日時: 平成26年4月8日 11時30分〜12時21分

場所: 国税庁第一会議室

出席者:

酒類分科会委員 飯村分科会長 青山委員
  潮田委員 こう津委員
  篠原委員 須磨委員
  田嶼委員 吉村委員
説明者 国税庁 上羅審議官
  星屋酒税課長
  永田酒税企画官
  中島酒税課課長補佐
  大江酒税課課長補佐
  齋藤酒税課課長補佐
  小杉酒税課課長補佐
  遠山酒税課課長補佐
  田中酒税課企画専門官
  飯島鑑定企画官付企画専門官
ビール酒造組合 友野専務理事
  蜂須賀審議役

分科会長
 それでは、ただいまより第14回の酒類分科会を開催いたします。
 私は、酒類分科会長の飯村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 委員の皆様方には、大変お忙しいところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日は委員の過半数の方々が御出席でございますので、国税審議会令第8条第1項及び第3項の規定に基づき、本会は有効に成立いたしております。
 国税庁の出席者の方につきましては、お手元の配席図のとおりでございます。
 それでは、ここで上羅審議官に御挨拶をお願いいたします。

上羅審議官
 御紹介いただきました、酒税を担当しております審議官の上羅でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 委員の皆様方におかれましては、御多用にもかかわらず本会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。また、日ごろから酒税行政はもとより、税務行政全般に対しまして、多大なる御理解、また御協力を賜っておりますこと、厚く御礼申し上げる次第でございます。
 御承知のとおり、酒類は一般の食品と異なりまして、高率の酒税が課されておりますため、酒税の保全を図る観点から、その確実な徴収と消費者への円滑な転嫁を目的といたしまして、製造及び販売業につきましては免許制度が採用されておりまして、国税庁ではこれを適正に運用しております。
 また、酒類業の所管官庁といたしまして、酒税の保全と酒類業の健全な発達を図るため、人口減少社会の到来、それから国民の健康や安全性に対する意識の高まり、生活様式の多様化といった酒類業を取り巻く環境の変化を踏まえつつ、消費者の方々や酒類産業全体を展望した、総合的な視点から、さまざまな取り組みを行っております。
 本日は、まず地球温暖化対策に係りますビール製造業の自主行動計画につきまして、ビール酒造組合のほうから御説明をいただきます。
 次に、酒税行政の現状につきまして、事務局より御説明させていただきます。
 酒税行政については、製造、卸、小売、それから輸出、また、消費者への安全等、多方面からさまざまな課題が山積しておりまして、一つ一つ前に進むよう努力してまいっておりますけれども、本日、直近の課題としまして、クールジャパン推進の一環としまして、成長戦略に位置づけております日本産酒類の輸出促進の取組み、それから、酒類業に関する消費税の転嫁対策問題、また、昨年来議論を行ってきております食品表示法、それから独法の見直しの動向まで、多範にわたりますトピックスを御紹介させていただきます。よろしく御審議のほどをお願い申し上げる次第でございます。
 以上、簡単ではございますけれども、私の御挨拶とさせていただきます。
 よろしくお願いいたします。

分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、本日の議題に入りたいと思います。
 まず初めに、地球温暖化対策に係るビール製造業の自主行動計画について、御説明をいただきます。
 本件につきましては、ビール酒造組合から自主行動計画について御説明をいただくことになっております。
 それでは、ビール酒造組合の方、お入り願いたいと思います。

(入室)

分科会長
 本日はどうもお忙しいところをお越しいただきまして、ありがとうございました。
 御紹介させていただきます。ビール酒造組合の友野専務理事。
 それから、蜂須賀審議役でございます。
 それでは、ビール酒造組合からの御説明の前に、星屋酒税課長から概略を御説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

