酒税課長
引き続きまして、ただいまより第24回酒類分科会を開催します。酒類課長の中田でございます。どうぞよろしくお願いします。後ほど分科会長をお決めいただくまでの間、私が進行役を務めさせていただきます。
まず、酒類分科会に所属しておられます委員の方々を五十音順で御紹介します。
大倉様、鹿取様、川嶋様、木村様、小関様、立道様、手島様、中空様、廣重様、藤谷様の10名でございます。
本日は、委員の過半数の方々が御出席でございますので、国税審議会令第8条に基づき、本会は有効に成立しております。
それでは、酒類分科会委員の皆様方で酒類分科会長の選任をお願いしたいと思います。国税審議会令により、分科会長は委員の皆様の互選により選任していただくことになっております。どなたか御推薦等ございますでしょうか。御推薦のある方は挙手をお願いします。
手島委員、御発言をお願いします。
手島委員
小関委員が知見、御経験ともに豊かで、分科会長に適任だと思います。
酒税課長
ただいま小関委員を分科会長にという御意見がございました。小関委員に分科会長をお願いすることでよろしいでしょうか。異議のある方は挙手をお願いします。
それでは、小関分科会長に今後の議事の進行をお願いしたいと思います。また、国税審議会令により、酒類分科会長代理の指名をお願いしたいと存じます。
小関分科会長、よろしくお願いします。
分科会長
ただいま御指名いただきました山形大学の小関でございます。皆様の御協力の下、円滑に議事を進めていきたいと思っております。どうぞ御協力のほどよろしくお願いいたします。
それでは、会長の代理の指名を行いたいと思います。木村委員にお願いしたいと思いますが、木村委員、いかがでしょうか。
木村委員
皆さん、こんにちは。法政大学の木村純子です。今、イタリアから参加させていただいています。ありがとうございます。御指名いただきましたので、謹んでお受けさせていただきたいと思います。小関分科会長と円滑な議事の進行に努めてまいります。皆様、御協力のほどどうぞよろしくお願いいたします。
分科会長
ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
それでは、議題2、酒類行政における最近の取組等につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
酒税課長
資料は「2.酒類における最近の取組等」というタイトルでございます。
それでは、1枚おめくりいただいて目次でございます。昨年の第22回酒類分科会の審議事項において、色々とお諮りさせていただいた項目について、その後の状況を説明します。
1点目は、酒類の公正な取引に関する基準についてでございます。
1ページ目でございます。
基準の制定の経緯でございます。平成7年に「行政改革推進本部が策定した規制緩和推進計画」に基づき、小売店の規制緩和が進みました。これに対し、平成15年頃、規制緩和がどんどん進んでいったことに対応し、※印の「酒類の小売業者の経営の改善に関する緊急措置法」という議員立法が成立しました。これにより、小売の取引について公正性というものをもっと意識してほしい、要するに安売り競争を防止しようという流れが始まりました。そして、平成18年には、国税庁が「酒類に関する公正な取引のための指針」を公表しました。
他方で、この指針だけでは安売り競争の防止を徹底できず、平成29年には、この指針よりももう少し踏み込んだ「基準」を制定しました。そして、この「基準」は概ね5年ごとに再検討し、必要があると認めたときは見直しを行うことになっており、昨年、基準の一部を改正しました。
2ページ目でございます。
こちらは、基準の概要となります。資料の(1)正当な理由なく酒類を当該酒類に係る売上原価の額と販売費及び一般管理費の額との合計額を下回る価格で継続して販売するといったこと、あるいは(2)自己または他の酒類業者の酒類事業に相当程度の影響を及ぼすおそれがある取引をすること、こういった場合には、指示、公表、命令、罰則の対象になるという基準が平成29年に制定されました。3ページ目の昨年3月の改正では、左側の①、②、③の要件に附属した右側の④の内容を、「販売価格の算定上、控除した値引きの額である旨が書面等によりリベートの支払者から伝達されている場合に限る」として、要するに、「事前にリベートをどのぐらい、誰に支払っているかというのを書面で伝達しなさい」ということを新たな要件として課したところでございます。
次に4ページ目の右側でございます。改正後には、様々な販売管理費の配賦方法について、根拠を明らかにすること、そして、根拠が明確にない場合には売上高比で配賦する、比例計算するといったルールを追加しました。
