1 黒字でありながら赤字を装って申告している法人に対する取組

本来、黒字でありながら赤字を装って申告することにより納税を免れている法人は、国民の公平感を著しく損なうものであるため、こうしたいわゆる仮装赤字法人に対して、重点的な調査に取り組んでいます。
 平成20事務年度においては、1,865件の無所得申告法人に対して調査を実施したところ、非違があった法人は1,379件、不正な経理を行っていた法人は511件でした。また、調査した無所得申告法人の約14%にあたる268件は、本来黒字申告すべき法人でした。
 その結果、課税した法人税額の合計は9億7700万円、消費税額は、5億2700万円となりました。

○ 無所得申告法人に対する実地調査の状況
事務年度等
項目
19 20  
前年対比 %
実地調査件数 1,529 1,865 122.0
非違があった件数 1,129 1,379 122.1
不正計算のあった件数 360 511 141.9
黒字申告に転換した件数 235 268 114.0
不正発見割合 23.5 27.4 ポイント 3.9
有所得転換割合 15.4 14.4 ポイント △ 1.0
申告漏れ所得金額 百万円 11,485 14,619 127.3
  うち不正所得金額 百万円 5,273 6,535 123.9
調査による追徴税額 百万円 1,537 977 63.6
消費税の追徴税額 百万円 518 527 101.7

平成18事務年度から平成20事務年度の無所得申告法人に対する実地調査の状況を表したグラフ及び平成20事務年度の不正発見割合を表したグラフ

2 消費税調査への取組

消費税は、主要な税目の一つであり、預り金的性格を有するため、国民の関心が極めて高く、税収等の面でもその位置付けが高まってきています。
 このような状況の下、消費税について虚偽の申告により不正に還付金を得るケースも見受けられるため、こうした不正還付申告を行う悪質な納税者に対しては厳正な姿勢で対応し、不正還付を未然に防止するなど適正な執行に努めています。
 平成20事務年度においては、4,299件の消費税申告法人に対し調査を実施し、約13億円の消費税額を追徴しました。また、そのうち874件は不正計算を行っていました。

○ 消費税申告法人に対する消費税の実地調査の状況
事務年度等
項目
19 20  
前年対比 %
実地調査件数 内308
4,340
内284
4,299
内 92.2
99.1
  うち不正計算のあった件数 内 30
755
内 38
874
内126.7
115.8
調査による追徴税額 百万円 内294
1,454
内217
1,301
内 73.8
89.5

(注) 内書は、消費税還付申告法人に対する消費税の実地調査の状況を示す。

平成18事務年度から平成20事務年度の消費税申告法人に対する実地調査の状況を表したグラフ及び平成20事務年度の調査による追徴税額を表したグラフ

3 源泉所得税調査への取組

源泉所得税は預り金の性格を有しており、源泉徴収制度に対する社会的な関心の高まりとともに、厳格な納付への対応が求められています。
 このような状況の下、税制面で優遇され社会的にも関心の高い公益法人等に対しても、積極的に調査に取り組んでいます。
 その結果、平成20事務年度においては、宗教法人をはじめとする公益法人等に対し165件を調査し、133件で非違が認められ(非違割合80.6%)、1億400万円を追徴しました。

○ 源泉所得税調査の状況
事務年度等
項目
19 20  
前年対比 %
調査件数 内154
6,090
内165
6,081
内107.1
99.9
非違件数 内127
1,629
内133
1,652
内104.7
101.4
課税漏れ支払金額 百万円 内962
9,150
内835
8,732
内 86.8
95.4
調査による追徴税額 百万円 内137
807
内104
740
内 75.9
91.7

(注) 内書は、公益法人等の実地調査の状況を示す。

平成18事務年度から平成20事務年度の源泉所得税調査の非違件数を表したグラフ及び平成20事務年度の課税漏れ支払金額の内訳を表したグラフ