酒税課長
 酒税課長の星屋でございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、私のほうから、ビール酒造組合の説明の前に、この自主行動計画が酒類分科会にフォローアップをお願いしている背景等につきまして、簡単に説明させていただきます。
 お手元の資料2をご覧いただきたいと思います。1枚おめくりいただきまして、1ページをご覧いただけますでしょうか。
 まず、自主行動計画とは、ということでございますが、地球温暖化の防止に取組むために経団連傘下の各産業の業界団体が自主的に策定した行動計画でございまして、各業界が自主的に数値目標を設定し、この目標を達成するために必要な具体的施策もあわせて定めるということになってございます。
 酒類業界においては、ビール酒造組合のほうが平成9年に自主行動計画を策定しております。
 次に、これまでの経緯でございますが、(1)の京都議定書のところでございますが、我が国の国際的な約束といたしまして、2008年度から2012年度までの期間に、1990年対比で少なくとも6%削減するということが定められてございます。この京都議定書を受けまして、平成17年に京都議定書目標達成計画が閣議決定をされておりまして、この中で各業界が策定した目標について、自主性に委ねられるべきものであるということを踏まえつつ、その透明性、信頼性、目標達成の蓋然性が向上されるよう、審議会等において定期的にフォローアップを行うということになりまして、平成20年3月に開催されました第8回の酒類分科会から、ビール酒造組合のほうから御報告をいただいているところでございます。
 次に、2ページから3ページでございますが、こちらのほうには京都議定書目標達成計画を添付してございますので、御確認いただければと思います。
 次に、4ページをご覧いただきたいと思いますが、2012年度までにおける我が国の温室効果ガスの排出量のグラフ、これは国全体のものでございますが、つけてございます。
 2012年度の我が国の排出量は、基準年の90年と比較いたしまして6.3%増加しておりますが、5カ年平均で見ますと1.4%の増加となっております。これに森林吸収量の目標、それから京都メカニズムクレジット、この2つを加味いたしますと、5カ年平均で基準年比マイナス8.2%となっておりまして、京都議定書の目標は達成する見込みとなってございます。
 今回は自主行動計画の最終年度でありますので、2012年度分のフォローアップを、ビール酒造組合のほうから行っていただきたいと考えております。
 以上でございます。

分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、ビール製造業の自主行動計画につきまして、友野専務理事から御説明をいただきたいと思います。

ビール酒造組合(友野専務理事)
 ビール酒造組合の友野でございます。本日はこのような機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
 それでは、私どもビール業界におけるCO2排出量削減の取組みについてということで、御説明をさせていただきます。
 その前に、私どもビール酒造組合を、皆様既に御存じだと思いますが、簡単に紹介をさせていただきます。
 昭和28年の酒類業組合法に基づきまして設立され、認可された法人でございます。現在、加盟社はキリン社、サッポロ社、サントリー社、アサヒ社、そして沖縄のオリオン社ということで、5社で構成している団体でございます。
 まず、資料3−1ですけれども、1としまして、取り組みの背景ということで、先ほど御案内もありましたが、経団連自主行動計画の下、1996年に同時に参画をしております。この背景としましては、私どものビールというのは大麦、ホップ、水等、自然、農作物から作られているということで、環境問題あるいは地球の温暖化対策に対しては、積極的に取り組んでいこうということで、当初から参加をさせていただいているところでございます。
 2番としまして、実績の推移と目標達成状況について、御報告をいたします。こちらの資料3−1のグラフにありますように、1990年、112.5万トン、ピークは1997年、121.3万トンということで、こちらから13年連続してCO2の排出量を削減してまいりました。ただし、2011年、12年については排出係数の悪化、あるいは、12年につきましては生産量の増加等により、若干CO2の排出量が増えているというところでございます。
 資料3−2の3ページをご覧ください。中段よりちょっと下の4)のところですけれども、2012年度の排出量増減の要因分析ということで、(1)排出係数の変化による寄与、プラス0.4万トン、それから(2)生産量の変化による寄与、プラス1.4万トン、それから3番目としまして、エネルギー使用量の変化による寄与、こちらがマイナス0.9万トンという内訳になっているところでございます。
 3としまして、目標値の見直し。2008年にCO2排出量の見直しを行いました。従来は日本国全体のマイナス6%という目標に準拠して6%削減ということを目標設定していたんですが、2008年に見直しをしまして、業界トータルで10%の削減目標を新たに設定したというところでございます。
 こちらのほうは、資料3−2の、1ページの下段のほうです。1つは、目標値再設定の根拠についてですけれども、ビール類の販売数量の変動に比例して製造量も変動するということで、まず生産量の問題が影響を受けるというのが1点。それから、次の2ページですけれども、黒ポツの2つ目のところですが、過去に原単位の低減に全業界に先駆けて精力的な取組みを実施してきた結果、既に原単位を大幅に向上させている社もあるということで、業界の中でも精力的な取組みを開始した時期に若干差があるということ、それから最後に、業界全体として目標を達成するということもあるんですが、更に5社全てがこの5年間の目標を達成していこうということを考えて、1990年比10%の削減ということで、目標を上方修正したところでございます。
 資料3−1に戻りまして、4番目としまして、エネルギー使用原単位指数の推移ということで、こちらの表にありますように、1990年を1としますと、毎年削減をし、2012年には0.569と、半分強の数字にエネルギーの原単位が削減されてきているというところでございます。こちらの取組みの中身については、資料3−2の3ページの下段のほうをご覧ください。4、目標達成への取組みということで、内容としましては、@ボイラー、冷凍機等のユーティリティー工程での取組み、次のページにまいりまして、A仕込み、発酵工程での取組み、B排水処理工程での取組み、C省エネルギー活動の推進というようなことで、詳細については右に記されておりますけれども、このような活動を積み重ねて原単位を削減してきたというところでございます。
 最後に5番目としまして、2013年度以降の活動についてでございます。2013年度から開始しました経団連の低炭素社会実行計画にも参画しまして、2020年度のCO2削減目標をBAUということで、対策をとらなかった場合の予測値、52.8万トンから電力排出係数の変動を除いて、私ども業界独自の削減活動で、さらに5万トン削減することを設定させていただいております。こちらの根拠ですけれども、5の下から3行目のところでございますが、2020年度に向けて、省エネ法の目標であるエネルギー使用原単位の毎年1%削減ということ、こちらに準拠いたしまして、私ども業界として最大限の実現可能なレベルというふうに考えまして、昨年度からこの目標に向けて活動をしているというところでございます。
 私からの説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。

