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別紙 一般社団法人の基金について放棄を受けた場合の取扱い

別紙1 事前照会の趣旨

一般社団法人である当法人では、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下「一般社団・財団法人法」といいます。)第131条に規定する「基金」の拠出を受けており、当法人の貸借対照表上、純資産の部に「資本金」という科目で計上しています。

同条によれば、この「基金」は基金の拠出者に対して返還義務を負うものですが、基金の拠出者との間で当該基金について将来にわたり弁済を要しないとの合意に至った場合、その弁済を要しないこととなった金額は、当法人においては債務免除益として課税対象になると解して差し支えないでしょうか。

また、上記照会の前提として、当法人においては、この「基金」について貸借対照表上に「資本金」という科目で計上していますが、その性質は「債務」と考えますので、この基金の税務上の取扱いについては、法人税法第2条第16号に掲げる資本金等の額の算定基礎とする「資本金の額又は出資金の額」には該当しないと解して差し支えないでしょうか。

なお、当法人は、法人税法第2条第9号の2に規定する非営利型法人の要件を満たさないことから、法人税法上の普通法人に該当することを前提とします。

別紙2 事前照会に係る取引等の事実関係

1 当法人は、平成20年○月○日に有限責任中間法人として設立された法人であり、旧中間法人制度において基金制度は必須の制度でしたので、会員等から基金の拠出を受け、これを当法人の貸借対照表における純資産の部に基金(資本金)及び代替基金(利益準備金)として計上していました。

2 当法人は、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(以下「整備法」といいます。)第2条第1項に基づき平成20年12月1日(一般社団・財団法人法の施行日)以後は、一般社団・財団法人法の規定による一般社団法人として存続しています。
 また、有限責任中間法人の基金又は代替基金は、一般社団・財団法人法の施行日以後は、特段の手続を要することなく、一般社団法人の基金又は代替基金とみなされます(整備法181)ので、当法人の平成25年3月期の貸借対照表の純資産の部には資本金(基金)○百万円、利益準備金(代替基金)○百万円が計上されています。

3 当法人の定款には、基金に関して次のように定めています。

(第6条)基金の募集等

当法人は、会員又は第三者に対し、基金の拠出を求めることができるものとする。

(第7条)基金1口の金額

当法人の基金1口の金額は、金○○円とする。

(第8条)基金の拠出者の権利に関する規定

拠出された基金は、当法人と基金の拠出者が別途合意する期日まで返還しない。

(第9条)基金の返還の手続

基金の返還は、基金の拠出者に返還すべき基金の総額について定時社員総会における決議を経た後、理事会が決定したところに従って行う。

2 基金の返還に係る債権には、利息を付さない。

3 基金の拠出者は、基金の返還に係る債権を理事会の承認なしに他に譲渡し、又は担保に供してはならない。

4 当法人は、全ての拠出者との間で当該基金について将来にわたり弁済を要しないとの合意をし、基金を有しない法人となることとします。

別紙3 2の事実関係に対して事前照会者の求める見解となることの理由

1 一般社団法人における基金制度について

一般社団法人における基金制度は、剰余金の分配を目的としないという一般社団法人の基本的性格を維持しつつ、その活動の原資となる資金を調達し、その財産的基礎の維持を図るための制度として、一般社団・財団法人法第2章第5節【基金】に規定が設けられています。

この「基金」は、一般社団・財団法人法の規定により一般社団法人に拠出された金銭その他の財産であって、当該一般社団法人が拠出者に対して同法及び当該一般社団法人と拠出者との間の合意の定めるところに従い返還義務を負うものです(一般社団・財団法人法131条)。一般社団・財団法人法では、基金制度の採用は義務付けられておらず、基金制度を採用するかどうかは、一般社団法人の定款自治によることとされています(法務省ホームページ「一般社団法人及び一般財団法人制度Q&A」Q23)。

この「基金」の募集を行うためには、定款に「基金を引き受ける者の募集をすることができる旨」のほか、「基金の拠出者の権利に関する規定」及び「基金の返還の手続」を定めることが必要とされています(同法131条)。

2 一般社団法人における「基金」の特性

 一般社団法人における「基金」とは、次の1から3までの特性を有しています。

1 経理処理については、基金の総額及び代替基金は、貸借対照表の純資産の部(純資産を示す適当な名称を示したものを含みます。)に計上しなければならない(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律施行規則31条)。

2 基金の返還は、拠出額(金銭以外の財産が拠出されたときは、拠出時の評価額)を限度とし、かつ、基金の返還に係る債権には利息を付すことができない(一般社団・財団法人法131条、143条)。

3 一般社団法人が破産手続開始の決定を受けた場合においては、基金の返還に係る債権は、破産法第99条第1項に規定する劣後的破産債権及び同条第2項に規定する約定劣後破産債権に後れる(一般社団・財団法人法145条)。

3 一般社団法人の社員及び基金の拠出者の特徴

 一般社団法人の社員及び基金の拠出者は、次の1から3までの特徴を有しています。

1 剰余金又は残余財産の分配を受ける権利
 一般社団法人は、剰余金の分配を目的としない法人ですので、定款の定めによって社員に剰余金又は残余財産の分配を受ける権利を与えることはできないこととされています(一般社団・財団法人法11条2)。

2 一般社団法人の議決権
 一般社団法人の議決権については、一般社団法人の社員が各1個の議決権を有する旨及び定款で別段の定めをすることを妨げない旨規定されています(一般社団・財団法人法48条)が、社員以外の者に議決権を認めるものではありません。

3 基金の拠出者の地位
 基金の拠出者の地位は、一般社団法人の社員たる地位とは結びついていないため、社員が基金の拠出者となることも可能であるし、社員が基金の拠出者とならないこともできるとされています(法務省ホームページ「一般社団法人及び一般財団法人制度Q&A」Q23)。

4 検討

(1) 「基金」は「資本金の額又は出資金の額」に該当するか。

イ 基金の拠出者は、上記1から3までの内容からすれば、一般社団・財団法人法及び一般社団法人との間の合意に基づき基金の返還を受ける権利を有しているものの、株式会社の株主又は持分会社の社員のように有限責任又は無限責任を負っているものではなく、また、基金の拠出について1剰余金又は利益の配当を請求する権利、2残余財産の分配を受ける権利及び3社員総会における議決権又は法人の業務を執行する権利のいずれも有さないこととされています。

ロ また、一般社団法人は、拠出者に対して基金の返還義務を負っているとともに、基金は、破産手続開始の決定を受けた場合、拠出者において約定劣後破産債権に後れることとされていますので、債務と同様の性質を有しているものと認められます。

ハ これらのことから、一般社団法人においては、当該基金は「資本金の額又は出資金の額」に該当せず、「債務」に該当すると考えられます。

(2) 「基金」の返還の免除は、債務免除益として課税対象となるか。

法人税の課税所得の計算上、益金の額には、法人税法第22条第5項に規定する資本等取引以外の取引に係る全ての収益が含まれ、同条第2項は、無償による資産の譲受けその他の取引からも収益が生ずる旨定めています。このため、金銭その他の資産の贈与を受けたことにより生ずる受贈益は、全て益金の額に算入されるとともに、債権者から債務の免除を受けたことにより生ずる債務免除益も広く益金に含まれると考えられます。
上記(1)のとおり、一般社団法人の基金は当法人にとっては「債務」として考えられますので、その基金について当法人と基金の拠出者との間で基金を弁済しない合意に至った場合には、当法人は債務の弁済義務が免除されることになりますので、当法人において債務免除益を認識することとなると考えられます。

○ 国税庁文書回答税目別検索