平成22年12月
大阪国税局

1 相続税調査事績(全体)

 相続税について、平成21事務年度(平成21年7月から平成22年6月までの間)に実施した実地調査の状況をまとめましたのでお知らせします。

(1) 調査件数及び申告漏れ等の非違があった件数

 相続税の実地調査については、平成19年中及び平成20年中に発生した相続を中心に、国税局及び税務署で収集した資料情報を基に、申告額が過少であると想定されるものや、申告義務があるにもかかわらず無申告となっていることが想定されるものなどに対して実施しました。
 実地調査の件数は2,232件(前事務年度2,359件)、このうち申告漏れ等の非違があった件数は1,977件(前事務年度2,113件)で、非違割合は88.6%(前事務年度89.6%)となっています。

(2) 申告漏れ課税価格

 申告漏れ課税価格は701億円(前事務年度820億円)で、申告漏れ1件当たりでは3,547万円(前事務年度3,879万円)となっています。

(3) 申告漏れ相続財産の金額の内訳

 申告漏れ相続財産の金額の内訳は、現金・預貯金等278億円(前事務年度311億円)が最も多く、続いて有価証券132億円(前事務年度165億円)、土地75億円(前事務年度68億円)の順となっています。

(4) 追徴税額

 追徴税額(加算税を含む。)は148億円(前事務年度192億円)で、申告漏れ1件当たりでは749万円(前事務年度909万円)となっています。

(5) 重加算税の賦課件数等

 重加算税の賦課件数は267件(前事務年度262件)、賦課割合は13.5%(前事務年度12.4%)となっています。

表 相続税の調査事績

事務年度
項目
平成20事務年度 平成21事務年度  
対前事務年度比
1 実地調査件数
2,359

2,232

94.6
2 申告漏れ等の非違件数
2,113

1,977

93.6
3 非違割合(2/1)
89.6

88.6
ポイント
マイナス1.0
4 重加算税賦課件数
262

267

101.9
5 重加算税賦課割合(4/2)
12.4

13.5
ポイント
1.1
6 申告漏れ課税価格 億円
820
億円
701

85.6
7 6のうち重加算税賦課対象 億円
120
億円
108

90.0
8 追徴税額 本税 億円
168
億円
128

76.1
9 加算税 億円
24
億円
20

84.0
10 合計 億円
192
億円
148

77.1
11 申告漏れ1件当たり 申告漏れ課税価格
(6/2)
万円
3,879
万円
3,547

91.4
12 追徴税額
(10/2)
万円
909
万円
749

82.4

(注) 「申告漏れ課税価格」は、申告漏れ相続財産額(相続時精算課税適用財産を含む。)から、被相続人の債務・葬式費用の額(調査による増減分)を控除し、相続開始前3年以内の被相続人から法定相続人等への生前贈与財産額(調査による増減分)を加えたものである。

平成17事務年度から平成21事務年度の申告漏れ相続財産の金額の推移を表した図
平成17事務年度から平成21事務年度の申告漏れ相続財産の金額の構成比の推移を表した図

海外資産関連事案に係る調査事績

納税者の資産運用の国際化に対応し、相続税の適正課税を実現するため、相続税調査の実施に当たっては、海外資産の把握に努めており、特に、資料情報や相続人・被相続人の居住形態等から海外資産の相続が想定される事案については、積極的に調査を実施しているほか、調査の過程において海外資産の取得が把握された場合にも、深度ある調査によりその解明に努めています。

事務年度
項目
平成20事務年度 平成21事務年度  
対前事務年度比
1 実地調査件数
128

113

88.3
2 申告漏れ等の非違件数 19 12 63.2
108 100 92.6
3 非違割合(2/1)
84.4

88.5
ポイント
4.1
4 重加算税賦課件数
11

11

100.0
5 重加算税賦課割合(4/2)
10.2

11.0
ポイント
0.8
6 申告漏れ課税価格 4.4 億円 3.8 億円 85.9
111 53 47.3
7 6のうち重加算税賦課対象 億円
16
億円
8