分科会長
 どうもありがとうございました。
 ただいま御説明いただいた事項につきまして、何か御質問、御意見等ございましたら、どうぞ御自由にお出しいただきたいと思います。
 いかがでございましょうか。
 どうぞ、青山委員。

青山委員
 大変な御努力をなさっていらっしゃることに、敬意を表したいと思います。


ビール酒造組合(友野専務理事)
 ありがとうございます。


青山委員
 ちょっとお尋ねをさせていただきたいのですけれども、この6ページにある物流からの排出削減の取組みというようなことで、これはいろいろすごく御苦労なさったのではないかなという気がするのですけれども、他社との共同配送、ほかのメーカーさんとの共同配送というと、どんな事例がありますか。もし具体的な事例があったら教えていただきたいのですけれども。


ビール酒造組合(友野専務理事)
 例えば、キリン社とアサヒ社が1つの車両に両者の品物を積んで、それでそれぞれのお得意先に向けて、本来であれば2車行かなければならないわけですけれども、1車に品物を全部併せて積んで、それで配送をするというようなことで効率化を図ったり、というような事例で取組んでいるところもございます。


分科会長
 よろしゅうございますか。
 どうぞ、潮田委員。

潮田委員
 随分とお減らしになったと思うのですが、こういうふうな施策のコストは随分かかると思うのですが、その生産性の向上とか、いろんなことを考えた場合に、経営的には負担ですか、それともこれはメリットがあったのでしょうか。いろんな効果があったのだろうとは思うんですが、そこら辺はいかがでしょうか。


ビール酒造組合(友野専務理事)
 両方だと思っております。
 負担については、これまで重ねてまいりまして、各社大変な費用をかけてやっているということもありますけれども、一方で、温暖化を食いとめるということと併せて、生産の効率化も図りながら、両方ともメリットといいますか、効果が出るような形で今まで取組んできているというところでございます。

潮田委員
 端的に言って、余り損はしなかったなという感じですか。
 つまり、お聞きしたいのは、日本の場合、その自主行動計画で随分と、ビール業界に限らずいろんなことをなさっていますけれども、そういう様なものは国際競争力との絡みで、どのぐらいの影響があるのかという気がするんですが、ビール業界の場合にはそれほどのことでもないのでしょうか。

ビール酒造組合(友野専務理事)
 そうですね。ビールの場合については、海外への輸出、輸入というのが、ほかの産業に比べますと非常に比率的には少ないというところがございますので、例えば車のように本当に世界中に競合があるというところと比べれば、国内においては、そういうところは少ないと思います。


