。これまでの規制緩和の評価につきましては、規制緩和という大きな流れの中、酒類の小売業免許の規制緩和が行われており、多数の新業態店、スーパーやコンビニ、いろいろな量販店といったものの一部も一般免許を取得するようになり、消費者の利便性は増大し、市場は活性化してきているというような評価があります。その一方で、酒類の消費量が頭打ち状態ということで、加えて我が国の経済社会全体が低価格化競争というような状況の中に進む中で、酒販免許制度により参入が制限されてきた酒類業界はかつてない激しい販売競争の渦中にのみ込まれているという状況にあります。このような激しい販売競争の中、未成年者の飲酒問題が顕在化してきているなど、酒類の販売業免許への社会的規制目的での運用も求められてきております。加えて、酒類取引における公正な取引環境の醸成が強く求められているというような状況にあります。しかし、それはそれとして、酒類とはいってもあくまでも競争は制限すべきではなく、規制緩和はいまだ不十分というような意見もあるところでございます。1、2につきましては、こうしたことを各種の係数を入れて整理しております。
それから、こうした状況を踏まえまして、免許事業者として酒類の特性を踏まえた種々の社会的要請、これは5ページの中段の二のところに例示で挙げてあります。7つばかり社会的要請を具体的に挙げておりますけれども、これには効率的な酒税の確保を含むわけですが、種々の社会的要請に対していかにその役割を果たしていくのかが重要になってきている、メンバーの多くの方々のご意見もそのようであったというふうに認識しています。
そのため、1、2で見てきたような現状を踏まえまして、今後どのような手当てが必要なのかと。これは10ページの大きな3のところでお示しした案では、酒類販売業のあり方に関しまして、社会的な観点、あるいは酒税の確保の観点、消費者の観点、公正取引の観点、4つの項目に整理し、次いで大きな4というところで販売業免許等公的規制のあり方、酒類(販売)業の健全な発達のための取り組みの2つの項目に整理しまして、今後の酒類販売業行政のフレームワークのメニューを整理しています。ここに示した措置につきましては、できるだけ自主規制による必要があると思われますが、やはり法的にきちんと整理して、実効性を担保して取り組む必要のある措置もあると考えて整理しています。 メンバーの方々からご指摘のありました、免許の目的の見直しや更新制の導入等がその例でございます。
今日の骨子の説明はこれで終わらせていただきます。
あと、机上に新聞記事などのコピーを置いてあると思いますので、見ていただきたいと思います。「少年非行ピークは16歳」という、これは最近の新聞報道のコピーでございますが、我が国と米国の未成年者の飲酒問題等についての2つの新聞報道がありましたので、参考までにご説明させていただきます。
最初に大阪府警の補導した少年25万人の実態調査結果でございます。この新聞報道の項目の上から2つ目のコンビニのこの挿絵でございますけれども、直感的に我々どうしても飲酒を想像してしまうところなのですけれども、落ち着いて見ると、これはお酒の容器にしてはどうもおかしいと。清涼飲料などのペットボトルにもとれます。
内容を読んでいきますと、大阪府内で不良行為で補導された少年は、大阪府警の少年課の資料の3ページでございますが、3ページの下の表にありますように、平成13年中で約25万8,000人、大幅な増加を見せています。飲酒の文字が出てくるのは4ページでございます。飲酒という不良行為で補導された少年は、平成13年中に2,500人余りですが、年々増加の傾向にあります。注目すべきは、飲酒の3つ下の深夜徘徊、平成13年には10万人の大台を超えているところであり、酒類の自動販売機や深夜販売が気にかかるところでもあります。また、5ページの中学生が非行、刑法犯少年の中心というところがありますけれども、この懇談会でも飲酒の低年齢化の指摘もありました。この辺も大変気になるところでございます。
次に、米国でのアルコール乱用ということで、米国立衛生研究所などの協力で行った調査結果を報じた新聞のコピーを2枚つけてあります。この記事を見てみますと、米国の大学生は、飲酒に関連する事故で年間約1,400人が死亡。それから、記事では約40万人と50万人と違っていますけれども、どうも原文をとってみると50万人が正しいようですが、50万人が負傷している。その他飲酒によって引き起こされた性犯罪行為、性的暴力が約7万件発生している。さらに飲酒関連の法律違反で検挙された大学生は11万人に達するほか、飲酒に起因する水死や転落死なども発生している。この国立衛生研究所では、飲酒の習慣が大学生の間で広がり深刻な問題を引き起こしていると警告しています。未成年の飲酒禁止徹底を大学や学生へ呼びかけるというふうな記事になっています。
以上で、本日配付した資料の説明を終わらせていただきます。
奥村座長
これまでご議論いただいたところをおまとめいただいておりますので、今日、この場でご検討いただくのは、まず3番目、4番目の項目に絞ったらいかがかと思いますが、下にページは振ってありますけれども、下のページで10ページから今後の手当ての必要性についてという項目があります。それから、12ページに今後の酒類販売業行政のフレームワークという項目がございますので、最初、大事だと思われる10ページ以降のところをご検討いただいて、その後、1ページから始まります全体についてご検討、コメントいただくという順番で進めさせていただけたらと思います。
それでは、最初に10ページの手当ての必要性についてというところなのですが、事務局の方には申しわけございませんが、一度、この10ページの3のところですね、柱の立て方などをもう少しだけコメントいただけますか。
