1 制度の概要

 この制度は、中小企業者等が、平成30年4月1日から令和3年3月31日までの間に開始する各事業年度において国内雇用者(注1)に対して給与等(注2)を支給する場合において、「4 適用要件」を満たすときは、雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額の15%(「4 適用要件」の《上乗せ要件》を満たす場合には25%)相当額の法人税額の特別控除ができることとされました。ただし、適用年度(本制度の適用を受ける事業年度をいいます。以下同じです。)の調整前法人税額の20%相当額が限度とされています。

  1. (注1) 国内雇用者とは、法人の使用人(その法人の役員の特殊関係者及び使用人兼務役員を除きます。)のうちその法人の国内に所在する事業所につき作成された労働基準法第108条に規定する賃金台帳に記載された者をいいます。
  2. (注2) 給与等とは、所得税法第28条第1項に規定する給与等をいいます。

2 適用対象法人

 この制度の適用対象法人は、中小企業者又は農業協同組合等で、青色申告書を提出する法人です。
 中小企業者とは、次に掲げる法人をいいます。なお、平成31年4月1日以後に開始する事業年度においては、中小企業者のうち適用除外事業者(その事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度の所得金額の年平均額が15億円を超える法人等をいいます。)に該当するものは除かれます。

  1. (1) 資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人のうち次に掲げる法人以外の法人
    1. イ その発行済株式又は出資(平成31年4月1日以後に開始する事業年度においては、自己の株式又は出資を除きます。以下同じです。)の総数又は総額の2分の1以上を同一の大規模法人に所有されている法人
    2. ロ 上記イのほか、その発行済株式又は出資の総数又は総額の3分の2以上を複数の大規模法人に所有されている法人
    3. (注) 大規模法人とは、次に掲げる法人をいい、中小企業投資育成株式会社を除きます。なお、(3)及び(4)に掲げる法人については、平成31年4月1日以後に開始する事業年度において、大規模法人となります。
      1. (1) 資本金の額又は出資金の額が1億円を超える法人
      2. (2) 資本又は出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人
      3. (3) 大法人(次に掲げる法人をいいます。以下同じです。)との間にその大法人による完全支配関係がある法人
        1. イ 資本金の額又は出資金の額が5億円以上の法人
        2. ロ 相互会社及び外国相互会社のうち、常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人
        3. ハ 受託法人
      4. (4) 100%グループ内の複数の大法人に発行済株式又は出資の全部を直接又は間接に保有されている法人((3)に掲げる法人を除きます。)
    4. ハ 受託法人
  2. (2) 資本又は出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人(受託法人を除きます。)

3 適用対象年度

 この制度は、平成30年4月1日から令和3年3月31日までの間に開始する各事業年度において、適用できます。
 ただし、コード5927「給与等の引上げ及び設備投資を行った場合等の税額控除(原則)」の適用を受ける事業年度、設立事業年度(設立の日を含む事業年度をいいます。)、合併以外の事由による解散の日を含む事業年度及び清算中の各事業年度においては、適用できません。

4 適用要件

 次の(1)及び(2)の要件を満たしている必要があります。

  1. (1) 雇用者給与等支給額(注3) > 比較雇用者給与等支給額(注4)
  2. (2)
     継続雇用者給与等支給額(注5)−継続雇用者比較給与等支給額(注6)/継続雇用者比較給与等支給額≧1.5%
     ※ 継続雇用者比較給与等支給額が0である場合には、要件を満たさないものとされます。
  3. 《上乗せ要件》 次の(3)及び(4)を満たすこと

  4. (3)
     継続雇用者給与等支給額−継続雇用者比較給与等支給額/継続雇用者比較給与等支給額≧2.5%
     ※ 継続雇用者比較給与等支給額が0である場合には、要件を満たさないものとされます。
  5. (4) 次のいずれかの要件を満たすこと

