日時: 平成27年3月9日 14:48〜15:52

場所: 国税庁第一会議室

出席者:

酒類分科会委員 三村分科会長 佐藤会長代理
  河村委員 篠原委員
  手島委員 橋本委員
  広重委員 吉村委員
  渡辺委員  
説明者 国税庁 上羅審議官
  稲本酒税課長
  宇都宮鑑定企画官
  笠酒税企画官
  松井酒税課課長補佐
  山根鑑定企画官補佐
  後藤酒税課課長補佐
  飯島酒税課課長補佐
  遠山酒税課課長補佐
  石渡鑑定企画官付企画専門官
ビール酒造組合 友野専務理事
  平井審議役

酒税課長
 それでは、引き続きまして、酒類分科会を開催したいと思います。ただいまより、第15回酒類分科会を開催いたします。酒税課長の稲本でございます。後ほど分科会長をお決めいただくまでの間、私が進行役を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 まず、酒類分科会に所属しておられます委員の方々を五十音順で御紹介いたします。河村委員、佐藤委員、篠原委員、須磨委員、手島委員、橋本委員、広重委員、三村委員、吉村委員、渡辺委員の計10名でございます。
 本日は、委員の過半数の方々が御出席でございますので、国税審議会令第8条第1項及び第3項の規定に基づき、本会は有効に成立いたしております。
 本日の酒類分科会の進行でございますが、議題が三つございます。まず一つ目の議題であります分科会長の互選、それから分科会長から分科会長代理の指名を行っていただきまして、そこで一旦休憩とさせていただきたいと思います。休憩を挟みまして、その後残りの二つの議題、地球温暖化対策に係るビール製造業の低炭素社会実行計画及び酒税行政の現状について御審議いただきたいと思います。
 それでは、まず1番目の議題であります、酒類分科会長の互選を行いたいと思います。国税審議会令第6条第4項によりまして、分科会長は委員の皆様の互選により選任していただくことになっております。酒類分科会委員の皆様方で、酒類分科会長の選任をお願いしたいと思います。どなたか御推薦等ございますでしょうか。

篠原委員
 三村委員を御推薦申し上げたいと思います。その理由は、専門が経営学というニュートラルな立場から、広い視野で各分野の委員の皆様の御意見を総括していただけるものと期待しております。どうぞよろしくお願いします。

酒税課長
 ただいま三村委員を分科会長にという御意見がございましたけれども、ほかに御意見等なければ三村委員に分科会長をお願いしたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

酒税課長
 特に御異議ないようでございますので、三村委員に分科会長をお願いしたいと思います。
 それでは、三村分科会長から一言御挨拶をいただきまして、その後の議事を執り進めていただければと思います。よろしくお願いいたします。

分科会長
 ただいま御指名いただきました三村でございます。経営の分野の中でもマーケティング、流通を専門にしております。先ほど御説明いただきましたように、日本の酒類が海外へ進出していく可能性があるということで大変期待しております。微力ではございますけれども、分科会長を務めさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、国税審議会令第6条第6項によりまして、分科会長が当該分科会に属する委員及び臨時委員のうちから、その職務を代理する委員をあらかじめ指名するということになっておりますので、分科会長代理の指名を行いたいと思います。
 40年以上お酒の分野で御活躍され、お酒について非常に御造詣が深いというふうに伺っております佐藤委員に分科会長代理をお願いしたいと思いますけれども、佐藤委員、いかがでございましょうか。

佐藤委員
 はい、御指名いただきましたので、微力ながら務めさせていただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。

分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、酒類分科会を一旦中断いたします。

(休  憩)

分科会長
 それでは、定刻となりましたので、酒類分科会を再開させていただきます。
 休憩を挟んで出席者が少し変わりましたので、改めまして本日出席しております委員の方々と事務局の方を、御紹介させていただきます。
 私は、先ほど酒類分科会長に選任されました三村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、委員の方々につきましてお名前だけを紹介させていただきます。河村委員、佐藤委員、篠原委員、手島委員、橋本委員、広重委員、吉村委員の皆様でございます。それから国税庁の方からの出席者の皆様につきましては、お手元の配席図のとおりでございますので、御参照くださればというふうに思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、まず上羅審議官から御挨拶をいただいた後で、本日の議題に入りたいと思います。上羅審議官、よろしくお願いいたします。