潮田委員
 ありがとうございます。


分科会長
 ほかにございますでしょうか。
 どうぞ、こう津委員。

こう津委員
 やはり電力排出係数によるところというのが最も大きいところですから、そこを除いて毎年1%ずつというのはかなり大変なことだと理解をしているんですが、そのあたりについては、それこそ乾いた雑巾をもうちょっと絞るというようなことの領域に入ってきてしまうと思うんですが、何か知恵はおありになるのかなということを、ちょっとお聞きしたかったことと、もう一つ、私はこれはわからないのでちょっと教えていただきたいなと思ったのは、発酵CO2回収設備導入というのがあるんですけれども、この発酵CO2を回収して再利用というふうに書いてあります。これは何に再利用なさるの。これは単に技術的なことで知りたかっただけなんですが。


ビール酒造組合(蜂須賀審議役)
 御質問いただいた2点について、蜂須賀のほうからお答えいたします。
 1番目の、今後の削減の知恵というところでございますが、これは従来から取組んでいる、細かい、いろいろな工程の最適化ということをさらに進めていって、無駄が本当に少しでも減るようにということを、爪に火をともすようなことではありますけれども、少しずつ削減していくと、いろんなところで、0.0幾つかもしれませんけれども、少しずつでも努力を重ねていって、毎年1%にしていくということをやっていくしかないのかなと思っております。
 あと、2番目の発酵CO2の回収ですけれども、ビールは瓶や缶に詰めて、お客様に飲んでいただくまで、酸素が入っていると非常に品質が劣化してしまいまして、まずくなってしまいますので、できるだけ酸素が入らないようにタンクの中ですとか、あとはその瓶詰め、缶詰めのときにCO2を使って酸素を追い出すということをやっております。そういったタンクの中のCO2、瓶の中に使うCO2、そういうところに使っております。

こう津委員
 ありがとうございました。


分科会長
 ほかにございますでしょうか。
 須磨委員。

須磨委員
 6ページの、森林吸収源の育成・保全に関する取組みというところですが、CO2削減に関する森の所有及び森の活用、これってどのくらいの割合計算されているのか、またはこの数値化についてですがCO2はこの森の面積だったらどのくらいというような算定値というのがあるのかどうか、そして、もしあるのであれば、それがCO2削減で何%ぐらい減っているのか、今後どのような方針なのかも教えていただければと思います。


ビール酒造組合(蜂須賀審議役)
 森林吸収源の育成、保全につきましては、幾つかの会社で取り組んでおります。こちらにあるように、ある社におきましては年間吸収量が1万2,200トンと見積もられております。ただ、この辺の数字は、今回御報告しましたのはビール類製造に伴う工場からの排出ということですので、ここに直接効いてくるわけではないのですけれども、5社合計で2012年が54万トンぐらいの数字ですけれども、これに対して1万トンぐらいということですので、2%程度かと思いますけれども、そのぐらいの量をこの森林で吸収しているという、そういった割合になっております。


須磨委員
 その算定基準は、これは国際的に通じるということになっているわけですか。


ビール酒造組合(友野専務理事)
 こちらの6ページの(1)のところでございますね。きちっとした形で第三者認証を取得して、その会社独自で算定しているということではなくて、きちっと国際的にも認められる機関に認証をいただいているということでございます。


須磨委員
 ただ、1%をこれからも削減するとなると、幾ら絞っても毎年というのはなかなか難しいことだと思っているものですから、もしかしたらこういうところを活用するのかなと想像いたしました。そういうことではない。


ビール酒造組合(友野専務理事)
 ではないですね。


須磨委員
 はい、わかりました。


分科会長
 よろしいでしょうか。
 いろいろ御質問がまだあると思いますけれども、予定した時間が近づいておりますので、議題1につきましてはこの辺で終わりとさせていただきます。
 ビール酒造組合の方、どうもありがとうございました。

ビール酒造組合(友野専務理事、蜂須賀審議役)
 ありがとうございました。


(退室)

分科会長
 それでは、次の議題に移らせていただきます。
 酒税行政の現状についてであります。事務局から御説明いただいた後に、御質問または御意見を伺いたいと思います。
 では、酒税課長、よろしくお願いいたします。

