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ホーム活動報告・発表・統計国税庁レポート2013年度版(HTML)3 適正な調査・徴収>《コラム》コンプライアンス確保のための多様な取組

《コラム》コンプライアンス確保のための多様な取組

税務行政を取り巻く環境の変化

 国税庁においては、従来から限られた人員等の中で適正かつ公平な課税を確保するため、事案に応じてメリハリを付けるなど効果的・効率的な事務運営を心掛けてきているところです。
 しかし、最近では、国境をまたぐ取引や資産移転、電子商取引などのように税務当局による把握が難しい取引等が大きく増加しており、税務行政を取り巻く環境は一層厳しさを増しています。
 このような状況の下、納税者のコンプライアンス(納税者が納税義務を自発的かつ適正に履行すること)を維持するためには、一方で課税逃れなどが生じやすい分野での取組を強化しつつ、他方で税務行政の効率化をさらに追求していく必要があります。

諸外国の取組

 こうした課題は、我が国のみならず諸外国の税務当局にとっても共通の課題となっています。各国においても、実地による税務調査をコンプライアンス確保のための重要な柱と位置付けながらも、例えば以下のような様々な手法を組み合わせてコンプライアンスを向上させるための取組を実施しています。このような取組については、各国がよりよい税務行政を実現する上での参考とするため、国際会議等の場で情報共有が図られています。

1 自主コンプライアンス・プログラム(Voluntary Compliance Program)

 アメリカ、イギリス、フランスなどにおいては、税務当局に対して開示していない国外の預金口座や所得を有している納税者が、自主的にその情報を開示し、過去に遡って追加の税額を納付した場合にペナルティの減額・免除が認められる仕組みを実施し、一定の効果を挙げています。
 国際的にも、このような取組は、短期的な税収の増加につながるだけではなく、長期的にはコンプライアンスの向上にもつながるものであるとの評価がなされています。

2 納税者の不正などの発生可能性に応じた対応

 効果的な調査を行うためには、様々な情報に基づき、納税者の不正などの発生可能性(コンプライアンス・リスク)を分析し、それに基づいた適切な手法を選択することが重要であることが、国際的に認識されています。
 例えば、アメリカでは、実地による調査だけでなく、簡易な問題に関しては書面による調査(Correspondence Audits)を組み合わせることで、納税者に幅広く接触し、コンプライアンスの向上に一定の効果を挙げています。

3 適正な申告に向けた支援と納税者との協力関係の構築

 諸外国においては、調査等により申告後の誤りや不正の計算を是正するだけでなく、誤りなどを未然に防止する観点から、適正な申告のための支援や、納税者との協力関係の構築などに重点的に取り組む例が見られます。
 例えば、オーストラリアでは、コンプライアンスの向上を図る観点から、小規模事業者との協力関係を構築するため、事業の開廃や雇用などの局面に応じ、訪問や電話によるきめ細やかな記帳・申告などの支援を行うとともに、ホームページにおいて様々な自己点検ツールや情報の提供を行うなどの一連の取組を行っています。

これからのコンプライアンス確保策

 国税庁では、悪質な課税逃れ等への取組を強化しつつ、税務行政の効率化を図るため、既に、前述した大企業の税務に関するコーポレートガバナンスの充実に向けた取組を行っています。今後は、さらに、諸外国の取組も参考とし、引き続き実地による税務調査を適切に実施しつつ、実地による税務調査以外のコンプライアンス確保のための手法も積極的に取り入れた税務行政への転換を進めていくこととしています。
 具体的には、次の3つの取組を柱として、全体としてのコンプライアンスの向上を目指していきます。

1 実地調査の重点化

 実地調査は、納税者の申告における不正や誤りを正し、納税者の適正な申告に導くための高い効果を持つ反面、その実施に当たっては大きな事務量が必要となります。そのため、不正などが発生しやすい分野やそれらを見逃した場合に全体のコンプライアンスに与える影響が大きい分野(例えば海外取引等を利用した課税逃れや消費税の不正還付など)に調査事務量を重点的に配分します。また、実地調査に際しては、投下する事務量に見合ったコンプライアンスの向上効果が得られるよう、その波及・牽制効果の向上に努めることとします。

2 情報収集・分析機能の充実

 納税者のコンプライアンス・リスクを的確に分析するとともに、課税逃れ等を効果的・効率的に発見できるよう、国税庁の情報収集・分析機能のより一層の充実を目指します。そのため、租税条約などに基づく国際的な情報交換の枠組みを強化するとともに、社会保障・税番号制度の導入を見据え、法定資料などの課税上有効な資料情報をより適正かつ効率的に活用することができるよう、システム整備等を進めていきます。

3 自発的な適正申告を確保するための多様な手法の活用

 納税者の申告前の自己点検の支援や、多数の申告漏れが予想される事項の公表、書面でのお尋ねなどによる申告についての自主的見直しの呼びかけ、税理士会や関係民間団体との協調関係の強化など、実地調査以外の多様な手法を用いて、幅広い納税者に自発的な適正申告を促す取組を充実させていきます。

コンプライアンス確保のための多様な取組