上羅審議官
 酒税を担当しております上羅でございます。どうぞよろしくお願いいたします。それでは、座って御挨拶させていただきます。
 委員の皆様方におかれましては、御多用にもかかわらず本会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。また、日頃から、税務行政及び所管の酒類行政につきまして、多大なる御理解また御協力を賜っておりますことを、厚く御礼申し上げます。
 今回の酒類分科会につきましては、本年1月の委員改選後、初めての開催となります。先ほど御就任されました三村分科会長、また、佐藤分科会長代理のもと、新しく5名の委員の方をお迎えすることとなりました。委員の皆様方におかれましては、貴重な御意見また御指導を賜りますようお願い申し上げる次第でございます。
 本日は2点ございまして、1点目は、まず地球温暖化対策に係るビール製造業の低炭素社会の実行計画につきまして、ビール酒造組合の御担当の方から説明していただきます。その後で、酒税行政の現状につきまして事務局より御説明申し上げます。
 先ほど税務行政の現状と課題につきましては、事務局から酒税行政の概要を少し御説明したところでございますけれども、簡単に一言申し上げますと、国税庁におきましては、酒類業を所管する立場で酒税の保全ということと、産業行政として酒類業の健全な発達という2点を所管しております。製造、卸小売の生販三層という製造者、流通に携わる方々と、消費者の立場から、様々な課題があるかと思っております。
 本日説明する内容としましては、まず、酒類の公正な取引環境の整備、2点目は、日本産酒類の輸出促進の取組です。また、本年4月1日から施行される予定の食品表示法、さらに独立行政法人酒類総合研究所の業務の見直しの方向など、酒類を取り巻く各般にわたる事項につきまして、御説明をさせていただきたいと思います。どうぞ御意見を賜れればと思っております。よろしくお願いいたします。
 酒類行政は、国税庁の中で非常に前向きな仕事、積極的にPRを進めていくところでございます。委員の方からそのような観点からの御発言をいただき、貴重な御意見として参考とさせていただきますので、よろしくお願いしたいと思います。
 以上でございます。

分科会長 
 ありがとうございました。
 それでは、本日の議題に入りたいと思います。
 まず初めに、地球温暖化対策に係るビール製造業の低炭素社会実行計画について、御説明をいただきます。
 本件につきましては、ビール酒造組合から御説明いただくことになっております。それでは、ビール酒造組合の方、どうぞ御入室お願いいたします。

(入  室)

分科会長
 本日は、お忙しいところお越しいただきましてありがとうございました。
 それでは、御紹介させていただきます。友野専務理事でいらっしゃいます。

ビール酒造組合(友野専務理事)
 友野です。どうぞよろしくお願いします。

分科会長
 それから、平井審議役でいらっしゃいます。

ビール酒造組合(平井審議役)
 平井です。よろしくお願いいたします。

分科会長
 それでは、ビール酒造組合からの御説明の前に酒税課長から、本件の概略を御説明いただきたいと思います。

酒税課長
 酒税課長の稲本でございます。
 それでは、地球温暖化対策に係るビール製造業の低炭素社会実行計画につきまして、この酒類分科会にフォローアップをお願いすることになりました経緯等につきまして、簡単に御説明させていただきます。
 お手元の資料2の1ページを御覧いただきたいと思います。まずこの低炭素社会実行計画について御説明させていただきます。この低炭素社会実行計画とは、地球温暖化の防止に取り組むために各産業の業界団体が、自主的に国内の事業活動から排出されるCO2の削減目標等を定めたものでございます。この低炭素社会実行計画の前身に当たります自主行動計画の時代から、酒類業界におきましてはビール酒造組合が、この計画を策定しております。
 この計画の策定に至る経緯でございますけれども、次の2ポツのところに書いてございます。まず京都議定書におきまして我が国の国際的な約束として2008年、平成20年度から2012年、平成24年度までの期間に温室効果ガスの排出量を、基準年度対比で6%削減するということが定められたところでございます。
 この京都議定書の目標の達成のために、次の(2)にございますが、平成17年に閣議決定されました京都議定書目標達成計画というのがございまして、この中におきまして各業界が策定いたしました自主行動計画の目標については、各業界の自主性に委ねられるべきものであることを踏まえつつ、その透明性、信頼性、目標達成の蓋然性が向上するよう政府が、関係審議会等において、定期的にフォローアップを行うこととされたところでございます。
 これを受けまして、平成20年に開催されました第8回の酒類分科会から、ビール酒造組合に取組を御報告いただいているところでございます。
 更に(3)にございます平成25年3月に、内閣総理大臣を本部長といたします地球温暖化対策推進本部が決定いたしました「当面の地球温暖化対策に関する方針」の中で、京都議定書目標達成計画に代わる新たな地球温暖化対策計画の策定までの間においても、地球温暖化対策を切れ目なく推進していくため、これまでの自主行動計画の後継となる低炭素社会実行計画の目標達成等についても、これまでと同様に、政府が関係審議会等において定期的にフォローアップを行うこととされているところでございます。
 こういった経緯がございまして本日はビール酒造組合の方に、ビール業界における低炭素社会実行計画の取組について御報告いただきまして、委員の皆様に御審議いただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、ビール製造業の低炭素社会実行計画について、友野専務理事から御説明をお願いいたします。

