[令和5年4月1日現在法令等]

対象税目

源泉所得税

概要

退職所得の金額は、その年中に支払を受ける退職手当等の収入金額から、その者の勤続年数に応じて計算した退職所得控除額を控除した残額の2分の1に相当する金額とされていますが、特定役員退職手当等については、この残額の2分の1とする措置はありません。

特定役員退職手当等とは

特定役員退職手当等とは、役員等勤続年数が5年以下である者が、退職手当等の支払者から、その役員勤続年数に対応する退職手当等として支払を受けるものをいいます。

(1)「役員等」とは、次に掲げる人をいいます。

1 法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事、清算人や法人の経営に従事している者で一定の者

2 国会議員や地方公共団体の議会の議員

3 国家公務員や地方公務員

(2)「役員等勤続年数」とは、役員等に支払われる退職手当等の勤続期間のうち、役員等として勤務した期間(以下「役員等勤続期間」といいます。)の年数(1年未満の端数がある場合には、その端数を1年に切り上げたもの)をいいます。

(例) 役員等勤続期間が4年11か月の場合は、役員等勤続年数が5年となることから、特定役員退職手当等に該当します。また、役員等勤続期間が5年1か月の場合は役員等勤続年数が6年となることから特定役員退職手当等には該当しません。

計算方法・計算式

(1) 特定役員退職手当等についての退職所得の金額の計算は、原則として次のとおり行います。

イ その年中に支払われる退職手当等が、特定役員退職手当等のみの場合

退職所得の金額 = 特定役員退職手当等の収入金額 - 退職所得控除額

ロ その年中に支払われる退職手当等が、特定役員退職手当等と特定役員退職手当等以外の退職手当等(以下「一般退職手当等」といいます。)の場合

退職所得の金額は、次の(イ)と(ロ)の金額の合計額です。

(イ) 特定役員退職手当等の収入金額 - 特定役員退職所得控除額

(ロ) {一般退職手当等の収入金額 - (退職所得控除額 - 特定役員退職所得控除額)} × 1/2

(2) 特定役員退職所得控除額は、特定役員等勤続期間(特定役員退職手当等の支払の基因となる勤続期間をいいます。)と一般勤続期間(一般退職手当等の支払の基因となる勤続期間をいいます。)とが重複している期間の年数※(以下「重複勤続年数」といいます。)の有無に応じ、次の算式により求めます。

※ 重複している期間に1年未満の端数がある場合には、これを1年として計算します。

イ 重複勤続年数がない場合

特定役員退職所得控除額 = 40万円 × 特定役員等勤続年数

ロ 重複勤続年数がある場合

特定役員退職所得控除額 = 40万円 × (特定役員等勤続年数 - 重複勤続年数)+ 20万円 × 重複勤続年数

(注) 令和4年以後において、その年中に特定役員退職手当等と特定役員退職手当等以外の退職手当等の支払がある場合の退職所得の金額の計算については、コード2741「同じ年に一般退職手当等のほか、短期退職手当等や特定役員退職手当等がある場合(令和4年1月1日以後)」を参照してください。

具体例

(例1)役員としての勤続期間:4年9か月

・役員退職金 500万円

・勤続年数5年(うち役員勤続年数5年:特定役員退職手当等に該当)

・退職所得金額:500万円 -(40万円 × 5年) = 300万円

このケースでの退職所得金額は300万円になります。

(例2)使用人として10年勤務し、その後役員に就任して3年間勤務した後、退職したケース

・使用人退職金 800万円、役員退職金500万円

・勤続年数:13年(うち役員勤続年数3年:特定役員退職手当等に該当)

・退職所得控除額: 40万円 × 13年 = 520万円

・特定役員退職所得控除額: 40万円 × 3年 = 120万円

・退職所得金額: (500万円 - 120万円)+ {800万円 -(520万円 - 120万円)} × 1/2 = 580万円

このケースでの退職所得金額は580万円になります。

(例3)使用人として10年勤務し、その後使用人兼務役員に就任して3年間勤務、その後使用人の地位を喪失し、2年間役員専任として勤務して退職したケース

・使用人退職金(使用人兼務役員期間の使用人部分を含む):800万円

・役員退職金(使用人兼務役員期間の役員部分を含む):500万円

・勤続年数15年(うち役員等勤続年数は、使用人兼務役員の期間3年と役員専任の期間2年の合計5年:特定役員退職手当等に該当)

・退職所得控除額: 40万円 × 15年 = 600万円

・特定役員退職所得控除額

この例では、使用人兼務役員としての勤続年数である3年が重複勤続年数に該当するため、上記(2)ロの算式により求めます。

40万円 ×(5年 - 3年)+ 20万円 × 3年 = 140万円

・退職所得金額

(500万円 - 140万円)+ {800万円 -(600万円 - 140万円)} × 1/2= 530万円

このケースでの退職所得金額は530万円になります。

根拠法令等

所法30、所令69、69の2、71の2

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