酒税課長
 それでは、お手元の資料4をごらんください。酒税行政の現状について、説明させていただきます。
 まず、酒類業の現状ということで、マクロ的なお話をさせていただきます。1ページをご覧ください。
 酒類業を取り巻く環境でございますが、人口減少社会の到来、それから高齢化、健康志向、さらにはライフスタイルの変化等に伴いまして、お酒の飲まれ方が変わってきております。飲酒習慣のある者の割合、これは右下のグラフでございますが、世代ごとに見ても、総じて低下傾向にありまして、こういったことを受けまして、直近の平成24年の酒類全体の消費数量、左の下のグラフでございますが、ピーク時の平成8年と比べまして約1割の減少となっておりまして、右肩下がりが続いているところでございます。
 続きまして、2ページをご覧ください。このような状況を反映いたしまして、酒類の課税数量につきましては、平成11年度をピークに減少が続いておりまして、課税額につきましても昭和63年をピークに減少しているということでございます。
 続いて、3ページをご覧ください。酒類の主な品目ごとの課税数量につきまして構成比率で示した推移表でございますが、以前はビールが大宗を占めておりまして、7割ほどのウエートがございましたけれども、現在はそちらのほうから発泡酒、さらにはその他醸造酒、リキュールといった品目に需要がシフトしているということが、この表から見てとれるところでございます。
 続きまして、4ページをご覧ください。日本産酒類の輸出の動向でございます。輸出金額を平成25年で見ますと、酒類全体で251億円となっておりまして、10年前の平成15年と比べて2.3倍となっております。国・地域別、右のグラフでございますが、こちらで見ますと、アメリカが1番、23.4%、それから韓国、台湾が上位3カ国、さらに香港と続いておりまして、これら上位の国で堅調な伸びを示しております。さらに、この表の下のほうでございますが、フランス、イギリス、ロシアといった欧州の国におきましても顕著な伸び、これはウイスキーが伸びているというふうに聞いておりますけれども、そういった傾向がございます。
 続きまして、5ページをご覧ください。こちらは品目別でございますが、251億円のうち、清酒が105億円ということで全体の4割を示しておりまして、以下ビールが21.7%、ウイスキー、リキュールという順になってございまして、多くの品目で対前年比を上回る伸びを示してございます。
 清酒につきましては、右側でございますが、国別に見ますとアメリカが39億円ということで全体の36.8%、4割を占めておりまして、続いて香港、韓国となってございます。北米と東アジアが中心となってございますが、いずれの国・地域においても堅調な伸びを示しているということでございます。
 続きまして、6ページ以降でございますが、こちらは国税庁における輸出環境整備の取り組みということで御紹介させていただきます。
 国税庁におきましては、輸出に取組む事業者を支援するということで、まず1ポツのところでございますが、JETRO等と協力をいたしまして、貿易実務の知識等を提供する輸出セミナーの開催、それから輸出ハンドブックを作成いたしまして、これを配布してございます。
 それから、2の貿易障壁の撤廃・緩和に向けた働きかけということで、東日本大震災後に各国で輸入規制が導入されておりますが、これに対しまして酒類総合研究所で分析あるいは研究等を行いまして、その結果を活用いたしまして各国に継続的に働きかけを行っております。その結果といたしまして、EU、ブラジル、マレーシア、ロシア等の国におきましては、規制の解除・緩和がなされております。
 続きまして、7ページでございますが、3のところで、国際会議やあるいは外交上のレセプション、さらには在外公館が行うイベント等におきまして日本産酒類が提供される機会がございますけれども、そういった機会に専門的知識を備えた技術系の職員を私どもから派遣を行っておりまして、それを通じまして日本産酒類のPR、魅力のPRに努めてございます。それから、3の一番下の丸のところでございますが、海外のワイン専門家を対象とした酒類の教育機関がロンドンにございますけれども、そちらにおいて日本酒の講座が開設されることになったことを受けまして、外国人の日本酒の伝道師育成を図るという観点から、酒類総研において日本酒のプログラムを実施するなどによりまして、協力を行ってございます。今後も関係省庁と連絡、連携をしながら、日本産酒類の輸出環境整備に取り組んでいくこととしております。