ビール酒造組合(友野専務理事)
 本日は、このような場を設けていただきましてありがとうございます。ビール酒造組合の方からCO2排出の削減の取組についてということで、御報告をさせていただきます。
 資料3−2をお開けください。CO2排出量削減の取組についてですけれども、まず1番ですけれども、取組の背景というところでございます。私どもビール産業というのは、まさに自然の恵み、ビール大麦あるいはホップ、水等を原料としてビールを造っております。したがって、農作物へ大きな影響を与える環境とか地球温暖化問題に対しては、従来より重要性を認識していたというところでございます。1996年に経団連の環境自主行動計画の開始とともに、私どもも参画しまして、省エネ及びCO2排出削減の施策・活動に取り組んできたというところでございます。
 また、環境自主行動計画については2012年度で終了したんですけれども、13年から低炭素社会実行計画がスタートされ、これにも参画いたしまして、14年度、初めてのフォローアップを行ったというところでございます。なお、注のところに書いてありますけれども、ビール酒造組合の加盟社、サッポロ、サントリー、アサヒ、キリン、そして沖縄オリオンということで、5社で構成されているというところを付け加えさせていただきます。
 それから2番、業界における実行計画目標値についてと、削減目標、四角の枠にありますように2020年の排出量を、20年のBAU56.5万トンより排出係数による変動を除いた部分で5.4万トン削減しようということで、設定させていただいております。
 (1)の目標指標ですけれども、従来の温暖化対策編との整合性をとるため、ビール酒造組合加盟5社の全ビール工場からのCO2排出量を指標として選択させていただいております。
 (2)目標値の設定ですけれども、環境自主行動計画の取組において実施可能な削減策を実施し、10年には1990年比で49%にまで削減をさせていただいております。この後、大きな削減余地というのがだんだん無くなってきていると。当初はある程度、濡れた雑巾という言い方が適切かどうかは分かりませんけれども、ある程度可能であったことが、だんだん雑巾が乾いた状態の中でいかに削減していくかということがありますので、毎年1%ずつ削減して、業界として実現可能な最大レベルとして設定させていただきました。
 次の2ページをおめくりください。CO2排出量の実績推移と目標達成状況ということで、1990年基準にしておりますけれども、これまでの取組をグラフにさせていただいております。
 (1)2013年実績、実績はCO2の排出量49.2万トンでございます。90年比にしますと42.1%、直近の2012年と比べると95.2%ということで、2020年の目標をクリアさせていただいているところでございます。
 (2)2013年度の実績の背景、エネルギー使用原単位は2012年度比で96.6%、CO2の排出量については12年比で95.2%ということで削減することができております。
 次のページをおめくりください。4、目標達成への取組と、これまでの取組を区分ごとにまとめております。まず@ですけれども、ボイラー、冷凍機等のユーティリティー、動力源での取組、Aとして仕込み・発酵工程での取組、Bとして排水処理工程での取組、C省エネルギー活動の推進ということで、ウエイトとしては@が一番高いのかなというところでございますが、項目についてはこちらに記載してあるような内容になっておりますので、また御確認をいただけたらというふうに思っております。
 次のページをおめくりください。(2)の2013年度に実施した温暖化防止対策の事例ということで、こちらでは5,000万円以上の効果の大きなものについて記載をさせていただいております。冷凍機更新あるいはガスエンジンのコジェネシステムの設置、小型貫流ボイラー更新ということで、2013年には13億3,000万の設備投資をさせていただいております。省エネ効果、原油換算にしますと、481万6,000キロリッターの効果というところでございます。
 それから5番は、エネルギー使用原単位の指数ということで、一番左に90年を記載しておりますけれども、2013年度の使用原単位指数は0.541ということで、地道な活動で削減を継続させていただいているというところでございます。
 更に、次の6番、CO2排出原単位指数の推移ですが、こちらは使用エネルギーをCO2排出量に換算させていただいておりますけれども、こちらについても90年比で2013年は0.485ということで、半分以下の原単位になっているというところでございます。
 それから7番以下は、民生・運輸部門からのCO2削減の取組ということで、オフィス等での削減の取組、(2)として物流での取組、(3)として製品あるいはサービス等を通じた貢献、あるいは4番は啓発活動、5番として森林吸収源の育成・保全に関する取組、6番としまして事業活動における環境保全活動等ということで記載させていただいております。
 次のページをおめくりください。最後になりますけれども、8として、低炭素社会実行計画フェーズUの取組についてということで、経団連では産業界の主体的な取組を政府の対策の柱に位置付けると、更には、実行計画を拡充していこうというところで昨年7月に、低炭素社会実行計画フェーズUと、2030年目標に取り組むことを決定されました。
 そこでビール酒造組合としても、11月に2030年の目標を定めさせていただきました。四角の中に、2030年目標値46.3万トンということで、90年比60%の削減を目標として掲げております。行動計画ですが、高効率設備の導入あるいは省エネ活動によってエネルギーの使用原単位を、毎年平均1%ずつ削減していきたいというふうに考えております。
 以上で御報告を終わります。ありがとうございました。

