日時: 令和3年3月30日 14時13分~14時45分
場所: 国税庁第二会議室/オンライン
出席者: 酒類分科会委員 大倉委員 鹿取委員
川嶋委員 木村委員
小関委員 立道委員
手島委員 中空委員
吉村委員
説明者 国税庁 可部国税庁長官
鑓水国税庁次長
木村審議官
郷酒税課長
松井輸出促進室長
近藤鑑定企画官
ビール酒造組合 板垣専務理事
善本審議役

酒税課長

ただいまより第21回酒類分科会を開催いたします。
酒税課長の郷でございます。よろしくお願いいたします。後ほど、分科会長をお決めいただくまでの間、私が進行役を務めさせていただきます。
まず、酒類分科会に所属しておられます委員の方々を50音順で御紹介いたします。
大倉委員、鹿取委員、川嶋委員、木村委員、小関委員、立道委員、手島委員、中空委員、廣重委員、吉村委員の10名でございます。
本日は、廣重委員が御欠席でございますが、委員の過半数の方々が御出席でございますので、国税審議会令第8条第1項及び第3項の規定に基づき、本会は有効に成立しております。
それでは、酒類分科会委員の皆様方で酒類分科会長の選任をお願いしたいと存じます。
国税審議会令第6条第4項によりまして、分科会長は委員の皆様の互選により選任していただくことになっております。
どなたか御推薦等はございますか。御推薦のある方は、挙手ボタンをお願いいたします。
中空委員、御発言をお願いいたします。

中空委員

ありがとうございます。
今までの御知見や様々な御経験から、吉村先生にお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

酒税課長

ただいま、吉村委員を分科会長にという御意見がございました。
ほかに御意見はございますか。
吉村委員に分科会長をお願いすることでよろしいでしょうか。
異議なしの方は、挙手ボタンをお願いいたします。
(「異議なし」の挙手あり)

酒税課長

挙手のない委員の方もおられますが、吉村委員に分科会長をお願いすることでよろしいでしょうか。
ほかに御意見もないようでございますので、吉村委員に分科会長をお願いすることで進めさせていただきたいと存じます。
それでは、吉村分科会長に今後の議事進行をお願いしたいと存じます。まず一言御挨拶をいただき、併せて酒類分科会長代理の指名をお願いしたいと存じます。吉村分科会長、よろしくお願いします。

吉村分科会長

ただいま御指名いただきました慶応義塾大学の吉村でございます。租税法を専攻しております。酒税行政について、分科会の立場としては、これをバックアップし、健全な発展を遂げることを使命としておりますので、ぜひ皆様の御協力の下、円滑に議事を進めていきたいと思っております。御協力をお願いいたします。
それでは、国税審議会令第6条第6項により、分科会長が当該分科会に属する委員のうちからその職務を代理する委員をあらかじめ指名することになっておりますので、分科会長代理の指名を行いたいと思います。
知見、経験から見て、小関委員にお願いしたいと思いますが、小関委員、いかがでしょうか。

小関委員

はい、御指名いただきましたので、謹んでお受けいたします。吉村分科会長と円滑な議事の進行に努めたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

吉村分科会長

よろしくお願いします。ありがとうございます。
それでは、議題2の「酒類行政における最近の取組等」について、事務局から御説明をお願いいたしたいと存じます。よろしくお願いします。