 続きまして、8ページをご覧いただきたいと思います。消費税の転嫁対策についてです。先ほどの国税審議会の親会、それから長官の御挨拶にもございましたけれども、私ども酒類業の所管官庁といたしまして、消費税の転嫁対策を行っております。
 それで、消費税の転嫁を拒否する行為等の禁止を規定いたしました消費税転嫁対策特別措置法が制定をされておりまして、昨年10月に施行されております。国税庁においては、これを踏まえまして、税務署に改正消費税相談コーナーを設置をいたしまして、酒類業者を含めた全体の事業者の転嫁拒否等に関する情報を受け付けているほか、国税庁の酒税課におきましては、これは酒類業の所管官庁ということで、内閣府に設置をされました消費税価格転嫁等総合相談センターの分室を酒税課の中に設置をいたしまして、酒類業者に係る情報を受け付けることとしています。
 それから、このチャートでいきますと真ん中に主務大臣とございますけれども、国税庁酒税課といたしましては、酒類業の所管官庁といたしまして、酒類業者に対して消費税転嫁対策特別措置法の規定に違反する行為があった場合にはその是正をする、あるいはその防止をするということで、必要な調査、助言、指導を行うこととしております。違反行為が多数の事業者に対して行われている場合とか、あるいは違反行為により事業者がこうむる不利益の程度が大きい場合には、その下の右のところでございますが、公正取引委員会等に対しまして措置請求を行うこととしております。
 ただ、現在のところ酒類業者が転嫁拒否等の違反をしているといった具体的な情報は寄せられておりませんけれども、国税庁としましては、これらの取組みを通じまして、酒類業者に係る消費税の円滑な、かつ適正な転嫁の確保に努めてまいりたいと思っております。
 続きまして、9ページをご覧ください。酒類の公正な取引環境の整備についてでございます。
 国税庁におきましては、公正な取引の確保に向けた酒類業者の自主的な取り組みを促進するという観点から、平成18年に酒類に関する公正な取引のための指針というものを策定し、公表しておりまして、その周知、啓発に努めているところであります。さらに酒類業者に対しまして、これを遵守しているかどうかを確認するということで、酒類の取引状況等実態調査を実施しております。この調査の結果、この指針に則していない取引が認められた場合には、合理的な価格設定あるいは公正な取引条件の設定等を行うよう改善指導を行うとともに、仮に独禁法に違反するような事実があると考えられる場合には、同法45条の規定に基づきまして、公正取引委員会に対して報告するなどの対応を行っているところでございます。
 調査結果につきましては、1枚おめくりいただいて、10ページでございますが、平成24事務年度におきましては、問題があると考えられる者を中心といたしまして、一般調査といたしまして1,711場の酒類販売場等に対して調査を実施しております。このうち1,692場、かなりの割合でございますが、酒類販売場において指針に則していない取引が認められたということで、指針のルールに則した取引を行うよう改善指導をしております。国税庁といたしましては、今後ともこういった取り組みを通じまして、酒類の公正な取引環境の整備に努めていきたいと思っております。
 続きまして、11ページをご覧ください。食品表示法についてでございます。
 昨年の6月に食品表示の一元化のために、この食品表示法というのが制定されまして、公布されております。この食品表示法というのは、食品を摂取する際の安全性、あるいは一般消費者の自主的かつ合理的な食品選択の機会を確保するということで、これまで食品表示に関する法律というのは3つに分かれてございまして、食品衛生法、JAS法、健康増進法と分かれてございましたが、これらの表示に関する規定を統合いたしまして、包括的な制度をつくるということでございます。また、それぞれの法律ごとに省令とか告示で定められておりました表示の基準の整理、統合も図ることとされております。