    1.  教育訓練費(注7)の額−中小企業比較教育訓練費の額(注8)/中小企業比較教育訓練費の額≧10%
       ※ 中小企業比較教育訓練費の額が0である場合には、要件を満たすものとされます。
         ただし、教育訓練費の額も0である場合には、要件を満たさないものとされます。
    2. ロ その中小企業者等がその事業年度終了の日までに中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けたもので、その経営力向上計画に従って経営力向上が確実に行われたことにつき一定の証明がされたものであること
      具体的には、次の書類を確定申告書等に添付することにより証明がされた中小企業者等をいいます。
    3. (イ) 中小企業者等が受けた中小企業等経営強化法の認定(変更の認定を含みます。)に係る経営力向上計画の写し
    4. (ロ) 上記(イ)の経営力向上計画に係る認定書の写し
    5. (ハ) 上記(イ)の経営力向上計画(中小企業等経営強化法の規定による変更の認定があったときは、その変更後のもの)に従って行われる経営力向上に係る事業の実施状況につき経済産業大臣に報告した内容が確認できる書類(その経営力向上が行われたことが経営力向上計画に記載された指標(経済産業大臣が認めるものに限ります。)の値により確認できるものに限ります。)
  6. (注3) 雇用者給与等支給額とは、適用年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入される国内雇用者に対する給与等の支給額(その給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額がある場合には、その金額を控除した金額となります。)をいいます。
  7. (注4) 比較雇用者給与等支給額とは、前事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入される国内雇用者に対する給与等の支給額をいいます。本制度の適用を受けようとする法人が合併法人等である場合など一定の場合における比較雇用者給与等支給額の計算方法等については、別途の調整計算規定が置かれています。
  8. (注5) 継続雇用者給与等支給額とは、継続雇用者(法人の適用年度及び前事業年度等の期間内の各月においてその法人の給与等の支給を受けた国内雇用者(*)として一定のものをいいます。)に対する適用年度の給与等の支給額をいいます。
    (*) この国内雇用者は、一般被保険者に該当する者に限られ、その法人の就業規則において高年齢者等の雇用の安定等に関する法律に規定する継続雇用制度を導入している旨の記載があり、かつ、1雇用契約書その他これに類する雇用関係を証する書類又は1賃金台帳のいずれかにその継続雇用制度に基づき雇用されている者である旨の記載がある場合のその者を除きます。
  9. (注6) 継続雇用者比較給与等支給額とは、法人の継続雇用者に対する前事業年度等の給与等の支給額をいいます。
  10. (注7) 教育訓練費とは、法人がその国内雇用者の職務に必要な技術又は知識を習得させ、又は向上させるために支出する費用(その教育訓練費に充てるため他の者から支払を受ける金額がある場合には、その金額を控除した金額となります。)で次のものをいいます。
    1. イ法人がその国内雇用者に対して教育、訓練、研修、講習その他これらに類するもの(以下「教育訓練等」といいます。)を自ら行う場合の次の費用
    2. (イ) 教育訓練等のために講師又は指導者(その法人の役員又は使用人である者を除きます。以下「講師等」といいます。)に対して支払う報酬、料金、謝金その他これらに類するもの及び教育訓練等を行うために要する講師等の旅費のうちその法人が負担するもの並びに教育訓練等に関する計画又は内容の作成についてその教育訓練等に関する専門的知識を有する者(その法人の役員又は使用人である者を除きます。)に委託している場合のその専門的知識を有する者に対して支払う委託費その他これに類するもの
    3. (ロ) その教育訓練等のために施設、設備その他の資産を賃借する場合におけるその賃借に要する費用及びコンテンツ(文字、図形、色彩、音声、動作若しくは映像又はこれらを組み合わせたものをいいます。)の使用料(コンテンツの取得に要する費用に該当するものを除きます。)
    4. ロ 法人から委託を受けた他の者(その法人との間に連結完全支配関係がある他の連結法人を含みます。)が教育訓練等を行う場合の、その教育訓練等のために当該他の者に対して支払う費用
    5. ハ 法人がその国内雇用者を他の者が行う教育訓練等に参加させる場合の、その他の者に対して支払う授業料、受講料、受験手数料その他の当該他の者が行う教育訓練等に対する対価として支払うもの
  11. (注8) 中小企業比較教育訓練費の額とは、中小企業者等の適用年度開始の日前1年以内に開始した各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される教育訓練費の額の年平均額をいいます。

5 税額控除限度額

本措置の税額控除限度額は、次の算式により計算します。

税額控除限度額 = (雇用者給与等支給額 − 比較雇用者給与等支給額) × 15%(注9)

  1. (注9) 「4 適用要件」の《上乗せ要件》を満たす場合には、25%とされます。
  2. (注10) その事業年度において「地方活力向上地域等において雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除」(措法42の12)の適用を受ける場合には、雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額から適用年度に係る雇用者給与等支給額をその適用年度終了の日における雇用者(法人の使用人のうち一般被保険者に該当する者をいいます。)の数で除して計算した金額に同条の規定による控除を受ける金額の計算の基礎となった者の数を乗じて計算した金額の20%相当額を控除した残額の15%(又は25%)となります。
  3. (注11) 上記の算式により計算した金額が、その適用年度の調整前法人税額の20%相当額を超える場合には、その20%相当額が限度となります。

6 申告にあたっての注意点

  1. (1) 対象となる期間内に新たに設立された法人の設立の日を含む事業年度については、この制度の適用を受けることができません。
  2. (2) この制度の適用を受けるためには、控除の対象となる雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額、控除を受ける金額及びその金額の計算に関する明細並びに継続雇用者給与等支給額及び継続雇用者比較給与等支給額を記載した書類を確定申告書等(控除を受ける金額を増加させる修正申告書又は更正請求書を提出する場合には、その修正申告書又は更正請求書を含みます。)に添付する必要があります。この場合において、控除される金額の計算の基礎となるその控除した金額は、確定申告書等に添付された書類に記載された雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額が限度とされます。
  3. (3) 「4 適用要件」の《上乗せ要件》を満たすものとしてこの制度の適用を受けようとする場合には、教育訓練費の額及び中小企業比較教育訓練費の額に関する次の事項を記載した書類を、その適用を受けようとする事業年度の確定申告書等に添付する必要があります。
    1. 1 教育訓練等の実施時期、内容、対象となる国内雇用者の氏名
    2. 2 教育訓練費等の費用を支出した年月日、内容及び金額並びに相手先の氏名又は名称

《連結納税制度》
 連結納税制度においても、上記と同様の措置が講じられています。

◆ 本制度における経営力向上計画の認定手続や同計画の実施状況についての経済産業大臣への報告の手続など中小企業等経営強化法に関する内容については、中小企業庁ホームページもご覧ください。

また、「中小企業向け所得拡大促進税制 ご利用ガイドブック」等も掲載されていますので、そちらもご参照ください。

(措法42の4、42の12、42の12の5、68の15の6、措令27の4、27の12の5、措規20の10、平29改正法附則62、75、平30改正法附則86、92、108)

参考: 関連コード

(平成31年4月1日現在の法令等によっています。)

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