分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明いただきました事項、内容につきまして、何か御質問がございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。
 それでは、1つ私の方から、1%という本当に大変なことになって、ほとんどぎりぎりのところまで本当に削減されてきたという大変な御努力を私は評価し感謝したいと思うんですけれども、これからになりますと、なかなか個別的なものが多くて難しくなるという感じはいたします。
 それで、あくまで私の個人的関心なんですけれども、物流からの排出削減というところで、直送比率向上とか車両大型化とか共同配送とかモーダルシフトとかアイドリングストップとか、非常に重要な要素が出てきているんですけれども、これは現状からするとかなり改善する可能性があるのか、かなりもう進められているのかというのは、いかがなんでしょうか。

ビール酒造組合(友野審議役)
 進めているところもかなりございます。ただ、共同配送の取組等には、まだ拡大の余地はあるのかなというふうに捉えております。モーダルシフトのところについては、かなり長距離というか中距離については進めていると思うんですけれども、なかなか細かな配送というのは一気に鉄道にするというわけにもいかないので、こちらは徐々にと言いますか、そんなに急激に伸ばすということはできないのかなというふうには思っております。

分科会長
 ありがとうございます。
 いかがでございますか。
 それでは、一応お時間もあるということでございますので、今日は本当に貴重なお話を、どうもありがとうございました。
 それでは、ビール酒造組合の皆様は、ここで御退席ということでお願いいたします。どうもありがとうございます。

ビール酒造組合(友野審議役)
 どうもありがとうございました。

(退  室)

分科会長
 それでは、次の議題に移らせていただきます。
 酒税行政の現状です。事務局から御説明をいただいた後、御質問または御意見をお伺いしたいと思います。
 では、よろしくお願いいたします。

