この震災により被災された個人事業者について、次の消費税法の特例が設けられました。

1.東日本大震災により被災された事業者が次の届出をする場合の特例

  1. 1 消費税の課税事業者を選択する(やめる)届出
  2. 2 消費税の簡易課税制度の適用を受ける(やめる)届出

 東日本大震災の被災者である事業者が、その被害を受けたことによって、被災日を含む課税期間以後の課税期間について、課税事業者を選択する(又はやめる)場合、又は簡易課税制度の適用を受ける(又はやめる)場合には、指定日までに所轄税務署長に次に掲げる届出書を提出することにより、本来の提出時期(適用を受けようとする課税期間の初日の前日)までに提出されたものとみなして、その適用を受けること(又はやめること)ができます(震災特例法42)。

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(注)東日本大震災とは、平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震及びこれに伴う原子力発電所の事故による災害をいいます。

<具体例>

  1. 例1 震災により、資産に相当な損失を受け、緊急な設備投資等を行うため、簡易課税制度の適用をやめ、一般課税により申告を行う場合
  2. 例2 震災により、帳簿書類を消失したため、簡易課税制度を適用して申告を行う場合
  3. 例3 当初、設備投資等を行うために課税事業者を選択していたが、震災により設備投資等を行うことができなくなったため、課税事業者の選択をやめる場合
  4. 例4 震災により、被害を受けた機械及び装置を買換えるため、課税事業者を選択し、一般課税により申告を行う場合
(1) 届出の手続きについて

 東日本大震災の被災者である事業者(以下「被災事業者」といいます。)は、この特例の適用を受けようとする上記の届出書を指定日までに所轄税務署長に提出してください(震災特例法421368)。

(注)届出書を提出する場合には、「参考事項」欄又は余白に「東日本大震災の被災事業者である」旨を記載してください。

(2) 被災事業者とは

 被災事業者とは、次に該当する事業者をいいます。

  1. 1 指定地域内に納税地を有する事業者
    • (注)指定地域とは、平成23年3月15日付国税庁告示第8号により申告等の期限を延長することとされている青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県をいいます。
  2. 2 税務署長から個別に申告等の期限の延長について期日を指定された事業者(所轄税務署長に「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を提出し、期日を指定された事業者)
  3. 3 その他の被災事業者
    • (注)その他の被災事業者とは、東日本大震災により被災された事業者のうち、指定地域以外の地域に納税地を有する事業者であって、個別に申告等の期限を延長されていない事業者をいいます(例えば、納税地は近畿地方であるが、指定地域内にある事務所が東日本大震災により被害を受けた場合など。)。
(3) 指定日とは

 指定日とは、次の事業者ごとにそれぞれ掲げる日です。

  1. 1 指定地域内に納税地を有する事業者(2の個別に申告等の期限が延長された事業者を除きます。)
     ⇒申告等の期限の延長について別途国税庁告示で定める日
  2. 2 税務署長から個別に申告等の期限の延長について期日を指定された事業者
     ⇒所轄税務署長が申告等の期限として指定した日
  3. 3 その他の被災事業者
     ⇒12以外の事業者の指定日として、別途国税庁告示で定める日
(4) 被災日とは

 被災日とは、事業者が東日本大震災により被災事業者となった日です。

(5) 対象となる課税期間

 この特例の対象となる課税期間は、被災日を含む課税期間以後の課税期間です。

(6) その他

 この特例による「消費税簡易課税制度選択(不適用)届出書」を提出する前に、仮決算による中間申告書を提出している場合、その中間申告書の内容を遡って変更する必要はありません。

(例1)簡易課税制度の適用をやめる場合の具体的な適用事例(震災特例法428

 震災により、資産に相当な損失を受け、緊急な設備投資等を行うため、平成23年分について簡易課税制度の適用をやめ、一般課税により申告を行う場合(指定日が平成23年中の場合)

簡易課税制度の適用をやめる場合の具体的な適用事例

※ 平成23年分のみ一般課税で申告を行い、平成24年分について簡易課税制度の適用を受ける場合には、その適用を受けようとする課税期間の初日の前日まで(事例では平成23年12月31日まで)に「消費税簡易課税制度選択届出書」を忘れずに提出してください。指定日までに提出する「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」と併せて提出していただいてもかまいません。

  • (注) 東日本大震災に係る消費税法の特例の適用を受ける事業者は、簡易課税制度を2年間継続して適用した後でなくても、その適用をやめることができます(震災特例法427)。
(例2)簡易課税制度の適用を受ける場合の具体的な適用事例(震災特例法426

 震災により、帳簿書類を消失したため、平成23年分について簡易課税制度を適用して申告を行い、平成24年分について簡易課税制度の適用をやめ、一般課税により申告を行う場合(指定日が平成24年中の場合)

簡易課税制度の適用を受ける場合の具体的な適用事例

※ 平成23年分のみ簡易課税制度の適用を受け、平成24年分について簡易課税制度の適用をやめる場合には、指定日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」と併せて「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出してください。