 食品表示法の対象には酒類も含まれておりまして、現在、食品表示基準策定につきまして、内閣府の消費者委員会において審議されているところでございます。具体的には、消費者委員会のもとに設置をされました食品表示部会におきまして、栄養表示、生鮮業務用食品、加工食品に関する3つの調査会が設けられておりまして、昨年11月から具体的な表示事項について審議が行われているところでありまして、今年の6月には検討内容がまとめられ、パブリックコメントにかけられる予定となっております。
 次に、13ページをご覧ください。地理的表示制度についてでございます。
 国税庁におきましては、WTOのTRIPS協定を受けまして、平成6年12月に地理的表示に関する表示基準というものを定めておりまして、それから、平成7年7月から地理的表示の産地指定をしてきたところであります。昨年の7月には、初めてブドウ酒の産地として山梨を指定いたしました。その結果といたしまして、現在、国税庁長官が指定しているブドウ酒、蒸留酒、清酒の産地につきましては、14ページのとおりとなっておりまして、ブドウ酒が1、山梨、それから焼酎が4ということで、壱岐、球磨、琉球、薩摩、清酒が1、白山ということで、6地域にとどまってございます。
 地理的表示につきましては、酒については国税庁が所管しておりますけれども、農産品については現在、農林水産省のほうで農産品に係る新たな制度の導入を検討しておりまして、近々法案が国会に提出されると聞いております。それから、国際交渉によりまして、EPA協定等に盛り込む動きも見られるなど、これを全体的に活用していこうという動きがございますので、国税庁といたしましても地域ブランド確立に向けた取組みの一つとして、特に清酒につきましては産地指定に向けた業界の取組みがいろいろ出てきてございますので、そういった取組みを支援するなど、地理的表示の活用に努めていきたいと考えております。
 最後に、独立行政法人改革でございますが、15ページをご覧ください。
 昨年、行政改革の政府与党との議論を経まして、25年12月24日に独立行政法人改革等に関する基本的な方針が閣議決定されております。当庁が所管しております酒類総合研究所につきましては、国民向けサービス等の業務の質の向上を図ることを目的といたしまして、中期目標管理法人ということで位置づけをされています。それから、その下の丸でございますが、日本産酒類の輸出促進という新たな政策課題に対する取り組み等の業務の拡充については、中小企業に過大な負担とならないよう配慮しつつ、民間による応分負担を求めるとともに、他の研究機関等との連携を強化するということで、こういった役割についても期待が表明されているところでございます。
 17ページをご覧いただければと思いますが、日本産酒類輸出促進については、新たな取組みについて、この研究所でどういった貢献ができるかということでございますが、まず1つは酒類製造者の技術力の維持強化の支援、それから2つ目は酒類の品質確保の支援、3つ目には酒類の専門知識等の内外への普及・啓発ということが考えられるということで、具体的には、まず酒類製造者の技術力の維持強化の支援につきましては、例えば地域ブランド確立のために地域の特性を生かした酒造りというのが地域で見られるところでございまして、そういったものの支援、それから輸出促進に資する日本酒の長期保存に対応できる品質保持の研究といったことを行うこととしております。
 それから2つ目の、酒類の品質確保の支援につきましては、鑑評会において、輸出促進の観点から分析項目の充実を図るといったことを検討しております。
 それから、酒類の専門知識等の内外への普及・啓発につきましては、酒類に関するナショナルセンターといたしまして、先ほど輸出環境整備のところで説明いたしましたが、海外の酒類教育機関への協力等を行うこととしております。
 先ほどの閣議決定の文書にございましたが、こういった産業振興的業務につきましては、新たに実施するもののみならず、これまで実施しているものも含めまして、民間に利益が行く、そのもものについては受益者に適正な負担を求めつつ実施していくこととしております。これらを通じまして、独立行政法人改革の方針に沿った新たな酒類総合研究所の業務を行っていくこととしておりまして、現在、具体的な検討を進めているところでございます。
 私の説明は以上でございます。