酒税課長
 それでは、お手元の資料4に基づきまして、酒税行政の現状につきまして御説明させていただきたいと思います。
 資料をめくっていただきまして目次の後、1ページをお開きいただきたいと思います。こちらは先ほど総務課長の方から「税務行政の現状と課題」という中で説明のあった資料と同じものとなっておりますので、具体的な説明は割愛させていただきますけれども、国税庁の使命は、納税者の自発的な納税義務の履行を適正かつ円滑に実現するということでございまして、その使命を果たすために内国税の適正かつ公平な賦課及び徴収の実現、それから税理士業務の適正な運営の確保に加えまして、三本柱の一つとして酒類業の健全な発達というのが位置付けられております。そういう中でこの酒税行政につきましては、酒税の保全のみならず、酒類業を所管する産業行政としての行政も行っているというところを、まず御確認いただければというふうに思います。
 その上で次の2ページを御覧いただきたいと思います。酒類業を取り巻く最近の環境の変化でございますけれども、まず人口につきましては、平成20年に1億2,808万人と、ここがピークだったわけでございますが、その後、人口は減少傾向にございます。その構成におきましても、成人人口に占める60歳以上の割合が、平成元年の23.3%から平成25年には39.6%というふうに増加しておりまして、こうした人口減少あるいは高齢化の進展というような変化がございます。また、これらの他、国民の健康志向が高まっていることですとか、ライフスタイルが変化しているということに伴いまして、お酒の飲まれ方というのは変わってきているところでございます。
 この2ページの右下のグラフを御覧いただきますと、飲酒習慣のある者の割合というのが、各世代ごとに見ても低下傾向となっておりまして、特に若い世代、20代につきましては、非常に割合的には低いというところが見てとれるかと思います。また、左下のグラフですけれども、近年持ち直してきつつある状況とはなっておりますけれども、直近の平成25年度の酒類全体の消費量は、ピーク時の平成8年と比べると1割以上の減少となっていると、こういう状況にございます。
 続きまして、3ページを御覧いただきたいと思います。こちらは酒類の課税数量を棒グラフで、そして課税額を折れ線グラフで示したグラフでございます。先ほど御説明いたしましたように、人口減少社会の到来など種々の要因によりまして、酒類の課税数量は、平成11年度をピークに減少傾向が続いているところでございます。酒税は、酒類の製造場から移出したときと、酒類を保税地域から引き取るときに課税されますので、課税数量というのは、お酒の製造場から出荷された数量あるいは、輸入された酒類の合計の数量というふうにお考えいただければと思いますけれども、こういった形で減少傾向になっています。また、課税額につきましては、消費者の低価格志向によって、チューハイなどいわゆる酒税率の低い、価格の安いお酒に需要がシフトしているということから、課税数量の減少幅以上に課税額が落ち込んでいると、こういった状況にございます。
 続いて4ページを御覧ください。これは各お酒の主な品目ごとの課税数量について、その構成比率で推移を示したものでございます。特に以前は大宗を占めていたビールから、他の品目に需要がシフトしているところでございますが、特に発泡酒ですとかいわゆる新ジャンルのビール風の酒類へのシフトに伴う変化も、大きいところがございます。ビール自体につきましては、多いときで全体の7割を占めておりましたけれども、現在、ビール自体のウエイトというのは3割程度というふうに、半分以下に減っている状況にございます。
 続いて5ページでございます。平成25年度の酒税の課税実績を円グラフで示したものでございます。左側が課税数量、右側が課税額となってございます。先ほど課税数量の構成比率で、ビールが大幅に減少しているということを御説明いたしましたけれども、ビールは酒税率が高いこともありまして、今なお課税数量・課税額ともに一番多い品目となっております。それからビール風の酒類と呼ばれるものに含まれます発泡酒ですとかリキュールの一部を加えますと、全体の7割超を、まだ占めているといった状況にございます。
 続いて6ページ、ちょっと細かい資料でございますけれども、各品目ごとの酒税率の一覧表でございます。一番上のビールを例にとりますと、大体350ミリリットルの缶で市場価格が税込で220円だとしますと、そのうち酒税が77円、そして消費税約16円を含めますと、全体に占める税の負担率というのは、大体4割ぐらいが税であるということになります。
 続きまして、7ページを御覧いただきたいと思います。酒類業につきましては製造業、卸売業、小売業という、いわゆる生販三層につきまして免許業種となっておりまして、その免許場数と免許者数の推移を示したものでございます。上の四角の中に書いてございますように、製造免許場数は長期的に減少傾向にございますし、卸売につきましては近年、系列化・集約化が進んでおりまして、1業者当たりの免許場数は増加傾向にありますが、全体的には数としては大きく減っているところでございます。また、小売業につきましては、平成10年度から需給調整要件などの規制緩和が行われたということで、一時的にその数が増えましたけれども、また平成19年をピークに近年は減少傾向にあるという状況にございます。
 続きまして、8ページでございます。国税庁におきましては、公正な取引の確保に向けまして酒類業者の自主的な取組を促進するために、平成18年に、こちらにございます「酒類に関する公正な取引のための指針」というのを公表しまして、酒類に関する公正な取引の在り方を提示するとともに、その周知・啓発に努めているところでございます。特に不当廉売や、あるいは差別的対価で売られているのではないかといった問題がございますので、公正な取引の在り方について当方の運営指針を、このような形で示してございます。
 更に、酒類業者に対しまして酒類の取引状況等実態調査というものを実施しまして、この指針に則していない取引が認められた場合には、合理的な価格を設定するようにとか、あるいは公正な取引条件にするようにといったような改善指導を行うとともに、もし独禁法に違反するような事実がある場合には、独禁法の規定に基づきまして、公正取引委員会に対して報告するといった対応をしているところでございます。
 次の9ページが、今申し上げました酒類の取引状況等実態調査の実施状況についてでございます。こちらは平成25事務年度、平成25年の7月から昨年平成26年6月までの1年間において、調査した結果でございます。1,352の販売場等に対して調査を実施しまして、このうちほとんどの1,350場におきまして、何らかの指針に則していない取引が認められたというところでございまして、引き続き指針のルールに則した取引を行うよう、改善指導を行っているところでございます。
 続いて、10ページを御覧いただきたいと思います。これは消費税の引上げに当たりまして、消費税の転嫁を拒否するような行為等の禁止を規定いたしました、いわゆる消費税転嫁対策特別措置法が制定されまして、平成25年10月から施行されているものでございます。国税庁は酒類業の所管官庁でございますので、酒類業に対して、間違っても消費税の転嫁拒否といった事案が起こらないよう、円滑かつ適正な転嫁に向けまして、酒類業界に対して文書を発出するとともに、同法あるいはガイドラインの遵守を要請しております。また、転嫁状況に関するアンケート調査を実施したり、酒類業者の違反に係る情報の受付、違反行為が疑われるような場合には、立入検査等も行うということで、適切な消費税の転嫁に対して取り組んでいるというところでございます。
 続きまして、11ページでございます。こちらも先ほどの資料と重なりますけれども、日本産酒類の輸出動向についてでございます。この日本産酒類の輸出促進に向けたこれまでの経緯でございますけれども、上の四角囲いの中に、小さく参考というところがございますけれども、一昨年、平成25年6月に閣議決定されました「日本再興戦略」におきまして、この日本産酒類の輸出促進への取組強化が盛り込まれたところでございます。そして、この具体的な目標としまして、2020年までの輸出額の伸び率が、農林水産物・食品の輸出額の伸び率を上回ることを目指すというように設定されてございます。この日本再興戦略は、昨年6月に改訂されましたけれども、引き続き官民連携によるオールジャパンの体制により、日本産酒類の海外展開に取り組むこととされているところでございます。