次に5ページ目の内容は、平成29事務年度から令和3事務年度の調査の状況でございます。こちらはまだ基準改正前の調査の内容となりますが、調査件数は年間140件前後行っており、そのうち一番重い指示というものが令和3事務年度ですと2件、そして厳重指導というものが6件ございました。どのような案件だったかといいますと、資料下段の青枠の箇所でございますが、ドラッグストアに対して、総販売原価割れ販売を行ったことについて、こういった行為を改めるよう指示したというものになります。
なお、基準改正後の調査は、まさに今、足元でやっている状況でございまして、こちらにつきましてはまた来年以降に御報告させていただきたいと考えております。
2点目は、酒類に係る表示基準の見直しでございます。
6ページ目となりますが、まずは資料左側の、清酒の製法品質表示基準でございます。二重丸の製造時期の表示について、商品性等に応じて多様な時期表示ができるよう、必要記載事項から任意記載事項に変更しました。こちらは国際的な基準であるコーデックス、あるいは食品表示基準に沿う見直しでございます。
もう一つの二重丸は、受賞記述の表示です。公的機関以外の機関から付与された賞について、表示を可能にするというものでございます。
そして、資料右側でございますが、酒類における有機の表示基準についても改正しました。JAS法の改正に伴い、それまで国税庁の告示で定めていたものを、有機表示制度全体の移管に伴い、JAS法の中で位置づけることになりました。その結果、JAS法を財務省と農水省の共管法に変更した次第でございます。
そして、3点目は、改正JAS法の施行後の状況等についてでございます。
7ページ目となりますが、先ほど申し上げましたように、国税庁の告示がJAS法に移行しまして、右の図のとおり、令和4年10月1日に法が施行され、令和7年9月30日まで経過期間ということで旧表示基準に基づく規制も可能、そして新しい制度でも可能ということになります。そして、令和7年9月30日をもってJAS法に完全に移行するといった形でございます。
そして、資料中段の※印でございますが、既に10社が新制度へ移行しているという状況でございます。
そして資料下段でございますが、今後の対応として、日本の有機JASを輸出相手国の有機認証と同等のものとして取扱うことが可能となる有機同等性を締結できれば、輸出の円滑化、拡大が期待できるということでございます。
次のページからは、2つほど、以前審議会で委員から御指摘いただいた事項へのその後の説明でございます。
1つ目は、中空委員から去年の分科会で御質問がありました、責任ある飲酒への取組についてでございます。
8ページ目の、20歳未満の者の飲酒防止、適正飲酒の推進ということで国税庁がどのようなことをしているかということでございます。資料左にあるようなポスターを学校やスーパーなどに展示させていただいておりまして、厚生労働省など関係省庁や酒類業界と連携して、こういった取組を進めているところでございます。
2つ目として、9ページからは、インボイス制度の説明会についてでございます。先ほど親会においても総務課長から話がございました。これは昨年の秋に鹿取委員から御質問があった話でございます。
こちらは、酒類事業者を通じ、その取引先、原料を提供してくださっている農家に対してインボイスの説明会を御案内しました。まさに取引関係に注目する形で漏れがないように周知させていただいたところでございます。
10ページ以降は実際に送付した説明会の案内資料でございます。インボイス制度の説明会ということで御案内させていただき、11ページ目で各国税局、税務署での説明会に飛ぶように資料を作成しました。
以来、11月から1月までの3か月間で1万8,000回ほどの説明会を全国で展開しております。
12ページ目は、これも親会で少し話がございましたので簡潔に、輸出の動向でございます。1,400億近い伸びとなっております。これもひとえに酒類業界の皆様の御尽力でございまして、また、審議会の委員の皆様の御示唆もありがたくいただいたところでございます。
そして、最後のページとなりますが、令和5年度税制改正についてでございます。今、足元で、参議院において御審議いただいている内容でございます。
承認酒類製造者に対する酒税の税率の特例措置の創設ということでございます。これは、平成元年に消費税が導入されたときに税制改正がございました。左にあるような清酒、合成清酒といった7品目に対して、税率が上がる際に、中小の事業者が造っている部分については、激変緩和という名目で200キロリットルの部分については軽減税率を適用しますよと、こういった制度が導入されました。これが30年間たったということで、激変緩和の意図は薄れてきたんではないか、あるいは政策効果が見えにくいといった指摘がございまして、それでは、どういうふうに制度設計をしたらいいだろうかということで検討し、品目ではなく、中小企業者が製造する品目については一通り全品目、酒類に関しては軽減を適用しようと、他方で政策効果については見える化を図るために、資料右側にありますが、赤線を引いておりますように、事業計画書というものを提出いただいてしっかり認証していこうと、そういった制度を導入しようということで今、国会で御審議いただいているところでございます。
