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平成20年度 査察(マルサ)の概要

平成21年6月
東京国税局査察部

脱税はいわば社会公共の敵というべきものであり、大口・悪質な脱税者の刑事責任を追及することなどを目的として、厳正な査察調査を実施しています。
 平成20年度(平成20年4月〜平成21年3月)においては、従来からの所得税・法人税事案に加え、社会・経済状況の変化を踏まえつつ、国際取引事案、無申告事案をはじめとする社会的に意義のある波及効果の高い事案の摘発に取り組んできました。
 今般、平成20年度の査察調査の結果がまとまりましたので、その概要を報告します。

1 着手・処理・告発件数、告発率の状況

主要ポイント

  • ○ 平成20年度に査察に着手した件数は70件です。
  • ○ 平成20年度以前に着手した査察事案について、平成20年度中に処理(検察庁への告発の可否を最終的に判断)した件数は70件、そのうち検察庁に告発した件数は52件であり、その結果、告発率は74.3%となっています。
年度
項目
平成16 17 18 19 20
着手件数
77

77

77

77

70
処理件数(A) 82 75 74 77 70
告発件数(B) 57 51 52 55 52
告発率(B/A)
69.5

68.0

70.3

71.4

74.3
平成16年度から平成20年度の査察の着手件数、処理件数、告発件数、告発率を表したグラフ

2 脱税額の状況

主要ポイント

  • ○ 平成20年度に処理した事件に係る脱税額は、総額で200億円、そのうち告発分は124億円です。
  • ○ 告発した事件1件当たりの脱税額は、平均で2億4,000万円となっています。
年度
項目
平成16 17 18 19 20
脱税額 総額 百万円
12,876
百万円
9,512
百万円
10,075
百万円
9,976
百万円
20,028
同上1件当たり 157 127 136 130 286
告発分 10,596 7,018 8,602 8,548 12,484
同上1件当たり 186 138 165 155 240

(注)脱税額には、加算税額を含む。

平成16年度から平成20年度の税目別の脱税額を表したグラフ:平成16年度から平成20年度に告発した事件1件当たりの脱税額を表したグラフ

(参考1)大口事案の推移

年度
項目
平成16 17 18 19 20
告発件数
57

51

52

55

52
うち脱税額が3億円以上 10 6 5 7 7

(注)脱税額には、加算税額を含む。

3 税目別告発事件の推移

主要ポイント

  • ○ 平成20年度の税目別の告発事件数及び脱税額は、近年に見られた鉱物・金属資源の価格高騰や都市部の不動産取引の活発化等を背景として、平成19年度まで減少傾向にあった法人税事件が大幅に増加しました。一方、消費税事件については、不正還付の未然防止に取り組んでいることもあり、平成19年度に比べ減少しましたが、依然として悪質な事案がみられます。

(参考2)税目別の件数

年度
区分
平成16 17 18 19 20
件数 割合 件数 割合 件数 割合 件数 割合 件数 割合
所得税
12

21

19

37

12

23

22

40

14

27
法人税 43 75 27 53 30 58 18 33 34 65
相続税 1 2 1 2
消費税 1 2 2 4 9 17 12 22 4 8
源泉所得税 3 6 3 5
合計 57 100 51 100 52 100 55 100 52 100
平成16年度から平成20年度の税目別の告発件数を表したグラフ

(参考3)税目別の脱税額

年度
区分
平成16 17 18 19 20
脱税額 割合 脱税額 割合 脱税額 割合 脱税額 割合 脱税額 割合
所得税 百万円
2,296

21
百万円
2,926

42
百万円
1,565

19
百万円
4,310

51
百万円
1,614

13
法人税 6,922 65 3,414 49 5,365 62 2,370 28 10,445 84
相続税 1,325 13 879 10
消費税 53 1 194 2 793 9 1,335 15 425 3
源泉所得税 484 7 533 6
合計 10,596 100 7,018 100 8,602 100 8,548 100 12,484 100

(注)脱税額には、加算税額を含む。

平成16年度から平成20年度に税目別の脱税額を表したグラフ

4 国際取引事案等への取組状況

主要ポイント

  • ○ 近年、国際取引事案、無申告事案、金融・証券関連事案など、最近の社会・経済状況を反映した事案について適切に処理を進めています。

(参考4)国際取引事案

年度 平成18 19 20
告発件数 8 20 14

(参考5)無申告事案

年度 平成18 19 20
告発件数 6 6 10

(注)告発対象期(年分)のすべてが無申告の事案について1件としてカウントしている。
 

(参考6)金融・証券関連事案

年度 平成18 19 20
告発件数 9 13 7

5 告発の多かった業種・取引と脱税の手段・方法等

主要ポイント

  • ○ 平成20年度においては、不動産業、商品・株式取引、コンサルタント及び鉱物、金属材料卸が上位を占めています。不動産業では、都市部の地価上昇を契機とした不動産売買・仲介が増加するとともに、鉱物、金属材料卸では、鉄くず関連の法人税事案が増加しました。

(参考7)告発の多かった業種・取引(3者以上)

平成18 19 20
業種 者数 業種 者数 業種 者数
商品・株式取引 8 鉱物、金属材料卸 8 不動産業 7
人材派遣業 5 商品・株式取引 5 商品・株式取引 5
キャバレー・飲食店 4 人材派遣業 5 コンサルタント 5
建設業 4 小売業 4 鉱物、金属材料卸 3
キャバレー・飲食店 4
不動産業 3

(注)同一の納税者が複数の税目で告発されている場合は、1者としてカウントしている。

(参考8)脱税の手段・方法等

告発の多かった業種・取引で見られた脱税の手口としては、所得を一切申告しない無申告及び架空原価・経費の計上などによる脱税が多く見られました。
 このほか、昨年に引き続き、売上除外及び売上・原価の両除外が見られたほか、海外取引に関連した脱税なども見られました。

6 不正資金の留保状況及び隠匿場所

主要ポイント

  • ○ 脱税によって得た利益の多くは、国内で、現金、預貯金又は有価証券として所有・管理されていましたが、近年、海外の預金や有価証券等による留保が増加傾向にあります。
  • ○ 脱税により取得した簿外資産の特異な隠匿場所としては、居宅米櫃やポットの中などがありました。
  • (1) 脱税によって得た利益の多くは、現金、預貯金又は有価証券として所有・管理されていたほか、高級外車、不動産に充てられているものも見受けられました。また、海外の預金や有価証券等で留保されているケースも見受けられました。
  • (2) 脱税により取得した簿外資産等の隠匿場所は様々でしたが、
    • ○ 居宅米櫃、ポット、乾燥機、風呂場天井裏(現金、預金通帳)

    に隠していたケースなどがありました。

7 査察事件の一審判決の状況

主要ポイント

  • ○ 平成20年度中に一審判決が言い渡された件数は57件であり、すべてについて有罪判決が出され、執行猶予の付かない実刑判決が5人に出されました。
項目

年度
1
判決件数
2
有罪件数
有罪率
(21)
実刑判決人数 3
1件当たり犯則税額
4
1人当たり懲役月数
5
1人(社)当たり罰金額
平成
18

53

53

100

6
百万円
103

16.8
百万円
23
19 64 64 100 7 102 14.1 25
20 57 57 100 5 85 15.8 23

(注)実刑判決人数及び35は、他の犯罪との併合事件を除いてカウントしている。