本章では、酒類卸売業の近年の動向と経営基盤強化事業の実施状況を整理し、全酒類卸売業全体と比較しながら、本事業において経営指導対象企業となった卸売業の概要を整理していく。

1. 酒類卸売業の経営状況

(1) 酒類卸売業を取り巻く環境変化

1 酒類販売(消費)数量の推移
酒類販売(消費)数量の推移の合計を見ると、平成7年度は9,603,358klであったのに対し、平成17年度は9,015,444klで、587,914kl減少している。酒類別に見ると、平成7年度に比べ、平成17年度においては、発泡酒の販売(消費)数量が最も増加している一方、ビールは平成7年度から減少を続け、平成17年度において最も減少し、平成7年度の約半数の販売(消費)数量となっている(図表1-1参照)。
図表1-1 酒類販売(消費)数量の推移
2 酒類販売業免許場数の推移(卸売業※1、小売業※2
平成7年度から平成17年度までの酒類販売免許場数の推移を見ると、卸売業においては、減少傾向が続き、平成18年3月末の免許場数は、7,608場となっている。 一方、小売業においては、平成7年度以降、増加傾向を続けており、平成18年3月末の免許場数(一般のものに限る)は、166,528場となり、平成6年3月末よりも、34,812場増加している。前項で見たように、販売数量が減少傾向にあるにも関わらず、小売免許場数が増加傾向にあるのは、酒類の販売免許取得の規制緩和の影響などが考えられる(図表1-2参照)。
図表1-2 酒類販売免許場数の推移(全酒類)
※1原則として、すべての品目の酒類を販売することができる全酒類卸売業免許を有している卸売業を示す。

※2消費者又は料飲店営業者に対してすべての品目の酒類を継続的に販売することができる酒類小売業免許を有している小売業を示す。