以上が我々のほうからの御説明でございます。
分科会長
説明ありがとうございました。
それでは、議題2の内容につきまして、何か御質問、御意見のある方は挙手をお願いいたします。
中空委員。
中空委員
ありがとうございます。せっかくなので質問させてください。
今御説明いただきました12ページの輸出の動向なんですけれども、輸出金額がすごい伸びています。では輸出量はどうですか。つまり為替の影響ってどれぐらいあるんでしょうかというのが一点知りたい点です。
もう一点が、これは多分去年も聞いたのかも知れないと思うのですけれども、2020年から21年にこれだけ伸びたのは何か理由があったのでしょうか。これがもう一点です。
それからこれはお願いにもなりますが、6ページで示されているJAS法の改正で世界に通用するようなものができていけばいいなと思いますし、そもそも日本のお酒はとても質も良く、売れていて当たり前だと私も思っております。一方、ESGという発想がこれだけ根づいてきていて、アルコールは売っちゃいけないとか、アルコールを造っているところには投資できないという投資家もたくさん出てきている点があります。
そんな中で、トレーサビリティが大事になってくると思うんですね。したがって、お酒についても、例えばですが容器や箱にQRコードをつけて、それを読みこむと「どこのお米で、誰が作った、どういうお米がどういう形でこのお酒になってきたのか」みたいなことが分かると、これは世界に売っていきやすいなというふうに思います。
ですので、将来的なことかもしれませんが、トレーサビリティを少し意識した、品質がいい、悪いとかだけじゃなくて、そこまで勘案した施策を講じていただきたいなということを、これはお願いとして申し上げておきたいと思います。
以上です。
酒税課長
ありがとうございます。それでは、3点御質問いただきました。
1点目は輸出の量の観点でございます。量に関しましては、単価が少しずつ上がっているという背景がございますので、この輸出金額のグラフほどの伸びは示しておりませんが、量ベースでも伸びているという状態でございます。
要は、これほどの傾斜ではないけれども、堅調な伸びをしているとイメージしていただければ幸いでございます。そして、2020年から2021年に大きく伸びた理由でございますが、これは本当にひとえに事業者の皆様のこれまでの頑張り、普及活動の結果、伸びたというのが1つございます。
それから、もう一つは、外国においてもコロナの影響により「家飲み」が広まりまして、せっかく家飲みするなら「より品質が高いものを」というようなこともありました。そして、「今までにないもの」ということもあって日本酒やウイスキーですね、こういった日本産酒類の引き合いがあったということもございます。
しかし、やはり何といっても、事業者の皆さんのこれまでのプロモーション、あるいは努力といったものが一気に花開いたというふうに我々は見ております。
3点目のトレーサビリティについては、課長補佐から説明させていただきます。
課長補佐
トレーサビリティにつきましては、現行でも酒類業組合法や食品表示法、あるいは米トレーサビリティ法というもので、一定のルールで義務付けがなされております。
他方で、今委員から御指摘いただいた、いわゆるQRコード等で読み取って情報発信あるいは情報提供をしていくというのは、すばらしいアイデアという認識はしております。他方で、将来的かもしれませんけれども、全事業者にこれを義務付けるとなると、例えば、契約栽培で相対で取引しているのであれば、可能かもしれませんがいろんな産地の米を集めている、複数の米をブレンドしてお酒を造っている事業者もいますので、そういった方の事務負担ということを踏まえると、なかなか国が強制して一律にこういう取組をしてください、というのは難しいのかなというのが率直な感想でございます。
しかし、こういった取組を行うことで商品の付加価値を上げる、高付加価値で売っていくというのは非常に重要な御提言だと思いますし、現行において、一部の事業者の方は酒類の容器にQRコードを付けて「見える化」を図り、この商品は「どこの米で、こういう過程でお酒造っているんです」と、商品ストーリーやテロワールというのを情報発信しているという取組がなされております。我々国税庁としましても、そういった意欲的、独創的な取組につきましては補助金などで支援を行っておりますので、引き続き、そういう補助金を使った施策であったり、委員の御提言の取組を後押しするような取組をしていきたいと思っております。いずれにしましても貴重な御意見をいただき、ありがとうございます。