 最近の輸出の状況でございますけれども、平成26年の日本産酒類全体の輸出金額は、約294億円ということで、3年連続で過去最高を更新しております。右下に国、地域別がございますけれども、アメリカ、韓国、台湾が上位3カ国となっております。また、フランスやイギリス、オーストラリア、ロシアといった国においても顕著な伸びがあるところでございます。品目別で見ますと、清酒が115億円で全体の約4割を占めておりまして、ビール、ウイスキー、リキュールの順に続いてございます。特にウイスキーの伸びが顕著であることが見てとれるかと思います。
 続きまして、12ページは、その品目のうち清酒の輸出動向を示させていただいております。清酒も昨年は過去最高を更新しておりまして、国別で見ますと、アメリカに対する輸出が約42億円と、全体の4割弱を占めているということでございます。その他、香港、韓国といった順になっているところであります。
 続きまして、13ページから14ページにかけまして、この日本産酒類の輸出環境整備に関します国税庁の最近の取組を御紹介させていただいております。日本産酒類の魅力を発信するという観点から、1ポツにございますような、酒類の専門的知識の普及・啓発、あるいは2ポツにございますような、各種の国際的なイベントを活用して、日本産酒類のPR等の取組を行っているところでございます。
 また、14ページにございますけれども、輸出に取り組もうとする事業者のために、JETROなどと協力しながら、その貿易実務の知識等を提供する輸出セミナーを開催するなど、酒類業界への支援を行っております。また、4ポツにございますけれども、例えば福島第一原子力発電所の事故後に各国で導入されました輸入規制に対しましても、外務省等と連携して、その解除に向けた働きかけを継続的に行っております。最近では、資料にございますけれども、昨年11月に、タイにおける輸入規制の解除が行われたところでございます。
 それから、次の15ページを御覧いただきたいと思います。これは地理的表示制度についてということでございます。地理的表示制度というのは、例えばヨーロッパで、ワインで、ボルドーワインとかブルゴーニュのワインといったもののように、その土地と生産物のつながりが非常に強い場合に、その土地の名称を表示することが知的財産権として保護されている制度でございます。お酒の地理的表示につきましては、こういった地理的、地域的なブランドの確立を通じて、酒類の需要振興を図っていくための有力なツールになると考えているところでございます。
 次の16ページに、現在、この地理的表示の制度に則りまして、地理的表示として、我が国で指定しているものを一覧に掲げさせていただいております。御覧いただきますと、現在、6件ございます。ワインについては山梨、焼酎では壱岐、球磨、琉球、薩摩、そして清酒では白山と、以上の6件でございます。ヨーロッパですと、100、200といった数が指定されているわけでございますけれども、我が国ではまだ6件にとどまっているという状況でございまして、日本産のお酒のブランド価値を高めていくなどの観点から、この制度をもっと活用していく必要があるのではないかと、そのためにどのようなことができるかといった問題意識を持っているところでございます。
 この表示制度につきまして、もし改正を行うということになりますと、当国税審議会の法定審議事項となりますので、その際は委員の皆様に御審議をいただくこととなりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 続きまして、17ページを御覧いただきたいと思います。食品表示法についての御説明でございます。消費者庁におきまして、平成22年3月に閣議決定されました、「消費者基本計画」に基づきまして、食品の表示に関する一元的な法体系の在り方の検討が行われまして、平成25年6月に食品表示法が成立、公布されました。食品表示法は、食品を摂取する際の安全性ですとか、一般消費者の自主的かつ合理的な食品選択の機会を確保するという目的で、食品衛生法、JAS法及び健康増進法の3つの法律、これまで3つに分かれていた法律の食品表示に関する規定を統合して、包括的、かつ、一元的な制度としたものでございまして、酒類につきましても、この食品表示法の対象となったところでございます。この法律は、公布から2年以内の政令で定める日から施行するということで、先週3日の閣議におきまして、この政令が閣議決定され、本年4月1日から施行されるということになってございます。また、具体的な表示事項につきましては、左側の真ん中にございますが、食品表示基準というものが、これから定められることになりますけれども、平成32年3月までの5年間の経過措置が設けられますが、その後、この食品表示基準が基準として有効となるという形になっております。
 次の18ページに、今申しました概要としまして、その食品衛生法、JAS法、健康増進法の3つが1つになって、今回の基準ができているということを示した図が書いてございますので、御参考にしていただければと思います。
 続きまして、19ページでございます。アルコール健康障害対策基本法についてでございますけれども、不適切な飲酒の影響によります心身の健康障害への対策を総合的かつ計画的に推進することを目的としまして、昨年6月にアルコール健康障害対策基本法が施行されています。同法では、施行から2年以内にアルコール健康障害対策の総合的かつ計画的な推進を図るために、「アルコール健康障害対策推進基本計画」を策定することとされておりまして、現在、アルコール健康障害対策関係者会議で基本計画案の作成に向けて議論が進んでいるところでございます。この法律では、酒類の製造又は販売を行う事業者の責務といたしまして、「事業活動において、アルコール健康障害の発生、進行及び再発の防止に配慮するよう努めること」が規定されておりまして、基本計画にも、不適切な飲酒の誘因を防止するための施策が盛り込まれるということになってございます。酒類業界では、低アルコールの酒類の容器に酒マークを表示したり、あるいは、酒類の広告・宣伝、容器の表示などについて、自主基準を制定するなど、既にアルコール健康障害の原因となる不適切な飲酒の誘因を防止するための様々な取組を行っているところでございますけれども、国税庁では、引き続きこれらの取組に対して支援、助言を行うとともに、関係省庁とも連携しまして、酒類業者における不適切な飲酒の誘因の防止に努めてまいりたいと考えております。
 それから最後になりますが、20ページ、21ページにおきまして、独立行政法人酒類総合研究所について御説明したいと思います。酒類総合研究所というのは、酒税の適正かつ公平な賦課の実現及び酒類業の健全な発達という、国税庁の任務のうち、高度に技術的な部分を分担しておりまして、国税庁と密接な連携のもとで業務を実施している独立行政法人でございます。21ページを御覧いただきたいのですが、独立行政法人全体につきましては、平成25年12月に「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」が閣議決定されまして、その中で、この酒類総合研究所につきましては、下のような3つの丸の事項が決定されてございます。1つ目としまして、まず中期目標管理型の法人とするということで、様々な独立行政法人の在り方について、御議論はありましたけれども、引き続き中期的に目標を管理していく独立行政法人として存続することとされたところでございます。
 また、2番目の丸にございますように、日本産酒類の輸出促進というような新たな政策課題に対する取組等の業務の拡充については、中小企業に過大な負担とならないよう配慮しつつ、民間による応分の負担を求めるとともに、他の研究機関等との連携を強化するというふうにされたところでございまして、産業振興的な業務の拡充を図るとの見直しの方向が一応示されたというところでございます。これらを踏まえまして、酒類製造業者に対する技術力の維持、強化の支援ですとか、品質確保の支援、専門知識の国内外の普及などの業務を行っているところでございます。  私からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、今の御説明に対しまして、質問あるいは意見がございましたら、お願いいたします。

