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ホーム活動報告・発表・統計国税庁レポート2011年度版(HTML)5 権利救済

5 権利救済

 税務署長などが課税処分や滞納処分を行った場合file://///nas2/x.nta.go.jp/nta/kohyo/katsudou/report/2011/img/30.gifに、納税者がその処分に不服があるときは、その処分の取消しなどを求めて不服申立てをすることができます。この不服申立制度は納税者の正当な権利や利益を簡易かつ迅速に救済するための手続であり、処分に対して不服がある納税者は、裁判所に訴訟を提起する前に、まずこの不服申立てを行うことを原則としています。
 不服申立てには税務署長などに対して行う異議申立てと国税不服審判所長に対して行う審査請求がありますが、審査請求は、原則として異議申立てを行ってからでないとすることができません。
 さらに、審査請求に対する裁決になお不服があるときは、裁判所に対して訴訟を提起して司法による救済を求めることができます。

(1)異議申立て

 異議申立ては、税務署長などが更正・決定や差押えなどの処分をした場合に、その処分に不服がある納税者が、行政庁である税務署長などに対して、その処分の取消しや変更を求める手続であり、国税に関する処分の行政争訟の第一段階です。
 近年、経済取引の広域化、国際化などにより異議申立事案が複雑化しており、事実関係の把握や法令の解釈・適用に困難を伴うものが増加しています。このような状況に対応するため、各国税局に審理課・審理官を設置し、また各種研修を通じて、審理に精通した職員を養成するなどにより、税法の正確な解釈に基づく全国統一的な執行に取り組み、納税者からの異議申立てを適正かつ迅速に処理できるよう努めています。

(2)審査請求

 上記の異議申立てに対する税務署長などの決定に、なお不服がある納税者は、国税不服審判所長に対して審査請求を行うことができます。
 国税不服審判所は、納税者の正当な権利利益の救済を図ることを目的とし、税務署長などと審査請求人との間に立つ公正な第三者的立場で、審査請求に対する裁決を行う機関であり、国税不服審判所長をはじめ東京及び大阪支部の所長など枢要な役職に、裁判官や検察官の職にあった者を任用しています。
 また、国税審判官に、税理士や弁護士などの職にあった民間の専門家を任期付職員として採用しています。
 審査請求の処理に当たっては、審査請求人や税務署などと早期に接触し、双方の主張を十分把握した上で、当事者双方の主張を整理した争点の確認表を作成するなどして早期に争点を明確化します。その上で、双方から提出された証拠書類等の内容を十分に検討し、自ら調査を行って、納税者からの審査請求を適正かつ迅速に処理できるよう努めています。
 なお、国税不服審判所長の裁決は、税務署長などの行った処分よりも納税者に不利益になることはありません。また、裁決は、行政部内での最終判断であるため、税務署長などは、仮にこれに不服があったとしても訴訟を提起することはできません。

(3)訴訟

 納税者は、国税不服審判所長の裁決を経た後、なお不服があるときは、裁判所に対して訴訟を提起して司法による救済を求めることができます。

国税に関する不服申立制度の概要の図

(4)権利救済の状況

 異議申立てについては、原則3か月以内にその処理を終えるよう努めています。平成22年度における異議申立処理件数は4,746件(課税関係3,924件、徴収関係822件)で、このうち新たな事実が把握されたことなどにより納税者の主張の全部又は一部が認められた割合は10.0%です。
 審査請求については、原則1年以内にその処理を終えるよう努めています。平成22年度における審査請求処理件数は3,717件(課税関係3,255件、徴収関係462件)で、このうち請求の全部又は一部が認められた割合は12.9%です。
 訴訟については、平成22年度における終結件数は354件(課税関係279件、徴収関係68件、審判所関係7件)であり、このうち納税者の請求の全部又は一部が認められた割合は7.6%となっています。
 なお、権利救済制度に関する納税者の理解をより深めてもらうため、不服申立て及び訴訟の概要や裁決事例などの情報を、国税庁ホームページや国税不服審判所ホームページhttp://www.kfs.go.jp/などを通じて提供しています。

異議申立ての3か月以内の処理件数割合と異議申立処理件数、審査請求の1年以内の処理件数割合と審査請求処理件数のグラフ

〔参考〕納税者からの苦情などへの対応

 国税庁に対しては、処分に対する不服申立てだけではなく、職員の応対や調査の仕方など税務行政全般について、納税者から不平や不満、困りごとの相談などが寄せられることがあります。国税庁は、このような納税者の様々な苦情などに正面から対応することが、納税者の理解と信頼を得るためには不可欠であると考え、納税者の視点に立って迅速かつ的確な対応に努めています。また、平成13年7月からは納税者支援調整官を置き、納税者の権利、利益に影響を及ぼす処分に係る苦情について、権利救済手続を説明するなど適切に対応しています。