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ホーム税について調べるタックスアンサー法人税寄附金No.5280 子会社等を整理・再建する場合の損失負担等に係る質疑応答事例等>No.5280 子会社等を整理・再建する場合の損失負担等に係る質疑応答事例等

No.5280 子会社等を整理・再建する場合の損失負担等に係る質疑応答事例等

[平成28年4月1日現在法令等]

(再建支援等事案に係る事前相談の回答の性格等)

Q1-1

 再建支援等事案に係る事前相談の意義はどのようなものですか。

A1-1

 いわゆるバブル経済の崩壊以降、法人が経営危機に陥った系列会社や取引先等の倒産等を防止するため又は整理するために損失負担、債権放棄及び無利息貸付け等(以下「損失負担等」といいます。)を行ういわゆる再建支援等事案が増加しています。
 これらの事案にあっては、損失負担等を行う者(以下「支援者」といいます。)の損失負担等の額が寄附金に該当するか否かが、支援者の所得計算に多大な影響を及ぼすこととなります。
 このため、再建支援等事案の損失負担等の税務上の取扱いについては、事前相談に応じているところです。
 相談窓口は、各国税局の審理課(審理官)・沖縄国税事務所の法人課税課又は調査課であり、特定調停に関する事前相談は地方裁判所の所在地を管轄する税務署でも受け付けています。
 なお、事前相談の有無自体及びその内容については、国家公務員法及び法人税法等に規定する守秘義務の対象となるものとして取り扱うことになります。

Q1-2

 再建支援等事案の事前相談に対する回答はどのような性格ですか。

A1-2

 事前相談は、相談事案に係る事実関係を前提として検討し、これに対する税務上の取扱いを回答するものであって、税務当局がその再建支援計画の実施に対して事前に許可又は認可を与えるというようなものではありません。
 事前相談は、支援者が行う損失負担等が寄附金に該当するか否かを検討するものです。
 したがって、支援を受ける側からのみの事前相談はその対象となりません。
 また、事後の税務調査等において、検討の前提とした事実関係と異なる事実が判明した場合には、その事実関係に基づき適正に処理することとなります。
なお、再建支援等事案については、必ず事前相談を行わなければならないといったものではありません。

Q1-3

 事前相談に当たっての基本的な考え方はどのようなものですか。

A1-3

 事前相談に際しては、基本的には、策定された整理計画又は再建計画に基づく損失負担等の額が寄附金に該当するか否かの検討を行うこととなります。
 また、事前相談に当たっては、法令の規定の趣旨等をも勘案しつつ、単に通達の規定中の部分的字句に固執し、通達に例示がないとか、通達に規定されていないとかの理由だけで法令の規定の趣旨等に即さない解釈に陥ったりすることなく、個々の具体的事例に即した総合的な判断を行うこととなります。

【参考】
昭和44年5月1日付直審(法)25(例規)「法人税基本通達の制定について」前文(抜すい)
(略)
 したがって、この通達の具体的な運用に当たっては、法令の規定の趣旨、制度の背景のみならず条理、社会通念をも勘案しつつ、個々の具体的事案に妥当する処理を図るように努められたい。いやしくも、通達の規定中の部分的字句について形式的解釈に固執し、全体の趣旨から逸脱した運用を行ったり、通達中に例示がないとか通達に規定されていないとかの理由だけで法令の規定の趣旨や社会通念等に即しない解釈におちいったりすることのないように留意されたい。

(寄附金課税の対象となるか否かの検討)

