税の種類と分類:税の学習コーナー[発展編] 税の種類と分類 税のしくみ 私たちは、スーパーマーケットで買い物をしたり、レストランで食事をしたとき、その代金の支払いを通じて「消費税」を負担しています。また働いている人は、所得に応じて「所得税」を納めています。 そのほかにもいろいろな税金がありますが、それぞれの税金はどのようなしくみになっているのでしょうか。主な税金を取り上げて、詳しくみてみましょう。 ■消費税・地方消費税 ・商品の販売やサービスの提供に対してかかる税金です。 ・納税するのは製造業やサービス業などの事業者ですが、負担するのは消費者等です。 消費税は、消費一般に広く公平に負担を求める間接税で、最終的には商品を消費したり、サービスの提供を受ける消費者が負担し、事業者が納税します。事業者は、消費者等から受け取った消費税等と、商品などの仕入れ(買い入れ)のときに支払った消費税等との差額を納税することになります。 消費税の税率は7.8%、地方消費税の税率は2.2%、これらを合わせて10%の税率になります。 ※消費税等とは、消費税(国税)と地方消費税(地方税)のことをいいます。 ■所得税 ・個人の所得(収入から経費などを引いたもの)に対してかかる税金です。 ・所得が多くなるほど、税率が高くなります。 個人の所得にかかる税金のことを「所得税」といい、会社で給料をもらっている人や自分で商売をして利益を得ている人にかかります。 所得税は、1年間のすべての所得からいろいろな所得控除(その人の状況に応じて税負担を調整するもの)を差し引いた残りの所得(課税所得)に税率をかけて計算します。  ◇令和5年分所得税の税額表  ――――――――――――――――――――――――――――――  課税される金額            税率     控除額  ――――――――――――――――――――――――――――――     1,000円から  1,949,000円まで   5%        0円  ――――――――――――――――――――――――――――――   1,950,000円から  3,299,000円まで  10%     97,500円  ――――――――――――――――――――――――――――――   3,300,000円から  6,949,000円まで  20%     427,500円  ――――――――――――――――――――――――――――――   6,950,000円から  8,999,000円まで  23%     636,000円  ――――――――――――――――――――――――――――――   9,000,000円から 17,999,000円まで  33%    1,536,000円  ――――――――――――――――――――――――――――――  18,000,000円から 39,999,000円まで   40%    2,796,000円  ――――――――――――――――――――――――――――――  40,000,000円以上            45%    4,796,000円 税率は、所得が多くなるほど段階的に高くなる累進税率となっており、支払い能力に応じて公平に税を負担するしくみになっています。 会社に勤めている人と自分で商売をしている人では、納税方法が異なります。 ●会社に勤めている人  勤務先の会社が、あらかじめ本人の給料から所得税を差し引いて、本人に代わってまとめて納税することを源泉徴収といいます。 ●自分で商売をしている人  1年間の所得と税額を自分で計算し、税務署に申告することを確定申告といいます。 ■住民税(道府県民税・市町村民税) ・住んでいる(会社がある)都道府県、市区町村に納める税金です。 ・道府県民税も市町村民税も一括して市区町村に納めます。 道府県民税と市町村民税は合わせて「住民税」と呼ばれており、住民がそれぞれ住んでいる(会社がある)都道府県や市区町村に納める税金です。「住民税」は住民(や会社)が平等に負担する金額(均等割)と、前年の所得の額に応じて負担する金額(所得割)から成り立っています。 「住民税」も所得税と同じように、会社に勤めている人と、自分で商売をしている人で、納税方法が異なります。 ■法人税 ・法人(会社)の所得に対してかかる税金です。 ・決算期(それぞれの会社が決めた年度)が終わったあとに確定申告をします。 株式会社など法人の所得にかかる税金のことを「法人税」といいます。会社は決算期ごとにその期間の所得をもとに税額を計算して申告・納税をします。 ■酒税 ・日本酒、ビールなど、お酒にかかる税金です。 ・製造者または輸入者が納税しますが、負担するのは消費者です。 日本酒やビール、ウイスキーなどのお酒にかかる税金のことを「酒税」といいます。アルコール分1度以上の飲料が対象になり、税額はお酒の種類やアルコール度数によって細かく決められています。製造者または輸入者が納税しますが、価格に含まれているため、負担しているのは消費者です。 【豆知識1】子どもは飲んじゃだめ 日本では子どもがお酒を飲むことを法律で禁止しています。それにお酒を飲んでいる子どもを大人が見過ごすことや、お店の人が子どもにお酒を売ったり、飲ませたりすることも「未成年者飲酒禁止法」という法律で禁止しています。 なぜ、子どもはお酒を飲んではいけないのでしょうか。20歳に満たない子どもの時期は心も体もとても発達・発育します。子どもの時期からお酒を飲むと脳が縮んで小さくなったり、肝臓が悪くなるなど病気になりやすくなったり、やる気がなくなったりします。だから、子どもは、絶対にお酒を飲んではいけません。 ■たばこ税・たばこ特別税 ・たばこにかかる税金です。 ・製造者または輸入者が納税しますが、負担するのは消費者です。 紙巻たばこやパイプたばこなど、各種のたばこにかかる税金のことを「たばこ税・たばこ特別税」といいます。製造者または輸入者が納税しますが、価格に含まれているため、負担しているのは消費者です。たばこ税は国に納められる国税と、地方に納められる地方税に分けられます。 ※地方税分は、道府県たばこ税と市町村たばこ税の合計です。 ■関税 ・輸入品にかかる税金です。原則として、輸入者が納税します。 外国から日本に品物を輸入しようとする場合、その輸入品にかかる税金のことを「関税」といい、原則として貨物の輸入者が納めます。 ■揮発油税・自動車税・自動車重量税など 自動車に関連する税金には、揮発油税(ガソリンにかかる税金)や、自動車税(自動車を持っている人にかかる税金、自動車重量税(自動車の重さに応じてかかる税金)などがあります。 【豆知識2】税金の分類方法 税金には3とおりの分類方法があります。 1.「どこに納めるかによる分類」   国に納める税を「国税」、地方公共団体に納める税を「地方税」といい、地方税はさらに「都道府県税」と「市町村税」に分けられます。 2.「納め方による分類」   税を納める人と負担する人が同じ税金を「直接税」といい、税を納める人と負担する人が異なるものを「間接税」といいます。たとえば、消費税は、消費者が負担し、事業者が納めるため、間接税に分類されます。  _____________________________           |   直接税     |   間接税  ―――――――――――――――――――――――――――――           |所得税、法人税、   |消費税、酒税、      国税   |相続税、贈与税など  |たばこ税、関税など  ―――――――――――――――――――――――――――――      |    |道府県民税、事業税、 |地方消費税、      |道府県税|自動車税など     |道府県たばこ税、      |    |           |ゴルフ場利用税など  地方税 |――――|――――――――――――――――――――      |    |市町村民税、     |市町村たばこ税、      |市町村税|固定資産税、     |入湯税など      |    |軽自動車税など    |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 3.「何に対して課税するかによる分類」   所得税や法人税のように、個人や会社の所得に対して課税することを「所得課税」といいます。また消費税や酒税、たばこ税など物品の消費やサービスの提供などに対して課税することを「消費課税」、相続税や固定資産税など資産などに対して課税することを「資産課税等」といいます。 関連リンク 財務省(https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/index.html)