  1. (注1)簡易課税制度の適用を受けることができる事業者は、その課税期間の基準期間(前々年)における課税売上高が5,000万円以下の事業者です(消法371)。
  2. (注2)東日本大震災に係る消費税法の特例の適用を受ける事業者は、簡易課税制度を2年間継続して適用した後でなくても、その適用をやめることができます(震災特例法427)。
(例3)課税事業者の選択をやめる場合の具体的な適用事例(震災特例法423

 当初、設備投資等を行うために課税事業者を選択していたが、震災により設備投資等を行うことができなくなったため、平成23年分からの課税事業者の選択をやめる場合(指定日が平成23年中の場合)

課税事業者を選択する場合の具体的な適用事例

  1. (注1) 納税義務が免除される事業者は、その課税期間の基準期間(前々年)における課税売上高が1,000万円以下の事業者です(相続があった場合には、納税義務が免除されない場合があります。)(消法91)。
  2. (注2) 東日本大震災に係る消費税法の特例の適用を受ける事業者は、課税事業者となった日から2年間継続して適用した後でなくても、その課税事業者の選択をやめることができます(震災特例法422)。
  3. (注3) 平成22年4月1日以後に「消費税課税事業者選択届出書」を提出して課税事業者となった場合においては、(注2)の2年間継続適用の期間中に調整対象固定資産(棚卸資産以外の固定資産で100万円(税抜き)以上のもの)の課税仕入れを行い、かつ、その仕入れた課税期間の消費税の確定申告を一般課税で行う場合には、その課税期間の初日から原則として3年間は、課税事業者の選択をやめ、又は簡易課税制度を選択することができない制度(消法97、372)がありますが、東日本大震災に係る消費税法の特例の適用を受ける事業者については、その制度の適用はありません(震災特例法422)。
(例4)課税事業者を選択する場合の具体的な適用事例(震災特例法421

 震災により、被害を受けた機械及び装置を買換えるため、平成23年分について課税事業者を選択し、一般課税により申告を行う場合(指定日が平成23年中の場合)

課税事業者を選択する場合の具体的な適用事例

 平成23年分のみ課税事業者を選択し、平成24年分について課税事業者の選択をやめる場合には、その選択をやめようとする課税期間の初日の前日まで(事例では平成23年12月31日まで)に「消費税課税事業者選択不適用届出書」を忘れずに提出してください。指定日までに提出する「消費税課税事業者選択届出書」と併せて提出していただいてもかまいません。

  1. (注1) 納税義務が免除される事業者は、その課税期間の基準期間(前々年)における課税売上高が1,000万円以下の事業者です(相続があった場合には、納税義務が免除されない場合があります。)(消法91)。
  2. (注2) 東日本大震災に係る消費税法の特例の適用を受ける事業者は、課税事業者となった日から2年間継続して適用した後でなくても、その課税事業者の選択をやめることができます(震災特例法422)。
  3. (注3) 平成22年4月1日以後に「消費税課税事業者選択届出書」を提出して課税事業者となった場合においては、(注2)の2年間継続適用の期間中に調整対象固定資産(棚卸資産以外の固定資産で100万円(税抜き)以上のもの)の課税仕入れを行い、かつ、その仕入れた課税期間の消費税の確定申告を一般課税で行う場合には、その課税期間の初日から原則として3年間は、課税事業者の選択をやめ、又は簡易課税制度を選択することができない制度(消法97、372)がありますが、東日本大震災に係る消費税法の特例の適用を受ける事業者については、その制度の適用はありません(震災特例法422)。

2.申告期限の延長に伴う消費税の中間申告書の提出に係る特例

国税通則法第11条の規定による申告期限の延長に伴い、消費税の中間申告期限と確定申告期限が同一の日となる場合には、その消費税の中間申告書については提出を要しません(震災特例法43)。
 なお、年3回、年11回の中間申告を行う必要のある事業者のその中間申告期限のみ同一の日となり、確定申告期限と同一の日とならない場合には、この特例は適用されません。この場合、申告期限が同一の日となる複数の中間申告については、中間申告対象期間ごとにそれぞれの中間申告書を提出する必要があります。これは仮決算による中間申告書を提出する場合であっても同様です。

  1. (注1) 国税通則法第11条の規定による申告期限の延長の対象事業者は、国税庁告示により申告期限を延長することとされている指定地域(青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県)内に納税地を有する事業者及び、所轄税務署長から個別に申告期限等の延長について期日を指定された事業者です。
  2. (注2) 消費税の中間申告が必要な事業者が、被災したことにより前年と事業状況に大幅な変動が生じている場合などは、前年の確定消費税額をもとにした中間申告によらず、仮決算により中間申告を行うこともできます。
  3. (注3) この度の震災により、家屋等の財産に被害を受けた事業者や、国税の納付が困難となった事業者の方につきましては、納税の猶予等の納税の緩和制度の適用を受けることができます。