Q2-1

 法人税法上の寄附金は、どのようなものをいうのですか。

A2-1

 法人税法は、寄附金そのものについての直接的な規定を置かず、「寄附金の額」についての規定を置くことにより、寄附金を間接的に意義付けています。

【参考】
法人税法第37条
第1項〜第6項省略
第7項 前各項に規定する寄附金の額は、寄附金、拠出金、見舞金その他いずれの名義をもってするかを問わず、内国法人が金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与(広告宣伝及び見本品の費用その他これらに類する費用並びに交際費、接待費及び福利厚生費とされるべきものを除く。次項において同じ。)をした場合における当該金銭の額若しくは金銭以外の資産のその贈与の時における価額又は当該経済的な利益のその供与の時における価額によるものとする。
第8項 内国法人が資産の譲渡又は経済的な利益の供与をした場合において、その譲渡又は供与の対価の額が当該資産のその譲渡の時における価額又は当該経済的な利益のその供与の時における価額に比して低いときは、当該対価の額と当該価額との差額のうち実質的に贈与又は無償の供与をしたと認められる金額は、前項の寄附金の額に含まれるものとする。
 なお、過去の裁判において、寄附金について次のような判決があります。

  1. 1 寄附金とは、名義のいかんや業務の関連性の有無を問わず、法人が贈与又は無償で供与した資産又は経済的利益、換言すれば、法人が直接的な対価を伴わないでした支出を広く指称するものと解すべき(昭57.9.30 広島高裁松江支部昭56(行コ)1)。
  2. 2 法人が無利息貸付け等により経済的利益の供与をした場合、相手方からこれと対価的意義を有するものと認められる経済的な利益の供与を受けているか、あるいは、その経済的利益を手放すに足る何らかの合理的な経済目的その他の事情が存する場合でない限り、経済的利益相当額は、その法人の収益として認識される(寄附金課税の対象となる)ことになる(昭53.3.30 大阪高裁昭47(行コ)42)。

Q2-2

 再建支援等により損失負担等をした場合において、損金算入が認められるときとはどのようなものですか。

A2-2

 寄附金の額とは、法人税法第37条第7項において「金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与」とされていますが、その経済的利益を供与することについて、経済合理性が存する場合には、その供与した経済的利益の額は寄附金の額に該当しないものとして取り扱うこととしています。
 再建支援等事案における損失負担等の額の損金算入が認められる経済合理性とは、経済的利益を供与する側からみて、再建支援等をしなければ今後より大きな損失を蒙ることが明らかな場合や子会社等の倒産を回避するためにやむを得ず行うもので合理的な再建計画に基づく場合などその再建支援等を行うことに相当な理由があると認められる場合をいいます。

Q2-3

 法人税基本通達9−4−1、9−4−2の趣旨は、どのようなものですか。

A2-3

 法人税基本通達9−4−1、9−4−2は、次のとおりです。

【参考】
法人税基本通達
(子会社等を整理する場合の損失負担等)
9−4−1 法人がその子会社等の解散、経営権の譲渡等に伴い当該子会社等のために債務の引受けその他の損失負担又は債権放棄等(以下9−4−1において「損失負担等」という。)をした場合において、その損失負担等をしなければ今後より大きな損失を蒙ることになることが社会通念上明らかであると認められるためやむを得ずその損失負担等をするに至った等そのことについて相当な理由があると認められるときは、その損失負担等により供与する経済的利益の額は、寄附金の額に該当しないものとする。

(注) 子会社等には、当該法人と資本関係を有する者のほか、取引関係、人的関係、資金関係等において事業関連性を有する者が含まれる(以下9−4−2において同じ。)。

 (子会社等を再建する場合の無利息貸付け等)
9−4−2 法人がその子会社等に対して金銭の無償若しくは通常の利率よりも低い利率での貸付け又は債権放棄等(以下9−4−2において「無利息貸付け等」という。)をした場合において、その無利息貸付け等が例えば業績不振の子会社等の倒産を防止するためにやむを得ず行われるもので合理的な再建計画に基づくものである等その無利息貸付け等をしたことについて相当な理由があると認められるときは、その無利息貸付け等により供与する経済的利益の額は、寄附金の額に該当しないものとする。

(注) 合理的な再建計画かどうかについては、支援額の合理性、支援者による再建管理の有無、支援者の範囲の相当性及び支援割合の合理性等について、個々の事例に応じ、総合的に判断するのであるが、例えば、利害の対立する複数の支援者の合意により策定されたものと認められる再建計画は、原則として、合理的なものと取り扱う。