社会的観点からの手当てについてというのが最初上がってまいりまして、それから酒税の確保、消費者の観点から、それから公正取引の観点からと4つに分かれています。経済的観点からの手当てというのが上がっていないわけですので、ちょっとこちらはこの「社会的観点」という言葉の使い方なのですけれども、経済的観点があって社会的観点があるからというふうに考えてよろしいですか。
若尾酒税企画官
前ページ、9ページがございますけれども、ここで今後の課題ということで、実態をいろいろ踏まえて利便性が前面に出てきた、規制緩和によってですね、そういった反面、販売の管理がルーズというふうな指摘があるということで、1、2をまとめてきているわけですね。ここで初めてこの文章の中に、下から5の部分に社会的規制目的での運用も求められてきているという……。
奥村座長
ちょうど出てきましたので……。そこに、同時にというところですね。
若尾酒税企画官
はい。
奥村座長
経済的規制である販売業免許の、「の」ですか、社会的規制目的での運用というように読んでいくのですね。
若尾酒税企画官
今、酒税法で、酒税の確保のために免許制度がとられているということですので、やはり経済的規制であると、そういう理解です。これを今問題になっているのは、そういった酒税の確保の面もありますけれども、顕著な問題として未成年者の飲酒に起因したいろいろなトラブル等の発生というふうなことで、そういった形での社会的観点からの規制も考えていく必要があるかと整理しています。
奥村座長
ほかの先生方からもご意見を承りますけれども、そうしますと、酒類販売業免許というのがあって、それらは経済的規制であるとまず考えるわけですか。それはもう当たり前のこととして置いてあるので、今後の手当ての必要性だとか、その後に出て参ります行政のフレームワークにおいては、この経済的規制という言葉遣いは当たり前のことなので整理してないというようにとらえていいですか。もう少しそれは経済的規制以外に、これから社会的観点からも新しい規制の体系を考えようということですか。逆に言ってしまうと、今までの規制は経済的観点からだけしかやっていないので、これからは社会的観点からのことも加えようと、そういうふうにとっておいたらいいということですか。ちょっとこの「経済」と「社会」という言葉遣いは私の申し上げているのとは違う意味ですかね。
ちょっと私だけしゃべっていてはいけないので、ほかの先生方のご見解も承りたいので。井岸先生、どんなふうにお捉えになられていますか。
井岸氏
今、奥村座長がおっしゃったことにほぼ同感なのですが、ちょっと前提が長くなって大変恐縮でありますが、この免許の自由化ということで、それに起因する、乃至は非常に大きく影響されていろいろな問題点が発生していると。それがこのページで言いますと9ページまでの説明になってくるかなと。そうすると、この9ページの(3)今後の課題というところで、むしろその問題はその後につながるのですが、社会的規制と経済的規制が必要であるという表現にここが変わって当然ではないのかと。
私なりに整理いたしますと、やはり4点あるのではないかと。1つは、公正競争のいろいろな阻害要因に免許の自由化そのものが大きく影響していると。それから、1つは社会構造であるとか流通構造であるとか、いろいろな多方面に影響があるのですが、零細酒類販売業がこれによって破綻してしまうと。それから1つが、これは長い時間いろいろと討議されていますが、未成年者飲酒傾向の増加ということ。それから1つが、6兆6,000億という費用も出ていますが、社会的酒害処理及び防止費用が高額化してきているということ。これらについて、この今までの免許の自由化ということは認めるにしても、これからの我々の国に必要な規制というのは何なのか、という観点で社会的規制と経済的規制があるというふうに捉えるべきではないかというように考えます。その中に、免許制度が如何にあるべきかというのが包含されてくるのではないかと。私はそのように整理して考えたいと思います。
奥村座長
また後からお教えいただくということで、ひととおり先生方からご見解を承りたいと思いますので。須磨先生はちょっと後からキャッチアップしていただいて、本間先生はいかがですか。
本間氏
私は前半の議論の取りまとめの部分に集中して、これまで足りなかったことは何かというのを勉強してしまいまして、この後が少しまだ何かを申し上げるには準備が足りないのです。
奥村座長
では、また後から言ってください。
御船先生はいかがでしょうか。
御船氏
先ず、「手当ての必要性」という整理のしかたですが、今後に生かしていくという意味では少し弱いかなと思います。せっかくここまでまとめられたので、「今後の展開」とか、そういうような方がいいかなと思って拝見しておりました。
それから、「社会的観点からの」というのは、広くとらえようというご趣旨かなと思ってうかがっておりましたが、「社会的観点」が「社会的規制」とどのように対応するのか明確でないように思います。
それから、消費者の観点からの手当てについてということなのですけれども、全体的に見ますと、後ろの「今後の酒類販売業の行政のフレームワーク」というところに関係しますので、この部分が浮いてしまっているような印象を受けます。今後の酒類販売業行政だけではなくて、多分、消費者行政というようなところまで踏み込んでいかないと、いろいろ展開されていく消費者に対する情報とか、お酒を飲むという文化及び消費ということに関する広い意味の教育、あるいは学習とか啓発とかということを入れる方がよろしいのではないかと思います。
また、公正取引が4番に来るという意味がちょっとよくわかりません。この点を前に整理をしておいて、後ろに「消費者の観点から」が来るほうがわかりやすいのではないでしょうか。
細部についてまだ考えがまとまっておりませんので、申しわけありませんが、以上です。