財政のしくみと役割:税の学習コーナー[発展編] 財政のしくみと役割 国の財政 私たちが健康で豊かな生活を送るためには、国や地方公共団体がさまざまな公共施設や公的サービスを提供していく必要があります。そのために税金などのお金を集めて管理し、必要なお金を支払っていく活動を財政といいます。 国の収入・支出は4月から翌年3月までの期間(会計年度)で計算し、この1年間の収入を「歳入」、支出を「歳出」といいます。それでは、内訳をみてみましょう。 ■歳入の内訳 令和5年度の歳入は、当初予算で約114兆円であり、その約61%(69兆4,400億円)は所得税や法人税、消費税などの「租税・印紙収入」、31%(35兆6,230億円)は「公債金」、つまり国の借金となっています。 ●国の一般会計歳入額 内訳(令和5年度当初予算)  歳入総額: 114兆3,812億円  □租税・印紙収入 69兆4,400億円 60.7%  ・所得税(個人の所得に対してかかる税)―――21兆 480億円――18.4%  ・法人税(会社などの所得に対してかかる税)―14兆6,020億円――12.8% ・消費税――――――――――――――――――23兆3,840億円――20.4%  ・揮発油税――――――――――――――――― 1兆9,990億円―― 1.7%  ・酒税――――――――――――――――――― 1兆1,800億円―― 1.0%  ・相続税 ――――――――――――――――― 2兆7,760億円―― 2.4%  ・たばこ税 ―――――――――――――――――  9,350億円―― 0.8%  ・その他の税―――――――――――――――― 2兆5,400億円―― 2.2%  ・印紙収入――――――――――――――――― 9,760億円―― 0.9%  □公債金――――――――――――――――――35兆6,230億円――31.1% □その他の収入――――――――――――――― 9兆3,182億円―― 8.1% ○1年間の歳入の内訳を示しています。「租税・印紙収入」と「公債金」の割合に注目してみましょう。 【豆知識1】 印紙収入の主なものは「印紙税」といい、私たちが契約書、領収書などの文書を作成したときにかかる税金です。契約書の内容や契約金額などによって、税率が定められています。たとえば土地や住宅を購入した場合にかわす契約書には通常、印紙が貼られています。この印紙代が印紙税として国の収入になっているのです。 【豆知識2】 国の会計は、一般会計と特別会計からなっています。 一般会計とは、国の基本的活動を行うのに必要な歳入、歳出を経理する会計のことをいいます。 特別会計とは、国が行う特定の事業や資金を運用する等の目的で一般会計と区分して設けられた会計のことをいいます。 ■歳出の内訳 令和5年度の歳出は当初予算で約114兆円であり、歳出総額から国債費及び地方交付税交付金等を除いたものを一般歳出といい、社会保障関係費、公共事業関係費、文教及び科学振興費等で歳出総額の約64%を占めています。 ●国の一般会計歳出額 内訳(令和5年度当初予算)  □歳出総額: 114兆3,812億円  ・社会保障関係費(私たちの健康や生活を守るために)―――――36兆8,889億円――32.3%  ・公共事業関係費(道路や住宅などの整備のために)――――――  6兆600億円―― 5.3%  ・文教及び科学振興費(教育や科学技術の発展のために)―――― 5兆4,158億円―― 4.7%  ・防衛関係費(国の防衛のために)――――――――――――――10兆1,686億円―― 8.9%  ・経済協力費(開発途上国の経済援助のために)――――――――  5,114億円―― 0.4%  ・その他――――――――――――――――――――――――――13兆6,870億円――12.0% ・地方交付税交付金等(地方公共団体の財政を調整するために)―16兆3,992億円――14.3%  ・国債費(国債を返したり利子を支払ったりするために)――――25兆2,503億円――22.1%   ○1年間の歳出の内訳を示しています。 「社会保障関係費」「公共事業関係費」「地方交付税交付金等」の割合に注目してみましょう。次は、歳出の内訳について、詳しく調べてみましょう。