分科会長
説明ありがとうございました。
ほかに御質問のある方はおられませんでしょうか。
手島委員、どうぞ。
手島委員
委員の手島です。2つほどお願いします。
1つは本日の冒頭で長官のお話の中にありました大阪万博における日本産酒類の振興ということに関して、具体的に国税庁として、今どのようなことを御検討になられているか教えください。
それから、もう一つは、今のお話にあった6ページの酒類における有機の表示基準の改正ということで、これは有機米を使って有機のお酒として取り組んできた酒類メーカーさんにとっては非常にありがたい法律改正だったと思いますが、実際に今、同等性交渉をしてくださっているということで、その中で海外に出たときにこのJAS法の中ではオーケーとされているのだけれども、実際にAという国、Bという国では、その日本酒を造るときに使われているこういうものは使っては駄目だ、認められてないということで通関等で、輸出の際にNGになるというリスクもあるという話を幾つか聞いています。
ただ、そうした個別の国の情報というものを各酒類メーカーさんが調べていくというのは非常に大変なことだと思います。例えばそういうことを、国別の製造原料に関する細かい規制について分かるプラットフォームみたいなものを国税庁さんのほうでつくっていただくということは可能なのでしょうか。
以上、2つになります。
酒税課長
2点御質問いただきました。まず、万博の件でございます。すみません、これは正直に申し上げますと、現状は、まだ万博事務局のほうからこういうやりたいというフォーマットの提示がない状態でございまして、我々としてはこういうことをやりたい、ああいうことをやりたいという考えを持っており、万博の事務局のほうにはお伝えはしておりますが、まだそこが具体的な形にはなってきておらず、内々で色々な構想をしている、そんな段階でございます。
他方で、そういったいろんな御提案を、特に大阪を中心に地元の自治体、あるいは地元の酒造メーカーさん、あるいは全国的には万博の協賛企業に入っていらっしゃるところからお話はいただいている、そんな状態でございます。もう少しお時間をいただいて、形が見えてくるまでお待ちいただければと思いますというのが1つ目です。
そして有機の話でございます。こちらは、今どのようなことが起こっているかといいますと、これは有機だけではないのかもしれませんが、具体的に事業者が輸出したときに、場合によってはその通関のところまで細かい制度が周知されてなくて引っかかったりと、そういったことがあるのではないかと、そういった場合についてはその都度情報をいただき、我々のほうからも外務省を通じて、相手の当局にこういうことが起こっているのでそこは何とかしてくれませんかという交渉をしている、そういう状況でございます。
更に実際、外務省といっても現地の大使館に我々の同僚が出向して、実際にはいろいろ話を聞いてもらっており、その国の担当官まで話が下りるようにしているという状態でございます。
また、この国ではこういう問題がありますというのは、今度は我々のほうでやっている「日本産酒類輸出促進コンソーシアム」において輸出向けの情報などを流す、そういう枠組みがございますので、そういうプラットフォームに情報を共有し展開することで輸出業者さんに周知しているという状態でございます。
したがいまして、表のようなものではないのですが、都度都度、必要な情報を流していくような、そんな情報のプラットフォームをつくっているところでございます。
分科会長
ありがとうございます。
鹿取委員が手を挙げておられますので、よろしくお願いします。
鹿取委員
私もお願いがございます。先日、国税庁で実施された海外主要国における日本産酒類の市場調査の報告書を拝見しました。非常に詳細で細かいレポートで内容が濃く感動いたしました。こうした調査はぜひとも日本市場に対して実施していただきたいというふうに考えています。もちろん海外市場も大切ですけれども、日本における消費者のクラスター別の分析は必要性は極めて高いと考えています。
また先日、ワイン・インテリジェンスというところが出している日本市場についてのレポートを読みましたが、それによると、日本の市場で果実酒、ワインを飲んでいる人たちは55歳以上が3分の2を占めていて、若い世代の比率は低いです。こうした若い世代のクラスターはミレニアム世代とかジェネレーションZと言われており、実はこうしたクラスターのほうがより探究心が強くて、金額にこだわらずに消費をする。そして彼らが目を向けているのが日本ワインだったり、あるいはナチュラルワインだというのです。
これはあくまでもイギリスのワイン・インテリジェンスという会社がレポートしたものなので、もうこの件についても日本でもちゃんと調べてはどうかと思っております。