吉村委員
 日本産酒類の輸出環境整備に力を注いでおられるというのはとてもすばらしいことだと思いますが、輸出を促進するための環境整備の一環として、酒類に関する英文の用語の統一という方向性については何かお考えはございますでしょうか。色々な英文表記が乱立していると、かえって足の引っ張り合いになったりするとか、あるいは混乱を招く原因となります。そういう英文表記の統一は、業界が行うべきなのか、それとも財務省・国税庁が行うべきかは、ちょっとよく分かりませんが、政府の方で何かガイドラインとか、あるいは統一基準のようなものを策定するということはお考えでしょうか。

酒税課長
 英文表記につきましては、おっしゃるように様々な形があるかと思いますけれども、我々も最近この日本産酒類の輸出環境整備に取り組むに当たりまして、業界と連携しまして英語版の日本のお酒に関するパンフレット、あるいはリーフレットのようなものを作っておりますので、そうした中で、これらを活用することによって、ある程度表記の統一が図られていけば、というふうに思っております。また、酒類総研におきましても、同じようにパンフレット等を作っているところでございまして、まだ具体的にこういう表現でなければいけないというところまで、統一的にするところまでは至っておりませんけれども、そこは業界とも連携しながら、なるべく同じような表現で説明がなされていくような形で進めていきたいというふうに考えております。

