平成元年11月22日
国税庁告示第8号

改正 平成 9年2月 国税庁告示第 2号
改正 平成15年10月 国税庁告示第10号
改正 平成18年4月 国税庁告示第 9号
改正 平成27年9月 国税庁告示第13号
改正 平成29年3月 国税庁告示第4号
改正 令和元年6月 国税庁告示第4号
改正 令和4年7月 国税庁告示第30号

 酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律(昭和28年法律第7号、以下「法」という。)第86条の6第1項の規定に基づき、清酒の製法品質に関する表示の基準を次のように定め、平成2年4月1日以後に酒類の製造場(酒税法(昭和28年法律第6号)第28条第6項又は第28条の3第4項の規定により酒類の製造免許を受けた製造場とみなされた場所を含む。)から移出し、若しくは保税地域から引き取る清酒(酒税法第28条第1項、第28条の3第1項又は第29条第1項の規定の適用を受けるものを除く。)又は酒類の販売場から搬出する清酒に適用することとしたので、法第86条の6第2項の規定に基づき告示する。

清酒の製法品質表示基準

(特定名称の清酒の表示)

1 次の表の左欄に掲げる清酒の特定名称は、当該清酒がそれぞれ同表の右欄に掲げる製法品質の要件に該当するものであるとき、当該清酒の容器又は包装に表示できるものとする。

特定名称 製法品質の要件
吟醸酒  精米歩合60%以下の白米、米こうじ及び水、又はこれらと醸造アルコールを原料とし、吟味して製造した清酒で、固有の香味及び色沢が良好なもの
純米酒  白米、米こうじ及び水を原料として製造した清酒で、香味及び色沢が良好なもの
本醸造酒  精米歩合70%以下の白米、米こうじ、醸造アルコール及び水を原料として製造した清酒で、香味及び色沢が良好なもの

本表の適用に関する通則

(1) 精米歩合とは、白米(玄米からぬか、胚芽等の表層部を取り去った状態の米をいい、米こうじの製造に使用する白米(以下「こうじ米」という。)を含む。以下同じ。)のその玄米に対する重量の割合をいうものとする。

(2) 白米とは、農産物検査法(昭和26年法律第144号)により、3等以上に格付けされた玄米又はこれに相当する玄米を精米したものをいうものとする。

(3) 米こうじとは、白米にこうじ菌を繁殖させたもので、白米のでん粉を糖化させることができるものをいい、特定名称の清酒は、こうじ米の使用割合(白米の重量に対するこうじ米の重量の割合をいう。以下同じ。)が、15%以上のものに限るものとする。

(4) 醸造アルコールとは、でん粉質物又は含糖質物を原料として発酵させて蒸留したアルコールをいうものとする。

(5) 醸造アルコールを原料の一部としたものについては、当該アルコールの重量(アルコール分95度換算の重量による。)が、白米の重量の10%を超えないものに限るものとする。

(6) 精米歩合、こうじ米の使用割合及び醸造アルコールの白米に対する重量の割合が基準に適合しているかどうかは、1%未満の端数を切り捨てた数値により判定するものとする。

(7) 特定名称の清酒は、酒税法第43条第3項(みなし製造)の規定の適用を受けたものを除くものとする。

(8) 香味及び色沢が良好なものとは、異味異臭がなく清酒固有の香味及び色沢を有するものをいうものとする。

2 前項に掲げる特定名称の清酒の表示は、当該特定名称によることとし、これと類似する用語又は特定名称に併せて「極上」、「優良」、「高級」等の品質が優れている印象を与える用語は用いないものとする。ただし、次の各号に掲げる場合については、それぞれ当該各号に掲げるところによることとして差し支えない。

(1) 吟醸酒のうち、米、米こうじ及び水のみを原料として製造したものに「純米」の用語を併せて用いること。

(2) 吟醸酒のうち、精米歩合50%以下の白米を原料として製造し、固有の香味及び色沢が特に良好なものに「大吟醸酒」の名称を用いること。

(3) 純米酒又は本醸造酒のうち、香味及び色沢が特に良好であり、かつ、その旨を使用原材料、製造方法その他の客観的事項をもって当該清酒の容器又は包装に説明表示するもの(精米歩合をもって説明表示する場合は、精米歩合が60%以下の場合に限る。)に「特別純米酒」又は「特別本醸造酒」の名称を用いること。

(必要記載事項の表示)

3 次の各号に掲げる事項は、それぞれ当該各号に掲げるところにより、清酒の容器又は包装に表示するものとする。

(1) 原材料名
 当該清酒の製造に使用した原材料名(水を除く。)を、酒税法に規定する原材料名をもって次の方法で表示する。ただし、酒税法施行令(昭和37年政令第97号)に規定する原材料にあっては、一般に慣熟した呼称又は包括的な呼称によることとして差し支えない。
 この場合において、特定名称を表示する清酒については、原材料名の表示の近接する場所に精米歩合を併せて表示すること。
 原材料名 米、米こうじ、(以下、使用した原材料を使用量の多い順に記載する。)

(2) 保存又は飲用上の注意事項
 製成後一切加熱処理をしないで製造場から移出する清酒には、保存又は飲用上の注意事項を表示する。

(3) 原産国名
 保税地域(関税法(昭和29年法律第61号)第29条(保税地域の種類)に規定する保税地域をいう。以下同じ。)から引き取る清酒(酒税法第28条の3第1項(未納税引取)の規定の適用を受け、未納税で引き取るものを除くものとし、当該引取り後、詰め替えて販売するものを含む。)には、当該清酒の原産国名を関税法施行令(昭和29年政令第150号)第59条第1項(輸出申告の手続)に規定する輸入申告書に記載する原産地名をもって表示する。
 この場合において、原産国名に続けて当該清酒の生産地名を表示することとしても差し支えない。