 上記通達の趣旨は、次のとおりです。
法人税の執行上、民商法重視の立場に立てば親子会社といえどもそれぞれ別個の法人ですから、仮に子会社が経営危機に瀕して解散等をした場合であっても、親会社としては、その出資額が回収できないにとどまり、それ以上に新たな損失負担をする必要はないという考え方があります。しかしながら、一口に子会社の整理といっても、親会社が、株主有限責任を楯にその親会社としての責任を放棄するようなことが社会的にも許されないといった状況に陥ることがしばしば生じ得ます。
 つまり、親会社が子会社の整理のために行う債権の放棄、債務の引受けその他の損失負担については、一概にこれを単純な贈与と決めつけることができない面が多々認められるということであり、このようなものについて、その内容いかんにかかわらず、常に寄附金として処理する等のことは全く実態に即さないといえます。
 また、一概に無利息又は低利貸付けといっても、そのことについて経済取引として十分説明がつくという場合には、子会社整理等の場合における損失負担等と同様に、常にこれを寄附金として取り扱うのは相当でないといえます。
 そこで、そのようなものについては、税務上も正常な取引条件に従って行われたものとして取り扱い、寄附金としての認定課税をしない旨を明らかにしたものです。

Q2-4

 子会社等を整理又は再建する場合の損失負担等が経済合理性を有しているか否かはどのように検討するのですか(合理的な整理計画又は再建計画とはどのようなものをいうのですか。)。

A2-4

 子会社等を整理又は再建する場合の損失負担等が経済合理性を有しているか否かは、次のような点について、総合的に検討することになります。

  1. 1 損失負担等を受ける者は、「子会社等」に該当するか。
  2. 2 子会社等は経営危機に陥っているか(倒産の危機にあるか)。
  3. 3 損失負担等を行うことは相当か(支援者にとって相当な理由はあるか)。
  4. 4 損失負担等の額(支援額)は合理的であるか(過剰支援になっていないか)。
  5. 5 整理・再建管理はなされているか(その後の子会社等の立ち直り状況に応じて支援額を見直すこととされているか)。
  6. 6 損失負担等をする支援者の範囲は相当であるか(特定の債権者等が意図的に加わっていないなどの恣意性がないか)。
  7. 7 損失負担等の額の割合は合理的であるか(特定の債権者だけが不当に負担を重くし又は免れていないか)。

(注) 子会社等を整理する場合の損失負担等(法基通9ー4ー1)の経済合理性の判断の留意点

  • ・ 上記2については、倒産の危機に至らないまでも経営成績が悪いなど、放置した場合には今後より大きな損失を蒙ることが社会通念上明らかであるかを検討することになります。
  • ・ 上記5については、子会社等の整理の場合には、一般的にその必要はありませんが、整理に長期間を要するときは、その整理計画の実施状況の管理を行うこととしているかを検討することになります。

(再建支援等事案の各検討項目の内容) 子会社等の範囲

Q3-1

 事業関連性のある「子会社等」の範囲は、どのようなものですか。

A3-1

<共通> 「子会社等」とは、資本(親子)関係、取引関係、人的関係、資金関係等において事業関連性を有するもの(法基通9−4−1(注))をいいますので、単に資本(親子)関係がないことのみをもって「子会社等に該当しない」とするものではありません。
 例えば、業界の上部団体等が、業界全体の信用維持のために支援を行う場合などは、その上部団体等にとって、個々の業者は子会社等に該当すると考えられます。

Q3-2

 金融機関等にとって融資を行っている個人は「子会社等」に該当するのですか。

A3-2

<再建> 子会社等とは、資本関係を有する者のほか、取引関係、人的関係、資金関係等において、事業関連性を有する者が含まれることとされています。
 したがって、貸付先が個人であっても取引関係を有する者に含まれ、金融機関等が債権放棄することにより、例えば、個人の破産を未然に防ぐことにより、破産した場合に回収できる債権額を上回る額を回収することが見込まれる場合など、債権放棄する側において経済合理性を有すると認められるときは、その債権放棄の額は寄附金の額に該当しないと考えられます。
 また、個人が自己破産と同等な状態に陥っており、貸付債権が回収できないことが明らかな場合において、金融機関等がその貸付債権を放棄したときは、その放棄による損失は、貸倒損失として損金の額に算入されると考えられます。