先ほど中空委員の発言とも少し関係性がありますが、今若いジェネレーションZの世代の人たちのほうがエシカル消費に対する関心が高いということも言われております。もちろん20歳以前にお酒は飲みませんが、20歳以上の方でエシカル消費の関心の高い方が日本ワインへの関心を持っているかどうかも知りたいところです。今後、こうしたクラスターに対しても日本ワインへの関心を高めることをしていきたいなと思うので、ぜひこのあたりも国税庁のほうで調べていただけるとありがたいなと思っています。
以上です。
酒税課長
貴重な御示唆ありがとうございます。市場調査につきまして、来年どういうふうに進めていくかこれから考えるところでございますので、御意見を踏まえ、酒税課の中でもいろいろ相談してみたいと思います。
分科会長
時間もございますので、さらに御意見、御質問などございましたら事務局までメールにてお問合せいただければと存じます。ありがとうございました。
それでは、次の議題に移らせていただきます。
地球温暖化対策計画に係る平成28年5月の閣議決定を受け、政府は経団連加盟の業界や加盟していない個別業種の取組を関係審議会で評価・検証することとなっておりまして、国税庁ではビール業界の取組をこの審議会で評価・検証することとしております。
本日は、ビール酒造組合からビール業界における二酸化炭素排出量削減の取組につきまして御説明いただきます。また、経団連に加盟してはおりませんけれども、注目される取組を行っている霧島酒造株式会社にも御出席いただき、御説明いただきます。
それでは、ビール酒造組合、霧島酒造組合株式会社の方に会議へ御参加いただきます。よろしいでしょうか。
それでは、御紹介させていただきます。ビール酒造組合の岸野専務理事です。それから水谷審議役です。ビール業界の取組につきまして、岸野様、御説明をお願いいたします。
岸野専務理事(ビール酒造組合)
ビール酒造組合専務理事の岸野でございます。本日は、私どもの取組について説明する時間を頂戴いたしましてありがとうございます。一方で、本日はオンラインの参加となることお詫びいたしたいと思います。
それでは、早速ですけれども、資料のほうを御覧いただければと思います。よろしくお願いいたします。
この資料、2021年度概要、ビール業界におけるCO2排出量削減の取組について御説明をいたします。
なお、この資料に書かれておりますビール業界という言葉ですけれども、このビール業界は、ビール酒造組合に加盟しておりますアサヒ社、キリン社、サッポロ社、サントリー社、オリオン社、この5社を指しております。大体国内のシェアでは98%ぐらい以上というふうに思っていただければなと思っております。
まず、我々ビール業界としましては、1996年から経団連さんの環境実施行動計画に参画して、省エネ及びCO2削減にずっと取り組んでまいりました。2013年からは、環境実施行動計画に次ぐ新たな計画でございます低炭素社会実行計画に、それから21年からはカーボンニュートラル行動計画に参画しております。
まず、このカーボンニュートラル行動計画目標値について御説明をいたします。2021年に、これは皆さん御存じのとおり、日本の政府から2050年の温室効果ガス実質ゼロ、また、2030年は2013年度比46%削減、さらに50%の高みを目指すという方向性を出されましたので、それを受けまして我々も2050年度のカーボンニュートラルに向けた業界ビジョン、また、2030年目標を御覧のとおりに設定をいたしております。
書いてあるとおりではございますが、2050年に関しましてはビール業界としてまずカーボンニュートラルを達成している、すなわちScope1、2のところでCO2の総排出量を実質ネットゼロとすると、また、Scope3におきましても、CO2総排出量の削減を実現しているということをビジョンとして掲げました。
ただ、まだこの段階では、昨年の段階では、今後しっかり設定していく予定でございます。また、将来像にマイルストーンですね、2030年のマイルストーンというところでいきますと、Scope1、2に関しましては、2013年度比46%減の30.8万トンとするというふうに考えております。
また、Scope3におきましても、課題に優先順位をつけて、削減がスタートしている状態に持っていくというふうに設定しております。
以上でございます。
次に、2022年の実績はどうかということに関して御説明をいたします。
もともと2020年までの低炭素社会実行計画においては、2013年度比26%削減でしたので、42.3万トンの目標を定めておりました。それについては十分達成をすることができております。今回、先ほど申し上げたとおり、カーボンニュートラル行動計画においては、2030年には30.8万トンというさらなる高みを目指した目標を立てておりますが、それに対しましては2021年度実績は39.5万トンでございますから、進捗率という意味では67.1%ということになるかなと思っております。ここから毎年3%ずつ改善していけば達成するというような形でございます。