(4) 外国産清酒を使用したものの表示
 国内において、国内産清酒と外国産清酒の両方を使用して製造した清酒については、外国産清酒の原産国名及び使用割合を表示する。なお、使用割合は、10%の幅をもって表示することとして差し支えない。

4 前項の規定により表示すべき事項は、当該清酒の容器又は包装の見やすい所に明瞭に表示するものとし、表示に使用する文字は、8ポイント(日本産業規格Ζ8305(1962)に規定するポイントをいう。以下同じ。)の活字以上の大きさの統一のとれた日本文字とする。ただし、容量200ミリリットル以下の容器にあっては、6ポイントの活字以上の大きさとして差し支えない。

(任意記載事項の表示)

5 次の各号に掲げる事項を清酒の容器又は包装に表示する場合は、それぞれ当該各号に掲げるところにより行うものとする。

(1) 原料米の品種名
 原料米の品種名は、当該原料米の使用割合(当該清酒の製造に使用した原料米の総使用量に占める割合をいう。以下同じ。)が50%を超える場合(複数の原料米の品種名を表示するときは、当該複数の原料米の合計の使用割合が50%を超える場合)に表示できるものとし、表示に当たっては、当該原料米の使用割合を併せて表示するものとする。

(2) 清酒の産地名
 清酒の産地名は、当該清酒の全部が当該産地で醸造(加水調整をする行為を含む。)されたものである場合に表示できるものとする。

(3) 貯蔵年数
 貯蔵年数(清酒を貯蔵容器に貯蔵した日の翌日からその貯蔵を終了した日までの年数をいう。以下同じ。)は、1年未満の端数を切り捨てた年数により表示するものとし、貯蔵年数の異なるものを混和した清酒である場合は、貯蔵年数の最も短い清酒の年数をもって表示するものとする。

(4) 原酒
 原酒の用語は、製成後、加水調整(アルコール分1%未満の範囲内の加水調整を除く。)をしない清酒である場合に表示できるものとする。

(5) 生酒
 生酒の用語は、製成後、一切加熱処理をしない清酒である場合に表示できるものとする。

(6) 生貯蔵酒
 生貯蔵酒の用語は、製成後、加熱処理をしないで貯蔵し、製造場から移出する際に加熱処理した清酒である場合に表示できるものとする。

(7) 生一本
 生一本の用語は、単一の製造場のみで醸造した純米酒である場合に表示できるものとする。

(8) 樽酒
 樽酒の用語は、木製の樽で貯蔵し、木香の付いた清酒(瓶その他の容器に詰め替えたものを含む。)である場合に表示できるものとする。

(9) 「極上」、「優良」、「高級」等品質が優れている印象を与える用語
 「極上」、「優良」、「高級」等品質が優れている印象を与える用語は、同一の種別又は銘柄の清酒が複数ある場合において、香味及び色沢が特に良好であり、かつ、その旨を使用原材料、製造方法その他の客観的事項をもって説明できる清酒である場合に表示できるものとする。
 なお、「特別」の用語は、「特別純米酒」及び「特別本醸造酒」に限定して使用することができるものとする。

(10)製造時期の表示
 清酒を販売する目的をもって容器に充塡し密封した時期を、製造時期であることを示す文字の後に表示するものとする。
 なお、製造時期の表示に当たっては、前項の規定に準じて行うものとし、保税地域から引き取る清酒(酒税法第28条の3第1項の規定の適用を受け、未納税で引き取るものを除く。)で製造時期が不明なものにあっては、製造時期に代えて輸入年月(関税法第67条(輸出又は輸入の許可)に規定する輸入許可書に記載されている年月をいう。)を輸入年月であることを示す文字の後に表示するものとする。

(表示禁止事項)

6 次の各号に掲げる事項は、これを清酒の容器又は包装に表示してはならないものとする。ただし、第3号に掲げる事項については、当該事項の表示の近接する場所に、第4項に規定するポイントの活字以上の大きさで、特定名称の清酒に該当しないことが明確に分かる説明表示がされている場合には、表示することとして差し支えない。

(1) 清酒の製法、品質等が業界において「最高」、「第一」、「代表」等最上級を意味する用語

(2) 品評会等で受賞したものであるかのように誤認させる用語及び官公庁が推奨しているかのように誤認させる用語

(3) 特定名称酒以外の清酒について特定名称に類似する用語

附則(平成15年国税庁告示第10号)

1 この告示は、平成16年1月1日から施行する。

2 平成16年6月30日(米、米こうじ及び水を原料として製造した清酒については、平成16年3月31日)以前に酒類の製造場(酒税法第28条第6項又は第28条の3第4項の規定により酒類の製造免許を受けた製造場とみなされた場所を含む。)から移出し、若しくは保税地域から引き取る清酒(酒税法第28条第1項又は第29条第1項の規定の適用を受けるものを除く。)又は酒類の販売場から搬出する清酒の製法、品質に関する表示については、なお従前の例によることができる。

附則(令和4年国税庁告示第30号)

1 この告示は、令和5年1月1日から施行する。

2 令和4年12月31日以前に、酒類の製造場(酒税法第28条第6項又は第28条の3第4項の規定により酒類の製造免許を受けた製造場とみなされた場所を含む。)から移出し、若しくは保税地域から引き取る清酒(同法第28条第1項、第28条の3第1項又は第29条第1項の規定の適用を受けるものを除く。以下同じ。)又は酒類の販売場から搬出する清酒の製法、品質に関する表示については、なお従前の例による。