分科会長
 ありがとうございました。
 ただいま御説明いただきました事項につきまして、何か御質問、御意見がございましたら、どうぞ御自由にお出しいただきたいと思います。
 こう津委員。

こう津委員
 たびたびすみません。
 10ページのところ、資料4−8というところですけれども、酒類の取引状況等実態調査実施状況の公表についてというところです。これが1,711場。24年度にお調べになって、1,692に何かしらのという、これはやっぱり大変すごい数、問題があると思われるようなところをお選びになっているということなので、そうだと思うんですけれども、こういう数字を見ていますと、自分のお酒を買うときの行動を見ていてもそう思うんですけれども、実態と、いわゆる制度やべき論というのがものすごく乖離してきているんじゃないかという、商取引制度とか、そういうものと実態の消費者あるいは小売店等の販売の仕方みたいなものが乖離してきているんじゃないかなという気がしないでもないのですが、どうなのでしょうか。

酒税課長
 なかなか難しい御質問ですけれども、まず、これだけ問題が見られるというのは、御指摘のとおり、具体的な情報があるものを中心に、例えばチラシなんかといった店の情報を丹念に拾いまして、合理的でない価格が設定されているようなものを中心に調査をしておりますので、こういった結果になっておりまして、それで、こういった問題が認められるものにつきましては、その都度改善の指導をしているんですけれども、なかなかそれが減らないということで、確かにイタチごっこ的なところはあって、確かに取引慣行もおっしゃるとおり、いろいろ変わってきているんだと思います。それに対して業界のほうも、やっぱり競争が激しい業界でございますので、いろんな知恵を絞りながらやっていると。それに対して問題があれば、その都度指摘しているということで、確かにこういったやり方でいいのかなというところはあるんですけれども、実態はそういう感じでございます。


こう津委員
 恐らく消費税の、さっきの話にもありましたけれども、そういうものの適正な転嫁をしないとかということも、その安売りのところの問題にかかわり合ってくることなので、酒税や消費税のことも、それからこういう不当な、不当廉売という言い方がいいかどうかちょっとわからないんですけれども、そういうようなのも含めて、やっぱり何かそこにそういう、安いものを欲しいというのは消費者の当たり前の感覚ではあると思うんですけれども、どうも、何か一つ問題があるような気がしないでもないという感覚をどうしても抱いてしまうので、そこをもう少し分析を続けるというのは大切なことなのかもしれないなと、ふと思いました。


酒税課長
 はい、ありがとうございます。


分科会長
 ほかにございますでしょうか。
 須磨委員。

須磨委員
 11ページの、食品表示法の概要のところなんですけれども、「現行、任意制度となっている栄養表示についても、義務化が可能な枠組みとする」とありますね。これは、お酒も義務化されるということですか。


酒税課長
 栄養表示につきましては、既にこちらのほうで議論が1回なされて、それからもう一回ぐらいされておりまして、酒につきましては、実はこれまでは除外されておりまして、その理由としては、酒というのは基本的には嗜好品的なものでありまして、ほかの食品のようにそれで何か栄養をとるというよりは、それで楽しむという性格のものでありますので、それと、国際的に見ても、栄養表示というのはむしろ義務化されていない国のほうがほとんどでございまして、そういった観点も踏まえまして、一応これまでの議論では、義務化の対象から除外されるということで議論は進んでございます。


須磨委員
 枠組みとすると書いてあったので、お酒は入ってしまうのかと思って、逆に危惧いたしました。これを栄養表示としてしまうと、お酒を飲んだから栄養をとったということで、いいかげんな食生活になる方が出てくると思うので、表示しないようにしていただきたいという要望でございました。


酒税課長
 はい、ありがとうございます。


分科会長
 ほかにございますでしょうか。
 青山委員、どうぞ。

青山委員
 先ほどこう津委員がおっしゃったことと関連するので、10ページのところですけれども、指摘事項に改善が見られるのはいいんですけれども、見られなかった方も数%いらっしゃいますよね。これについては、その後どういうふうにするのでしょうか。


酒税課長
 右側のフォローアップ調査のほうのお話だかと思うんですけれども、フォローアップ調査につきましては、改善が見られなかった者につきまして調査に行って、それでまた指導して、その結果、改善が認められたものが280のうち271で、残ったものが9ということでございます。これにつきましては、翌年も引き続き指導し続けるということで、改善が見られるまで一応フォローアップをするということで対応させていただいております。


分科会長
 よろしゅうございますでしょうか。
 時間もございますので、あと、ございましたら1問程度お願いしたいと思います。
 ないようでございますので、議題2につきましては、この辺で終わりにさせていただきます。
 ありがとうございました。
 本日予定しておりました議題は以上でございますが、ほかに何か皆様からございましたら、お出しいただきたいと思います。
 それでは、ほかに何もございませんようですので、本日の議事は終了するということにいたします。どうもありがとうございました。
 それで、本日の議事要旨及び議事録の公開につきましては、国税審議会議事規則第5条、酒類分科会議事規則第4条によりまして、まずは簡潔な内容のものを議事要旨として公表し、議事録は完成次第公表させていただきたいと存じます。
 なお、議事録につきましては、公表前に皆様の御発言内容に誤りがないかを確認させていただきたいと思います。
 議事要旨の内容等につきましては、分科会長に一任ということでよろしゅうございますか。

(「異議なし」の声あり)

分科会長
 ありがとうございました。
 では、これをもちまして、第14回酒類分科会を閉会させていただきます。皆様、どうもありがとうございました。

―― 了 ――