また、昨年あるいは一昨年も、こちらに御説明させていただいたときに皆様からも御指摘をいただいた重要な課題であったとScope3のところでございます。ここについても改めてちゃんと取り組もうというところで、今回は、昨年は現状把握をまずしないといけないというところでScope3の中のCO2排出総量について調査をいたしました。結果的に、この15カテゴリーのうち御覧の5つのカテゴリーで約90%を占めるということが分かりました。これらの中で、特に排出量の占める割合の大きいものから優先順位をつけまして削減の取組を行っていくこととしております。
現時点ではこのカテゴリー1に含まれるんですけれども、アルミ缶、段ボールもそうなんですけれども、アルミ缶の割合が大変多いということが分かっておりますので、まずは当然個社と個社もあるんですが、業界対業界も含めて取組を進めていく予定をしております。
最後に、先ほど2021年度いろいろ活動して削減をしたということを申し上げましたけれども、どういう具体的な削減をしたのかということについて御説明をいたします。
これまでは、当然都市ガスへの燃料転換であったり、コージェネレーションなどの新たな動力設備活動の推進を行うということでCO2排出量削減に大きく貢献をしてきたかなと思っております。
2021年の革新的な技術開発としましては、産廃処理していた排水汚泥をエネルギーに効率よく転換する技術として嫌気性処理と書かせていただいておりますが、膜分離技術MBRと組み合わせた設備の導入をある1社が工場に導入を行って、それで400トンのCO2削減を行うことができたと、これも順次広げていくということでございます。
また、ビールって6缶ですね。パックになって売っているのが、スーパーではそれが多いんですけれども、その6缶パック、紙の使用面積を従来の紙素材、資材から最大約8割削減したエコパックというのを導入した会社もございまして、そこでは約7,400トンぐらいのCO2削減ができたと。これは形は違いますが、各社同じようにいろんな削減、紙包材のところも削減を進めているというところでございます。
今後も環境に配慮した設備導入、それから商品開発を進めてまいりたいというふうに考えております。
ビール業界からの報告は以上となります。
分科会長
どうもありがとうございました。
続きまして、霧島酒造株式会社の取組について、クリーンエネルギー本部長の田原様、御説明をお願いいたします。
田原クリーンエネルギー本部長(霧島酒造)
それでは、霧島酒造のCO2排出量削減の取組について御説明いたします。資料3-2の概要を中心に進めさせていただきます。
弊社の場合は、原料である水、あとサツマイモ、弊社の場合は宮崎県の都城市、生産拠点はその1か所ですので、良質の水、また良質のサツマイモ、それを持続的に調達していくというのが弊社にとっての生命線でございます。そういった意味もありまして、霧島酒造は昔から経営トップが焼酎粕は宝であると、それをうまく活用しなさいという使命をずっと我々は与えられてきました。
そんな中、焼酎の製造工程で出ます蒸留残渣である焼酎粕、あと、原料にならない品質の悪い芋、それを芋くずと呼んでおりますが、その芋くず、それをメタン発酵してバイオガスを取り出しています。これは2006年からスタートしております。
当初は、原料を蒸したりとか蒸留したりとか焼酎の製造工程で蒸気を多く使いますので、ボイラー燃料として使っていました。それでも時間帯とか、量的にもまだバイオガスが余るということで、2014年に発電を、バイオガスを燃料とした発電を開始しました。これをサツマイモ発電と命名してスタートしております。
2番のところですが、2021年の11月、持続可能な焼酎造りの全体構想、KIRISIMA SATSUMAIMO Cycleと呼んでおりますが、「さつまいもを、エネルギーに」を掲げ、サツマイモを中心とした自然の恵みを有効利用していくと、それで持続可能なサステナブルな社会の実現に向けて2030年度までに工場、事務所のCO2排出量を実質ゼロにすることを宣言致しました。
3番は、グラフがございますが、弊社の場合、2013年度を基準年度としています。2013年度がScope1、2で約2万7,000トンCO2を排出しておりました。冒頭に述べましたバイオガスを有効利用していくことで、2021年度には33%削減しております。