49.4
8 申告漏れ1件当たりの申告漏れ課税価格
(6/2)
2,300 万円 3,129 万円 136.0
10,286 5,257 51.1
(注) 左肩数は、海外資産に係るものを内数で示す。

無申告事案に係る調査事績

無申告事案は、申告納税制度の下で自発的に適正な申告・納税を行っている納税者の税に対する公平感を著しく損なうものですが、その存在の把握自体に困難な面もあることから、資料情報の更なる収集・活用など把握のための取組みを積極的に行い、的確な課税処理に努めています。

事務年度
項目
平成20事務年度 平成21事務年度  
対前事務年度比
1 実地調査件数
89

87

97.8
2 申告漏れ等の非違件数
77

65

84.4
3 非違割合(2/1)
86.5

74.7
ポイント
マイナス11.8
4 申告漏れ課税価格 億円
106
億円
96

90.6
5 追徴税額 本税 億円
6
億円
4

70.9
6 加算税 億円
1
億円
1

85.2
7 合計 億円
7
億円
5

72.6
8 申告漏れ1件当たり 申告漏れ課税価格
(4/2)
万円
13,726
万円
14,725

107.3
9 追徴税額
(7/2)
万円
917
万円
789

86.0

2 平成21年分の相続税の申告の状況について

 平成21年中(平成21年1月1日〜平成21年12月31日)に亡くなった人(被相続人)から、相続や遺贈などにより財産を取得した人に係る申告事績(平成22年10月31日までに提出された申告書で相続税額のあるもの)の概要は次のとおりです。

(1) 被相続人数
被相続人数は約18万人(前年約18万人)、このうち相続税の課税対象となった被相続人数は約8千人(同約8千人)で、課税割合は4.4%(同4.5%)と、前年とほぼ同じ割合となっています。
(2) 課税価格
課税価格は1兆6,780億円(前年1兆6,953億円)で、被相続人1人当たりでは2億1,243万円(同2億1,020万円)となっています。
(3) 税額
税額は1,909億円(前年1,861億円)で、被相続人1人当たりでは2,416万円(同2,308万円)となっています。
(4) 相続財産の金額の構成比
相続財産の金額の構成比は、土地42.4%(前年41.3%)、現金・預貯金等24.0%(同24.7%)、有価証券16.5%(同17.0%)の順となっています。

表 相続税の申告事績

年分
項目
平成20年分 平成21年分  
対前年比
1 被相続人数(死亡者数)
180,176

180,101

100.0
2 相続税の申告書
(相続税額があるもの)の提出に係る被相続人数

8,065

7,899

97.9
3 課税割合(2/1)
4.5

4.4
ポイント
マイナス0.1
4 相続税の納税者である相続人数
19,527

19,072

97.7
5 課税価格 億円
16,953
億円
16,780

99.0
6 税額 億円
1,861
億円
1,909

102.6
7 被相続人1人当たり 課税価格
(5/2)
万円
21,020
万円
21,243

101.1
8 税額
(6/2)
万円
2,308
万円
2,416

104.7
(注)
1 平成20年分は、平成21年10月31日までに提出された「申告書(修正申告書を除く。)」(株式等納税猶予の特例の創設に伴い申告期限が平成22年2月1日まで延長されている者については、同日までに提出された申告書を含む。)に基づいて作成しており、平成21年分は平成22年10月31日までに提出された「申告書(修正申告書を除く。)」のうち入力されたデータ(速報値)に基づいて作成している。
2 「課税価格」は、相続財産価額から、被相続人の債務・葬式費用を控除し、相続開始前3年以内の被相続人から相続人等への生前贈与財産価額及び相続時精算課税適用財産価額を加えたものである。
3 「被相続人数(死亡者数)」は、厚生労働省統計情報部「人口動態統計」による。
平成6年分から平成21年分の被相続人数の推移を表した図
平成6年分から平成21年分の課税割合の推移を表した図
平成12年分から平成21年分の相続税の課税価格及び税額の推移を表した図
平成12年分から平成21年分の相続財産の金額の構成比の推移を表した図