ここから本文です。

ホーム税について調べる事務運営指針納税の猶予等の取扱要領主要項目>第3章 第1節 職権による換価の猶予の要件等

第3章 換価の猶予

徴収法に規定する換価の猶予は、滞納者に一定の事由がある場合に、滞納処分により財産を換価すること又は一定の財産を差し押さえることを1年の範囲内で猶予するものであり、1税務署長が職権をもって行う換価の猶予(徴収法第151条第1項。以下「職権による換価の猶予」という。)及び2滞納者の申請に基づき行う換価の猶予(徴収法第151条の2第1項。以下「申請による換価の猶予」という。)の2種類がある。

この章は、これらの換価の猶予の取扱いについて定めたものである。

第1節 職権による換価の猶予の要件等

16 職権による換価の猶予の要件

(1) 要件

職権による換価の猶予をすることができるのは、次に掲げる要件の全てに該当する場合であり(徴収法第151条第1項、第152条第3項)、具体的には下記(2)から(8)までに定めるところによる。

  • イ 滞納者が納税について誠実な意思を有すると認められること。
  • ロ 納付すべき国税について納税の猶予又は申請による換価の猶予の適用を受けている場合でないこと。
  • ハ 次のいずれかに該当すると認められる場合であること。
    • (イ) 財産の換価を直ちにすることにより、その事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれがあるとき。
    • (ロ) 財産の換価を猶予することが、直ちに換価することに比し、滞納に係る国税及び最近において納付すべきこととなる国税の徴収上有利であるとき。
  • ニ 原則として、猶予に係る国税の額に相当する財産の差押え又は担保の提供があること。

(2) 職権による換価の猶予を受けることができる者

職権による換価の猶予を受けることができる者は、徴収法第2条第9号《定義》に規定する滞納者である。

なお、第二次納税義務者や保証人も職権による換価の猶予を受けることができる(徴収法第2条6号、徴基通第2条関係10参照)。

また、職権による換価の猶予を受けることができる者に該当しない者については、上記4(2)《通常の納税の猶予を受けることができる者》なお書きと同様である(徴基通第24条関係9(2)、第32条関係13、第151条関係1)。

(注) 被承継人につき換価の猶予がされているときの効力等については、上記4(2)《通常の納税の猶予を受けることができる者》(注)2に、また、繰上保全差押え又は保全差押えの適用を受けた者の取扱いについては、同(注)3にそれぞれ準ずる。

(3) 納税についての誠実な意思

「納税について誠実な意思を有する」とは、滞納者が、現在においてその滞納に係る国税を優先的に納付する意思を有していることをいう。

納税についての誠実な意思の有無の判定は、従来において期限内に納付していたこと、過去に納税の猶予又は換価の猶予等を受けた場合において確実に分割納付を履行していたこと、滞納国税の早期完納に向けた経費の節約、借入の返済額の減額、資金調達等の努力が適切になされていることなどの事情を考慮して行う。

この場合においては、過去のほ脱の行為又は滞納の事実のみで納税についての誠実な意思の有無を判定するのではなく、現在における滞納国税の早期完納に向けた取組も併せて考慮した上で判定する。

なお、滞納者から徴収法第151条第2項に基づく求めに応じて提出された書類が適切に記載されたものである場合、又は通則法第55条《納付委託》の規定による納付委託の申出があった場合には、原則として、納税について誠実な意思を有しているものと判定して差し支えないが、他の要件についての調査を省略して、直ちに換価の猶予該当とすることはできないことに留意する(下記(4)及び(5)参照)。

(注)

  1. 1 現に納付することができる金額(納付すべき国税の額から納付を困難とする金額(下記17(2)《職権による換価の猶予をする金額》参照)を控除した残額)がある場合において、納付の手続に通常要すると認められる期間内に当該金額に相当する国税を納付しないときは、納税についての誠実な意思を有しないものとして、換価の猶予を不許可とする(徴基通第151条関係2参照)。
  2. 2 職権による換価の猶予の場合に提出を求める書類については、下記36《職権による換価の猶予をする場合》に定めるところによる。
  3. 3 滞納国税につき、換価の猶予の要件及び換価の猶予をする金額について調査した結果、滞納国税の一部についてのみ換価の猶予を認めることができる場合については、下記20(4)《納税についての誠実な意思》注2を参照する。

