審査報告

平成26年広島国税局清酒鑑評会につきまして、出品状況及び審査結果をご報告申し上げます。

まず、出品区分についてですが、昨年に引き続き、製造者が意図した製品の特徴に従って出品部門を選択できるよう、「香りを主たる特徴とする清酒」部門、「味を主たる特徴とする清酒」部門及び「燗酒」部門の3部門に区分して行いました。

それでは、出品状況についてご報告いたします。
 3部門のうち、「香りを主たる特徴とする清酒」部門には71点、「味を主たる特徴とする清酒」部門には72点、「燗酒」部門には60点と、全体で76製造者から203点の出品がありました。

次に審査の状況についてご報告いたします。
 出品酒の品質評価は、公立大学法人県立広島大学、独立行政法人酒類総合研究所、中国地方各県の酒造技術指導機関の職員、清酒製造及び流通関係者等、清酒の製造技術に詳しく、官能評価に優れた方々と、鑑定官室員併せて27名により、去る9月24日、25日の予審、9月29日、30日の決審と4日間をかけて、慎重かつ厳正に行いました。

品質評価は、全ての出品部門に共通した考え方として、製造技術の高さが反映された清酒としての品質の良好さを備えた中国地方の清酒として誇れるものを選ぶことを基本として行いました。
 その上で、「香りを主たる特徴とする清酒」部門では、吟醸香に代表される香りを主体として香味の調和がとれていることに重点をおいて評価いたしました。
 次に、「味を主たる特徴とする清酒」部門では、清酒らしい味に重点を置きながら香味の調和を重視して評価いたしました。
 また、「燗酒」部門では、燗酒にしたときの香味の調和を重視して評価いたしました。

この品質評価結果と出品規格等を併せて審査した結果、「香りを主たる特徴とする清酒」部門21点、「味を主たる特徴とする清酒」部門29点、「燗酒」部門23点、併せて73点の出品酒を優等賞に相応しいと認め、広島国税局長に推挙し、本日ここに優等賞授与の運びとなりました。

今回の出品酒についての総評を申し上げますと、各製造場において磨き上げられた優れた醸造技術が遺憾なく発揮されるとともに、貯蔵管理が適切に行われていることが実感できる優れた品質のものが多数出品されていました。

 「香りを主たる特徴とする清酒」部門では、華やかな香りと熟成により生じたなめらかな味が調和し、香味のバランスの優れたものが多数見受けられ、製造技術の高さが実感できる内容でした。

 「味を主たる特徴とする清酒」部門では、原料米の持つ旨味を有しつつ、それに加えて、深い味わいを有するものから口当たりがなめらかで後味のすっきりとしたものまで、個性、特徴を発揮したものが多数ありました。

 「燗酒」部門では、お燗をつけることにより、清酒本来の旨味とふくらみが増してやわらかな味わいが感じられるものや、キリっと酸味が効いて味にしまりが感じられるものなど、嗜好の広がりに対応した、食中酒として飲用するにふさわしいものが多く見受けられました。

このように品質レベルの高い競争の中から、本日晴れて受賞されました製造場の経営者並びに製造担当者の皆様方には心からお祝いを申し上げるとともに、敬意を表する次第であります。
 また、この度惜しくも受賞を逃された製造場におかれましては、その差はごくわずかなものであります。今回の結果に気を落とされることなく、今期の製造に向けて一層の精進をお願いいたします。

当鑑評会は、「酒造技術の進歩・発展を促すとともに、管内清酒の品質向上を図ることにより、酒類業の発達に資すること」を目的として開催しておりますが、今後とも、製造者及び品質評価員の皆様方からのご意見等を参考にしながら、目的の達成が図られる鑑評会となるよう、実施してまいりたいと考えておりますので、ご理解とご協力を賜りますとともに、ご意見ご要望等を寄せていただきますようよろしくお願い申し上げます。

終わりになりましたが、いよいよ本格的な清酒造りの季節となります。各製造場の皆様をはじめ関係各位が、製造技術及び貯蔵管理全般にわたり、更なる研鑚に努められ、品質が優良でかつ個性豊かな製品を消費者に提供することにより、伝統ある中国地方の清酒の名声が国内だけではなく、遠く海外にまで広がりますことを祈念いたしまして審査報告といたします。

平成26年10月21日
広島国税局鑑定官室長 鈴木 崇