1 制度の沿革

 酒類は、致酔性などの特性を有する飲料であることから、酒類小売業者には、酒類の適正な販売管理を行い、20歳未満の者の飲酒防止をはじめとした社会的な要請に適切に対応することが求められています。
 平成15年9月1日をもって酒類小売業免許の人口基準が廃止されたこと等、酒類小売業免許に係る規制緩和措置等により、酒類小売業を取り巻く取引環境は大きく変化したこと等を背景として、酒類の適正な販売管理の確保について、より実効性ある体系が必要と考えられたことから、平成15年5月1日に酒類業組合法が改正され、酒類小売業者に、酒類の小売販売場(以下「販売場」といいます。)ごとに酒類販売管理者を選任することが義務付けられ、その選任した酒類販売管理者に酒類販売管理研修を受講させるよう努めることとされました(平成15年9月1日から施行)。
 更に、平成26年6月にアルコール健康障害対策基本法が制定され、酒類の製造又は販売を行う事業者はアルコール健康障害の発生等の防止に配慮するよう努める責務を有する旨が定められるなど、酒類販売に対する社会的要請が一層高まったことを受け、平成28年6月3日に酒類業組合法が改正され、酒類小売業者は、酒類の販売業務に従事する者であって酒類販売管理研修を過去3年以内に受けた者のうちから酒類販売管理者を選任し、欠員が生じた場合には速やかに新たな酒類販売管理者の選任を行うとともに、酒類販売管理者が最新の法令知識を習得することができるよう、3年を超えない期間ごとに、酒類販売管理者に酒類販売管理研修を受けさせなければならないこととされました(平成29年6月1日から施行)。

2 酒類販売管理者の役割

 酒類販売管理者は、販売場において酒類の販売業務に関する法令を遵守した業務が行われるよう、酒類小売業者に助言し、あるいは酒類の販売業務に従事する従業員等に対して指導を行うとともに、酒類の適正な販売管理体制の整備について自ら積極的に取り組まなければなりません。
 なお、酒類小売業者は酒類販売管理者の助言を尊重し、従業員はその指導に従わなければなりません。

3 酒類販売管理研修の目的

 酒類販売管理研修は、販売場における酒類の販売業務の適正な管理を担っている酒類販売管理者について、致酔性を有する酒類の特性や酒類小売業者が遵守すべき関係法令の知識の向上を図ることにより、その資質を高め、販売場における酒類の適正な販売管理の確保について、より実効性を高めることを目的としています。

4 酒類販売管理研修の内容

 酒類販売管理研修は、1酒税法及び酒類業組合法のほか、未成年者飲酒禁止法、アルコール健康障害対策基本法、リサイクル関係法令、不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独占禁止法)等の酒類小売業者が酒類の販売業務に関して遵守しなければならない法令、2致酔性飲料である酒類の特性、商品知識及び商品管理等を内容としています。