(4) 事業継続又は生活維持の困難

「財産の換価を直ちにすることによりその事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれがあるとき」とは、換価の猶予をしようとする国税の全てを直ちに徴収しようとする場合において、次のいずれかに該当するときをいう。

  • イ 事業に不要不急の資産を処分するなど、事業経営の合理化を行った後においても、なお差押財産を換価することにより、事業を休止し、又は廃止させるなど、その滞納者の事業の継続を困難にするおそれがあると認められるとき(徴基通第151条関係3)。
  • ロ 差押財産を換価することにより、滞納者の必要最低限の生活費程度の収入が期待できなくなるとき(徴基通第151条関係4)。

(5) 国税の徴収上有利

換価の猶予をしようとする国税の全てを直ちに徴収しようとする場合において、次のいずれかに該当するときは、徴収法第151条第1項第2号に規定する「換価の猶予をすることが、直ちに換価することに比し国税の徴収上有利であるとき」に該当するものとして処理するものとする(徴基通151条関係5)。

  • イ 滞納者の財産のうち滞納処分ができる全ての財産につき滞納処分を執行したとしても、その徴収することができる金額が徴収しようとする国税に不足すると認められる場合であって、換価処分を執行しないこととした場合には、換価の猶予に係る期間内に新たな滞納を生ずることなく、その猶予しようとする国税の全額を徴収することができると認められるとき。
  • ロ 換価すべき財産の性質、形状、用途、所在等の関係で換価できるまでには相当の期間を要すると認められる場合で、換価処分を執行しないことが、換価の猶予をしようとする国税及び換価の猶予に係る期間内において納付すべきこととなる国税の徴収上有利であると認められるとき。
  • ハ 滞納国税につき直ちに徴収できる場合等であっても、最近において納付すべきこととなる国税と既に滞納となっている国税との総額については、換価処分を執行しないことが徴収上有利であると認められるとき。

(6) 納税の猶予及び申請による換価の猶予との関係

通則法第46条第1項から第3項まで又は徴収法第151条の2第1項の規定により現に納税の猶予又は申請による換価の猶予を適用している国税については、職権による換価の猶予をしないものとする(徴基通第151条関係6)。

なお、職権による換価の猶予の要件に該当する場合であっても、納税の猶予、又は申請による換価の猶予の要件に該当すると認められるときは、これらの規定による猶予の申請を勧奨する。

(7) 保全措置及び差押えの猶予

職権による換価の猶予をしようとする場合において、その猶予に係る国税について十分な保全措置がとられていないときは、その国税の徴収を確保するため、その国税の額に相当する担保の徴取又は財産の差押えをしなければならない。ただし、次のいずれかに該当する場合には、担保の徴取又は財産の差押えをすることなく換価の猶予をすることができ、また、下記ホ又はヘのいずれかに該当する場合には、差押えの猶予をすることができる(徴収法第152条第2項及び第3項、通則法第46条第5項)。

  • イ 猶予に係る国税の額が100万円以下である場合
    「猶予に係る国税の額が100万円以下である場合」の判定は、換価の猶予をしようとする時において、その猶予をしようとする国税以外に猶予の申請中の国税又は既に猶予をしている国税があるときは、これらの国税の額を含めて行う。
  • ロ 猶予の期間が3月以内である場合
  • ハ 通則法第50条各号《担保の種類》に掲げる種類の財産がなく、かつ、保証人となる適当な者がいない場合
  • ニ 通則法第50条各号に掲げる種類の財産があるものの、その財産の見積価額が猶予に係る国税及びこれに先立つ抵当権等により担保される債権その他の債権の合計額を超える見込みがない場合
  • ホ 担保の徴取又は差押えをすることにより、事業の継続又は生活の維持に著しい支障を与えると認められる場合
  • ヘ 納付委託に係る有価証券の提供により、猶予に係る国税につき担保の提供又は差押えの必要がないと認められるに至った場合(通則法第55条第4項)
    「必要がないと認められるに至った場合」とは、納付委託を受けた証券の取立てが最近において特に確実であり、不渡りとなるおそれがないため、納付委託に係る国税が確実に徴収できると認められる場合等をいう。