発電した電気は、FIT、固定価格買取制度で電力会社に大半は売電しております。ではこれからどういうふうにして実質ゼロにしていくのかということですが、このグラフで2030年が50%となります。50%というのは、さらにバイオガスを有効利用したりとか、省エネを進めることで工場内でできる部分が50%以上はあるだろうと思っています。それ以外は、カーボンオフセットの森林吸収とか、そういったもので実質ゼロを目指していきます。
詳細の2ページ目の下のほう、4番CO2排出量削減に向けた主な取組を書いております。弊社以外にも他の焼酎メーカーから焼酎粕の受入れを2022年度から開始しております。
③番ですが、焼酎メーカー以外からも取引のあるニチレイロジグループさんと連携いたしまして、ニチレイロジグループさんで出てくる食品廃棄物も弊社のほうで受け入れてエネルギーを作っていくと、そういった取組をスタートしております。
②番ですが、これはバイオガスの利用を多くしようということで、本社エリアの一部しかバイオガスをボイラー燃料として使っていなかったんですけれども、それを今年度、蒸気ボイラーを増設しまして、さらに使えるような状況に持ってきています。
3ページですが、これは本社の志比田エリアでございますが、志比田エリアのほうにもバイオガスボイラーを増設して、バイオガスのボイラー燃料としての有効利用を図っております。
それから、⑤番ですが、森林吸収を活用したカーボンオフセットということで、弊社が一部ですが所有している森林活用に加えて、宮崎県は林業も盛んで、山林の多い地域でもございますので、地域の森林の保全活動プラス経済的な部分を支援していくことで、1つはCO2吸収量を創出するとともに、地域経済の活性化に繋げていけたらと思っております。
最後に5番ですが、②の今後、実施を目指す取組、この中でCO2削減の部分が一番上に書いてありますが、サツマイモ発電の電力利用先の拡大、これは社内での利用です。先ほど申しましたように、FITで電力会社に発電した電気の80%以上は売電していますので、2034年度までFITは適用されるんですけれども、それよりも早く卒FITを行って社内利用を拡大していきたいと思っております。
このような取組をしていくことで、CO2排出量の削減、もう一点大きいところは、弊社にとっては良質な原料を永続的に調達する環境を作っていく事と、あともう一点は、地域経済が成り立たないと継続・持続していけませんので、そういった経済的な側面も踏まえて、今後も活動していきたいと思います。
以上が私からの説明でございます。
分科会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして何か御質問のある方は挙手をお願いいたします。
質問がないようですので、質疑を終了いたします。
岸野様、田原様、本日は大変参考になる御説明をいただき、誠にありがとうございました。
岸野専務理事(ビール酒造組合)
田原クリーンエネルギー本部長(霧島酒造)
分科会長
ありがとうございました。
それでは、本日の会議を終了することといたします。
なお、本日の議事要旨及び議事録の公開につきましては、酒類分科会会議議事規則にのっとりまして、国税審議会と同様の扱いとさせていただきたいと思います。
では、これをもちまして第24回酒類分科会を閉会とさせていただきます。
それでは、事務局にお返しいたします。
酒税課長
以上をもちまして、本日予定しておりました会議は全て終了となりました。委員の皆様方は大変お忙しいところを御出席いただきまして誠にありがとうございました。
手島委員
すみません、先ほどちょっと時間がなくて次に移ってしまったので、1つだけ御解答いただいた内容についての希望を申し上げたいので。万博に向けての施策は今まさに御検討中だということだったのですけれども、今、日本産酒類への注目が世界から高まっていて、各国からのインバウンドの方たちがたくさん大阪万博にいらっしゃったときに、ぜひその日本産酒類の日本酒、焼酎、泡盛、ワイン、ビール、ウイスキーなどの生産地を訪ねるいわゆる酒蔵ツーリズムという部分の情報発信に対して、ぜひ国税庁さんにそのあたりの発信をしていただきたいというお願いをさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
酒税課長
まさにこちらで意図しておりましたご提案でございます。
手島委員
先ほどちょっと質問が次に行ってしまったので、大変この終了間際に僭越ながらお願いをさせていただきましたことをお許しください。
酒税課長
とんでもございません。いただいたご提案につきましては、重要な項目の一つに入っており、具体的に話も上がってきております。ご参考とさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
手島委員
分科会長
酒税課長
それでは散会とさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
――了――