酒税課長

改めまして、酒税課長の郷でございます。私から資料2に沿いまして、最近の取組等について、御報告申し上げます。
まず、1ページでございます。
昨年来の国内の酒類の消費動向でございますが、新型コロナの影響によりまして、飲食店消費を中心に厳しい状況が続いております。
次に、2ページ。他方、輸出につきましては、昨年後半、急回復いたしまして、酒類全体では9年連続、清酒につきましては11年連続の過去最高を記録しております。中でも、品目別にはウイスキー、国・地域別には中国・香港といったところが著しく伸びたところでございます。
こうした状況も踏まえ、3ページのとおり、令和2年度3次補正予算、3年度当初予算におきまして、国内向け施策・輸出促進施策の2つを柱とした各種事業を展開してまいります。特に、今回の予算の目玉でございますフロンティア補助金及びブランド化・酒蔵ツーリズム補助金につきましては、現在、公募を終え、審査中でございます。
6ページから7ページは、昨年12月に決定いたしました「新たな農産品の輸出戦略」についてでございます。清酒・ウイスキー・本格焼酎・泡盛の3品目を重点品目といたしまして、それぞれターゲット国・数値目標を定め、具体的課題・方策を特定しながら取り組んでいくこととしております。
8ページから9ページにかけましては、ユネスコ無形文化遺産登録に向けた検討状況でございます。8ページでございますが、1月18日の施政方針演説において、菅総理大臣から日本酒、焼酎などの文化資源について、ユネスコ無形文化遺産への登録を目指しますと明言いただきました。現在、文化庁が行う醸造技術などの調査に協力するなど、登録に向けた諸課題につきまして検討を加速化させております。
具体的には、9ページにあるとおり、こうじ菌を用いた醸造技術等についての文献調査やヒアリング調査、あるいは登録に向けた機運醸成事業を今後実施してまいります。
また、酒蔵の皆様、杜氏をはじめとする蔵人の皆様が中心となって、酒造りの技を保護・継承していく担い手団体、保存会を来月中旬をめどに設立すべく、検討を進めていただいていると承知しております。
さらに、無形文化財等の登録制度を新設する文化財保護法改正法案が今国会に提出されております。酒造りの技術についても、この文化財保護法上の登録を目指すこととしております。
こうした一連の取組を通じまして、最速でいえば2022年、来年の春にユネスコへの申請、また、2024年のユネスコ無形文化遺産への登録を目指して準備を進めてまいりたいと考えております。
10ページは、地理的表示、GIでございます。本日、3月30日、新たにGI清酒「萩」を指定いたしました。GI「萩」は15件目の指定でございまして、清酒のGIとしては8件目になります。また、現在、4月6日までの予定で、GI清酒「山梨」についてパブリックコメントを実施中でございます。引き続き、地理的表示の指定に向けた取組に対して、適切に支援をしてまいります。
最後に、11ページを御覧ください。
2年前に公表いたしました「酒類行政の基本的方向性」につきまして、課題と国税庁の取組との対応関係について明確化するとともに、新型コロナや、先ほど申し上げました新たな輸出戦略、国税庁の新規施策等を踏まえて改定をいたしたいと考えております。
大変駆け足の説明となりましたが、私からは以上でございます。

吉村分科会長

御説明ありがとうございました。
それでは、議題2の内容につきまして、何か御質問がある方は挙手ボタンをお願いいたします。
何か御質問はございますか。
鹿取委員、お願いいたします。

鹿取委員

ただいま御説明を承りまして、地理的表示シンポジウムなどの開催という項目がありましたが、ワインについては、ここ3年ぐらいで新規ワイナリーが著しく増えています。
こうした状況の中、新規ワイナリーの生産者に関しては、地理的表示に関する知見の共有というのが不十分なように感じています。大がかりなシンポジウムの開催ももちろん必要ですけれども、各地域における、その地理的表示の概念というか、システムについての周知というのが必要だと考えています。今年1年間、そうした各地域における講習みたいなものは検討していらっしゃるのでしょうか。

吉村分科会長

事務局のほうから御説明をお願いいたします。

酒税課長

御質問ありがとうございます。
来年度、令和3年度に実施しますGIのシンポジウムをはじめとする、GI普及に向けた取組につきましては、具体的にはこれから検討していきたいと考えております。
ただいま御指摘の各地域における取組についても、ただいまの御意見を踏まえながら設計をしてまいりたいと思っております。
以上です。

鹿取委員

ありがとうございました。

吉村分科会長

中空委員から御質問がありますので、よろしくお願いします。

中空委員

私も、鹿取委員が指摘なさっていたGIについてと、ユネスコ無形文化遺産登録について関心があります。これを2つやることによって、何やら日本酒が素晴らしいです、信用力が増します、という感じはするのですが、こうした動きが海外市場の開拓や売上の増加などに、関係するというようなことは示されているのでしょうか。そこを教えていただければと思います。
以上です。

吉村分科会長

事務局は、御質問に対する御説明をお願いいたします。

酒税課長

御質問ありがとうございます。
まず、GIについてでございますが、GIを取得することによりまして、例えば国際交渉において、我が国のGI、地理的表示が海外で保護されるということもございますので、そういった意味では輸出に対して有利に働くのではないかと期待しております。
また、ユネスコにつきましては、文化遺産ですので、ダイレクトに商業目的の利用ということについては、慎重にならなければいけないところではございますが、当然、認知度が高まるきっかけになると考えております。また、何よりこのユネスコ登録を目指すという形で、各酒蔵の皆様、蔵人の皆様が一丸となって行動するということにこそ意義があるのではないかというふうに考えている次第でございます。

吉村分科会長

中空委員、よろしいでしょうか。

中空委員

はい。ありがとうございます。

吉村分科会長

ほかに何か御質問はございますか。
川嶋委員が何か御質問があるようです。

川嶋委員

読売新聞の論説委員をしております川嶋と申します。どうぞよろしくお願いします。
25分に戻ってきたつもりですけれども、議事が進行していて聞き逃してしまいました。申し訳ございません。
多分御説明があったと思うのですけれども、ユネスコ無形文化遺産登録について、登録に向けて具体的にどういう課題があるのかを教えていただけないかと思っています。恐らくほかの事例でも、登録されると、その保護措置、割と厳しい保護措置がかかると思うのですけれども、そういったものについてどのようにハードルを乗り越えていくのかということも併せて教えていただけますでしょうか。