(注) 担保の提供及び徴取手続については、下記39から43まで《担保》に定めるところによる。

(8) 職権による換価の猶予に係る留意点

職権による換価の猶予は、滞納者からの申請によらず、税務署長が職権をもって行うものであるが、滞納者から納付困難を理由として分割納付の申出等があった場合には、原則として、分割納付計画書(様式307010-063-1)等の提出を求めるなどしてその申出の内容を調査し、要件を満たしている滞納者については、職権による換価の猶予を適用する(徴収法第151条第2項、徴収令第53条第1項)。

なお、この場合において、滞納者は、分割納付計画書等の提出により職権による換価の猶予をすることを求めることはできず、税務署長が職権による換価の猶予を適用しないことについて、不服申立て又は訴えの提起をすることができないことに留意する(徴基通第151条関係13−4注書き)。

(注) 職権による換価の猶予に当たり書類の提出を求める場合については、下記36《職権による換価の猶予をする場合》に定めるところによる。

17 職権による換価の猶予の対象となる国税及び猶予をする金額

(1) 職権による換価の猶予の対象となる国税

職権による換価の猶予ができる国税は、納期限を経過した国税又は国税に関する法律の規定により一定の事実が生じた場合に直ちに徴収するものとされている国税である。

また、職権による換価の猶予をする場合には、滞納者の滞納に係る国税の全てを対象として行うことに留意する。ただし、国税の一部について、通則法第46条第1項及び第2項《納税の猶予の要件等》、同法第23条第5項《更正の請求》ただし書、同法第105条第2項《不服申立てと国税の徴収との関係》、徴収法第151条の2第1項《換価の猶予の要件等》、所得税法第118条《予定納税額の徴収の猶予》、同法第133条第5項《延払条件付譲渡に係る所得税額の延納の手続等》等の規定により、納税の猶予、徴収の猶予又は申請による換価の猶予等がされることが明らかな場合は、この限りではない。

(注)

  1. 1 督促状が発付されていない国税について換価の猶予をする場合は、滞納者に対し、督促状が発付される旨を事前に説明する。
  2. 2 職権による換価の猶予と本文ただし書の納税の猶予、徴収の猶予又は申請による換価の猶予等のいずれの要件にも該当すると認められる場合において、滞納者から納税の猶予の申請、徴収の猶予の申立て又は換価の猶予の申請等があるときは、これにより処理するものとし、申請書の提出又は申立てがされていないときは、その要件及び申請手続等について説明し、申請書の提出等を勧奨するものとする。

(2) 職権による換価の猶予をする金額

職権による換価の猶予をすることができる金額は、納付を困難とする金額として、下記イの額からロの額を控除した残額を限度とし、具体的には、下記63から66まで《現在納付能力調査》に定める現在納付能力調査によって判定した納付困難と認められる金額とする(徴収法第152条第1項、徴収令第53条第3項、徴基通第152条関係1)。

  • イ 納付すべき国税の額
  • ロ 滞納者の納付能力を判定した日において滞納者が有する現金、預貯金その他換価の容易な財産の価額に相当する金額から、それぞれ次に定める額を控除した残額
    • (イ) 滞納者が法人の場合には、その事業の継続のために当面必要な運転資金の額
    • (ロ) 滞納者が個人の場合には、次に掲げる金額の合計額
      • A 滞納者及び滞納者と生計を一にする配偶者その他の親族(滞納者と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者及び当該事情にある者の親族を含む。)の生活の維持のために通常必要とされる費用に相当する金額(滞納者が負担すべきものに限る。)
      • B 滞納者の事業の継続のために当面必要な運転資金の額