分科会長
 他にいかがでしょうか。
 どうぞ。

橋本委員
 すみません、非常に多岐にわたって、色々な業務を抱えていらっしゃって、大変なことをされているんだなというのを非常に感じました。その中で、この地理的表示に関する表示基準の、ブランドの価値付けということで取り組まれているということなんですが、まだ6件にとどまっているということなんですが、今後、これをまた更に盛り上げていくというか、色々な地域に広げていくに当たって、今後何か必要なこととか、今、抱えていらっしゃる課題というのは、どういうものなのか、ちょっとお伺いしたいと思います。

酒税課長
 この活用促進につきましては、色々課題があろうかと思っております。例えば、この基準の中で示しているのは、非常に大まかなガイドラインということで、具体的にどういうお酒がどういう基準を最低限満たせば、指定を受けられるのかというところが、なかなか明確ではないというような業界からの御意見も伺っているところでございますし、また、消費者にとって、なかなかこの地理的表示というものが浸透していないのではないかということで、消費者にいかに分かりやすく、この地理的表示というものを認識していただくかというのも一つの検討課題ではないかと考えております。

分科会長
 ちょうど日本の酒類がこれから出ていくというところでありますので、スタート点がとても大事だということで、私もぜひお願いしたいと思います。
 その他にいかがでしょうか。
 よろしゅうございますか。私から1つ、先ほど税のところでやはりそうかなと思ったんですけれども、やはり税収の伸びが少し厳しくなっている背景には、どちらかというと低価格志向のお酒に重点シフトが起こっている。最近、消費動向も少しプレミアのものとか、少し高品質、少し価格帯の高い方に少しシフトしていく傾向があるんですが、お酒については、まだそれが見えていないということなんでしょうか。

酒税課長
 やはり最近、高価格というか、本物志向という動きも多少出てきておりまして、篠原委員がいらっしゃいますけれども、例えば、清酒の消費動向を見ましても、いわゆる吟醸酒ですとか、純米酒といった特定名称酒の方が若干好調でございまして、むしろ普通酒の方が苦戦しているというようなことがございます。また、ビールにおきましても、プレミアムなビールがかなり最近伸びてきているというような状況もございますので、徐々にお酒の世界でも、そうした動きが出てきているのではないかというふうに認識しております。

分科会長
 ありがとうございます。他にいかがでしょうか。
 よろしゅうございますか。
 ありがとうございました。それではお時間もあるということでございますので、質疑をこの辺りとさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 本日予定しておりました議題は以上でございますが、他に何かございましたらお願いいたします。他に何かご意見等ございますでしょうか。
 それでは、他に何もないということでございますので、議事を終了することにいたします。
 なお、本日の議事要旨及び議事録の公開につきましては、国税審議会議事規則第5条、酒類分科会議事規則第4条に則りまして、まずは簡潔な内容のものを議事要旨として公表し、議事録は完成次第、公表させていただきたいと存じます。
 なお、議事録につきましては、公表前に皆様の御発言内容に誤りがないかを委員の皆様に御確認いただいた上で公表したいと思います。また、議事要旨の内容等につきましては、分科会長一任ということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、これをもちまして、第15回酒類分科会を閉会とさせていただきます。どうも皆様、ありがとうございました。

―― 了 ――