吉村分科会長

それでは、事務局のほうから今の御質問に対するお答えをお願いいたしたいと存じます。

酒税課長

御質問ありがとうございます。
課題についてですが、大きく分けますと、一つは、まず登録内容をきちんと固めるということ。これが大事だと思っております。また、その登録される内容、技術、あるいは文化について、きちんと保護する団体、担い手が存在すること。これが二つ目に大事な課題だと思っております。
一つ目の課題につきましては、先ほども御説明させていただいたところでもございますが、今後、醸造技術等についての文献調査、ヒアリング調査等により、中身をしっかりと固めてまいりたいと考えております。
二つ目の担い手団体につきましては、酒蔵、あるいは杜氏をはじめとする蔵人の皆様が中心となって、今年、来月中旬を目途に担い手団体、保存会が設立される方向で今準備を進めていただいていると聞いております。
なお、ユネスコの無形文化遺産でございますが、おっしゃるとおり、保護措置ということがきちんと図られていることが必要と求められているところでございますが、いわゆる有形の世界遺産とは違いまして、そこまでぎりぎりとしたものが求められているわけではないと認識しております。
以上でございます。

吉村分科会長

今のお答えでよろしいでしょうか。
次に、手島委員、お願いします。

手島委員

手島です。
今のユネスコの無形文化遺産の登録へ向けてに関連してですけれども、担い手のその保存会を作られているということですけれども、これは保存会という、そのメンバーの担い手という意味は、造り手という、日本酒や本格焼酎の造り手という意味なのでしょうか。その保存会のどういう人たちによる何を保存ということに向けてのメンバーを考えていらっしゃるのか、お聞きしたいのですけれども、よろしくお願いします。

吉村分科会長

事務局、よろしくお願いいたします。

酒税課長

御質問ありがとうございます。
9ページを御覧いただければと思います。今、我々のほうで、そのユネスコ無形文化遺産に向けて何を登録するかということを考えている中で、素案の段階ではございますが、1の一つ目の丸に書いてございます、こうじ菌を使った日本の伝統的な酒造りの技術、こういったところを軸に登録を目指していこうと考えております。
したがいまして、この酒造りの技術の担い手でございます酒蔵さん、あるいは蔵人さんが中心となって担い手団体を設立していただくということになっておりまして、そういう意味では、おっしゃるとおり、造り手の方々がこの中心になると認識しております。

手島委員

ありがとうございます。分かりました。

吉村分科会長

そろそろお時間が迫っておりますので、もしよろしければ次に移らせていただきたいのですが、よろしいでしょうか。
御意見、御質問などもまだまだ尽きないと思いますが、もし、更なる御意見、御質問などがございましたら、メール等にて事務局までお問合せいただければ幸いです。
それでは、次の議題に移らせていただきたいと存じます。
次の議題につきましては、ビール業界におけるCO2排出量削減の取組について、ビール酒造組合から御説明いただくことになっております。
それでは、ビール酒造組合の方、会議への御参加をお願いいたします。
(ビール酒造組合参加)

ビール酒造組合(板垣専務理事)

はい、ただいま紹介いただきましたビール酒造組合専務理事の板垣でございます。よろしくお願いいたします。
本日は限られた時間ですので、ビール業界におけるCO2排出量削減の取組について、目標、この2年分、つまり、2018年度と2019年度の成果、トピックス、課題及び今後の予定について説明をさせていただきます。
それでは、資料「【2019年度 概要】ビール業界におけるCO2排出量削減の取組について」を御覧ください。
この資料においてのビール業界とは、ビール酒造組合に加盟しておりますアサヒ、キリン、サッポロ、サントリー、オリオンの5社を指しております。
ビール業界としては、経団連の環境自主行動計画に1996年から参画し、省エネ及びCO2削減に取り組んでまいりました。2013年からは、環境自主行動計画に次ぐ新しい計画として、低炭素社会実行計画に参画しております。
目標でございますが、ビール業界としての低炭素実行計画においては、2020年CO2総排出量51.1万トン、2030年CO2総排出量46.3万トンを目標に設定させていただいております。
この2年分の成果でございますが、実績としては、資料のCO2総排出量推移1990年から2019年度のグラフを御覧ください。
2013年49.2万トン、2014年は48.1万トン、以降段階的に減少しておりまして、2018年は45万トン、2019年の実績は44万トンでした。2018年よりも1.0万トン削減しております。
これらの結果は、2020年目標値であります51.1万トンを下回り、目標を達成しております。2030年目標である46.3万トンも達成しております。
そこで、更に高い目標を掲げ、2030年CO2総排出量を42.3万トンにする目標に変更しております。このグラフのところに変更後と書いてありますけれども、変更後42.3万トンということで、新たな目標を掲げております。
トピックスとしましては、これらのCO2排出の要因としまして、ビール工場の高効率ボイラーや冷凍の設備導入などにより、エネルギー使用量の削減につなげてきたことが大きく貢献しております。
また、これらの活動に加え、物流面においてもビール各社が鉄道による製品の共同配送やビールパレットの共同回収といった物流領域での削減によりCO2の削減につなげました。2019年のビールパレットの共同回収では、5,158万トンのCO2排出量削減を達成することができております。
今後の課題でございますが、このような地道な取組を行っているものの、下側の表にありますように、エネルギー使用原単位指数で、2018年は0.516、2019年は0.512まで削減してきております。生産量が低下トレンドにある中、これ以上の大幅な削減は困難な状況になってきております。さらなる削減に向けた新たな取組の発掘が今後の課題というふうに考えております。
今後の予定ではございますが、今後は、目標見直しにより新たに設定しました2030年CO2総排出量42.3万トン達成に向けて、低炭素化社会実現へ向け、さらなる貢献ができるような取組をビール業界として進めていきたいと考えております。
以上、ビール業界からの報告でございます。ありがとうございます。