18 職権による換価の猶予をする期間等

(1) 猶予期間

職権による換価の猶予をする期間は、1年を限度として、下記(3)に基づき、その猶予に係る国税を完納することができる最短期間とする(徴基通151条関係5−2)。

(2) 猶予期間の始期

猶予期間の始期は、換価の猶予をする日とする。ただし、その日より前に通則法第55条第1項第1号により納付受託を行った場合は、その納付受託を行った日を猶予期間の始期とする。

なお、換価の猶予をする日が、猶予に係る国税の法定納期限以前の日である場合は、その法定納期限の日の翌日を猶予期間の始期とする。

(3) 合理的かつ妥当な金額による分割納付

換価の猶予をする場合には、原則として、猶予に係る金額につき、その猶予期間内の各月において、滞納者の財産の状況その他の事情からみて合理的かつ妥当なものに分割して納付させなければならない(徴収法第152条第1項)。ただし、税務署長がやむを得ない事情があると認めるときは、その猶予期間内の税務署長が指定する月における分割納付とすることができる。

この場合において、「猶予期間の各月において、滞納者の財産の状況その他の事情からみて合理的かつ妥当なもの」とは、滞納者の財産の状況その他の事情からみて、滞納者の事業の継続又は生活の維持を困難にすることなく猶予期間内の各月において納付することができる金額であって、かつ、その猶予に係る国税を最短の期間で完納することができる金額をいう(徴基通第152条関係7)。

また、「やむを得ない事情があると認めるとき」とは、分割して納付をしようとする月において、下記67から70まで《見込納付能力調査》で定める見込納付能力調査によって納付可能な額が算出されないことをいい、この場合において、税務署長は、換価の猶予をする期間において分割納付金額が算出される月を指定して分割納付をさせるものとする(徴基通152条関係6)。

(注) 換価の猶予に当たって分割して納付させる場合は、その猶予に係る金額を滞納者の財産の状況その他の事情からみて合理的かつ妥当なものに分割するため、分割後の金額は必ずしも一定ではないことから、通則法第119条第3項《国税の確定金額の端数計算等》の規定の適用はない(通基通第119条関係2注書き)。

(4) 1年以内に完納が見込まれない場合の取扱い

徴収法第151条第1項の要件を満たす場合において、納付能力調査の結果、職権による換価の猶予をしようとする国税の完納までに要する期間が1年を超えると認められるときは、猶予期間を1年間とし、1年を超える部分の税額は猶予期間の最終月の分割納付金額として処理する。

(注)

  1. 1 1年以内に完納が見込まれない場合には、換価の猶予の「納税について誠実な意思」の判定に当たって、滞納国税の早期完結に向けた経費の節約、借入の返済額の減額、資金調達等の努力が適切になされているかどうかについて、的確に判断することに留意する。
  2. 2 猶予期間の延長については、下記50から52まで《猶予期間の延長》に定めるところによる。

19 既に換価の猶予がされていた国税の取扱い

(1) 徴収法第151条第1項第1号と第2号の関係

徴収法第151条第1項第1号の規定による換価の猶予をした国税について、改めて同号の規定による換価の猶予をすることはできない。ただし、同号の規定による換価の猶予をした国税について、その猶予期間が終了した後、その滞納者が同項第2号に該当する場合は、同号の規定による換価の猶予をすることができる。

なお、徴収法第151条第1項第2号の規定による換価の猶予をした国税についても、同様である(徴基通第151条関係6−2)。

(2) 納税の猶予等との関係

納税の猶予又は申請による換価の猶予をした国税について、その猶予期間が終了した後、その滞納者が職権による換価の猶予の要件に該当するときは、職権による換価の猶予をすることができる。

(3) 担保の徴取

上記(1)又は(2)において、既にされていた猶予について徴取していた担保は、引き続き新たな換価の猶予の担保とすることができる(下記50(2)《猶予期間の延長の申請》ハ注2参照)。

納税の猶予等の取扱要領主要項目へ戻る