子会社等は経営危機に陥っているか

Q3-3

 経営危機に陥っていない子会社等に対する支援はどのようになるのですか。
 また、子会社等が経営危機に陥っているとは、どのような状況をいうのですか。

A3-3

<再建> 経営危機に陥っていない子会社等に対する経済的利益の供与は、その利益供与について緊急性がなく、やむを得ず行うものとは認められませんので、寄附金に該当することとなります。
 子会社等が経営危機に陥っている場合とは、一般的には、子会社等が債務超過の状態にあることなどから資金繰りが逼迫しているような場合が考えられます。
 なお、債務超過等の状態にあっても子会社等が自力で再建することが可能であると認められる場合には、その支援は経済合理性を有していないものと考えられます。

<整理> 子会社等の整理に当たり、整理損失が生じる子会社等は、一般的に実質債務超過にあるものと考えられます。

Q3-4

 債務超過の状態にない債務者に対して債権放棄等をした場合でも、寄附金課税をしない場合はあるのですか。

A3-4

<共通> 一般的に、債務超過でない債務者に対して債権放棄等をした場合でも、営業状態や債権放棄等に至った事情等からみて経済合理性を有すると認められる場合には、債権放棄等による経済的利益の供与の額は、寄附金の額に該当しないものとして法人税法上損金算入が認められます。

 例えば、実質的に債務超過でない子会社等の再建等に際して債権放棄等を行う場合としては、次のような場合などが考えられます。

  1. 1 営業を行うために必要な登録、認可、許可等の条件として法令等において一定の財産的基礎を満たすこととされている業種にあっては、仮に赤字決算等のままでは登録等が取り消され、営業の継続が不可能となり倒産に至ることとなりますが、これを回避するために財務体質の改善が必要な場合
  2. 2 事業譲渡等による子会社等の整理等に際して、譲受者側等から赤字の圧縮を強く求められている場合

 なお、財務諸表上は債務超過でないが資産に多額の含み損があり実質的な債務超過によって経営危機に陥っている子会社等に対して、合理的な再建計画に基づいてやむを得ず債権放棄等を行ったといったような場合は、経済合理性を有することはいうまでもありません。

支援者にとって損失負担等を行う相当な理由

Q3-5

 支援者にとって損失負担等を行う相当な理由があるか否かは、どのように検討するのですか。

A3-5

<共通> 支援者にとって損失負担等を行う相当な理由があるか否かは、損失負担等を行い子会社等を整理することにより、今後蒙るであろう大きな損失を回避することができる場合、又は、子会社等を再建することにより、残債権の弁済可能性が高まり、倒産した場合に比べ損失が軽減される場合若しくは支援者の信用が維持される場合などが考えられます。

損失負担(支援)額の合理性

Q3-6

 損失負担(支援)額の合理性は、どのように検討するのですか。

A3-6

<共通> 損失負担(支援)額が合理的に算定されているか否かは、次のような点から検討することとなります。

  1. 1 損失負担(支援)額が、子会社等を整理するため又は経営危機を回避し再建するための必要最低限の金額とされているか。
  2. 2 子会社等の財務内容、営業状況の見通し等及び自己努力を加味したものとなっているか。