吉村分科会長

どうも御説明ありがとうございました。
御紹介が遅れてしまい、申し訳ありませんでした。ただいま御説明いただきましたのは、ビール酒造組合の板垣専務理事でございます。そのほか、善本審議役も御参加いただいております。
それでは、議題3の内容につきまして、何か御質問がある方は、挙手ボタンをお願いいたします。
中空委員、お願いいたします。

中空委員

御説明ありがとうございました。すごく、御努力が感じられました。
参考のために教えていただきたいのですが。その0.512という、原単位に対するエネルギーですが、諸外国のビールの場合はどうなっているのでしょうか。参考として教えていただければと思います。よろしくお願いします。

ビール酒造組合(善本審議役)

御質問ありがとうございます。
ビール酒造組合の善本でございます。御質問に御回答させていただきます。
今回、御説明させていただいたのは、日本国内ビール大手5社の内容ですが、それらについては我々、ビール酒造組合として、データを収集して、実際に原油をどれぐらい購入しているとか、エネルギーをどれぐらい消費しているかといった、生の数値を用いてビール酒造組合のほうで換算して計算しております。
ご質問に対して、諸外国のデータにつきましては、詳細なデータは持ち合わせておりませんので、諸外国との比較は行っておりません。しかしながら、それぞれのビール工場、ビール会社において、エネルギー、環境問題というのは大きな課題となりますので、CO2削減に向けての環境に配慮した企業・会社としての取組は、日本と同様に海外でも積極的に行われていると考えております。

中空委員

ありがとうございます。
ということは、このデータからは世界との比較はわかりにくいということですね。日本の努力が世界基準で見て、すごいのか、あるいはすごくないのか、そういうことを知りたかったのです。相対的にどれくらいの位置づけかということに関してはデータがないということで、方向としては皆同じである、という理解でよいでしょうか。

ビール酒造組合(善本審議役)

海外においてもそれぞれの取組の中で、エネルギーを低減する取組を実施しております。一方、日本においては、例えばエネルギーを下げるのに冷水・温水の効率的な利用ができる設備導入以外にも、クールビズ等でエネルギー使用量を低減する等の取組を徹底的に行っていますので、日本ならではの取組で海外よりも勝っている、海外にはない日本ならではの取組というのはあると思っています。
ただ、そういったものの数値の比較というのは、直接我々も行っておりません。海外でもその国に応じた取組を行い、日本は日本の独自の取組も行って、エネルギー低減という同じ目標に向かって取組でおります。日本においては、クールビズ等や冷排水の再利用を効率良く行うとかといった取組を、一つ一つを積み上げることを地道にやっており、そういったところは海外よりも優れているのではないかと考えております。

中空委員

分かりました。ありがとうございます。

吉村分科会長

どうもありがとうございました。
菅内閣も二酸化炭素の削減について、非常に野心的な目標を提示しておりますので、ビール業界におきましても、今後ともさらに強力な削減措置を継続していただければ幸いです。今日は御説明どうもありがとうございました。
それでは、予定の時刻にほぼなりましたので、質疑を終了いたします。
本日の議題は以上となりますが、委員の方におかれましては、何か特別な御発言はございますか。
何もないようですので、本日の会議は終了することといたします。
なお、本日の議事要旨及び議事録の公開につきましては、酒類分科会議事規則第4条にのっとりまして、国税審議会と同様の扱いとさせていただきたく存じます。
では、これをもちまして、第21回酒類分科会を閉会とさせていただきたいと思います。
御協力、ありがとうございました。
――了――