日時: 平成14年2月19日 15:30〜17:25

場所: 国税庁第一会議室

出席者:

懇談会メンバー  奥村座長  
   井岸松根  宇賀克也
   岡本 勝  神崎宣武
   田中利見  寺沢利雄
   本間千枝子  山下友信
説明者警察庁少年課
   荒木課長
厚生労働省健康局総務課生活習慣病対策室
   高倉室長
   正林室長補佐
公正取引委員会事務総局取引部取引企画課
   山本課長
   藤井課長補佐
国税庁   大西審議官
   戸田酒税課長
   若尾酒税企画官
   工藤課長補佐
   大柳課長補佐
   前田企画専門官

奥村座長
 それでは、開会させていただきます。
 本日は、第4回目の懇談会でございますが、ご多忙のところ、ご参集いただきましてありがとうございます。
 本日は、警察庁、厚生労働省、公正取引委員会の3つの省庁の方からお話を聞かせていただき、いろいろお教えいただくということにしていきたいと思いますが、きょうは時間を少し延長して2時間にしていただいておりますので、最後の30分ばかりは、前回、小売の現場のご報告をいただいていましたが、余り議論することができませんでしたので、前回のご報告もあわせまして、最後の30分ばかりはご自由に意見交換させていただくということに予定しております。
それでは、早速でございますが、警察庁少年課の荒木課長にいらしていただいておりますので、「警察庁における未成年者の飲酒防止に関する取り組み」につきまして、初めの10分あるいは15分程度お話しいただき、その後、ご質疑をお願い申し上げたいと思います。それでは、よろしくお願いいたします。

荒木課長
 警察庁の荒木でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、私の方から、警察庁におきます未成年者飲酒禁止法による取締り状況等につきまして、ご説明を申し上げたいと思います。お手元に、簡単な1枚紙の資料を差し上げておりますので、ご参照をいただきたいと存じます。
 まず、未成年者飲酒禁止法につきまして、最近、改正が行われましたので、ご説明を申し上げたいと存じます。
 その前に、まずもって未成年者飲酒禁止法についてでありますけれども、この法律は大正11年に議員立法により成立した法律であります。立法時の趣旨説明、根本正さんとおっしゃる茨城県選出の代議士の方が力を入れて成立させた法律でありますけれども、その趣旨説明におきまして、未成年者を保護するために酒の害を取り除く趣旨で提案をしたと言われておりますように、この法律は未成年者を保護するための法律であります。未成年者の飲酒禁止ということになっておりますけれども、飲酒をしても、未成年者の側に罰則をかけるのではなくて、販売・提供した方に罰則がかかることになっております。
 ちょっと余談になりますけれども、たばこの未成年者喫煙禁止法が明治33年に、これも根本代議士の提案により成立をいたしました。翌年、明治34年にこの未成年者飲酒禁止法が提案されたわけでありますけれども、実に19回にわたりまして、廃案とかいろいろなりまして、21年かかって、大正11年になってようやく施行された、大変難産をした法律であるというふうに聞き及んでおります。
 この法律、一昨年、昨年と、議員立法によりまして改正が行われました。そこにございますように、平成12年12月改正によりまして、それまで販売禁止違反に対する罰則といいますか、罰といたしまして科料しかなかったものが、これでは軽いということで、50万円以下の罰金というふうに引き上げとなっております。
 それから1年後の昨年12月でありますけれども、そうやって売る側の罰則が引き上げられたわけですけれども、そういうことで、販売する側が未成年者と思われる人に年齢確認を求めますと、中には悪い少年もおりまして、どうしてそういう年齢確認に応じなければいけないのだと、どうして身分証明書を見せなければいけないのだというふうにすごまれるような事態もございまして、何とかしていただけないかという話があったようでありますけれども、これにこたえまして、昨年末に、これも議員立法によりまして、年齢確認その他の必要な措置をとるものとするという項が加えられたものであります。これによりまして、一応、年齢確認をする法律上の根拠が明確にされたという効果があろうかと思います。
 ただ、この規定は、読んでいただければおわかりのように、罰則とは何の関係もございません。年齢確認をしたから罪を免れるということでもありませんし、あるいは逆に年齢確認をしなかったということだけで罰せられることもない規定でございます。
 この未成年者飲酒禁止法違反の罪につきましては、少年法上、福祉犯というふうに位置づけられておりまして、すなわち少年の福祉を害する犯罪ということで、ほかに労働基準法違反とか、そういうものが定められているわけでありますけれども、福祉犯ということで、実は家庭裁判所の専属管轄となっておりまして、その意味するところは、もちろん少年問題について造詣の深い家庭裁判所が裁判するのがふさわしいということももちろんありますけれども、実質的な効果として、普通、罰金は軽いものでありますと簡易裁判所で略式罰金というのができるのですけれども、正式の公判請求をせずに。家庭裁判所ではそういうことができませんので、実は我々の方で検挙をいたしましても、正式起訴に至る例は極めて少ないということであります。
 一昨年12月に罰則が引き上げられましたけれども、それ以来、先般、沖縄県におきまして1件だけ正式に起訴となりました。販売した者と経営者がそれぞれ10万円の罰金が確定をしたという例が1つあるきりでございます。ご参考までです。
 次に、警察庁におきます未成年者飲酒禁止法等に基づく、未成年者の飲酒防止についての取り組みについて申し上げたいと存じます。
 警察といたしましては、そういった改正がございました都度、あるいは未成年者飲酒禁止法の重要性につきまして、そういう改正の趣旨でありますとか、さらには販売店に対する指導、あるいは取り締まりの強化等につきまして、通達を発出いたしまして適切な取り締まりを行っているところであります。また、関係省庁と連名で、関係の業界に対する要請を行っているところであります。
 一番下の表に、参考までですけれども、未成年者飲酒禁止法違反の検挙人員について表を載せております。一番上が未成年者飲酒禁止法違反ということで、大体100件に至らない数十件単位の取り締まりを行っております。それから、風俗営業等適正化法という法律で、飲食店におきまして未成年者に酒類を提供する行為を処罰することとしておりまして、これにつきましても、そこにございますように大体200件から300件ほど毎年取り締まりを行っているところであります。それから一番下は、街頭等で補導活動を行っておりますけれども、そういう中で、飲酒をしているということで未成年者を補導したのが、大体年間3万件ぐらいあるということであります。街頭補導で実は一番多いのはたばこの補導でありまして、これは年間40万件から50万件ぐらいありまして、街頭でお酒を飲んでいる人は余りいないので、カラオケボックスなんかで未成年者が飲んでいるのを補導するというのが多いのですけれど、そういうことになっております。
 未成年者の飲酒は、不良行為の前兆ともなり得る行為でありますし、あるいは未成年者に酒類を提供するという行為は、少年の健全育成の阻害行為であるというふうに認識をいたしまして、関係機関との連携によります、販売店に対する働きかけや広報・啓発、補導活動の際の少年に対する注意・助言に加えまして、関係法令に基づく的確な取り締まりを実施するなど、総合的な未成年者の飲酒防止対策を一層進めてまいることとしております。よろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。

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