[令和5年4月1日現在法令等]

遺産分割が行われていない場合の各種特例の適用手続

Q1

相続税の申告期限までに遺産分割が行われていなければ、小規模宅地等の課税価格の特例および配偶者の税額軽減の特例を受けることができないのですか。

A1

当初の申告時には、その分割の行われていない相続財産について、これらの特例の適用を受けることはできませんが、相続税の申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付して提出しておき、相続税の申告期限から3年以内に分割された場合には、特例の適用を受けることができます。この場合、分割が行われた日の翌日から4か月以内に「更正の請求」を行うことができます。
なお、相続税の申告期限の翌日から3年を経過する日において相続等に関する訴えが提起されているなど相続財産が分割されなかったことにつき一定のやむを得ない事情がある場合において、申告期限後3年を経過する日の翌日から2か月を経過する日までに、「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」を所轄税務署長宛てに提出し、その承認を受けてください。

この承認後、判決の確定の日など相続財産の分割ができることとなった日の翌日から4か月以内に分割されたときは、これらの特例の適用を受けることができます。適用を受ける場合は、分割が行われた日の翌日から4か月以内までに「更正の請求」を行ってください。

(相法19の2、32、措法69の4、相令4の2、措令40の2、相規1の6、措規23の2)

一部未分割等の場合の計算例(共同相続人中に生前贈与を受けた者がいる場合)

Q2

 次の場合の、各相続人の相続税に係る課税価格はいくらになりますか。

  • 1 被相続人甲は、令和5年4月1日に死亡しました。
  • 2 被相続人甲の相続人は、配偶者乙、子A、子Bの3名です。
  • 3 被相続人の遺産は、100,000,000円であり、この他に相続税法上のみなし相続財産(生命保険金50,000,000円:非課税額控除後の金額)がありました。
  • 4 上記3のうち、相続税の申告期限における各人の取得財産の価額は以下のとおりであり、その他の財産については未分割でした。
    ※ 被相続人甲の遺言はありませんでした。
    • 配偶者乙の取得財産 70,000,000円(生命保険金50,000,000円を含む。)
    • 子Aの取得財産   5,000,000円
    • 子Bの取得財産   10,000,000円
  • 5 被相続人の債務および葬式費用はないものとします。
  • 6 共同相続人のうち、被相続人から生前に贈与を受けた者および贈与財産等の内容は、次のとおりでした。
    受贈者 受贈年月日 受贈財産の贈与時の価額 受贈財産の相続時の価額
    子A H30.5.10 25,000,000円 30,000,000円
    子B R4.3.15 15,000,000円 10,000,000円
     なお、子Aの受贈財産については、相続時精算課税の適用を受けていました。

A2

【計算過程】

  • 1 民法第903条の規定による相続分の価額
    項目 合計 配偶者乙 子A 子B
    法定相続分に応ずる取得価額の計算 1 分割済財産の価額 35,000,000 20,000,000 5,000,000 10,000,000
    2 未分割財産の価額 65,000,000
    3 特別受益(注) 相続時精算課税適用財産の価額 30,000,000   30,000,000  
    4  3年以内の贈与財産の価額

    10,000,000     10,000,000
    5 特別受益加算後の総遺産価額
    1234
    140,000,000
    6 法定相続分 1/2 1/4 1/4
    7 法定相続分に応ずる取得価額(5×6 140,000,000 70,000,000 35,000,000 35,000,000
    具体的相続分の価額の計算 8 分割済財産の価額と特別受益
    の合計額(134
    75,000,000 20,000,000 35,000,000 20,000,000
    9 未分割財産に対する具体的相続分の価額
    78
    65,000,000 50,000,000 0 15,000,000

    (注) 民法の規定による特別受益額の相続財産への持戻し計算(贈与分を相続財産に計算上戻すこと)をする場合の贈与財産の価額は、相続税法第19条および同法第21条の15の規定による相続税の計算の場合と異なり、相続開始時における時価となるほか、相続開始前3年以内であるかどうかは問いません。

  • 2 相続税の課税価格
    項目 合計 配偶者乙 子A 子B
    相続税の課税価格の計算 10 みなし相続財産の価額 50,000,000 50,000,000    
    11 相続時精算課税の規定による加算額 25,000,000   25,000,000  
    12 3年以内贈与加算額 15,000,000     15,000,000
    13 課税価格
    19101112
    190,000,000 120,000,000 30,000,000 40,000,000

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