 子会社等を再建又は整理するための損失負担等は、子会社等の倒産を防止する等のためにやむを得ず行われるものですから、損失負担(支援)額は、必要最低限の金額でなければなりません。一般的に、支援により子会社等に課税所得が発生するようなケースは少ないと考えられます。
 支援金額が過剰と認められる場合には、単なる利益移転とみなされ、寄附金課税の対象となります。
 なお、支援の方法としては、無利息貸付、低利貸付、債権放棄、経費負担、資金贈与、債務引受けなどがあり、その実態に応じた方法が採用されることになるものと考えられます。
 更に必要最低限の支援ですから、子会社等はそれなりの自己努力を行っていることが通例であり、損失負担(支援)額は、被支援者等の自己努力を加味した金額となります。
 この場合、どのような自己努力を行うかは、法人の経営判断ですが、一般的に遊休資産の売却、経費の節減、増減資等が考えられます。

再建管理等の有無

Q3-7

 支援者による再建管理等はなぜ必要ですか。また再建管理の方法にはどのようなものがあるのですか。

A3-7

<再建> 子会社等の再建を図るためにやむを得ず行う支援である以上、損失負担(支援)額は、必要最低限のものでなければなりません。
このため、支援者が子会社等の再建状況を把握し、例えば、再建計画の進行に従い、計画よりも順調に再建が進んだような場合には計画期間の経過前でも支援を打ち切る(逆の場合には、追加支援を行うための計画の見直しを行う)などの手当て(再建管理)が必要となります。
なお、再建管理の方法としては、例えば、支援者から役員を派遣すること又は子会社等から支援者に対して毎年(毎四半期、毎月)再建状況を報告させるなどの方法が考えられます。

<整理> 一般的に子会社等の整理は、解散後速やかに行われるため、整理計画の実施状況に関する管理については、検討を要しないものと考えられます。
しかしながら、資産処分に時間を要するなどの理由から、整理計画が長期間にわたる場合には、整理計画の実施状況に関する管理が的確に行われるか否かを検討する必要があります。

支援者の範囲の相当性

Q3-8

 支援者の範囲の相当性は、どのように検討するのですか

A3-8

<共通> 関係者が複数いる場合に、子会社との事業関連性が強いと認められる者が支援者に加わっていないときは、どのような理由によるかを検討することになります。支援者の範囲は、事業関連性の強弱、支援規模、支援能力等の個別事情から決定されるものであり、関係者全員が支援しないから不合理であるとは必ずしもいえません。
 なお、支援者の範囲は、当事者間の合意により決定されるものです。
 例えば、多数の関係者がいる場合であっても、出資している者、出資はしていないが役員を派遣している者、取引(債権)金額又は融資金額の多額な者等に支援者の範囲を限定することも考えられます。

Q3-9

 関係者が複数いる場合の支援者の範囲(例えば1社支援の場合)の相当性はどのように検討するのですか。

A3-9

<共通> 支援者の範囲は、事業関連性、支援規模等の個別事情から関係者間で決定されるものですから、その関係者の一部が支援者となっていないとしても、必ずしも不合理な整理計画又は再建計画とはいえないと考えられます。
例えば、親会社1社の支援にならざるを得ない場合として、次のような事情により親会社と子会社との事業関連性がより強く、他の関係者に支援を求められない場合が考えられます。

  1. イ 資本の大部分を有している
  2. ロ 系列の会社で、親会社の名称等の冠を付している
  3. ハ 役員の大部分を親会社から派遣している
  4. ニ 借入れの大部分を親会社からの融資で賄っている

Q3-10

 支援者は、その子会社の経営が破綻したため、再建支援を行うこととしました。支援に当たり、子会社の赤字関連会社について整理、再建するための損失負担等を含めて支援することとしていますが、債務超過である子会社が行う支援等について経済合理性が認められますか。

A3-10

<共通> 本問のスキームの概要は以下のとおりとなります。
本問のスキームの概要の図
 一般に実質的に債務超過の状態にある法人は、子会社等を支援する体力がなく、そもそも支援は行い得ないものと思われます。
 しかしながら、本問のように支援者が行う子会社に対する支援の一環として、つまり関連会社の清算又は再建に伴う子会社の損失負担額を含めて支援者が子会社の支援を行う場合において、それが子会社の再建を図るために必要不可欠であると認められるときは、支援者の子会社に対する支援及び子会社の関連会社に対する支援等について、それぞれ法人税基本通達9−4−1又は同通達9−4−2に該当するかを検討することとなります。

損失負担(支援)割合の合理性

Q3-11

 損失負担(支援)割合の合理性は、どのように検討するのですか。

A3-11

<共通> 支援者ごとの損失負担(支援)額の配分が、出資状況、経営参加状況、融資状況等の子会社等と支援者との個々の事業関連性の強弱や支援能力からみて合理的に決定されているか否かを検討することとなります。
なお、損失負担(支援)割合は、当事者間で合意されるものです。
損失負担(支援)額の配分については、例えば、総額を融資残高であん分し負担する方式(プロラタ方式)による場合のほか、出資比率、融資残高比率及び役員派遣割合の総合比率であん分し、個々の負担能力を考慮した調整を行ったうえ決定するといった例があります。

Q3-12

 支援者が複数いる場合の損失負担(支援)割合の合理性は、どのように検討するのですか。

A3-12

<共通> 損失負担(支援)割合の合理性については、一般的に支援者の出資状況、経営参加、融資状況等の事業関連性や支援体力からみて合理的に決定されているか否かを検討することとなります。
 このため、合理性が認められるケースとしては、次のようなものが考えられます。
例えば、

  1. 1 融資残高比率に応じた割合(プロラタ方式)による場合
  2. 2 損失負担(支援)総額を、出資状況、融資残高比率及び役員派遣割合等の事業関連性を総合的に勘案し、各支援者に配分する場合
  3. 3 メインとなる支援者(出資責任、融資責任、経営責任等のある者)が、その責任に応じたできる限りの支援を行い、他の支援者については、融資残高等の事業関連性を総合的に勘案し、責任を求めるといった場合
  4. 4 親会社としては、優先的に大部分の損失負担をし、経営責任を果たさなければ一般の取引先の同意が得られず、再建計画が成立しないため、やむを得ず損失負担をして、再建を果たそうとする場合

Q3-13

 支援者によって支援方法が異なる内容の再建計画であっても、合理的な再建計画と認められるのですか。

A3-13

<再建> 支援者によって支援方法が異なる内容の再建計画であっても合理的な再建計画と認められる場合としては、例えば、債権放棄が主な支援方法である再建計画において一部の債権者が債権放棄に応じないが金利減免には応じている場合や融資残高を維持するにとどめている場合などが考えられます。
なお、それぞれの支援者がどのような支援方法を採るかは、当事者間の合意により決定されるものです。

Q3-14

 大口の債権者(親会社)だけでなく一般の(小口)債権者も債権を放棄するようなものは、合理的な整理計画又は再建計画とはいえないのではありませんか。

A3-14

<共通> 再建支援の対象となる子会社等には資本関係を有する者のほか、取引関係、人的関係、資金関係等において事業関連性を有する者も含まれます。
 一般の(小口)債権者についても取引関係、人的関係、資金関係等の事業関連性があれば、会社が整理されることによって将来発生する損失の回避や再建されることによって得られる利益等を考慮に入れて、経営判断により債権放棄を行うこともあり得ることです。
 したがって、いわゆる大口債権者ではなくても、取引関係、人的関係、資金関係等の事業関連性の程度により保有する債権を放棄せざるを得ない場合もあり得ると考えられます。

その他

Q3-15

 利害の対立する複数の支援者の合意により策定された再建計画であることが確認できれば、「合理的な再建計画」と認められるのですか。

A3-15

<再建> 利害の対立する複数の支援者の合意により策定されたものと認められる再建計画は、原則として、合理的なものと取り扱うこととしています(法基通9−4−2(注)参照)。
これは、それぞれの支援者が経済合理性に基づいて判断していることから相互に牽制効果が働くこととなり、同族・グループ法人間でなされがちな恣意的な利益操作が行われる可能性が少ないと考えられることなどから、原則として、合理的な再建計画として取り扱うこととしているものですが、その内容については検討する必要がないといったものではありません。

Q3-16

 「利害の対立する複数の支援者の合意」といっても、支援者がごく少数であれば必ずしも利害の対立する者とは限らないため、合理的な再建計画と認められないのではありませんか。

A3-16

<再建> 利害の対立する複数の支援者(債権者)が協議して、自主的に再建計画を策定する場合には、相互に牽制効果が働き、個々の支援者(債権者)の利益操作、つまり恣意性が排除されるため再建計画全体の合理性が担保されると考えられます。
したがって、支援者が極少数であるからといって、一律に恣意的な再建計画と決めつけることは相当でありません。
一方、支援者の多寡にかかわらず、恣意的な再建計画は、不当に税を免れるなど課税上の弊害があるため、当然、経済合理性があるとは考えられません。

Q3-17

 債権放棄した額が寄附金の額に該当するか否かが争われた事例はありますか。

A3-17

<共通> 債権放棄した額が寄附金の額に該当するか否かが争われた事例として、原告は、本件債権放棄が寄附金に当たると認定された場合には、これを撤回する旨を債権放棄通知書に記載しているが、これは、本件債権放棄によって、その子会社に対する親会社責任を果たすとともに、自らの危機を回避するという法人税基本通達9−4−1の趣旨に沿うものではないとされた(寄附金課税の対象となるとされた)判決(平7.5.30東京高裁平5(行コ)94)があります。

Q3-18

 経営が破綻した子会社等を他の法人に事業譲渡又は合併するために親会社の責任として損失を負担しなければその目的を達成できない場合があります。
 このような場合、その損失を負担することに相当な理由があるか否かの判断に当たって、どのような点を検討することとなるのですか。

A3-18

<共通> 事業譲渡や合併により支援者が損失負担等を行う場合には、そのことに相当な理由があるか否かの判断に当たって次のような点を検討する必要があります。

  1. 1 支援者にとって破綻した子会社等の事業を継続する必要性があること(例えば、経営が破綻した地域販売子会社の保有する販路を維持する必要がある場合など)
  2. 2 子会社等の事業を継続するために事業譲渡若しくは合併によらざるを得ないこと又は事業譲渡若しくは合併を選択したことにつき経済合理性(例えば経営が破綻した子会社等を清算したり、そのまま存続させ再建を図った場合よりも損失負担額が少ないなど)が認められること

(その他)

Q4

 平成10年6月、法人税基本通達が改正されましたが、従来の取扱いを変更したのではありませんか。

A4

 法人税基本通達9−4−1及び9−4−2は、法人税法に規定されている寄附金の額に関する解釈通達です。
 この場合の寄附金の額とは、法人税法第37条第7項において「金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与」とされてますが、その経済的な利益を供与することについて、経済合理性が存する場合には、単なる贈与ではありませんので、従来から、その供与した経済的利益の額は寄附金の額に該当しないものとして取り扱うこととしています。
 このことについて従前の法人税基本通達では、その支援方法が無利息・低利融資である場合のみが示され、債権放棄や資金贈与が明示されていませんでしたので、これを明確にしたものです。
 また、再建の対象となる「子会社等」には、子会社のほか、取引先、役員を派遣している会社、資金を貸し付けている会社等も含まれることとして取り扱っており、この点を明らかにしたものです。
 さらに、「合理的な再建計画」か否かについての判断基準(支援額の合理性、再建管理の有無、支援者の範囲の相当性、支援割合の合理性等)を明らかにし、例えば、利害の対立する複数の支援者の合意により策定されたと認められる再建計画は、従来から、原則として、合理的なものとして取り扱っていたところから、この点についても明らかにしたものです。
 これらの通達改正は、いずれも、従来からの取扱内容をより分かり易くするために明確化を図ったものであり、範囲を拡げたり、取扱いを緩めたりしたものではありません。

Q5

 再建支援等事案の事前相談に係る検討事項の概要はどのようなものですか。

A5

 再建支援等事案に係る検討項目及びその概要は次のとおりです。

再建支援等事案に係る検討項目及びその概要の図

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